当地は 厳しい暑さが続いています
皆さまのところも同様であるのでしょうね
どうぞ 体調に気を配りながらお過ごしを・・・
基本的な重要判例は シンプルさを保ちつつ色あせることなく 規準となり続けます
〈96条に登場の判例〉
詐欺による取消しの効果は、その登記をしなければ、取消後不動産を取得して登記を経た第三者に
対抗しえない。 (大判昭17・9・30)
〈177条に登場の判例〉
取消しは、登記をしなければ取消後の第三者に対抗できない。 (大判昭17・9・30)
契約の解除は、登記をしなければ解除後の第三者に対抗できない。 (最判昭35・11・29)
何らの権限なく不動産を占有する不法占有者は、本条にいう「第三者」に該当しない。
(最判昭25・12・19)
〈545条に登場の判例〉
不動産売買契約が解除されると、買主に移転していた所有権は遡及的に売主に復帰する。
(最判昭34・9・22)
不動産売買契約の解除は、登記をしなければ解除後の第三者に対抗できない。
(最判昭35・11・29)
本条1項ただし書により第三者が保護をうけるためには、その権利につき対抗要件を備
えていることを必要とする。
甲乙間になされた甲所有不動産の売買が契約の時に遡って合意解除された場合、すでに
乙からこれを買い受けていたがいまだ所有権移転登記を得ていなかった丙は、右合意解
除が信義則に反する等特段の事由がない限り、乙に代位して、甲に対し所有権移転登記
を請求することはできない。 (最判昭33・6・14)
(解除の効果)
第五百四十五条
当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる
義務を負う。
ただし、第三者の権利を害することはできない。
・・・・・
さて 本日の マンション管理士試験過去問学習です
※ 〔問い方(肢の順番を変える等も含み)を変えて
利用させていただいている場合があります
法令等改正があった場合に内容を現行のものと
整合させるため出題当時の問題を改めているこ
と等もあります〕
Aは、Bとの間で、甲マンションの1室である 501 号室をBに売却する旨の売買契約を締結した。
この場合に関する次の記述について、民法の規定及び判例による正誤を答えなさい。
1
Aが 501 号室を退去した後に、居住するための権利を有しないCが同室に居
住している場合、AからBへの 501 号室の区分所有権の移転登記が経由されて
いないときは、Bは、Cに対して、同室の明渡しを請求することができない。
2
AからBへの 501 号室の区分所有権の移転登記が経由されない間に、AがC
に同室を売却する旨の売買契約を締結し、Cに同室が引き渡された場合におい
て、AからB及びCのいずれに対しても同室の区分所有権の移転登記を経由し
ていないときは、Bは、Cに対して同室を明け渡すように請求することができ
ない。
3
AからBに 501 号室の区分所有権の移転登記を経由した後に、AがBの詐欺
を理由にAB間の売買契約を取り消したが、その後にBがCに同室を売却する
旨の売買契約を締結して、区分所有権の移転登記をBからCに経由し、Cが居
住しているときは、Aは、Cに対して、同室の明渡しを求めることができない。
4
AからBに 501 号室の区分所有権の移転登記が経由された後に、AがBの代
金未払いを理由にAB間の契約を解除したが、その解除の前にBがCに同室を
売却する旨の売買契約を締結してCが居住している場合、区分所有権の移転登
記がBからCに経由されていないときは、Aは、Cに対して、同室の明渡しを
求めることができる。
1について 誤 り
Cは不法占有者であり「第三者」に該当しないので AからBに対して同室の区分所有権
の移転登記を経由していなくてもCに対抗でき 明渡を求め得る
〈177条に登場の判例〉
何らの権限なく不動産を占有する不法占有者は、本条にいう「第三者」に該当しない。
(最判昭25・12・19)
2について 正しい
AからB及びCのいずれに対しても同室の区分所有権の移転登記を経由していない
ので 対抗に必要な登記を得ていないということで互いに対抗手段を持っていない
のであり BはCに対して同室を明け渡すように請求することができない
下記 177条 を 参照ください
3について 正しい
AB間の売買契約を取り消しても Aはその旨の登記をしていなかったので
取消後不動産を取得して登記を経たCに対抗できない
〈96条に登場の判例〉
詐欺による取消しの効果は、その登記をしなければ、取消後不動産を取得して登記を経た第三者に
対抗しえない。 (大判昭17・9・30)
〈177条に登場の判例〉
取消しは、登記をしなければ取消後の第三者に対抗できない。 (大判昭17・9・30)
4について 正しい
Cは 501号室の区分所有権の移転登記を得ていないので 保護を受け得る「第三者」に該当
しないので AはCに対し同室の明渡しを求め得る
〈545条に登場の判例〉
不動産売買契約が解除されると、買主に移転していた所有権は遡及的に売主に復帰する。
(最判昭34・9・22)
不動産売買契約の解除は、登記をしなければ解除後の第三者に対抗できない。
(最判昭35・11・29)
本条1項ただし書により第三者が保護をうけるためには、その権利につき対抗要件を備
えていることを必要とする。 (最判昭33・6・14)
記
参考条文
(不動産に関する物権の変動の対抗要件)
第百七十七条
不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の
登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。
(解除の効果)
第五百四十五条
当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負う。
ただし、第三者の権利を害することはできない。
2 前項本文の場合において、金銭を返還するときは、その受領の時から利息を付さなければならない。
3 第一項本文の場合において、金銭以外の物を返還するときは、その受領の時以後に生じた果実をも
返還しなければならない。
4 解除権の行使は、損害賠償の請求を妨げない。
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本日の過去問学習は
2022年度 問13 を基底にさせていただいています