事を決すべき場面には 決するに必要となる要件を備えなければなりません
そうしたことに関することが問われたのですが・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
< 問題中法令等に関する部分は、平成 31 年 4 月 1 日現在において施行中の規定に
基づいて出題されています。 >
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2019年度の マンション管理士試験には 上の ことわり がなされていました
問13を解く場合 次の条文の知識も必要なことでしたが この条文の施行は 実は
平成31年 7 月 1 日 でした
相続による権利の承継は、遺産の分割によるものかどうかにかかわらず、次条及び
第九百一条の規定により算定した相続分を超える部分については、登記、登録その
他の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができない。
平成 31 年 4 月 1日現在において施行中の規定 ではないのでした
しかし
《遺産分割の効力は相続開始時に遡るが、第三者に対する関係においては、相続人が
相続によりいったん取得した権利につき分割時に新たな変更を生ずるのと実質上異
ならないものであるから、不動産に対する相続人の共有持分の遺産分割による得喪
変更については、177条の適用があり、分割により相続分と異なる権利を取得し
た相続人は、その旨の登記を経なければ、分割後に当該不動産につき権利を取得し
た第三者に対し、自己の権利の取得を対抗することができない(最判昭46.1.26)》
それまで積み重ねられた関連の判例がありましたので 出題ルールの点からの問題
とはされないのでは と 受験者さんには答えさせていただいたことなどありました
相続人が遺産分割前に自己の相続分を第三者に譲渡してしまったが 遺産分割によっ
て別の相続人のものとなってしまうと 分割の遡及効によって相続開始時からその別
の相続人のものとなるので無権利者からの譲渡となってしまい 第三者は保護されな
いことになってしまいそうだが 909条ただし書 がある(第三者は対抗要件であ
る登記を経ている必要はあるが)
遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる。
ただし、
第三者の権利を害することはできない。
というようなことが相続に関する 改正にもからむ
ホンノ 一部
ですが
2019年度
〔問 13〕
甲マンションの102号室を所有するAが遺言することなく死亡し、Aの相
続人であるBとCがAの遺産全てをBが相続する旨の遺産分割をした場合
における次の記述のうち、民法の規定及び判例による各肢の正誤を答えな
さい。
※ 問い方を変えて利用させていただいております
1 AがDに対して、Aの死亡前に、102号室を譲渡したときは、Dは所有権移
転登記なくしてBに対して102号室の所有権を主張できる。
2 AがEに対して、Aの死亡前に、102号室を譲渡し、BC間の遺産分割後に、
BがFに対して102号室を譲渡したときは、Eは所有権移転登記なくしてFに
対して102号室の所有権を主張できない。
3 BC間の遺産分割協議前に、CがGに対してCの法定相続分に当たる102号
室の持分を譲渡し、Gが所有権移転登記をしたときであっても、BはGに対し
て102号室全部の所有権を主張できる。
4 BC間の遺産分割協議後に、CがHに対してCの法定相続分に当たる102号
室の持分を譲渡したときは、Bは遺産分割に基づく所有権移転登記なくしてH
に対して102号室に係るCの法定相続分の権利の取得を対抗できない。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
条文に省略部アリ
1 について
対抗できるかできないか は 第三者との間について問題になることで
売主Aの包括承継人であるBは 相続によってDに対し当事者の地位に
立つことになるので Dは第三者ではないAに 登記が無くとも 102
号室の所有権を主張できる
不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)
その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗
することができない。
相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。
2 について
AからEへの譲渡 と B(Aの包括承継人)からFへの譲渡は 同一人からの二重
譲渡と同様の状況にあり 所有権移転の登記がないので Eは第三者にあたるFに対
して 所有権を主張できない(177条)
3 について
遺産分割前に譲渡を受け 所有権移転登記も済ませているGは 909条ただし書で
保護される「第三者」なので BはGに対し 102号室の 二分の一のみについて
の所有権しか主張できない
遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる。
ただし、第三者の権利を害することはできない。
ともいえる
そうすると Cが自己の持分を BとHに 二重に譲渡したようなことだとも捉えられる
相続による権利の承継は、遺産の分割によるものかどうかにかかわらず、次条及び
第九百一条の規定により算定した相続分を超える部分については、登記、登録その
他の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができない。