日経ビジネス2021.2.15号の特集記事「大廃業サバイバル 小さくて強い経営」。
面白い記事でした。
最近では、コロナ禍の中ということもあり、倒産件数より廃業の件数が多い状況・・・5倍以上と言われています。
後継者不足という要因が多く、黒字でも廃業も多々あり、実にもったいないことだと思います。
日本の生産性が低いのは中小企業が多いからだという言説が、デービッド・アトキンソン氏の主張を受けた菅政権になってもっともらしい意見になってきたように思います。
ゾンビ企業は潰れるべき、国は援助の手を差し伸べるな、税金の無駄・・・といった話も出てきています。
個人的には、真逆で、大企業が成立しているのは独自性の技術・ノウハウを持つ中小企業があるからだと考えています。
雇用の7割以上を生み出しているのも、この国の中小企業群です。
今回の日経ビジネス誌の特集は、日本の中小企業政策論、歴史などを分析し、SMALL is BEAUTIFUL、小さくて強い経営を打ち出しています。
的確な指摘で、同意です。
「政府の中小企業観」の推移
戦後~高度成長期
問題認識型・・・中小企業は労働条件が劣悪で収益性が低く、日本の経済発展を阻害している
バブル崩壊後以後
貢献型認識・・・中小企業は新事業を生み出す苗床であり、市場競争を活性化させ、地域経済の雇用を支える
現在・・・中小企業の生産性の低さを指摘する声が挙がる一方で、後継者不足で中小企業数が減少し、地域経済が細る恐れ
そして、今の時代、生産性を基にした「過小評価」と地域経済を支える「過大評価」が併存していると同誌は解説するとともに、「中小企業の多様性を認め、支える必要がある」と結びます。
そのとおりだと思います。
この特集の肝は、「混沌こそ中小の好機 3つの強みで変革を生む」というPart2の記事。
中小企業がサバイブしていくための変革法を具体的なケースを基に3点提示します。
強みを生かす1 「群れ」が呼び込む変革
新たな企業連合 成功の3カ条
1 ストライクゾーンは広く。ボール球に勝機あり
2 もうけは二の次。目的はイノベーション
3 小さく尖って集まって、ものづくりの上流へ
強みを生かす2 事業を大胆に方向転換
大胆な業態転換 成功の3カ条
1 世代交代は好機。小回りを生かして舵を切れ
2 業界の隅々を知る。中小が勝るのは現場の近さ
3 古参と新参はもめていい。経営者が決断せよ
強みを生かす3 ニッチを磨き抜く
ニッチを磨き抜く成功の3カ条
1 技術は腐る。あぐらをかかず、半歩先へ
2 研究費はひねり出せる。公私混同は排除せよ
3 研究仲間は足で探せ。拒絶を恐れず、熱意で押せ
なかなか切れ味鋭い3×3の戦術です。
「SMALL is BEAUTIFUL」「小さくて強い経営」・・・日本の基盤を支える中小企業をうまくとらえたキーワードだと思います。
コロナ禍の中だからこそ、中小企業の経営者に読んでいただきたい日経ビジネスの今週号です。