能率技師のメモ帳 経済産業大臣登録中小企業診断士・特定社会保険労務士の備忘録

マネジメント理論、経営理論を世のため人のために役立てるために

新規事業のはじめ方 ギャンブルではなく仮説-検証を回していくことを説くMBAホルダーのマンガ本

2015年03月18日 | 本と雑誌

企業内で新規事業を立ち上げ成功させるということは、本当に難しいことです。

成功率10%と言われています。

その難しさの中でも、事業の停滞化、伸び悩みという状況の中で、必ず出てくる社内の議論が新規事業の立ち上げ論。

責任者が任命され、スッタモンダの末、ビジネスプランがまとめられ、実行に着手するものの1年から数年で壁にぶち当たり、空中分解を起こすというケースが多々あります。

アンゾフ・マトリックスで言う、新規市場開拓、新製品開発、事業多角化というのは、本当に難題ということが出来ます。

 

マンガで入門!新規事業のはじめ方 ゼロから立ち上げて成功させるまでのポイントがわかる

井口嘉則著  ミズイヨウコ作画  ダイヤモンド社  1700円+税

著者の井口さんは、日産自動車、コンサルファーム等を経て、現在、経営コンサルタント。

シカゴ大学でMBAを取得されています。

企業内で新規事業を立ち上げるステップを、マンガで表現。

初めての人でも、新規事業の計画から立ち上げ、成長に向けてのストーリーを分かりやすく解説しています。

クロスSWOT、シーズ分析、アンゾフ・マトリックス、仮説検証ステップ等のマネジメント理論等を、マンガと図解でビジュアル解説・・・中小企業、中堅企業でも十分に活用できる内容となっています。

新規事業の立ち上げは、限られた経営資源しかない中小企業にとっては、大きなリスク。

まずは、小さく初めて、小さな成功を積み重ねていくことがリスク回避の大きなポイントになります。

テストマーケティングやサンプリング・・・コストがあまりかからない有効な手法もあります。

例えば、トライアル・・・いきなり本事業を立ち上げ失敗するリスクを背負うより、まずは、小さな実験、トライアルで試してみる、地域に密着することにより、より一層顧客に近づく・・・そんな手段・方法も提唱しています。

同書の設定は、中小企業である地方の建設業者が停滞する経営状況をブレークスルーするために介護事業に進出していくという想定。

ハードを扱う企業がソフト分野に進出する・・・よくあるパターンだけに、身近で理解しやすい内容となっています。

 

目次

プロローグ 新規事業プロジェクトがスタート

第1章      自社に適した新規事業を見つける 介護市場の将来をデータ収集し、分析する

第2章      事業計画書を作る ビジネスプランが動き出すビジョンストーリー

第3章      事業収支の見通しを立てる 仮説検証のリサーチをして収支の細部を詰める

第4章      事業のトライアルを行う 初めて受注した仕事で大失敗する

第5章      立ち上げ準備を行う 事業収支計画をもとに銀行に融資を依頼する

第6章      新規事業が本格的にスタート 初のリフォーム工事を受注する

第7章      障害を乗り越える リフォームビジネスの難しさを知る

第8章      良循環のサイクルを形成する 営業エリアを拡大する

エピローグ 他社から見学者が次々とやってくる 地域密着の建設業者と介護事業との複合で成長する

 

マンガという表現・・・日本では、中世の鳥獣戯画から始まり・・・今ではクールジャパンの一つに数えられています。

日本的なハイコンテキストを表現するには良いメディア。

一見難しく感じられる経営実務やマネジメントを伝えるには有効だと思います。

今後は、アニメ動画やスライドショーなどでデジタル表現すると、もっともっと教育上の可能性が広がっていくものと思います。

起業分野でも、まんがを活用した経営本が出ています(特に、若い方にお勧めです)。

http://blog.goo.ne.jp/tomitomi111/e/8e306daf49634b8249a966730a59ebcb

新規事業の展開をマンガで表現した同書。

過去、新規事業を立ち上げ失敗した経営トップ、新規事業担当を任命された部課長クラス、これから新規事業を立ち上げようとしているベンチャー起業者、NPOやLPPなどの立ち上げを考えている方たちに読んでいただきたい一冊です。

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