新型コロナウィルスによるステイホームのゴールデンウィーク。
書斎の書棚を整理していたところ、安岡正篤先生の著作がたくさん出てきました。
若き日、師匠から読め!と言われて買った作品です。
安岡正篤(1898~1983)先生は、陽明学の大家。
博覧強記、昭和の碩学・・・歴代の総理大臣や財界のブレーンとして、そして「平成」の名付け親として知られています。
東洋哲学、古典、西洋学問にも精通し、知を極めたすごい人でした。
「人間、いかに生きるべきか」という人間学を、講義や著作でわかりやすく伝授。
小職のような馬鹿者でもインスパイアするぐらいのパワーを持たれていました。
その安岡先生の書の中に、「易」の著作が2冊。
当時は、なんか古臭いし、占いにも興味ないし・・・などと不遜なことを思い、積読になっていたみのです。
パラパラめくると、論語の一節が出ていました。
「五十 易を学べば、もって大過なかるべし」
安岡先生曰く、「どんなバカでも、50歳くらいになれば、人生を振り返るものだし、残された人生を考えるために、易を学ぶことはとても自然なことだ。」・・・ビクっ!
まずは、「易と人生哲学」から読み始めました。
同書は、当時の鉄道会社近鉄の幹部社員の研修のために10会合で行われた安岡先生の講義。
リベラルアーツを学ばせるなんて実に素敵な会社です。
「易経」は、四書五経の一つ。
難解な易学を、実に分かりやすく解説、講義されていきます。
・「易」・・・変わる 変化すること 易は立命の学問(巷のインチキ易者がやっているものとは全く異なる)
・易の三義・・・変わる、不変(普遍)、化成(人間が変化)
・易に基づく人間学→四柱推命(四柱とは、年月日時間のこと)
・「命」・・・限りなき造化 絶対性 天地自然
・「数(すう)」・・・因果 相対関係 命の中にある理法
・「中」→統合、統一、進歩 ヘーゲルの弁証法でいうジンテーゼ
・相生、相克関係・・・木火土金水(陰陽五行)
・「太極」・・・陰陽活動の根源
・運命観・・・「義命」を明らかにすること
・易とは、「おさめる」ことが最も重要 「修」「治」・・・自分自身をセルフマネジメント
・運命は宿命ではない 「運」は自らの意思で「運べる」もの
コロナの巣ごもりで、再び安岡先生の世界に飛び込むことが出来、魂、心が洗われるような時を過ごすことができました。
たまには、安岡ワールドに戻らなければダメだと感じた次第です。
本当にありがたいゴールデンウィークのひと時でした。
易学、周易は、単なる占いではなく、人生の流れや「命」の動きをとらえる学問。
コンピュータやビッグデータがなかった時代の人間統計学のようなものだと思います。
今、自分がどこにいて、これからどう展開、進展していくのかを概ね把握することが出来ます。
易をベースにして発展してきた様々な占い。
巷にいる易者のように筮竹や算木を使って占ったり、動物にたとえた動物占い、星にたとえた細木和子さんの六星占術、四柱推命など、その多くは「易」学ベースになっています。
そういえば、細木和子さんも安岡正篤先生に教えを受けたとのことでした。
天行健、君子以自彊不息
座右の銘にしたいと思います。