買う車券を間違えた

2018年01月10日 23時06分21秒 | 未来予測研究会の掲示板
その日、パチンコへ向かう玉婆さんに、貧乏三人衆が「玉婆さん、パチンコなんてよしな。競輪の方がずっと、ワクワクするよ」と誘った。
玉恵は「ワクワク」という言葉に心が動かされたのだ。
彼女はパチンコでワクワク感を覚えたことはなかった。
玉恵にとって、パチンコ屋通いは惰性になっていた。
パチンコに興じている間、誰とも会話をしたことがない。
夫が亡くなり寂しい日々を送っていた。
夫はしばしばパチンコ通いをしていた。
玉恵は夫を忍び、「パチンコの面白さ」を試してみたのである。
また、玉恵はパチンコで既に200万円余を失っていた。
嫁の純子や息子に悟られないように、銀行通帳は身から離さないようにしていた。
大金を1年余で失ったことは、誰にも言えることではなかった。
パチンコにそろそろ見切りを付けるつもりであったのだ。
取手駅西口前からタクシーに乗って取手競輪場へ向かった。
競輪場には思いのほか多くの観客がいた。
予想屋が大声で叫んでした。
「7レースは勝負だよ。頭は固い。有り金勝負だよ」
迷っている競輪ファンは、100円硬貨を出して車券の予想を買っていた。
玉恵もその予想を買ってみた。
だが、彼女は7レースの予想なのに、8レースの車券を買ってしまった。
予想は、1-2、1-5、1-6であったが、結果は2-5となる。
「外れた」と思って車券を捨てようとしていたら、利根輪太郎に声をかけられた。
「玉さん、競輪やるんだ。7レース買ったの」
「初めての競輪で、ほら外れた」と玉恵は車券を示した。
「玉さん、これ7レースでなく、8レースの車券だよ」輪太郎は呆れた。
「ええ、レース違っていたの?」玉恵は自分の迂闊さに苦笑した。
8レースは3枠が本命で、1枠は全く人気がなかった。
1番選手は、既に48歳、最近の成績は7着、8着、6着、その。前の成績も9着、5着、5着で車券には絡んでいない。
玉婆さんは競輪がド素人とは言え、1番選手を買うとは金をドブに捨てるも同然。
貧乏三人衆も「玉婆さん、買う車券を間違えたの」と傍に寄ってきて「俺が教えてやるよ」と先輩格の口を聞く。
ところが、8レースは1-6で決着して、2万4700円の高配当となる。
玉恵はその車券を2000円も買っていたのだ。
「すげい!驚きだ」と貧乏三人衆は目を丸くする。
人のよい玉ばさんは三人に1万円づつ与えた。
「ありがてい。当たり金だ。この金を増やすぜ」と3人は小躍りした。

準備をすること

2018年01月10日 12時16分37秒 | 未来予測研究会の掲示板
偶然は準備しない人を助けない-パスツール

利根輪太郎は心に留まった言葉から、競輪に置き換える。
それは選手たちに投げかけたい言葉でもあった。
展開に左右される競輪は、走る格闘技であり、熾烈な先行争いがしばしばレース(競争)を乱し狂わせる。
昔、ミスター競輪の野中浩一さんは「あんたが大将」と競り掛けられると位置を譲った。
レースの途中での無駄なエネルギーは使わない。
最大の力を発揮するのは、2コーナーや3コーナー、4コーナーではない。
内側ライン有利の円形の競輪場のコースであるが、外から競り掛けるラインが強引だと両方のラインが共倒れになる。
そこで後方待機のラインが有利な展開となる。
「死んだふりをする」それが中野選手にはできたのだ。
「ああ!中野が競り負けて後退して行く」とファンは悲鳴をあげ落胆する。
だが、中野選手は余力を残して後退したのであり、失速したわけではない。
そして、つねに、先頭で直線へ向かって疾走するのである。
スプリンターの本領発揮である。
中野選手は競り掛られることを想定して、準備していたのだ。
「頭のよい」選手の代表格であった。

「気風のよい男」

2018年01月10日 11時37分54秒 | 未来予測研究会の掲示板
「貧乏三人衆」
3人は自ら揶揄していた。
貧乏の原因はパチンコや競輪などのギャンブルである。
喫茶店・スナック「ホールインワン」のマスターも「おお!今日も貧乏三人衆お揃いかい」と揶揄した。
コーヒーを飲んでいたお玉ばあさんは、「少し金回してやろうか」と甘い声をかけた。
だが、彼らは「ばさんに金借りたら、お終い」と応じない。
初めは質屋で金を工面する。
だが、その後はサラ金へ掛け込む。
自動車免許で簡単に金が借りられた。
「まずは酒」小杉大介はスポーツ新聞を広げる。
「俺も酒」川上利男はティッシュで鼻をかむ。
「俺はビール」寺田昌明はテレビニュースに目を転じた。
利根輪太郎は何時もの窓際の席で大師通り方面を見て居た。
スナック「水仙」を経営している敬子を待っていた。
昨夜、輪太郎は敬子の車に乗って、競輪専門紙「赤競」の前夜版を白山まで買いに行っていた。
偶然であったが、敬子とは浅草のキャバレーで知り合ったのである。
輪太郎はその頃、浅草の不動産屋に勤めていた。
現在は、地元取手で塗装業である。
「輪ちゃんは、気風がいいので、惚れ込むよ」と敬子が持ちあげる。
「なぜ、取手に来たんだい」と聞いてみた。
「輪ちゃんを追ってきたの」
「本当に?」
「それは冗談だけどね」と敬子が笑うと口の奥の銀歯が見えた。
「私は、ツキ女だからね。輪ちゃん明日は競輪で儲けなよ」
「福の神なんだ」
「夜の世界では、男を不幸にしてきたけどさ。ギャンブル男にはツキ女」
好奇心の強い輪太郎は敬子の過去を知りたいと思ったが、聞くことはなかった。
「気風のよい男」を貫くつもりであった。

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<font color="darkgreen">人の気性。
特に、思いきりがよく、さっぱりとした気性をいう。
気前。
気風(きふう)が転じたもの。
「気風」とは、「気性」「気だて」「心だて」のことなので、「きっぷがいい」というのは、「さっぱりとして性格がいい」というような意味です。
「気前がいい」にも「さっぱりした気性」という意味がありますが、個人的には、「金銭などを惜しまずつかう」というイメージの方が強い。

鍵のトラブル、苦情多発 

2018年01月10日 10時51分43秒 | 沼田利根の言いたい放題
人の不幸の上に自分の幸福(利益)を築くタイプの人間(業者)であるのだ。

 「低料金」うたい高額請求1月9日サンケイ

「鍵を紛失し、入れない」といったトラブルで解錠のため呼んだ業者から法外な金額を請求される-。
こんな被害が各地で急増していることが8日、国民生活センターへの取材で分かった。「数千円」のはずが、実際は10倍近い額を請求されたり、断ると1万円以上のキャンセル料を求められたりするケースで、各地の消費生活センターへの相談は平成27年4月以降、約700件に上っている。

 相談件数は、26年度は約100件だったが、27年度は200件弱。
28年度は300件弱まで増えた。

 関東地方では昨年、夜に買い物に出掛けた20代の女子大学生がオートロックの自宅に鍵を忘れ、インターネットで見つけた業者に解錠を依頼。サイトでは「料金は数千円から」と表示されていたが、到着した業者に「鍵に防犯機能があり、料金を加算する。出張費も必要」と言われ、計5万数千円を支払った。

 センターは「冷静に相場を調べ、支払う前に納得のいく説明を求めて」と呼び掛けている。

歩行が不自由んら循環器科へ

2018年01月10日 10時13分06秒 | 医科・歯科・介護
足の血圧を測ったら、右足の血管の閉塞が予想された。
血管造影剤検査で閉塞箇所が見つかった。
血管外科を紹介され、ステントを入れて血管拡張処置をした。
その結果、足の痛みがなくなり、5㌔歩いてもまったく問題はなかった。
毎日新聞の「みんなの広場」を読み、歩行が困難なら循環器科へまず行くべきだというアドバイスに納得した。
投稿したのは77歳の男性
知人にもこのことを知らせてあげたいと、新聞のコピーを届けた。

日本は確実に劣化

2018年01月10日 07時27分55秒 | 沼田利根の言いたい放題
『ジャパン・アズ・ナンバーワン』(原題:Japan as Number One: Lessons for America)は、社会学者エズラ・ヴォーゲルによる1979年の著書。

戦後の日本経済の高度経済成長の要因を分析し、日本的経営を高く評価している。
日本語版は、広中和歌子・木本彰子の訳により『ジャパン アズ ナンバーワン: アメリカへの教訓』として、TBSブリタニカから英語版より1ヶ月遅れで出版された。日本人が日本特有の経済・社会制度を再評価するきっかけのひとつとなり、70万部を超えるベストセラーとなるなど、一世を風靡した。現在でも、日本経済の黄金期(1980年代の安定成長期、ハイテク景気〜バブル景気)を象徴的に表す語としてしばしば用いられる。

この著作の主要なテーマは、単に日本人の特性を美化するにとどまらず、何を学ぶべきで、何を学ぶべきでないかを明瞭に示唆した点である。
実際最後の章はアメリカへのレッスンと書かれている。

具体的には、まず日本の高い経済成長の基盤になったのは、日本人の学習への意欲と読書習慣であるとしている。
ヴォーゲルによれば、この当時の日本人の数学力はイスラエルに次ぎ2位で、情報については7位だが、他の科学分野についても2位から3位であるという。
ヴォーゲルは日本人の1日の読書時間の合計が米国人の2倍に当たることや、新聞の発行部数の多さなどにより日本人の学習への意欲と読書習慣を例証している。
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だが、今日の日本はどうであるのか。
「失われた20年」と呼ばれる低迷期に入った。
非正規雇用の労働者が大幅に増えている。
もはや「1億総中流」の社会ではない。
少子化、子どもの貧困や低年収のために結婚できない人も増えている。
金が目的のような国民性にもなっている。
少女の売春行為は、不適切な関係、淫らな行為などと曖昧にされているのだ。
少女を買う男が少女たちを狂わしたとも言える。
幸にも息子が居て、娘が居ないので、父親としていらぬ心配を回避できた。
日本は確実に劣化している。
医療分野でも、患者の病や命は医療経済の財源とされているのだ。

1月9日(火)のつぶやき

2018年01月10日 03時14分17秒 | 医科・歯科・介護

ギャンブル依存

2018年01月10日 01時30分18秒 | 社会・文化・政治・経済
もしも、家族のポケットから定期入れが落ちて、そこから消費者金融のカードが11枚も出てきたら、どんなに驚き、戸惑い、絶望的な気持ちになるだろうか---。
そんな壮絶な体験をしたのが、一般社団法人「ギャンブル依存症を考える会」の田中紀子代表だ。

ギャンブル依存症を巡っては厚生労働省の研究班が今夏、疑いのある患者が536万人いると打ち出し、衝撃を与えた。
カジノ解禁が現実味を帯びるとともに、その注目度は上昇しているが、そもそも患者の実態はどういうものなのか? 彼らはなぜギャンブルに「ハマって」しまうのか? ---田中さんが現代ビジネスに手記を寄せ、夫の作った借金地獄から回復に至るまでの壮絶な体験、社会や政治ができる対策について率直な思いをつづった。

ギャンブルの負けはギャンブルで取り戻す!

私が今の夫と結婚したのは1998年。
その頃、私は大学病院に勤める傍ら、ダブルワークでアルバイトをしていたのですが、そのバイト先で知り合いました。夫は早稲田大学の"6年生"でした。ギャンブルにのめり込み過ぎたのが原因で留年をくり返していたのです。

ある日、バイト仲間と一晩中遊ぶ機会があったのですが、夫が徹夜明けで競艇に行くと言い出し、好奇心から私も付いていくことになりました。

社交的で穏やかな性格の夫は、バイト仲間の間でもリーダー的な存在だったのですが、競艇場に着くと人格が豹変しました。突然「ごめんよ~、どいてどいて~」と先頭に割り込んで行き、「オラ! まくっていけ~!」と、どなり声を上げるのです。
まだ若かった私は、びっくりすると同時に、そんな彼を「男らしい」と勘違いして、交際するようになりました。

夫が無類のギャンブル好きであると分かるまでにさほど時間はかかりませんでした。
私自身もギャンブルが好きなので、デートはもっぱらマージャン、競艇、競輪、競馬、そして海外のカジノから日本の闇カジノまで・・・暇さえあれば、常にギャンブルをしている状態でした
。時には、一晩中マージャンに興じた後、「旅打ち」と称して、朝から関西や中国四国地方の競艇場に向かったりもしました。

競艇だけでは飽き足らず、競艇場に居ながら、スポーツ新聞を片手に全国の競輪、競馬に電話投票もしました。
さらには「スクラッチ宝くじ」を買いこみ、ガリガリと削りながら歩いたこともありました。
私たち馬車馬のように働きましたが、当然、稼いでも稼いでもお金が追いつかず、あっという間に消費者金融に手を出して借金地獄に陥りました。


けれども当時の私たちの頭の中は「一発あてれば、借金は綺麗になる」と現実逃避でいっぱいになり、「大きく当てるまでは止められない」と思いこむようになりました。

実はこの「ギャンブルの負けはギャンブルで取り戻す」というのが、ギャンブル依存症患者の典型的な考え方の一つなのです。そして私たちもご多分に漏れず、「大きく当てるまで賭け続けなければ」という強迫観念から、カジノで一晩に200万円も使ってしまうまでになったのです。

「3代目ギャンブラー」の私

夫と共に依存症状態になったのは、私自身の生い立ちにも原因があったと思います。

私の父は、私が3歳の頃、ギャンブルによる借金のため、会社のお金を横領し、懲戒解雇になりました。母は離婚して私を連れて実家に戻りましたが、母方の祖父も無類のギャンブル好きで、毎日のようにパチンコに行っていました。

小学校にあがる前から既に、祖父に連れられパチンコ屋さんに出入りし、親類が集まれば、大人も子供も一緒になってトランプや花札で賭けごとに興じる日々。

私は結局、ギャンブルの影響を大きく受けて育ち、祖父、父、私と"3代続くギャンブラー家系"になってしまいました。ただ、「考える会」の活動を通じて出会った患者さんのご家族の話を聞くと、これは決して珍しいことではないようです。

夫の話に戻りましょう。

ギャンブル依存症という「プロセス依存」も、アルコール・薬物のような「物質依存」と全く同じような症状に陥るといわれていますが、私はそれを身を持って体験しました。

徹夜続きでギャンブルをしている間は、まるで覚せい剤でも打ったかのように頭が冴え渡る感覚にとらわれ、逆にギャンブル以外の時間は体がだるくて仕方なく、歩きながら眠りこけて転んでしまったこともありました。

そんな荒れた生活が3年間も続き、さすがに限界を感じた私は、入っていた生命保険を解約し、借金を綺麗に清算してから結婚することにしました。

夫のポケットから11枚のカードが…

結婚を機に再就職も果たし、私も夫も落ち着きました。しかし平穏な日々は長くは続きませんでした。ある休みの日、夫が席を立った拍子に、ポケットから定期入れがこぼれ落ちました。そしてその中から消費者金融のカードが11枚も、バーッと床に拡がったのです。

その瞬間から、我が家は再び修羅場と化しました。

「ギャンブルに手を出して借金を作ってしまった」

突然神妙な顔つきで告白する夫をみた時の恐怖は今でも忘れられません。

「いくらなの?」と聞くと、夫は「230万円」と答えました。

「結婚して、これから子供も作ろうっていうときに、何やっているのよ!!」

泣きながら謝る夫を前に、私は絶叫し、怒り狂いました。

夫はサラリーマンとしても家庭人としても優秀でした。収入も決して少なくなく、優しい人です。冷静になって「もう借金を作らない」といった彼の言葉を信じ「以前の遊び癖が抜けきっていなかっただけ」と自分自身に言い聞かせて、私はなけなしの貯金を崩し、持っていたブランド物をすべて売り払って230万円を用意し、再び借金を清算しました。

「子供ができれば変わるだろう」「家を買えばしっかりするだろう」「子供が二人になれば、いくらなんでも自覚するだろう」

私はその都度その都度、自分に言い訳をして現状を受け入れようとしました。しかし、いつまでたっても夫は変わりませんでした。

2004年2月、もう何度目のことでしょう、200万円を超える借金がまたしても発覚しました。「もう、どうにもならない!」ずっと耐え忍んできた私も、ここでついにお手上げ状態になりました。そりゃあそうです。夫と知り合ってから約10年間で、なんと1,500万円ちかくの借金を尻拭いしていたのですから。

後に「考える会」の活動で知ったことですが、この金額は、ギャンブル依存症患者の家族が補填した額としては、ほぼ「平均値」でした。そして実は、「家族がお手上げになる」ことが、ギャンブル依存症から抜け出すための第一歩になります。

どん底状態に陥ることを、依存症の世界では「Hit the Bottom」といい、そこから這い上がる体験が肝心なのです。

エリートサラリーマンこそ一番危ない

若年層に目を向けてみると、15,6歳の高校生あたりで発症し、万引きや窃盗、恐喝などの犯罪に繋がったり、友人や恋人に手当たり次第カードを作らせ、周囲の人たちを借金漬けにし、20歳になった時点で借金の総額が1,000万円を超えてしまうケースもみつかりました。大学生で発症すると、ほとんどの場合、留年や中退に繋がっているようです。

「競馬や競輪にハマるのはお金がない人の現実逃避では?」---世間ではそんな誤解もありますが、むしろ一番危ないのが金融やマスコミ、公務員といった給与水準の高い「エリートサラリーマン」なのです。

年収3,000万円クラスになると、日々の生活がなんとか回ってしまうので、気が付いたときには借金総額が3億円にのぼっていたという事例もあります。私自身が受けた相談では、ご主人の年収が2,500万円もあるのに家族には1銭も渡せず、奥さんの月8万円のパート収入で生活をやりくりしているケースもありました。

今年に入り、電通の社員が1億円を横領した事件や、ベネッセの個人情報漏えい事件など、ギャンブルによる借金が動機となった事件が世間を騒がせました。過去には、青森県の武富士放火殺人事件や、宇都宮の宝石店従業員5人殺害事件など、悲惨な殺人事件も起きています。こうした事件を巡り、ギャンブル依存症との関連を指摘する意見もあります。

新聞に載らないような小さな横領事件、貧困による児童虐待などは、それこそ毎日いたるところで起きています。

日本はこれまで、ギャンブル依存症という"病"に対して無理解かつ無策でした。けれども、このまま何も対策を取らず放置し続ければ、大きな社会損失となるのではないでしょうか。

アルコールとがんの関係 DNAを損傷、

2018年01月10日 01時07分59秒 | 医科・歯科・介護
アルコールとがんの関係が明らかに DNAを損傷、2度と戻らない状態に
1/9(火) 18:34配信

アルコールとがんの関係が明らかに luna4 -iStock
英ケンブリッジ大学の研究チームが、アルコールの摂取が、DNAを損傷してがんのリスクを高めると発表した
■アルコールがDNAを損傷

1年で最もお酒を飲む機会が多くなると思われる年末年始のこの時期、お酒を愛する人たちにとって気になるニュースが報じられた。
アルコールが、DNAを損傷してがんのリスクを高めるというのだ。英ケンブリッジ大学のケタン・パテル教授率いるチームが、英MRC分子生物学研究所で行なった研究について、科学誌「ネイチャー」に発表した。

「筋トレは、がんによる死亡リスクを31%下げる」との研究結果

これまでも、アルコールの摂取ががんのリスクを高めることは指摘されてきた。アルコールを摂取すると、分解する過程でアセトアルデヒドが生成される。
このアセトアルデヒドがDNAを損傷することは、培養細胞を使った研究で確認されていたのだ。
しかしそのメカニズムははっきり分かっていなかった。今回初めて、パテル教授のチームがマウスを使い、生きている臓器の反応を確認。納得いく説明ができるようになったという。

パテル教授は、「がんの中には、幹細胞のDNAの損傷が原因でできるものもある。
DNAの損傷はたまたま起こる場合もあるが、今回の研究は、アルコールが損傷リスクを高める可能性があると示唆している」と、MRC分子生物学研究所に話している。
研究チームがマウスにエタノールを投与したところ、エタノールが造血幹細胞のDNA二重鎖を切断。細胞内のDNA配列は、元に戻らない状態に壊されてしまったという。

■アジア人はアルコール分解がうまく機能せず

MRC分子生物学研究所の発表文によると、人間は通常、アルコールからのダメージに対して2つの自己防衛機能を備えている。
1つは、アルコールを分解する過程で生成されるアセトアルデヒドに対するもの。
アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)が、有害なアセトアルデヒドを酢酸に分解し、細胞のエネルギー源に変える。今回の研究では、ALDHの一種、ALDH2が欠如したマウスにアルコール(エタノール)を投与したところ、ALDH2が機能しているマウスと比べ、DNAの損傷は4倍に達した。

研究チームは、この酵素が十分でなかったり欠陥があったりする人は、東南アジア人に特に多いと指摘。
科学系ニュースサイトのサイエンス・アラートはこれを受けて、ALDH2が変異している人(つまりうまく機能しない人)の数は、アジアに5億4000万人いると具体的な数字を挙げている。

2つめの防衛機能は、DNAの修復だ。
しかしこれが常に機能するわけでもなく、中にはうまく機能しない人もいると研究チームは説明している。