能率技師のメモ帳 経済産業大臣登録中小企業診断士・特定社会保険労務士の備忘録

マネジメント理論、経営理論を世のため人のために役立てるために

「超」働き方改革 四次元の「分ける」戦略・・・日本のホワイトカラーはゼネラリスト=素人集団

2021年01月31日 | 本と雑誌

積読になっていた一冊・・・週末に手を伸ばしてみました。

意外に面白い!・・・著者にちょっと失礼ですね(苦笑)。

終身雇用、年功序列・・・日本の労働を巡るホコロビが出たこの30年間という歳月。

労働生産性は先進7か国でずっと最下位、社員のやる気も世界の中では最低クラス、長時間労働の割にはGDPの伸びは年率1%、上がらない給料・・・。

この20年間、日本人の給料はホント上がっていません・・・欧米では1.5倍~2倍になっているのに・・・。

一人当たりのGDPも世界で26位???

スペインやイタリアにも負けています。

日本人はシエスタもせず、真面目に一生懸命頑張っているのに・・・。

この国も決して豊かな国とは言えなくなりました。

「超」働き方改革 ~四次元の「分ける」戦略~

太田肇著  ちくま新書  780円+税

 

著者は、「承認」の研究で知られる同志社大学教授。

同書では、「分ける」ことで、日本はまだまだノビシロがあると指摘。

現在の日本の労働シーンは、組織や集団から個人が「未分化」であること、すなわち組織や集団に個人が溶け込んでいるために、働き方改革も生産性向上も進展しないと喝破します。

和の精神、組織第一という価値観、家族のような会社組織、専業主婦という独特な存在・・・何もかもが会社を中心になって動いている「労働」を「分ける」ことにより、効率性を高め、生産性を上げようと提言します。

 

目次

序章 「分ける」と働き方は変わる

第1章 仕事を分ける

第2章 職場を分ける

第3章 キャリアを分ける

第4章 認知的に分ける

終章 分けて統べる

まずは、仕事を「分ける」・・・3つに類型されるとのことです。

・職務で分ける「職務型」

・専門で分ける「専門職型」

・まとまった仕事を受け持つ「自営型」

ジョブ型雇用と呼ばれる「職務型」は日本には合わないのではないかと仮説を展開し、

むしろ大工の棟梁集団のような働き方、自営型の働き方がマッチするのではないかと提言します。

 

2番目の、職場を「分ける」

現代オフィスは「創造の場」と定義、大部屋で仕切りがないのは日本だけだと指摘します。

今までのように「事務作業の場」であれば、島を作ったり全員に目が届くようなレイアウトが最適でしたが、これからは「個」の空間を取り入れていかなければ生産性は高まらないとのこと。

アイデアで勝負するGAFAのオフィスのように変わっていかなければならないとします。

 

3番目は、キャリアを「分ける」

日本のホワイトカラーはゼネラリスト=素人集団と喝破。

自己啓発で自らを高め続けるとともに、内部労働市場を形成しなければならないとします。

 

4番目は、認知的に「分ける」

認めるとは、「分ける」こと・・著者の専門である「承認」をうまく使えと指摘します。

自分が手掛けた製品に自分の名前を入れる・・・といった面白い事例が出てきます。

「分ける」は、分かること。

著者の提唱する4つの「分ける」で日本の労働慣行を分解すれば、新しい働き方が見えてくるように思います。

人事担当者、管理者、経営者にお勧めの一冊です。


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