能率とは、目的と手段のバランスがとれていること。
これは、能率学者 上野陽一(1883年~1957年)の定義である。
上野陽一は、「能率の父」と呼ばれている。
20世紀初頭、新興産業国アメリカのフレデリック・ウィンスロー・テーラーがまとめ上げた科学的管理法を日本に紹介、自ら生産現場の最前線に立ち実践した。
1920年に小林商店(現ライオン株式会社)の歯磨き粉工場で実施した改善活動は、日本最初の経営コンサルティングと言われている。上野陽一は、日本最初の経営コンサルタントなのである。
能率とは、ムリ・ムダ・ムラをなくしていくことでもある。
目的>手段を「ムリ」、目的<手段を「ムダ」、そしてムリとムダを合わせたものをムラと称している。
このムラが積み重なると大きな問題を起こすと上野は語る。
そして、能率とはモチマエを活かすこと。自らの強みを最大限に発揮することである。P・ドラッカーの言う「強みの上に己を築け」である。
また、上野陽一のいう「能率」は、テーラーのような工場現場だけではない。
事務や間接部門や営業部門、そして家庭や自分自身や1日の生活まで、すべて応用可能としているのである。
上野陽一が主張し実践した「能率」は、現代においても日本産業界の通奏低音として生き続けているのである。