見た目、ちょっとコワモテで怖い作家の佐藤優さん。
リベラルアーツに立脚した博覧強記の人・・・歯に衣着せぬ切り口のコメントには爽快感があります。
その佐藤優さんも60歳、還暦を迎え、新刊を出されました。
還暦からの人生戦略 最高の人生に仕上げる超実践的ヒント
佐藤優著 青春新書 950円+税
佐藤優節で行くと、いけいけドンドン、アグレッシブな内容を予想していたのですが、真逆でした。
バンドで2塁に送れという、超コンサバディブな本です。
「還暦以降はマイナスのミニマム化が目標」と喝破します。
お金や仕事、配偶者との関係、働き方など撤退戦に徹するべきとします。
目次
第1章 還暦からの孤独と不安
第2章 還暦からの人間関係とメンタル
第3章 還暦からの働くことの意味
第4章 還暦からのお金との付き合い方
第5章 還暦からの学びと教養
第6章 還暦からの死との向かい合い方
佐藤優さんは、外務省時代、検察から東京拘置所で512日間にわたる取り調べを受けたそうです。
同書の中にもありますが、それに持ちこたえられたのは敬虔なキリスト教徒(プロテスタント・カルビン派)であったからとのこと。
仏教、信仰、宗教、死生観についても第6章に綴られています。
深い思考から語る佐藤優さんの記述には説得力があります。
同書でアンダーラインを引いたところをピックアップさせていただきます。
「環境の激変を受け入れる力が必要」
「再雇用社員の立ち位置を自覚する」
「肉体と健康に完璧を求めない」
「港に引き揚げてきた船のイメージで」
妖精さんとか働かないオジサンと言われても、それはそれでいいんですね。
気が楽になる佐藤さんのコメントに安心する高年齢労働者も多いと思います。
「積極的に消極主義を推し進める」
「職場の人間関係には引いた目線を持つ」
「パートナーとはあえて距離を置く」
「体が動く限り働き続けることが当たり前」
「若者世代の生活保守主義を見習う」
ミニマリスト・・・新ケチケチ主義がこれから必須ということなんですね。
コロナ禍で、お金を使わなくても、そこそこ暮らしていけることが証明されました。
「あと何年生きるかを明確に想定する」
佐藤流はリアリズム・・・しっかりと計画化して対策を練ることが重要と指摘します。
付録として、池上彰さんとの対談「リタイア後、悪くない人生だったと言えるかどうか?」が巻末に掲載されています。
50歳代、60歳代の男性必読の一冊です。