おてんとうさんのつぶやき & 月の光の思案 + 入道雲の笑み

〔特定〕行政書士/知的財産管理技能士/国家試験塾講師等が生業の巷の一介の素浪人の日常

パーフェクト ? の答え

2015-02-13 | ◆行 政 書 士〔全 般〕

(以前の掲載の改訂版です)

『絶対に それで間違いありませんね』

稀にですが
お客さまに こう訊かれることがあります

ですが・・・絶対なのか と問われると どうにもこうにも・・・

断言できるケースは めったにないのでは と思わざるを

得ません

ある方(Wさん とします)が先月亡くなり
某 金融機関に預金債権600万円を遺しました
遺言などはありません

この方に 奥さんと 3人のお子さんがいます

奥さんを    A
長男を     B
長女を     C
二男を     D
とします

法律の基本的な考えは Wさんが亡くなった時点で 
預金債権は それぞれ法定相続分の割合で 各自に帰属
します

ということは Aさんが一人で この金融機関
(X銀行とします)にでかけて 顔見知りでもあるし
すぐにでも300万円を受け取れ葬儀費用にまわせそう

ですが・・

しかし 実務上は そう簡単にはいきません

まず X銀行は
『相続人の方全員で合意なさり 受取人を決めてください』
と まず 対応します

そこで
『でも 私は妻として2分の1の300万円はいただけますよね』

しかし
たぶん こうくるかも
『相続人さんの合意で 例えば受取人さんをDさんとする可能性もあるのですから そうはいかないのです』


判例も 実はさまざま
結論も分かれ
結論が同じでも 理由付けは 諸々


法律理論からすると 基本判例上は 
≪可分債権だから  各自の権利
としながら
実務界の都合
(相続人間のイザコザに惑わされたくない・
一度で処理を済ませたい・
払い過ぎ?の危険を避けたい・
取引経緯や残高証明などの情報開示の点からしても
めいめいを相手にすることは煩雑・
とにかく 窓口は一人に統一してもらい銀行側の帰責事由は
最低ラインにとどめておきたい)
などのことから

現実 というか実際の実務場面では 

長年Wさんを支え苦労をともにし
子達を育てた妻といえども 困難を抱えることがあり得ます

まとめて言うと 
可分な債権の共同相続について 分割・非分割の対立が
あるのですが この点も共有・合有という対立だけではなく
関係者間の実質的利益考量が重視されているのです

利益考量 とは
なんと 不可解な 拠り所があるようで無い基準でしょう
そう言わざるを得ません
判断基準があるようで 無い とも言える基準ですから
とても 絶対変わらない基準とは 到底言えません

つまり
法律理論だけが拠り所ではないのです
憲法で言うところの 多数者の実質的利益
民法での             公序良俗
刑法での             実質的正義
民訴法での            公平手続
刑訴法での            適正手続
商法での             適正営利
このような基本理論も つまるところは

利益調整の条理 とでもいうような観念には 勝てない??

最近 このような感慨をもつことが多々あります
(だからといって 法律理論をおろそかにはできませんが)



ちなみに 上記の例で 預金債権ではなく
現金そのものを奥さんAが600万円(Wさんのもの)預かっていたとき
Aが300万円自分のものとできるでしょうか
(Wさんが亡くなった時点のこと)

判例上は 預金債権以上に 勝手にできません

現金は 相続人間の利害調整の最後の砦ともいうべき
最高の手段(換金操作不用) だから 最後の最後まで エースとして 切り札として

とっておくべき

現金も動産の一種と考えられる(動産そのものは本来的
可分債権とはいえない・・・ダイヤの指輪そのものを
4分の1に分けて持つことは?)

そんなふうな理由で ある意味預金債権よりも慎重に保管を
要するのです(詳しい法理論は省きます)
(あくまでも 法律的には ということですが)

こんなふうですので

絶対ですとは 

とても おおよそどの分野でも 言えないのです
(現実の基準は 結果的に 法律だけでは決してない とも言えるのですから)


まったく ドンナ理由で どうなるか 
以上の理論だって
2年後には もしかするともっともっとスピードアップしながら変わるかも知れないのです
諸々の事情により・・・・

ちなみに 預金債権のケースでは
銀行などの都合を 相続人の都合よりも優位に置きすぎている と 私は考えています
銀行は ある意味のリスクを
営利追求機関として覚悟のうえ立場上お客さまに負っている とも思えるのです が・・・
(詳論は省きますが)


というわけで この世に そうそう 絶対ということはないのだから

最初から絶対OK なんとも思えないし

反対に 絶対できそうもない なんとも思うことなく

とにかく 一歩一歩 進んでいくしかないナー

なんて 巷の一介の素浪人は 思っているのです

 

この掲載内容にしたって 厳密には 現時点での絶対一義的な解釈基準に沿うている なんぞ

それこそ 絶対には 断言できないのです

あくまで この数年間私が拠りどころにしてきた 個人的なもの (モチロン のこととも言えましょうが

)です  

もしかすると 《超 遅れている  というか 時代遅れも甚だしい 骨董的理論だよ》 と言われそうで

ビクビク ですが・・・・もし そうだとすると とにもかくにも 陳謝するしかありませんが・・・


                   
(いつものことですが 厳密な法理論は省略している箇所が
 あることをご了解ください  
ご自身でも ご確認くださいネ)

 

  

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