その日、パチンコへ向かう玉婆さんに、貧乏三人衆が「玉婆さん、パチンコなんてよしな。競輪の方がずっと、ワクワクするよ」と誘った。
玉恵は「ワクワク」という言葉に心が動かされたのだ。
彼女はパチンコでワクワク感を覚えたことはなかった。
玉恵にとって、パチンコ屋通いは惰性になっていた。
パチンコに興じている間、誰とも会話をしたことがない。
夫が亡くなり寂しい日々を送っていた。
夫はしばしばパチンコ通いをしていた。
玉恵は夫を忍び、「パチンコの面白さ」を試してみたのである。
また、玉恵はパチンコで既に200万円余を失っていた。
嫁の純子や息子に悟られないように、銀行通帳は身から離さないようにしていた。
大金を1年余で失ったことは、誰にも言えることではなかった。
パチンコにそろそろ見切りを付けるつもりであったのだ。
取手駅西口前からタクシーに乗って取手競輪場へ向かった。
競輪場には思いのほか多くの観客がいた。
予想屋が大声で叫んでした。
「7レースは勝負だよ。頭は固い。有り金勝負だよ」
迷っている競輪ファンは、100円硬貨を出して車券の予想を買っていた。
玉恵もその予想を買ってみた。
だが、彼女は7レースの予想なのに、8レースの車券を買ってしまった。
予想は、1-2、1-5、1-6であったが、結果は2-5となる。
「外れた」と思って車券を捨てようとしていたら、利根輪太郎に声をかけられた。
「玉さん、競輪やるんだ。7レース買ったの」
「初めての競輪で、ほら外れた」と玉恵は車券を示した。
「玉さん、これ7レースでなく、8レースの車券だよ」輪太郎は呆れた。
「ええ、レース違っていたの?」玉恵は自分の迂闊さに苦笑した。
8レースは3枠が本命で、1枠は全く人気がなかった。
1番選手は、既に48歳、最近の成績は7着、8着、6着、その。前の成績も9着、5着、5着で車券には絡んでいない。
玉婆さんは競輪がド素人とは言え、1番選手を買うとは金をドブに捨てるも同然。
貧乏三人衆も「玉婆さん、買う車券を間違えたの」と傍に寄ってきて「俺が教えてやるよ」と先輩格の口を聞く。
ところが、8レースは1-6で決着して、2万4700円の高配当となる。
玉恵はその車券を2000円も買っていたのだ。
「すげい!驚きだ」と貧乏三人衆は目を丸くする。
人のよい玉ばさんは三人に1万円づつ与えた。
「ありがてい。当たり金だ。この金を増やすぜ」と3人は小躍りした。
玉恵は「ワクワク」という言葉に心が動かされたのだ。
彼女はパチンコでワクワク感を覚えたことはなかった。
玉恵にとって、パチンコ屋通いは惰性になっていた。
パチンコに興じている間、誰とも会話をしたことがない。
夫が亡くなり寂しい日々を送っていた。
夫はしばしばパチンコ通いをしていた。
玉恵は夫を忍び、「パチンコの面白さ」を試してみたのである。
また、玉恵はパチンコで既に200万円余を失っていた。
嫁の純子や息子に悟られないように、銀行通帳は身から離さないようにしていた。
大金を1年余で失ったことは、誰にも言えることではなかった。
パチンコにそろそろ見切りを付けるつもりであったのだ。
取手駅西口前からタクシーに乗って取手競輪場へ向かった。
競輪場には思いのほか多くの観客がいた。
予想屋が大声で叫んでした。
「7レースは勝負だよ。頭は固い。有り金勝負だよ」
迷っている競輪ファンは、100円硬貨を出して車券の予想を買っていた。
玉恵もその予想を買ってみた。
だが、彼女は7レースの予想なのに、8レースの車券を買ってしまった。
予想は、1-2、1-5、1-6であったが、結果は2-5となる。
「外れた」と思って車券を捨てようとしていたら、利根輪太郎に声をかけられた。
「玉さん、競輪やるんだ。7レース買ったの」
「初めての競輪で、ほら外れた」と玉恵は車券を示した。
「玉さん、これ7レースでなく、8レースの車券だよ」輪太郎は呆れた。
「ええ、レース違っていたの?」玉恵は自分の迂闊さに苦笑した。
8レースは3枠が本命で、1枠は全く人気がなかった。
1番選手は、既に48歳、最近の成績は7着、8着、6着、その。前の成績も9着、5着、5着で車券には絡んでいない。
玉婆さんは競輪がド素人とは言え、1番選手を買うとは金をドブに捨てるも同然。
貧乏三人衆も「玉婆さん、買う車券を間違えたの」と傍に寄ってきて「俺が教えてやるよ」と先輩格の口を聞く。
ところが、8レースは1-6で決着して、2万4700円の高配当となる。
玉恵はその車券を2000円も買っていたのだ。
「すげい!驚きだ」と貧乏三人衆は目を丸くする。
人のよい玉ばさんは三人に1万円づつ与えた。
「ありがてい。当たり金だ。この金を増やすぜ」と3人は小躍りした。