今週の日経ビジネス誌(2016.9.19号)の特集「サラリーマン終活 定年後30年代時代の備え方」。
なかなか身につまされる話です。
今年の同誌では、現在の50歳代を「ゆでガエル世代」とネーミング・・・その存在感の薄さを指摘しました。
定年から死ぬまで30年間・・・自由な時間は10万時間を超えるそうです。
趣味に生きる、田舎に移住する、社会貢献にいそしむ、働き続ける、起業する・・・。
まさに、人生二毛作です。
ただ、第二の人生には、意外な3つの落とし穴があると指摘します。
「定年ホームレスの憂鬱」・・・居場所がない・・・家の中では配偶者に邪魔者扱い、地域コミュニティにも溶け込めない・・・記事では、400名の退職者が寺に入り、僧侶を目指す事例が紹介されています。「夫源病」という病気があるようです。
「自覚なきナルシストたち」・・・サラリーマン時代の経験と実績で、自信満々で起業したものの、空中分解を起こす・・・。自信が過信となる・・・60歳代でぶつかる挫折です。
「トリレンマの囚人」・・・住宅ローン、親の介護、60歳~64歳は年金が受給できない・・・お金の面でも定年後は大変なようです。
こうした状況を受けて、経済コラムニスト大江英樹さんは助言します。
「第二の人生、遅くとも52歳から考えよ」
漠然とした不安や焦りが最大の敵。
52歳前後から、計画的に「サラリーマン終活」を始めるべきだと説きます。
セカンドライフの「落とし穴」「失敗パターン」
仕事編
1 同僚との付き合いを優先してきた・・・誰もいなくなるかも
2 退職後は何もせずにのんびりしたい・・・体の続く限り働けば不安は解消
3 勤務先に再雇用してもらうつもり・・・邪魔者扱いされる可能性大
4 定年後は起業でもするか・・・起業は別物
5 自分に何が出来るか分からない・・・自分の能力の棚卸をすべし
生活編
1 定年後は妻と長く一緒にいたい・・・相手に迷惑!?
2 長年の友と縁遠くなっている・・・定年後の人生の支えになるかも
3 定年間際にやりたいことを慌てて探す・・・準備には5~10年は必要。
4 地域活動など社会貢献したい・・・安易に溶け込もうとしても無理。
5 生活イメージが湧かない・・・ライフプランなど「見える化」せよ。
こうした厳しい状況の中、イキイキと定年後の人生を送るシニアのケースが紹介されています。
大学野球の指導者として働く元キリンビールの執行役員、
マラリア撲滅のNPOの仕事に携わる元住友化学の社員、
TOC理論の普及に邁進する元オムロン常務、
山形県でワイン造りを始めたリストラ社員、
理想の「介護」を目指して事業を起こすシニア・・・。
勇気づけられます。
作家の安部譲二さんは、
「看板なくても道を切り開け!」
とエールを送ります。
「運が良いと信じれば、看板が無くても道は切り開ける。そのためには、自分の中で何かのおまじないを見つけることだよ。」
なかなか奥の深い、懐の深い助言です。
この特集のまとめは、「現役時代はリハーサル」。
定年はゴールではなく、「本番」へのリハーサルととらえるべきと締めくくります。
「就職が目標」という学生がいたら「就職はスタートにすぎない」と諭すように、
定年はスタート台ととらえよと助言しています。
気力、体力・・・次第に落ちていく年代。
ラストスパートは大変ですが、乗り越えなければならない壁。
「ゆでガエル世代」のご同輩諸君!
もう一度ギアを入れて、もう一山乗り越えていくことにしましょう!
小職としては、働きながら、電話をかけながら、パソコンに向かい合いながら、突然、ばったり逝く・・・
・・・そんな終わりが理想だと思っています。