広告代理店にいた頃、フジテレビジョンは視聴率三冠王でした。
三冠王とは、全日、ゴールデンタイム、プライムタイムで最高の視聴率を取ること・・・。
でも、今のフジテレビは、キー局のブービーを争っています。
2014年 視聴率(ゴールデン)
第1位 日本テレビ 13.8%
第2位 テレビ朝日 11.7%
第3位 NHK 10.6%
第4位 フジテレビ 9.8%
第5位 TBS 9.7%
第6位 テレビ東京3.2%
売上では、フジメディアホールディングスは、6421億円と2位のTBS3543億円を大きく引き離しての1位ですが、
本業のテレビ事業では、振り向けばテレビ東京・・・。
フジテレビは、通販のセシールを傘下におさめたり、サンケイビル等の不動産事業を行ったり・・・本業で敗れ、副業で稼ぐという展開になっています。
ちょっと寂しい状況です。
広告業界では、フジテレビのことをコールサインから「CX」、テレビ東京のことを「TX」と呼んでいました。広告代理店に入社した頃、小さなメモ帳に全国のテレビ局の略称をメモして覚えたものです。
KRY・・・このテレビ局の社長はアタマに毛がない・・・社長曰く「毛、あるわい」と激怒・・・そんなダジャレ覚えていました(笑)。
ちなみに、この「KRY」・・・山口放送のことです。
旧名の「株式会社ラジオ山口」を略したものです。
フジテレビの衰退は、地上波のテレビ業界の抱える課題についていけないことにあると思います。
放送とインターネットの融合、動画投稿サイトの興隆、ワンセグ放送の普及などなど・・・
フジテレビは、時代の流れについていけていません。
ちょっと前までは、テレビを観ながら、CMの間にスマホをつつく・・・という感じでしたが、
今では、スマホやPC、タブレットがメインで、たまにテレビをチラ見するというライフスタイルに変わっています。
ペーパーテストに強い新卒が入ってきたこと、三冠王という一時的なプライドがイノベーションを退けたこと、現場がよく分からない経営陣が現場に口を挟み始めたこと、利益追求で下請けに製作を投げ始めたこと、尖がった番組を出せない集団意思決定主義・・・フジテレビ衰退の利用は、いろいろあると思います。
個人的に考えているのが、お台場への移転・・・俺たちは選ばれたエリート・・・と勘違いしたことから、衰退が始まったと考えています。
まさに、クリステンセン教授の言うイノベーションのジレンマです。
以前、フジテレビのあった曙橋は、新宿のそば・・・人々の息、呼吸の感じられる場で、CXの社員たちは番組製作に専念していました。歌舞伎町で遊んだり、ゴールデン街で飲んだり・・・。
それが、お台場に移り、チームワークが脆弱化し、首から上だけで考えるようになってしまった・・・。
社内の中央集権、官僚化が進み、稟議や決済といった書類仕事が増え、コンプライアンスの手続きの複雑化、さらには現場がよく分からない経営陣がマネジメント用語を振り回し始めた・・・それが、フジテレビが負け組になった原因であると考えています。
NHKじゃないんですから・・・。
今のフジテレビには、ワクワク感、ドキドキ感が皆無・・・。
冒険心も感じられない番組がオンエアされています。
安い芸人を使ったバラエティ番組、観ていて耐えられないクイズ番組、毎週見ようとは思えないドラマ番組・・・本当にコモディテイです。
以前のような、活力ある、見ていて面白いCXは戻ってくるのでしょうか?
今の体制のままでは、細部をつついたとしても、ちょっと難しいような気がします。
ガンバレ!CX!!!