おてんとうさんのつぶやき & 月の光の思案 + 入道雲の笑み

〔特定〕行政書士/知的財産管理技能士/国家試験塾講師等が生業の巷の一介の素浪人の日常

当事者をシッカリ把握しておく

2021-12-09 | マンション〔実務に到るまでをも含む 相談アレコレ〕

 

 

海辺にある リゾートマンション

華やかかりし頃の面影をさがしても 今は・・・そうしたものは どこにもうかがえない ような・・

 

相談を受けて アレコレ 質問をうけていても 心のなかでは 『ナント無謀な案の はかない質問なのだろう』

と思っていても 質問は 各々の組合員独自のタイセツな質問 なのだから 少しでも納得できるように説明

はさせていただく

仮に 建替え資金など ドコをどうさぐっても 捻出できない 借り入れも どう考えても無理

というような情況であっても

 

建物全体全部が 自分の あるいは 我々のもの という状況であるなら

『所有権絶対の下での 私的自治』という天下〔伝家でしょうがアエテ〕の宝刀が使いやすくなり 

処理・始末というか

対処がしやすくなる(アタリマエのことですが)

ところが [自分のものではないものを 共に所有している部分もある]ということなので 

事はヤッカイ 

たとえ どんなにささやかなホンノ一部の共有持分であっても その所有権の他者による

決済は無効 なのだ(これも いまさら アタリマエのことですが)

 

ならば デキルカギリ [自分(自分たち)のもの]に近づける手法として

[買取請求][売渡請求]という仕組みが 区分所有法にも登場している

さらに

買取請求][売渡請求]というものの登場もあったりしている

 

第八節 復旧及び建替え
(建物の一部が滅失した場合の復旧等)
第六十一条
7 第五項の決議があつた場合において、その決議の日から二週間を経過したときは、次項の場合を除き、その決議に賛成した区分所有者(その承継人を含む。以下この条において「決議賛成者」という。)以外の区分所有者は、決議賛成者の全部又は一部に対し、建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができる。この場合において、その請求を受けた決議賛成者は、その請求の日から二月以内に、他の決議賛成者の全部又は一部に対し、決議賛成者以外の区分所有者を除いて算定した第十四条に定める割合に応じて当該建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができる。
 
14 第五項に規定する場合において、建物の一部が滅失した日から六月以内に同項、次条第一項又は第七十条第一項の決議がないときは、各区分所有者は、他の区分所有者に対し、建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができる。
 
 
 
(区分所有権等の売渡し請求等)
第六十三条 
5 第三項の期間が経過したときは、建替え決議に賛成した各区分所有者若しくは建替え決議の内容により建替えに参加する旨を回答した各区分所有者(これらの者の承継人を含む。)又はこれらの者の全員の合意により区分所有権及び敷地利用権を買い受けることができる者として指定された者(以下「買受指定者」という。)は、同項の期間の満了の日から二月以内に、建替えに参加しない旨を回答した区分所有者(その承継人を含む。)に対し、区分所有権及び敷地利用権を時価で売り渡すべきことを請求することができる。建替え決議があつた後にこの区分所有者から敷地利用権のみを取得した者(その承継人を含む。)の敷地利用権についても、同様とする。
 
7 建替え決議の日から二年以内に建物の取壊しの工事に着手しない場合には、第五項の規定により区分所有権又は敷地利用権を売り渡した者は、この期間の満了の日から六月以内に、買主が支払つた代金に相当する金銭をその区分所有権又は敷地利用権を現在有する者に提供して、これらの権利を売り渡すべきことを請求することができる。ただし、建物の取壊しの工事に着手しなかつたことにつき正当な理由があるときは、この限りでない。
 
 
 
というようなことで
全員合意ではなくとも 法の許す決議方法でもって
その各場面で採り得る次のような手法をさぐりながら なんとか 処理を進めなければならない
ことになる

・耐震改修計画の認定制度利用(建築物の耐震改修の促進に関する法律 17)
・要耐震改修認定建築物(同 25③)
・小規模復旧(61①)決議
・大規模復旧(61⑤)決議
・建替え(62)決議
・団地内の建物の建替え承認(69)決議
・団地内の建物の一括建替え(70)決議
・建物取壊し(被災マンション法11)決議
・建物取壊し・敷地売却(被災マンション法10)決議
・建物・敷地売却(被災マンション法9)決議
・マンション敷地売却(マンションの建替え等の円滑化に関する法律 102・108)
・マンション建替組合設立(同5・6)
・再建決議(被災マンション法4)決議
・敷地売却決議(被災マンション法5)決議
 
 
 
 
いずれにしても その場面での法的な当事者となる者の把握が まず スタートとなる
当然のことだが 真の当事者でない者の合意・決議では 意味がない
 
自身の場合 相談を伺ってまず為すべきこと(一番に気になること)は 法的な決裁権を持つ当事者を
シッカリ ハッキリ と確認すること 
 
 
 
以上のようなお話をさせていただいたあとで

先日も 学習熱心な組合員さんから 建替えについて次のような質問があったのでした

 『建替えの条文や実務に関してのことなのですけれど
  再売渡しの代金は利息は計算しないで 売り渡した代金と同額 ということらしいのですが・・・
    細かいことですが気になってしかたないので質問しますが
  63条での再売渡請求がなされるとすると 64条の建替え参加者以外の者が所有権を持つこと
  になってしまうということなので 建物の取壊しができなくなってしまうのでは ? 』

 「そのとおりです」

 『そうすると建替えの計画の実現はできないということですよね ? 
  ソレデハ どうすればいいのですか ? 』

 「どうしても建替えを進めたいとなると その再売渡しの請求をした者との合意にベストを尽く
  す ということになりますね そのように答えるよりほかないのです
  そうしたことも起こり得るので そのような状況にならないように努めなければならない と
  いうことですね」