積読になっていた一冊・・・週末に手を伸ばしてみました。
意外に面白い!・・・著者にちょっと失礼ですね(苦笑)。
終身雇用、年功序列・・・日本の労働を巡るホコロビが出たこの30年間という歳月。
労働生産性は先進7か国でずっと最下位、社員のやる気も世界の中では最低クラス、長時間労働の割にはGDPの伸びは年率1%、上がらない給料・・・。
この20年間、日本人の給料はホント上がっていません・・・欧米では1.5倍~2倍になっているのに・・・。
一人当たりのGDPも世界で26位???
スペインやイタリアにも負けています。
日本人はシエスタもせず、真面目に一生懸命頑張っているのに・・・。
この国も決して豊かな国とは言えなくなりました。
「超」働き方改革 ~四次元の「分ける」戦略~
太田肇著 ちくま新書 780円+税
著者は、「承認」の研究で知られる同志社大学教授。
同書では、「分ける」ことで、日本はまだまだノビシロがあると指摘。
現在の日本の労働シーンは、組織や集団から個人が「未分化」であること、すなわち組織や集団に個人が溶け込んでいるために、働き方改革も生産性向上も進展しないと喝破します。
和の精神、組織第一という価値観、家族のような会社組織、専業主婦という独特な存在・・・何もかもが会社を中心になって動いている「労働」を「分ける」ことにより、効率性を高め、生産性を上げようと提言します。
目次
序章 「分ける」と働き方は変わる
第1章 仕事を分ける
第2章 職場を分ける
第3章 キャリアを分ける
第4章 認知的に分ける
終章 分けて統べる
まずは、仕事を「分ける」・・・3つに類型されるとのことです。
・職務で分ける「職務型」
・専門で分ける「専門職型」
・まとまった仕事を受け持つ「自営型」
ジョブ型雇用と呼ばれる「職務型」は日本には合わないのではないかと仮説を展開し、
むしろ大工の棟梁集団のような働き方、自営型の働き方がマッチするのではないかと提言します。
2番目の、職場を「分ける」
現代オフィスは「創造の場」と定義、大部屋で仕切りがないのは日本だけだと指摘します。
今までのように「事務作業の場」であれば、島を作ったり全員に目が届くようなレイアウトが最適でしたが、これからは「個」の空間を取り入れていかなければ生産性は高まらないとのこと。
アイデアで勝負するGAFAのオフィスのように変わっていかなければならないとします。
3番目は、キャリアを「分ける」
日本のホワイトカラーはゼネラリスト=素人集団と喝破。
自己啓発で自らを高め続けるとともに、内部労働市場を形成しなければならないとします。
4番目は、認知的に「分ける」
認めるとは、「分ける」こと・・著者の専門である「承認」をうまく使えと指摘します。
自分が手掛けた製品に自分の名前を入れる・・・といった面白い事例が出てきます。
「分ける」は、分かること。
著者の提唱する4つの「分ける」で日本の労働慣行を分解すれば、新しい働き方が見えてくるように思います。
人事担当者、管理者、経営者にお勧めの一冊です。