この記事は 集会(総会)のルールに関することで
役員選任や動議にも関すること です
以前にも ほんの少しですが 述べさせていただいたことがありますが・・・
一般に というか おおよそ異義はないものと思いますが
議題とは 討論決議の外枠を画するもの
議案とは そのまま決議の対象となる形を具えたもの
動議とは 会議中に 予定されていた議題以外に審議・裁決を求める事項を提案すること
〔参考〕
会社法304条には 議案提出権として
第三百四条 株主は、株主総会において、株主総会の目的である事項(当該株主が議決権を
行使することができる事項に限る。次条第一項において同じ。)につき議案を提出することができる。
とあって 著名な学者さんが
『 総会の場において <会議の一般原則>により 動議を提出することは可能であり この点では
304条は確認的な規定である 』 とも言っています
法人法44条には
第四十四条 社員は、社員総会において、社員総会の目的である事項につき議案を提出することができる。
という条項もある
(一部省略)
標準管理規約上の理解では あらかじめ通知した事項についてのみ 決議可能(47条10項)
たとえ動議が出されても 審議事項があらかじめ通知した事項にかかわらないならば 採決不可
とされる
役員選任のことで 定められた候補者の役員選任が議題とされていたところ その候補者が総会で
辞任を表明した場合に 別の候補者が立候補して 新役員を選任することが 招集通知に記載されて
いない事項を決議することとなるのか否か
<判例(東京地判平成17.7.11)では 新役員になろうとする者が総会前にあらかじめ立候補して
いなかったとしても違法ではなく 決議に影響は無いとした>事案の詳細はスミマセンが不明なのですが・・
個人的には この判例には とても疑義を感じます
規約等に別段の定めが無い場合のこととして〔会議原則のことなどの絡みでイロイロ論点が浮かびますが〕
通知された議題の範囲内で 討論決議の外枠を画するものに逸脱しない範囲での決議で無ければならない
ことが要求されるからです
(役員候補という立場は 当然 人という 代替がきかない個性を持つものとして 特定候補者として
議案に具体的に示され 提案されているのですから 代替性可能だとばかり 軽く考えたと
捉えざるを得ないようなことだったとすると 著しく妥当でない と 思われます
立候補という手法 それと その突発的情況での扱いも含めると 議題の枠内の議案ととらえきれること
だったのか 疑問です) <標準管理規約上の規準に沿った場合の考察ですが>
法的なことの意味からだけでなく 実務上の視点からしても
総会の場で 突然立候補というケースでは 率直に言って 経験上からも 反対しにくいものです
なにせ 同一生活環境下で過ごす 一種の身内に対する賛否を問われることなので 面と向かって
就任反対の意思を示すことは とても勇気の要ることとなりますので
つまるところ OK マア いいだろう という流れになってしまうこと 多し
役員になってほしい人が結局就任しない場合は 残念 またの機会を
ということで一応済みましょうが
仮に なって欲しくない人が就任してしまった となると 諸々 不都合が絶えない というのが
自身の経験上からの思いです
立候補制を全面的に否定するわけではありませんが せめて マンション規模に見合う数の
推薦人を要件とすべきではとも 自身は考えています
なにしろ 立候補というのは 冷静にかんがえると 良くも悪しくも自己主張・ある意味売り込みシーン
ですので
昨今は 超個性派も 時間もてあまし派も 自己主張の場欲しさ派 などなど
管理組合員のなかにさまざま厄介タイプ 多き 時代 です
意地悪な意見となってしまっているでしょうが 敢えて述べさせていただきました
顧問となって イロイロ 経験してしまっているので・・・
時価60億円のマンションの理事長に 自称モノシリオジサンが理事に立候補し
理事長互選の場でも“私が就いてもいいですよ”と主導するようなことを想定してみて
ください その後のそのマンションの管理運営のことも想定してみてください
管理会社は おおよそ その理事長の暴走をたしなめることなど しません
というより 委託契約を切られることが頭を過ぎり さからうことなどできません
私は 闘いましたけれど
もっとも 正義の立候補者の方もおられるでしょうから ナカナカ見極めは困難ですが
ハッキリとしろ と 問われると なんら制限無し立候補制には 賛成できません
問題はあるとしても 輪番制などが長年公認の制度などになっている場合など
そうしたものに なんら歯止めが無い形で 徒に役目逃れができてラッキーとばかりに
立候補者優先などすることには おおいに疑義を持たざるを得ません
ということで 立候補制・推薦制・輪番制の調整の仕組みなど
役員選任に関する規定の作成などは 重要なことだと考えられます
総会で 一人一人につき 信任を得るべき と考えます)
さて
理事の選任について 総会の通知に理事立候補者の氏名を記載していなかったとしても
法令に違反するものではない
<判例(東京地判平成21.9.29>
というような 本日の記事に 関連するような問題もあります
さて 会議の目的(議題)についてですが
区分所有法
(決議事項の制限)
第三十七条
集会においては 第三十五条の規定によりあらかじめ通知した事項についてのみ
決議をすることができる
2 前項の規定は この法律に集会の決議につき特別の定数が定められている事項を除いて
規約で別段の定め をすることを妨げない
(招集の通知)
第三十五条
集会の招集の通知は 会日より少なくとも一週間前に 会議の目的たる事項を示して
各区分所有者に発しなければならない
とされています
(一部省略あり)
標準管理規約 では
(総会の会議及び議事)
第47条
10 総会においては 第43条第1項によりあらかじめ通知した事項についてのみ 決議することができる
(招集手続)
第43条 総会を招集するには 少なくとも会議を開く日の2週間前までに
会議の日時 場所及び目的を示して 組合員に通知を発しなければならない
となっている
(一部省略あり)
標準管理規約 では 区分所有法37条2項にある ≪規約で別段の定め≫を採用していません
審議事項があらかじめ通知した事項にかかわらない場合は 採決することはできないことになります
が
( 通知された 議題の 範囲で 範囲内の 議案<動議> を提起することは可能 と 自身は
理解しています
少々 イロイロ論点があり 細かい説明が必要となるのですが )
住民自治の下で 約束事にのっとって 管理運営をする ということで 以上のような理解の下 と
会議の一般原則 を 尊重しつつ 動議が出された場合の対処をするべきと考えます
管理組合員は 管理組合を構成している所有者の1人です
最高議決機関たる総会の場で 一定の発言をする権利は 尊重されるべき
と考えられます
(執行部が提案した範囲内での ある意味限定をともなう範囲で ではあるにしても)
それにしても <会議の一般的原則> とか 裁判制度における <弁論主義> とか
内容が文字で確認できるわけでもなく 学者間においてさえ前提となる重要定義というようなものさえ
同義の上に立っての理論なのかも不明のようなことなのかもしれないのに 大きな原則だから
規定などおくまでもないのだ
というようなありかた どうも 自身には理解でき辛い のですが しかし・・・
そういったものの尊重も必要でしょうし
そういうことで さまざまな重要な会議とか裁判など専門的領域でも 事は流れてすぎていくということに
なんともいえない この世の巷の不思議さを感じてしまう
法曹という重大な任務を負う 超専門家の係る範囲にしてもなお
規定などおくまでもない大原則なのだという合意?があるとみなすような
仕組みとは
ということに
たしかに 不思議さを覚えてしまいます
曖昧さを含むような記事で 申し訳ありません
本日の記事は 役員選任に関した 議題 と 議案の動議
ということについて 概論を述べさせていただきました
( 率直に言って 論点の多いところで 詳細に述べると
ある意味 学者さんにもイロイロの捉え方があるような?
私には荷が重過ぎる というようなところもあります
さらに 研鑽を続けたいと思っております
なお 実務上は 質問に答えることこそ業務の範囲ですし
自身としての理解は固めてはおりますが)
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