本日の貴金属相場

2020年09月01日 10時50分12秒 | 社会・文化・政治・経済

本日の貴金属相場

2015-06-03 22:53:44 | 金・パラジウム・プラチナ・銀の価格
週報(5/25~5/29)

1140ドル台中盤でスタートした先週のプラチナ相場は米国等の祝日明けは米各経済指標の結果を背景とした金相場の下落やドル高につられ1110ドル台中盤まで下落すると、週後半にかけてもドル高を背景に下値を探る展開となり一時1110ドルを割り込むまで下落しました。その後、押し目買いや原油相場の上昇を背景に1110ドル台後半まで反発しましたが、週末に発表された米GDPが下方修正されたことによる米経済の減速懸念から1110ドル近辺まで下落し越週しました。

1205ドル台近辺でスタートした先週の金相場は、月曜米国等が祝日だったことから落ち着いた流れでスタートしたものの、祝日明けは米国で発表された各経済指標が市場予想を上回ったことによる年内の利上げ観測やドル高を背景に1200ドルを割り込むと損切りから売り込まれ1180ドル台中盤まで下落しました。その後金相場を動かすような主要な経済指標が無いことから方向感を欠き1180ドル台中盤~1190ドル近辺の狭いレンジでの推移となりました。週末には米GDPが下方修正されたことから1190ドル台中盤まで一時買い戻されましたが、利食い売りから上げ幅を削り1190ドル近辺まで値を下げ越週しました。

17.50ドル近辺でスタートした先週の銀相場は、月曜米国等が祝日ということからも大きな値動きはありませんでしたが、休み明けは米各経済指標の結果を背景とした金相場の下落に嫌気した売りやドル高により16.60ドル近辺まで下落した後は、週後半にかけて16.60ドル~16.70ドル台後半の狭い範囲での取引となりました。週末には米GDPが下方修正されたことを背景とした金相場の上昇に好感した買いから16.80ドル近辺まで上昇しましたが利食い売りから上げ幅を削り16.70ドル台中盤にて越週しました。

121.05円近辺でスタートした先週の為替相場は、前週末のイエレン米FRB議長の年内利上げを示唆する発言を引き継いだドル高に加えて米各経済指標が軒並み市場予想を上回ったことでドル買いが加速し123.90円近辺まで円安に推移しました。その後、米国10年債利回りが上昇したことなどが追い風となり124.40円近辺まで円安に推移しましたが麻生財務相が急激な円安に対して警戒感を示したことから123.50円近辺まで買い戻されました。その後米中古住宅販売仮契約数が市場予想を上回ったことからおよそ12年半ぶりとなる124.50円近辺まで円安に推移したものの米GDPが下方修正されたことを背景に123.80円近辺まで円が買い戻されました。しかし米経済指標が上方修正されたことからドルが買い戻され124.10円台中盤で越週しました。



本日の貴金属相場

■【金】反発 NY商品取引所の金塊先物相場は前日比5.80ドル高の1194.10ドルで取引終了。ギリシャ債務問題をめぐる協議が進展するとの期待感に加え、低調な米製造業関連指標を背景にユーロ高・ドル安が進行。これを受け金は堅調推移し反発。


■【プラチナ】反発
■【パラジウム】反発 NY貴金属市場のプラチナ相場は前日比8.60ドル高の1112.80ドルで取引終了。対ユーロでのドル安や金上昇を受け8日ぶりの反発。





過去5年の金価格・金相場の推移

2020年09月01日 10時43分15秒 | 社会・文化・政治・経済

"当社金販売価格相場推移" 第一商品(株)

金地金販売参考価格

8:45時点 1gあたり円

※ 金価格・金相場の過去5年の推移を掲載しています。価格については、東京商品取引所の金相場を参考に、当社が独自に決定しています。

日付 販売価格 買取価格 前月比
(販売)
2015/09/30 4,707 4,676  
2015/10/30 4,831 4,800 +124
2015/11/30 4,530 4,499 -301
2015/12/30 4,492 4,461 -38
2016/01/29 4,611 4,580 +119
2016/02/29 4,827 4,796 +216
2016/03/31 4,797 4,765 -30
2016/04/28 4,831 4,800 +34
2016/05/31 4,685 4,653 -146
2016/06/30 4,708 4,677 +23
2016/07/29 4,858 4,827 +150
2016/08/31 4,703 4,671 -155
2016/09/30 4,665 4,634 -38
2016/10/31 4,654 4,623 -11
2016/11/30 4,658 4,626 +4
2016/12/30 4,687 4,655 +29
2017/01/31 4,735 4,704 +48
2017/02/28 4,914 4,882 +179
2017/03/31 4,833 4,801 -81
2017/04/28 4,887 4,855 +54
2017/05/31 4,865 4,833 -22
2017/06/30 4,860 4,828 -5
2017/07/31 4,876 4,844 +16
2017/08/31 5,011 4,979 +135
2017/09/29 5,027 4,995 +16
2017/10/31 5,016 4,985 -11
2017/11/30 5,011 4,979 -5
2017/12/29 5,070 5,039 +59
2018/01/31 5,064 5,032 -6
2018/02/28 4,935 4,904 -129
2018/03/30 4,919 4,887 -16
2018/04/27 5,005 4,974 +86
2018/05/31 4,935 4,904 -70
2018/06/29 4,816 4,785 -119
2018/07/31 4,730 4,698 -86
2018/08/31 4,641 4,610 -89
2018/09/28 4,671 4,639 +30
2018/10/31 4,800 4,769 +129
2018/11/30 4,827 4,796 +27
2018/12/28 4,903 4,871 +76
2019/01/31 4,995 4,963 +92
2019/02/28 5,076 5,044 +81
2019/03/29 4,968 4,936 -108
2019/04/26 4,957 4,924 -11
2019/05/31 4,924 4,870 -33
2019/06/28 5,270 5,216 +346
2019/07/31 5,392 5,338 +122
2019/08/30 5,639 5,585 +247
2019/09/30 5,647 5,593 +8
2019/10/31 5,754 5,699 +107
2019/11/29 5,659 5,604 -95
2019/12/30 5,852 5,797 +193
2020/01/31 6,068 6,013 +216
2020/02/28 6,369 6,314 +301
2020/03/31 6,176 6,121 -193
2020/04/30 6,435 6,380 +259
2020/05/29 6,572 6,517 +137
2020/06/30 6,732 6,677 +160
2020/07/31 7,221 7,166 +489
2020/08/31 7,352 7,297 +131
2020/09/01 7,362 7,307 +10

歯科材料・金銀パラジウム合金の「逆ザヤ」解消へ

2020年09月01日 10時28分36秒 | 医科・歯科・介護

皆保険を強化する価格改定方式への改革を求める

 神奈川県保険医協会

政策部長  桑島 政臣


 3月5日、診療報酬改定の告示がなされ、歯科医療にとって最大懸案の治療材料・金銀パラジウム合金の価格が1g2,083円と示された。これは、昨年来、歯科界が騒然となり問題としてきた、保険償還の公定価格が医療機関の購入価格を下回る「逆ザヤ」(不採算)を解消するには程遠い水準となっている。われわれは、この矛盾の解決、解消と、歯科材料の価格改定方式の改革を強く求める。

 

購入価格の6割しか、公定価格はカバーせず 歯科材料高騰で不合理は拡大の一途

 金銀パラジウム合金(=「金パラ」)は、う蝕(むし歯)や歯の欠損等の治療で使う銀色の歯科材料、歯科用貴金属である。歯を削り型を取り、詰め物を入れたり(インレー)、被せもの(クラウン)や欠損部分をつなぐ義歯(ブリッジ)、人工歯を歯に掛ける鉤(かぎ・クラスプ)など歯科技工物に使用する。

 正式には「歯科鋳造用金銀パラジウム合金」といい、JIS規格で含有量が金12%以上、パラジウム20%以上、銀40%以上と定められ、価格変動幅の大きい前二者の貴金属を含有している。

 これは特定保険医療材料として、厚労省の項目・価格表「材料価格基準」で使用標準量に応じ使用部位毎に公定されている。歯科治療材料は療養担当規則第19条で「材料価格基準」の範囲での使用が義務づけられている。歯科治療で歯科材料を使う歯冠修復・欠損補綴(=補綴治療)は歯科医療費の35.5%(H30「社会医療診療行為別統計」)と最もウエイトの高い診療行為である。

 補綴治療による金パラを使用した歯科技工物は人工骨や人工皮膚、ペースメーカー、眼内レンズと同列の生体に適応させ機能回復する特殊な人工臓器となる。海外技工での粗悪品は安全性に直結する。

 ただ、補綴治療に不可欠な金パラは、現時点で医療機関にとって逆ザヤ、不採算の状況にあり、診療するほど医療経営に打撃となる構造にある。この公定価格と購入価格との乖離幅(=「逆ザヤ」)が、昨年来、購入価高騰で急激に大きくなり怨嗟の的となっている。実際に金パラは購入価格の62%しか保険償還されず(2月5日現在:全国保険医団体連合会調査<保団連>)、この是正は喫緊となっていた。

 

即時、再改定は喫緊の対応 改定率0.59%吹き飛ばす「逆ザヤ」 材料価改定でも市場価格に遠く

 金パラは30gが1包装単位である。今回の告示価格で1包装62,490円(2,083円×30)が診療報酬で保険償還となるが、いま現在の購入価格は9万円を超えており、市場実勢価格の約7割の水準でしかない。依然として低い水準であり、早期の再改定は必至である。

 今次の診療報酬改定率で歯科(本体)は+0.59%だが、3月現在の「逆ザヤ」は歯科医療費の▲1.8%に匹敵し、今回の告示価格でも「逆ザヤ」は▲0.53%であり、改定率を吹き飛ばしている。

 医療経済実態調査(第22回)で2018年度、「損益率」が「マイナス」(赤字)の歯科診療所は18.0%と2割近い。4年前の7.9%から凋落が激しい。「対前年度増減」でも「マイナス」(経営悪化)が51.4%と過半数を占めている。金パラの逆ザヤは、経営悪化の枷でしかなく、再改定は道理である。

 

「特異」な価格の歯科材料金パラ 告示価格決定方式の構造的欠陥

 歯科材料を含む、「特定保険医療材料」は、診療報酬改定にあたり、市場実勢を調査し、その加重平均値に消費税と前回の告示価格の4%分を一定幅とし上乗せし決定される。医薬品の薬価も基本的に同様であり一定幅は5%である。一定幅は、劣化や破損等の保管損耗を鑑みた合理的なものである。

 医薬品や通常の医療材料は、医療機関と卸業者との価格交渉により、市場実勢価格が下降し、その「経営努力」は医療経営の原資として充当されていく。これに対し、金パラはその組成から市場実勢価格が上下変動するものの概ね上昇基調となるため、「経営損失」が累積されていく特異な価格の材料となっている。金、パラジウムは安全性や工業製品需要と連動した投機資産である。

 そのため2年に1回の通常改定と別に半年ごとの「随時改定」がある。これは各素材の金、銀、パラジウムの市場価格を基に金パラの最低含有比率で試算価格を出し、直近の告示価格との変動率が±5%を超える場合に、変動幅分を補正、改定となる。ただ、5%以下の場合は改定がなく変動幅分は放置されたままとなる。

 これが大筋だが構造的欠陥、本質的矛盾を実は内包している。①通常改定では市場実勢価格について前年9月を調査対象とし、10月~12月の素材の価格平均は加味するが、告示価格が示される4月の適用時点で既に市場実勢と時間的な乖離が生じる、②随時改定では、4カ月前時点での素材価格の過去6カ月分平均を基に判断し、その反映となるため同様に時間的な乖離が生じる、③随時改定の判断基準となる素材価格では、流通コスト等を反映しないことから金パラの市場実勢と直結していない、④随時改定が見送りの場合、次回に過去6カ月分を含む1年間分として通算されるため、急激な価格高騰との関係では低位平準化となりかねない、⑤「逆ザヤ」の過去分は補填されない、と問題が多い。

 

差額徴収の苦い過去踏まえ、モノは100%保険償還が原則 モノと技術の分離の本旨に逸れる現状 

 歯科は初診料261点、再診料53点で、医科の初診料288点、再診料73点より診療報酬が低い。健保制度による日本の歯科医療は補綴治療を対象外とするドイツを範に発足したこともあり、補綴は当初より制限診療が色濃く、戦後の新医療費体系の皆保険下でも歯科は低医療費政策が敷かれた。これは保険財政事情による。これに1955年の歯科差額徴収の制度化、67年の制度拡大が重なる。これにより歯科治療材料を巡り、保険給付外(自由診療)材料の慣行料金と保険医療材料との差額徴収が認められ、技術料を内在させる形で差額が肥大化し、制度ルール悪用の跋扈とともに社会問題化。差額徴収は1976年に廃止された。ただ、通知により歯冠修復・欠損補綴の保険給付外材料の使用に関し、治療プロセスを分断し、保険給付完結と自費診療移行に分節する便法を駆使し今日に至っている。

 治療材料基準は、モノと技術の分離の方針の下、制度化されたものであり、保険給付はその購入価格は本来、償還されるべきものである。このルールの厳守、原点に立ち返る必要がある。

 

「逆ザヤ」は技術料の「浸食」 "フィクション"の告示価格は補填が道理 

 金パラの保険償還不足で医療機関が逆ザヤということは、経営悪化のみならず、保険給付の技術料が浸食されていることを意味する。しかも歯科技工委託、技工士・技工所存続にも影響を与え、問題を先鋭化、複雑化させていく。技術料評価等本質論を欠いた1988年の「7:3」告示は混沌の淵にある。

 医科の経営努力の「薬価差」は、経営原資に回っているにも関わらず、財務省の「フィクション」、「時点修正」との無理解な論理で薬価引き下げ分は技術料等に充当されず、2014年度改定以降まるまる召し上げられている。この論でいえば、歯科材料の告示価格もフィクションであり、「損失分」は改定時に「返還」、「補填」される筋合いのものである。年間の逆ザヤ分は総医療費の0.1%に満たない。

 折しも今次改定に当たっての選定療養への意見募集で、金パラの逆ザヤ分の患者からの差額徴収要望が出ている。これが現実となると、一気に時代が逆行する。患者・国民の怨嗟の的となった差額徴収時代が招来する。脱保険路線の台頭、自費診療と保険診療での経営の「トータルバランス」論で保険診療充実は放置された、かつての二の舞となる。

 「歯科医療の歩みは「差額の歴史」(『戦後開業医運動の歴史』保団連編)である。保険で良い歯科医療は、国民の要望であり、過去を克服した、この間の歯科医療機関の努力は8020運動の達成率が51.2%(H28「歯科疾患実態調査」)と5割超となって結実している。現行の材料価格基準の是正とあわせ、皆保険の強化に向けた、歯科材料価格の決定方式の改革が道理である。

 

歯科材料価格基準の現実的・現代的な価格決定方式に変更を 逆ザヤの解消は皆保険の前提

 過去に毎年の市場実勢調査が中医協で建議された歴史はあるが限界があり、金パラ高騰の下、即時即応性と近似性をもたせないと矛盾は解決しない。国での買取り材料公庫での配給案は一案だが障壁が高い。代替材料案も普及や耐久性など臨床現場で意見が一様に収斂していない。金パラの価格決定方式とし例えば歯科レセプトの摘要欄に購入価記載をさせ集約し、最頻値や中央値、平均値、95%バルクライン値(最小値から積み上げで95%の値)などの採用や差益幅増も含め、合理的価格をひと月遅れで毎月変動し現場反映させる仕組みなど、価格決定方式変更に厚労省医療課は叡智を絞るべきだ。

 価格決定方式の変更と、前提としての市場実勢との近似する改定をわれわれは強く求める。

2020年3月10日


日本は戦後を通じて先進国の中でも GDP に占める社 会保障支出の割合が非常に低い

2020年09月01日 10時24分42秒 | 医科・歯科・介護

6章 この国のかたち 世界からみると















 日本の社会保障給付費の水準は、世界からみてどうなっているのでしょうか。
国内総生産(GDP)に占める社会保障給付費の割合を、ILO(国際労働機関)が定める基準にもとづき、「医療」「年金」「福祉他」とその合計について、比較してみました。
 福祉先進国といわれる北欧のスウェーデンやドイツ、フランスに対し、日本はかなり低い水準となっており、公的医療保険が未整備であるアメリカと同水準となっています。日本の水準は、ヨーロッパ諸国の3分の2、北欧諸国の2分の1であることがわかります。
 今後求められるのは、国と企業の負担で国力にふさわしい社会保障の充実です。















 社会保障への国の支出を減らすという政策は、世界的な流れなのでしょうか?政府が社会保障に対して、どれだけ国庫支出しているかを、国内総生産(GDP)に占める割合で比較してみましょう。
 日本以外の5カ国をみると、平均で5.9%から7.8%へと、国庫支出を増やしているのに対し、日本だけが4.1%から3.4%に、その割合を低下させたことがわかります。1980年代から1990年代にかけて20年間は先進各国で、老人人口の増加が頭打ちとなるなか、日本だけが世界一のスピードで老人人口を増やした期間でもありました。日本の姿勢が、いかに世界の流れと比べて、異常であるか明らかです。


全国保険医団体連合会


格差社会に陥る原因は?どんな問題があるの?

2020年09月01日 10時12分41秒 | 社会・文化・政治・経済

2020年8月24日 格差社会
私たちが生活しているこの社会は格差が存在しており、不平等な環境で生きていかなければいけません。これは今に始まったことではなく、何十年、何百年も前からあるものです。

現在は特に格差社会という言葉が発せられるほど、日本を含め世界中で格差社会による問題が広がっています。
ではなぜ格差社会に陥るのか、その原因は何なのか、この記事で紹介します。

格差社会とは?原因や問題点、対策など徹底解説!

目次 
格差社会とは

格差社会という言葉は、バブル崩壊後の不況下においてしばしば聞かれるようになった言葉です。
この言葉の定義は「成員(※1)が、特定の基準から見て隔絶された階層に分断された社会であり、特に所得・資産面での富裕層と貧困層の両極化と、世代を超えた階層の固定化が進んだ社会」となっています。

定義にもあるように、格差社会において最も問題になりやすいのが、経済格差や所得格差です。日本でも首都圏や大都市圏と地域との経済格差や、非正規雇用の増加による所得格差が問題となり議論されてきました。
資本主義を謳う以上、競争原理が働き、その経済や所得に差が生まれるのは必然ではありますが、その差は格差と呼べるほど大きなものとなっています。

また格差社会は、世代を超えた階層の固定化も含まれます。
特に首都圏や大都市圏に人が集まり、地方には高齢者などが残されることで差や階層が固定化されてしまい、移動が難しい状況が生まれています。
そうなると実業家や若者が、地方でどれだけ努力しても成果を得られず、社会的地位をなかなか変えられない環境ができあがります。
その結果、チャンスや成果が見込める首都圏や大都市圏などに、さらに人が流入することになり、格差が拡大することになりかねません。

これらの格差は経済や所得だけに関わらず、資産や教育、情報といった様々なものから生まれます。
また、この格差は各国の国内だけで起こっている問題ではなく、世界全体で国と国との間にも生じており、富裕層と貧困層という階層や富裕国と貧困国という格差としても現れています。

※1 成員:団体・組織を構成している人(メンバー)

格差社会において最も問題になりやすいのが、経済格差と所得格差
日本は首都圏や大都市圏と地域との経済格差や、非正規雇用の増加による所得格差が問題となっている
格差は資産や教育、情報といった様々なものから生まれる
格差社会に陥る原因や問題

格差社会は先述したように、特に経済格差や所得格差について言及されることが多い問題です。
それはあらゆる格差が生まれる原因に、経済格差や所得格差が大きく関わっているためです。それではどうして経済格差や所得格差が起こってしまうのか、そしてそのほかの格差によって階層が固定化されてしまうのか、その一例などを見ていきましょう。

経済格差や所得格差が生まれる原因

経済格差や所得格差が生まれる原因を紐解くと、その理由は日本国内と海外ではやや異なるところがあります。
まずは日本から見ていくと、いくつかの原因を挙げることができます。その一つは非正規雇用の増加であり、労働派遣法の改正による緩和が影響しています。

労働派遣法は、施行された当時において業種が限定されていましたが、規制の緩和により現在は原則自由化されています。
これにより、企業としては安価で人材確保が可能となりましたが、同時に正規で雇用されず、社会保障などもままならず所得が減少した非正規社員が増大することとなりました。
しかし非正規社員だからといって正規社員と業務に大きな変化はなく、その上で収入や待遇に大きな違いがあることから、格差が広がることとなりました。

経済格差の原因にもなる首都圏や大都市圏と地域との差も原因の一つとして挙げられます。
人や物は首都圏や大都市圏に次々と流入していきます。そのため地域で企業が発展することは難しく、経営の観点から非正規雇用の採用が増加する傾向にあります。
また全国的にも非正規雇用の労働者は増加傾向にあり、2017年時点の統計では全体の14.3%が正社員として働く機会がなく、非正規雇用労働者として働くしかない状況にあります。
各階層の割合としても、最も働き盛りとなる25~34歳の層が非正規雇用の割合が22.4%と高いことも明らかになっています。

また日本の社会構造が正規雇用や終身雇用を重視してきた歴史もあり、失業やそれに伴う職業訓練、転職支援などの雇用に対するセーフティネットの構築が不十分であることも非正規雇用労働者を生む原因の一つとなっています。
さらに所得税率の累進緩和や社会保険料の負担の増大も低所得者への追い討ちとなり、格差を広げていることは否めません。
このように首都圏や大都市圏と地域との経済格差が要因となり、非正規雇用の増加が賃金の低下や負担の増大などが所得格差を増大させる元になっています。

(出典:厚生労働省「「非正規雇用」の現状と課題」,2017)

海外での所得格差の原因

経済大国としても知られるアメリカは純然たる自由主義と資本主義の国です。様々なチャンスがあるアメリカではありますが、その分だけ貧富の差も広がりやすい状況にあります。
経済成長を続けているアメリカでは、一部の富裕層の資産は増加しているものの、一般層の資産はほとんど増加していません。
これはアメリカだけでなく、多くの先進国でも言えることです。

全世界で発生する所得において、その大部分の所得が世界に1%存在する最富裕層が取得し、最貧層が取得する所得は全体の25%未満であると言われています。
このように一部の富裕層が所得全体に占める大きな割合を得ているために、格差が発生しています。
これは急激な経済成長を進める中国やIT大国と呼ばれるようになったインドなどでも発生している問題です。
中国では経済成長の恩恵を受けるのは都市部に住む人々であり、都市部と農村部で所得の格差が顕著となりました。
インドでは国内の識字率の低さからIT関係に就職できる人は一部であり、その一部の労働者が高い所得と恵まれた労働環境で働くことができますが、それ以外の人は所得が低くなる傾向にあり、格差を助長しています。
またこのような所得格差によって、各国国内の経済格差だけでなく、国家間の経済格差や不平等が生まれています。

(出典:国際連合広報センター「SDGs報告2019」,2019)

少子高齢化や教育格差、ひとり親世帯の増加なども格差社会拡大の原因に

経済格差や所得格差は格差社会を生み出す大きな要因となっています。
しかしそれだけが格差を生む原因ではありません。世界全体、特に日本では高齢化が進んでいます。それに加えて日本では出生率の低下による少子化も進んでおり、これらが格差社会を拡大することにつながっています。

先述したように、社会保障費の増大が低所得者に大きな負担となっていますが、その一因が少子高齢化です。
高齢者が増加し、労働人口が減少していけば、労働者1人にかかる社会保障費の負担が増大することになります。

また高齢者自身も年金に頼ることになるので、低所得者となりますが、高齢者が増加すれば必然的に低所得者が増加することにほかなりません。
そうなると一部の富裕層と低所得者の層との差は広がりを見せることになります。負担の増大や高齢者という低所得者の増加は負の連鎖となっていきます。

負の連鎖による格差の拡大は、少子高齢化によるものだけではありません。教育格差やひとり親世帯の増加も原因になります。
典型的な例として挙げられることが多いのが、所得の低下あるいは低所得者の子どもが必要な学校外教育を十分に受けられないことによる教育格差です。
この格差によって将来的な就業の選択が狭まり、非正規雇用の増大にもつながると言われています。

ひとり親世帯においても同様に、特に母子世帯は収入が少なく貧困状態に陥ることも少なくないため、所得格差はもちろん教育格差なども生まれてしまい、格差社会が広がる大きな原因の一つとなっています。

全国的にも非正規雇用の労働者は増加傾向
全世界で発生する大部分の所得が世界に1%存在する最富裕層が取得し、最貧層が取得する所得は全体の25%未満であると言われている
格差の拡大は少子高齢化や教育格差やひとり親世帯の増加も原因
格差社会の現状や問題について考えよう

格差社会は経済や所得を主とした様々な原因によって生み出されます。そしてその原因によって発生した格差は、対策を講じない限りさらに拡大していくという問題があります。

例えば2020年に発生した新型コロナウイルスの蔓延によって、経済や所得、就労に大打撃を与えられただけでなく、首都圏と地方との医療格差なども浮き彫りになりました。
これはあくまで一例でしかありませんが、災害や経済損失など非常時に明確化することが多く、それから動き出すことになり対処が後手となることも少なくありません。

格差社会は私たちが当事者となる問題です。経済や所得が原因の中心にあるため、取り組みは政府や自治体など行政に任せなければいけない部分もありますが、私たちもこの問題について考えていく必要があります。

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絶望を希望に変える経済学  社会の重大問題をどう解決するか

2020年09月01日 09時49分36秒 | 社会・文化・政治・経済

著者:アビジット・V・バナジー
著者:エステル・デュフロ
村井 章子(翻訳)
 
【内容紹介】
ノーベル経済学賞受賞第一作。NHK、日経新聞、朝日新聞、毎日新聞、共同通信、週刊エコノミスト誌で紹介された話題の本

ビル・ゲイツが「この夏に読むべき5冊」に選出!

「バナジーとデュフロは昨年ノーベル経済学賞を受賞した、いま一番頭がいい経済学者たちで、経済学を一般の人にも理解できるようにすることにも長けている。この新著では、不平等と政治の二分化を、アメリカのような富裕国における議論から解説している」

柳川範之氏(東京大学大学院教授)推薦!
「世界経済が戦後最大ともいえる困難に直面している今、
なんとタイムリーな本の出版だろうか。

「不安で不安定な時代」
に経済学には何ができるか。

●人間が望む幸福とは何か。
●生活困難に陥った人々を政府はどう救済すべきか。
●社会の格差をどう克服すべきか。

ノーベル経済学賞受賞者が答える。
* * *
いま、あらゆる国で、議論の膠着化が見られる。多くの政治指導者がひたすら怒りを煽り、不信感を蔓延させ、二極化を深刻化させている。対立する人々は、話し合いをすることもままならなくなっている。ますます建設的な行動を起こせなくなり、課題が放置されるという悪循環が起きている。
* * *
社会全体を覆う「危機」において、経済学と社会政策は重要な役回りを演じている。
●市場から見捨てられた人々を社会はどう救うか。
●成長を回復するために何ができるか。
●急拡大する不平等に打つ手はあるか。
●貿易は不平等にどのような影響をもたらすのか。
●貿易の未来はどうなるのか。
●移民問題にはどう取り組むのか。
●新技術にどう対応するのか。
* * *
だが、「経済学者」への世間の信用度は、「政治家」に次いで二番目に低い。どうしたら「まともで良い経済学」の最新の知見を、もっと一般の方々に活用してもらえるようになるのだろうか。

よりよい世界にするために、経済学にできることを真っ正面から問いかける、希望の書。

【目次】
序文
第1章 経済学が信頼を取り戻すために
第2章 鮫の口から逃げて
第3章 自由貿易はいいことか?
第4章 好きなもの・欲しいもの・必要なもの
第5章 成長の終焉?
第6章 気温が二度上がったら…
第7章 不平等はなぜ拡大したか
第8章 政府には何ができるか
第9章 救済と尊厳のはざまで
結論 よい経済学と悪い経済学
 

「一人勝ち」が格差社会の一因

内容(「BOOK」データベースより)

いま、あらゆる国で、議論の膠着化が見られる。多くの政治指導者が怒りを煽り、不信感を蔓延させ、二極化を深刻にして、建設的な行動を起こさず、課題が放置されるという悪循環が起きている。移民、貿易、成長、不平等、環境といった重要な経済問題に関する議論はどんどんおかしな方向に進み、富裕国の問題は、発展途上国の問題と気味悪いほど似てきた。経済成長から取り残された人々、拡大する不平等、政府に対する不信、分劣する社会と政治…この現代の危機において、まともな「よい経済学」には何ができるのだろうか?よりよい世界にするために、経済学にできることを真っ正面から問いかける、希望の書。

著者について

アビジット・V・バナジー
MITフォード財団国際記念教授(経済学)
コルカタ大学、ジャワハラール・ネルー大学卒。1988年にハーバード大学にてPhD取得。2009年インフォシス賞受賞。2011年フォーリン・ポリシー誌が選ぶ世界の思想家100人に選出される。2012年、国連の「ポスト2015年開発アジェンダ」の委員に任命される。専門は開発経済学と経済理論。『貧乏人の経済学』でジェラルド・ローブ賞、ゴールドマン・サックスとFTが選ぶブック・オブ・ザ・イヤーを受賞。2019年、ノーベル経済学賞を受賞。

エステル・デュフロ
MITアブドゥル・ラティフ・ジャミール記念教授(貧困削減および開発経済学担当)
フランス出身。パリ高等師範学校卒業後、1999年にMITにてPhD取得(経済学)。2009年には「天才賞」として知られるマッカーサー・フェローシップを、2010年には40歳以下の経済学者に贈られるジョン・ベイツ・クラーク賞を受賞。2013年ダン・デービッド賞、2014年インフォシス賞、2015年アストゥリアス皇太子賞など受賞多数。著書に『貧乏人の経済学』『貧困と闘う知』がある。2019年、ノーベル経済学賞を受賞。

村井 章子
翻訳家
翻訳者。上智大学文学部卒業。経済・経営、環境関係の翻訳を主に手がけ、高い評価を得る。
 
 
評者: 坂井豊貴 / 朝⽇新聞掲載:2020年07月04日

絶望を希望に変える経済学 社会の重大問題をどう解決するか
著者:アビジット・V・バナジー
出版社:日経BP日本経済新聞出版本部

貿易戦争、社会格差、移民、環境破壊…。現代の危機において、まともな「よい経済学」は何ができるのか? 2019年ノーベル経済学賞受賞者が、よりよい世界にするために、経済学に…
絶望を希望に変える経済学 社会の重大問題をどう解決するか [著]アビジット・V・バナジー、エステル・デュフロ
 貧しい国の人が高い賃金を得るために移民となる。このもっともらしい主張は間違っている。実のところ国家間の賃金格差は、移民になる決意に、ほとんど影響がない。戦争や内戦といった暴力が日常を破壊したとき、人は故郷を出る。実際、イラクやシリアからは多くの人が出て行ったが、いずれも最貧国とはほど遠い。そもそも人は、国内で都市部と農村部の賃金格差が大きいときでも、そう易々(やすやす)と住む街を変えない。
 だがもっともらしい主張は、ときに世の中で力をもつ。政策に影響を与え、移民の排斥がなされもする。移民が受入国の生活水準を下げることの、信頼に足る証拠はなくともである。それに対し著者らは事実を調べあげる。人間は、人間社会はどうなっているのかを調査する。著者らは昨年ノーベル経済学賞を受賞した開発経済学の研究者だ。デュフロについては最年少の受賞。昨今、経済学では事実を調べる手法の進展が目覚ましく、両名はその先導者である。
 著者らは、富裕国が直面している多くの問題が、途上国での問題と「気味が悪いほどよく似ている」と指摘する。例えば拡大する不平等。対処の一案としては万人に給付するベーシック・インカムをあげる。途上国での現金給付の調査によると、人は生活の心配がなくなると、仕事の質を上げたり、新しいスキルを身に付けたりする。傾向として、人は現金が給付されても、仕事を怠けるわけではないのだ。金をもらうと怠惰になるという安直な人間観を、著者らは事実の調査で斥(しりぞ)ける。
 本書の原題は「困難な時代のためのよき経済学」。この原題は、ディケンズの小説「困難な時代」を想起させる。その小説では、夢や空想が否定され、事実だけが重視される状況が描かれていた。一方、本書は悪夢と妄想がはびこる時代に、事実の重要性を説く。そのための「よき経済学」を提示する。

 坂井豊貴(さかいとよたか)
慶応大学経済学部教授
1975年広島県生まれ。ロチェスター大学経済学博士課程修了。横浜市大や横浜国立大准教授を経て、2014年から現職。著書に『多数決を疑う』『マーケットデザイン』ほか。2020年4月から書評委員。

 

 

2019年のノーベル経済学賞受賞者の二人が経済学の最新の知見をまとめる。
前半では、移民・自由貿易・選好・経済成長を扱う重厚な章が並び、ここまでが300ページ。
後半では、温暖化・不平等・税制・ベーシックインカムを扱う短めの章が並び、こちらは150ページほど。

前半部分は経済学に少しでも通じた人ほど読み応えのある重厚な内容である。対して、後半部分は新しいテーマに対する「頭出し」のような内容。特にランダム化比較試験(RCT)を用いた研究の成果が多数参照されているところに、本書の著者の二人の個性が出ているように思う。

前半部分は多くの経済学者が共有しているような前提が実際のところ妥当なのか否か。最新の研究結果に基づき、現段階で明らかになっていることと明らかになっていないことが示されている。例えば、自由貿易に関する議論が特徴的。多くの経済学者が自由貿易の利益を自明なこととして扱うが、一般の人々はそう思っていない。実際に、自由貿易の利益は自明ではなく、貿易の恩恵を与ることが出来ずに、かえって貿易の不利益を被る人がいることも考慮する必要があることを指摘する。言うなれば、利益はあるが、言うほど大きくはないというのが結論。

現代社会に対して最新の経済学がどのように向き合っているのか、その現況を知る上で好適な書である。

 

 

本書の著者バナジーはインド出身で、ノーベル経済学賞を受賞(2019年)した経済学者と聞くと、あのアマルティア・センを思い出す。共著者のデュフロは妻で、もと彼の教え子であった。彼女もノーベル経済学賞を受賞している。もう一人の受賞者のマイケル・クレーマーは共同研究者である。受賞理由は、世界の貧困を改善するための実験的アプローチに関する功績による。

 実験的アプローチとは、ランダム化比較試験(RCT:randomized controlled trials)と呼ばれる方法のことである。科学性は高いといわれ、新しい治療方法の開発、心理学や社会学の実験などに応用されている。これを彼らは経済政策の評価に応用したのである。この点に興味がある場合は、本書よりエステル・デュフロ, レイチェル・グレナスター, マイケル・クレーマー著『政策評価のための因果関係の見つけ方 ランダム化比較試験入門』日本評論社(2019)の方がよい。

 著者たちもいうように、ランダム化比較試験そのものより、分析結果の解釈が重要である。昔のことになるが、調査データを取り違えて渡してしまったことがあり、それに基づいた報告を受けた評論家が、間違ったデータを見事に解釈してみせたことがある。これには驚いた。
 ランダム化比較試験の醍醐味は、常識とは違う結果が出て、データにものをいわせて新説を主張できるところにある。しかし、その新説は正しいのか疑わしい。しっかりとした理論的背景と考察が必要なのだ。18世紀イギリスの経験論哲学者デイヴィッド・ヒュームがいうように、因果関係は結局は人間が決めるのだから。

 アマルティア・センはランダム化比較試験を用いずとも、食糧の備蓄と飢餓の間には自動的な関連がないことを証明した。もちろん食糧の供給量が減少することで飢餓はおきるが、そこに食糧があったとしても、食糧が届かない集団があることを明らかにした。現在のバングラディシュのダッカ出身のセンは、インド大陸で起こった一連の飢餓を例にしながら、傷つきやすい集団に本来付与された諸権利が、正常に行使されないために起きる飢餓を分析したのだ。必ずしもランダム化比較試験を用いなければならないというわけではない。データが氾濫する時代にあっては、センのような鋭い洞察力が必要になる。

 筆者たちは、貧困が発展途上国だけで起こる問題ではないことを指摘している。また、世界は大枠でよい方向にいっていることを認めつつも(p.465)、それが良きにつけ悪しきにつけ、偶然と意図したことの結果であるという。偶然が悪い方向に、意図がよい方向にあったわけではなく、その逆もあったと。
 彼らは提案する、根拠のない考えを疑おう、問題を単純化せずに根気よく調べようと。そして経済学者だけに任せず、誰もが声を上げなければならないとしめる(p.467)。確かにそのとおりだ。

 だが経済学者にはもう一つ役割があるはずだ。理論ないしは概念をつくることだ。例えばセンの数々の提案(理論)のひとつ、「潜在能力論」は栄養を摂る機能が十分に実現しているとか、自尊を持つ機能が充足しているといった、個々の機能も重要であるが、センは様々な機能の集合(概念)を潜在能力と呼んだ。
 私の見落としがなければだが、センの引用がひとつもない。センの業績を経済学は忘れてしまったのか。データ分析も大切だが、それを解釈する概念はもっと大切だと思うのだが。
 
 
 
 
現代社会の諸問題に対して、500ページに凝縮した良質な議論が展開されます。
テーマを大雑把にくくると、移民・自由貿易・分断・成長・温暖化・格差・政府の介入です。
特に、自由貿易に関する明解な整理と、中国を含めた低成長を現実とした分断回避の部分が勉強になりました。
コロナ禍関係に結びつけると、ベーシックインカムは肯定的に書かれてます。
またリカードからカート・ヴォネガットに至る豊富な言及があり、原点に当たってみようという気になります。
 
 
 
内容は大変興味深いもので、教養になるので読むべきだとは思ったが、翻訳のせいか、オリジナルもそうなのか、文章が読みにくい。よくあるロジカルに書かれたビジネス本とは違い、経済学者らしく冗長。恐らく2名の著者が執筆しているせいか、経済理論と著者の意見が入り混じり、チャプターごとの結論がつかみにくい。経済の知識云々よりも、その点で内容が入ってこなかった。

そしてタイトルと内容も合っていない。これからの経済を予測するかと期待していたが、過去の理論についての総まとめといった感じ。

結論を求めずに、小説を読むような感覚で、時間がある際にダラダラと読むにはよい一冊。

結論としては、経済学者は世の中に必要なのかという疑問が湧いた。
 
 
 
やたらと低技能労働者という言葉が出てくる。移民という言葉はまるで派遣のように思えた。経済学者は圧倒的に有利な立場からあらゆる人間をカテゴライズし、アリの巣の観察者のようだ。自分は、低技能労働者になることも、派遣や移民の立場になることもあり得ないという立場からの分析によあり、何かしらの具体的な効力を挙げているとは到底思えない。つまりはそれこそが経済学者への不信感だということに気づいていない時点でアウトだわ。
エリート意識がやたらと鼻につく一冊。低技能労働者が手に取ることもできる価格で本が売られれて、低技能者がそれを読んだとき、どう感じ、何をもってこの本にお金を払った意義を感じられるのか、考えてから出版しろや。ノーベル経済学賞の意義や価値を疑った。
 
 
 
この本のタイトルは内容と一致しない。「絶望」とか「希望」という言葉は、この本とは関係がない。
この本の原題は、Good Economics for Hard Timesであり、困難な時代の「よい経済学」の本である。新型コロナが蔓延する今の時代は、Hard Timesに該当する。
著者は、よい経済学と悪い経済学があるとし、悪い経済学が蔓延していることを批判する。
「悪い経済学」は経済成長や自由な市場、自由競争を前提に理屈だけで考える。新型コロナに対し市場を重視する経済学は無力だ。アメリカやブラジルはこれでコロナに対処しようとして失敗した。
市場は理屈で考えるようには機能しない。計算、数字、理屈だけで考える経済学は現実に対処できない。
GDP増加や経済成長を前提とする経済学は今のような時代には展望が見えないのではないか。
この本は、現実に根差した経済学でなければならないことを痛感させる。現実の人間は理屈どおりには行動しない。自由な市場が問題を解決できないのは、人間の心理、感情、しがらみ、慣習、伝統、文化などが自由ではないからだ。人間はさまざまな不合理なものに縛られる。自然災害、病気の流行、人口減、高齢化は不合理であり、それらは市場では解決できない。社会や人間の心理を理解しなければ、「よい経済学」は成り立たない。
先進国に限っていえば国家レベルの経済成長がなくても、幸福を実現できるのではないか。
新型コロナの時代には、経済成長がなくても成り立つ経済システムが必要ではないか。新型コロナの時代に、自由な市場を重視すると大変な失敗につながる。
多くのことを考えさせられる。
 
 
 
「より人間らしく生きられる世界をつくるという目標に近づくために」と「序文」において著者達は述べ
続いて1章では「事実を示し、事実の解釈を世に問う」と述べ
さらに「専門知識をいくらかでも読者と共有し」対話ができることを目標にしたいとも述べている
そして結論の章において「経済学は、経済学者にまかせておくには重要すぎるのである」と結んでいる
 多くの研究成果や調査結果を基にして本書の話は進む
 それらの成果と結果つまり事実を前にしてどのように考えるのかと著者達は私たちに問いかけてくる
 「危険なのは、・・・自分の見方に固執して事実を無視することだ」(1章)とも述べ
 続けて「前へ進むには、つねに事実に立ち戻り、まちがいを認めなければならない」とも述べている
自分史というアイデンティティに根を張って私たちは生活している
それゆえ経済や政治の政策フィールドに置かれた私たちの行動が論理的に一意に決まるとは限らない
GDPという生産性によっては測れない幸福というものも私たちにはある
「経済学者はなぜ成長するのかをわかっていない」(5章)とも著者達は述べている
 9章では「人間の尊厳と社会政策のあり方を考える」と述べ
 「誰もが人間として大切にされる文化」がいかに大切なものであるのかが強く伝わって来る
 「抱えている問題でその人を定義することは、
 外的な条件をその人の本質とみなすことにほかならない」とも述べている
 
 
 
○低技能移民がかなり大量に流入した場合でも、受入国住民の生活水準を押し下げるという信頼に足る証拠は存在しない
○経済的インセンティブだけでは人々が祖国を離れて他国をめざす要因としては不十分である
○高技能移民の受け入れは、じつは受入国にとってはプラス、マイナス両方の影響がある
○国際貿易が重要な意味を持つのは、小さい国や貧しい国
○富裕層への減税は経済成長を生まない
 
 
 
 

今季限り引退を発表した阪神・藤川球児の「責任の美学」…「みんなの幸せが自分の幸せになる」

2020年09月01日 08時29分15秒 | 野球

9/1(火) 6:14配信

THE PAGE

日米通算245セーブの記録を持つ阪神の藤川球児が今季限りの引退を発表した(写真・黒田史夫)

阪神が8月31日、藤川球児(40)の今季限りの引退を発表した。藤川が球団に対し今季限りの引退の意向を申し入れて了承されたもの。1年を通じてのコンディションを保つことが難しいことと、チームへの迷惑を考えた責任感が引退理由だという。プロ19年目の藤川は、右上肢コンディション不良で8月13日に登録抹消され、現在2軍でリハビリ中で、名球会入りの条件である日米通算250セーブに残り「5」に迫っていた。

今季1勝3敗2S、防御率7.20と苦しむ
 土佐の「いごっそう」…辞書を引くと「頑固で気骨のある男」とある。高知で生まれ育った藤川らしい決断だと思った。今季はクローザーとしてスタートしたが、開幕6戦目となる6月25日のヤクルト戦で西浦直亨に逆転サヨナラ3ランを浴びて救援に失敗するなど、ここまで、2度登録を抹消され、11試合1勝3敗2セーブ、防御率7.20と結果を残せていなかった。
 責任感の塊のような男である。昨年の“鳥谷敬騒動“に代表されるように阪神では、過去に名プレーヤーの去り際にトラブルが少なくなかった。現役プレーヤーとして、それらを目の当たりにしてきた藤川は引退の美学を守ったのだと感じた。

 これまで藤川に何度かインタビューをさせてもらったが、忘れられない言葉がある。2007年のオフにメジャー移籍を球団に訴えた藤川が、2008年のオフには、一度、その願いを取り下げた。この年、13ゲーム差を原辰徳監督率いる巨人にひっくり返され、勝利方程式の「JFK」を確立して、藤川をセットアッパー、クローザーとして輝かせた岡田彰布監督が辞任を表明した。
 巨人への最後のリベンジをかけたクライマックスシリーズの第1ステージの1勝1敗で迎えた中日との第3戦。0-0のスコアで登板した9回二死三塁で、落合博満監督が不動の4番に据えていたタイロン・ウッズにフルカウントから投げ込んだ渾身のストレートを弾き返され、敗退が決まり、これが岡田監督のラストゲームになった。

「終わったと思いました。みんなの総意のボールを弾かれたんです。岡田監督に育ててもらって一緒に作ってきた時代が終わったんだと。もうやることはなくなった。これで意地を張らなくていいと思いました」
 藤川が阪神でやり残したことはなくなった…。
 この年、北京五輪のために野球をし、残りのシーズンを「仕事」と割り切って守護神の責務を全うした。ポスティングによるメジャー移籍を何がなんでも球団に認めてもらおうと考えていた。だが、そのオフにチームは、真弓明信新監督で再出発することが決まり、藤川は、その夢を封印したのである。

なぜか?翻意した理由を尋ねたとき、藤川は、こんな話をした。

「ジャイアンツに負けた悔しさがひとつです。阪神に入団して10年、この間にどれだけ阪神ファンが増えましたか。過去最大の阪神ファンの数になりました。ジャイアンツをしのぐ観客動員数です。自分が頑張ったからこれだけのファンがついてきてくれたという責任がある。自分を大きくしてくれた感謝がある。言い方は悪いがジャイアンツにファンを返してはいけないと思ったのです。オレたちが作ってきたものをね。正直、もう阪神でやる気はありませんでした。でも、クサい言い方かもしれませんが、自分を取り巻く、みんなの幸せが自分の幸せになる。もう一度、優勝の気持ちを分かち合ってからでも(メジャー移籍は)遅くない」
 強烈な責任感である。
 結果、藤川は、2011年にはセーブタイトルを獲得しているが、優勝の気持ちを分かちあうことはできず、2012年オフに海外FA権を得てメジャー移籍を果たした。
 4年もの時間、夢を封印したのは、彼の「みんなの幸せが自分の幸せになる」という根底にあるプロ哲学だった。

 藤川は、シカゴ・カブスですぐにクローザーの座を獲得するまでになったが、肘を痛めてトミー・ジョン手術を余儀なくされた。2015年はテキサス・レンジャーズと契約したが、まだ手術の影響もあって結果を残せずに帰国を決意、故郷である四国アイランドリーグplus・高知ファイティングドッグスでのプレーを経て翌年から阪神に復帰した。その際、坂井前オーナーの「藤川を戻せ」の意思が強く影響した。阪神が優勝するためにチームに必要なリーダーシップと責任感…坂井オーナーは、それを藤川に求めたのである。
 そして藤川は、今、ボロボロになった肉体が、もう責任を負う立場にはないことを自覚してユニホームを脱ぐことを決意した。
「火の玉」と評された、狙っていてもボールの下を振ってしまうかつてのストレートはもうなかった。だが、40歳になってもストレートは、まだ140キロ後半を表示していた。クローザーは無理にしても、役割分担が変われば、あと1年…やろうと思えばできただろう。だが、藤川の「責任の美学」は、それを許さなかったのである。

 今季限りの引退が球団から発表されたこの日、藤川は、それを知って連絡をくれた友人、知人、関係者に、できる限り丁寧にメールを返信している。
「野球人生に悔いはありません」
 藤川は、今日1日、午後1時から西宮で引退会見に臨み、その心中を語る。
(文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)

 

【関連記事】


専門知を再考する

2020年09月01日 07時05分55秒 | 社会・文化・政治・経済

著者H・コリンズ (著),R・エヴァンズ (著),奥田太郎 (監修・編),和田慈 (訳),清水右郷 (訳)

専門家 vs 素人〉を超えて——。科学技術の浸透した世界で物事を決めるとき、専門家を無視することも、絶対的に信頼することもできない。では専門知とは何か。会話や「農民の知」から、査読や科学プロジェクト運営まで、専門知の多様なあり方を初めてトータルに位置づける。対話型専門知の可能性に光をあて、現代社会に展望をひらく名著。

【書評】
・読売新聞(2020年8月30日付、評者:三中信宏氏)
“…… 本書は科学における専門知の特徴とその実在性を明快に整理した上で、この専門知がどのように形作られて広まるかを理論と実験の両面から解明しようとする。本書が提唱する専門知を分類する「周期表」は興味深い。とりわけ、ある分野を実質的に担う「貢献型専門知」を会得した “その道の専門家" との密接なやりとりを通して得られる「対話型専門知」という新たなカテゴリーが論議の核となっている。この対話型専門知をよりどころとして新たな科学論への道筋が示される。……"(「読売新聞」2020年8月30日付、第12面)

・朝日新聞(2020年6月25日付、「あすを探る 科学技術」(内田麻理香氏))

・毎日新聞(2020年5月30日付、評者:内田麻理香氏)
“…… 新型コロナウイルスは、論争的な科学であり、専門知とは何か、誰を専門家として鑑定するか、市民としてどう関わるべきか、などの問題を突きつけている。専門知の正体を見極めようと探求する本書は、いまの時代に必読であると考える。"(「毎日新聞」2020年5月30日付、第12面)

著者について

(所属等は初版第1刷発行時のものです。)

【著 者】
ハリー・コリンズ(Harry Collins)
英国ウェールズのカーディフ大学教授。30年以上にわたって重力波物理学の社会学的研究に取り組み続ける「科学的知識の社会学」の泰斗であり、1974年のデビュー論文以降、様々な領域の著者たちとの共同研究を重ねながら、科学的知識の真相を求めて膨大な数の論文と著書を世に問い続けている。日本でも、科学技術論の事例紹介がなされたトレヴァー・ピンチとの共著、いわゆる「ゴーレムシリーズ」をはじめ3冊が邦訳されている(福岡伸一訳『七つの科学事件ファイル —— 科学論争の顛末』化学同人、1997年、村上陽一郎・平川秀幸訳『迷路のなかのテクノロジー』化学同人、2001年、鈴木俊洋訳『我々みんなが科学の専門家なのか?』法政大学出版局、2017年)。

ロバート・エヴァンズ(Robert Evans)
英国ウェールズのカーディフ大学教授。労働市場における社会的交換を論じた1996年のデビュー論文以降、持続可能なエネルギーの都市への導入に際する地理情報システム利用の問題、遺伝医学の政治性、英国政府への経済予測の専門的アドバイスの問題、ヨーロッパ通貨の一元化をめぐる英国内での論争など、多岐にわたるトピックについて科学技術社会論の領域で研究を続けている。

【訳 者】
《監訳者》
奥田 太郎(おくだ たろう)
1973年生まれ。南山大学社会倫理研究所所長/人文学部教授、博士(文学)。
著書に、『倫理学という構え――応用倫理学原論』(ナカニシヤ出版、2012年)ほか。

《訳 者》
和田 慈(わだ めぐむ、担当:序章、第4章、第5章、終章、補論)
1981年生まれ。武蔵野大学等非常勤講師、修士(文学)。
論文に、「「第三の波」をめぐる文献解題」(『思想』1046号、2011年)ほか。

清水 右郷(しみず うきょう、担当:第1章、第2章、第3章)
1989年生まれ。国立循環器病研究センター医学倫理研究部流動研究員、修士(情報科学)。
論文に、「認識的規範と倫理的規範の対立をどのように調停するか」(『日本リスク研究学会誌』29巻2号、2019年)ほか。
 
 
 
ウイルスとか経済とか政治とかの「専門家」が,それぞれ自分の観点だけから前のめりになって,結果迷走してしまうこのご時世――コロナウイルス問題――の中で,「対話的専門知」の重要性を説いた本書は,どの分野に限らず,「専門家」必読だろう。大学における研究支援部門(いわゆるRA)の充実が言われるが,ではそうした部門がどんな知を身につけて,どんな役割を果たすべきか,深く考える契機になると思って読んだ。
ただ,決して読みやすい訳とは思えないので,原文を見てみたいとも。。。それで☆一つ減。
 
 
 
この本では、たしかに多くのオリジナルな視点が提示されているのだが、それをほとんど英語という言語を添えることなく日本語だけで説明することになっているので、かえって分かりにくかった。出版社の意向で外国語を添えるのは避けるという方針になっていると思われるが、日本語だけでは十分に論旨が伝わらないこともあるということを指摘したい。
 
 
 
この分野の重要な書籍であることは認めますが、それゆえなおさらプロの翻訳家の方に訳して頂きたかったです。「ビアマット」が居酒屋のコースターのことを指すなんて普通の日本語話者はわからないと思います。「ウィトゲンシュタイン【的】な考え方」といった表現も、もちろん口語では使いますが、翻訳には相応しくないのでは・・・などと気になってしまい読み進められません。原著に挑戦しようかと思い始めました。

自然災害に強い「電力レジリエンス」

2020年09月01日 06時59分23秒 | 事件・事故

電力インフラ・システムを強靭化する

令和元年 9 月 9 日早朝、関東を直撃する台風としては過去最大規模の勢力を有する令和元年台風第 15 号(以下、「台風 15 号」という。)が東京湾から千葉市付近に上陸し、千葉県内を縦断して 19 地点で観測史上1位の最大瞬間風速を記録するなど、千葉県を中心とした広域に甚大な被害を与えた。

9 月 9 日 7 時 50 分には関東広域で最大約 93 万戸の停電が発生し、東京、神奈川、埼玉、茨城、栃木、静岡の各都県では、9 月 11 日までに概ね停電が復旧した一方で、千葉県内では送配電設備の被害が大きく、復旧作業に時間を要した。
具体的には、停電発生から 10 日以上経過した 9 月 21 日に停電件数が 1 万戸以下となり、大規模な倒木や土砂崩れ等により、復旧作業が長期化している地域(以下、「復旧難航地域」という。)や低圧線や引込線上の障害が残っている一部の家庭以外の復旧が完了したのは 9 月 24 日であった。
こうした停電復旧の長期化といった状況などを踏まえ、政府全体の取組として、台風 15号において課題となった長期停電及びその復旧プロセス、その他課題となった事項について検証を行うため、内閣官房に「令和元年台風第 15 号・19 号をはじめとした一連の災害に係る検証チーム(以下、「検証チーム」という。)」が発足し、年度内に検証報告書を取りまとめることとした。
政府全体の検証のうち、電力分野については、経済産業省において先行検証を実施し、年内を目途に論点整理を行い、その結果を検証チームに報告することとされている。

このため、「電力レジリエンスワーキンググループ」(以下、「本ワーキンググループ」という。)においては、台風 15 号において得られた教訓についてはもちろんのこと、続いて生じた令和元年台風第 19 号(以下、「台風 19 号」という。)において得られた知見についても整理を行いながら、停電復旧に関する課題と対策の方向性につき議論を集中的に進めてきた。
その上で、電力供給にかかる本質的なレジリエンス強化に向けては、今回の台風のみならず、過去の教訓を踏まえてより広い視野からも対策に取り組む必要がある。

昨年に発生した一連の災害(平成 30 年7月豪雨、平成 30 年台風 21 号及び台風 24 号、平成 30 年北海道胆振東部地震等)を踏まえて取りまとめた対策のうち、中長期対策として引き続き取り組むべき課題や、激化する中東情勢を踏まえた燃料供給に係る対策などを、今般の台風 15と台風 19 号を踏まえて検討してきた対策と一体のものとして、電力供給のレジリエンス強化に取り組んで行くことが重要である。
このような認識の下、本取りまとめでは、台風 15 号及び台風 19 号の停電復旧対応から明らかになった課題の抽出と、これを踏まえて今後とるべき対策の整理や、過去の教訓等を踏まえて、電力供給のレジリエンス強化に向けて一体として取り組むべき課題・対策について整理を行った。

今後は、政府全体の検証の場である検証チームに報告を行い、災害対応の強化につなげていく。


児童虐待は未然に防げないのか? 児童相談所が抱える根本的な課題とは

2020年09月01日 06時17分27秒 | 事件・事故

2018.8.20 07:00 朝日新聞出版

東京目黒区の船戸結愛ちゃんが父親から暴行を受けたとして死亡した事件をはじめ、虐待で命を落とす子どもが後を絶たない。

虐待死事件が発生すると、批判と非難の矢面に立たされるのが児童相談所だ。しかし、向き合う仕事の実態はあまり知られていない。

朝日新聞記者・大久保真紀が『ルポ 児童相談所』で明らかにした虐待対応の最前線とは。

*  *  *
「担当を振ろうとすると、最近みな目を伏せるんですよね」

 虐待の初期対応チームのトップを務める課長の上原民子はため息をついた。

 午後6時20分。警察官が16歳の女子高校生を連れて、児童相談所にやってきた。子どもが警察に自ら足を運んで助けを求めたケースだ。

 すでに、30分ほど前には警察から電話連絡が入り、児童相談所は女子高校生を一時保護する方向で動いていた。上原の指示で、女子高校生が暮らす自治体に連絡して家族状況を確認。同時に、本人が通う高校に電話し、それとともに、きょうだいの通う小学校にも連絡して、きょうだいへの虐待の兆候がないかどうかなどについても、職員が手分けして情報収集に動いていた。

 そんな中で、女子高校生本人が児童相談所に到着したのだ。すぐに話を聞かなくてはならない。

 だが、初期対応チームのワーカー(児童福祉司)はみな手がふさがっていた。数日前に一時保護した子どもの保護者と電話で話しているワーカー、一時保護中の別の高校生が通う学校と打ち合わせ中のワーカー、一時保護した子どもの親と面接室で面談中のワーカー……。

「人がいない!!」

 上原は思わず声をあげた。「自分が対応するしかない」と思ったが、数日前に一時保護したケースについて地元の自治体から相談の電話が入ってきてしまった。取り次ぎの職員によると、急いでいるとのことだ。この電話には出ざるをえない。

 電話に手を伸ばそうとしていると、ほかの職員から、受付に「課長に会いたい」と予約なしで来た別の親が待っているとのメモが差し出された。上原は受話器を取りながら、受付の職員に向かって言った。

「いま緊急対応中です。今日は対応することは難しいので、こちらから連絡すると、待っているその親御さんを説得してください」

 複数のケースにわたる、さまざまな対応が同時進行している。初期対応チームはてんてこ舞いだ。

 自治体との電話を終えた上原は、

「だれか彼女(一時保護する女子高校生)のために(夕食用の)弁当を買ってきて!」

と叫び、手の空いていたほかの課の職員と2人で面接室に向かった。

約40分後、女子高校生と警察からの聞き取りを終えた上原は、自席に戻り、今度は女子高校生の母親に電話を入れた。

「娘さんを一時保護させてもらいました。しばらく保護することになるので、洋服などを持ってきてもらえないでしょうか」

 しかし、母親からの返事は、

「車がないから、行けない」
「こちらから一度担当ワーカーが行きますから。用意をお願いします」

 と上原は電話を切った。

 親とのやりとりに、苦労することは少なくない。生活保護世帯だったり、養育困難家庭だったり、精神的な疾患があったり、保護者自身がしんどさを抱えているケースが大半だ。いらだちや不安、不満が刃となって児童相談所に向けられる。その対応が、ワーカーたちの忙しさに拍車をかける。

 翌日、女子高校生の洋服や身の回りのものを取りに、担当のワーカーが母親のもとに向かった。

 その数日後、今度は母親が児童相談所に電話をしてきた。

「いま○○駅にいる。娘の携帯を解約したいから、いますぐ携帯を持ってきてほしい」

 担当ワーカーの加藤優子が丁寧な口調で「うかがうことはできません。児童相談所に来てもらえば対応できます」と伝えた。納得しない母親に何度も同じ言葉を繰り返した。

 その横では、ワーカーの山田愛が受話器を握って、懸命に話しかけていた。相手は、一時保護中の保育園児の母親だ。

「お母さん、めぐちゃんの髪を切ってもいいですか。とても長くなっていますから」

 子どもを預かる一時保護所で髪の毛を切ることを承諾してもらうためだ。子どもの様子を丁寧に説明し、納得してもらった。

 電話の後で、山田はため息を漏らした。

「めぐちゃんは、母親に暴力を振るわれて一時保護したんですけどね」

 気むずかしい親たちにはワーカーたちは特に気を遣って対応している。散髪や予防接種など、子どもにかかわることは手間がかかっても事前にこまめに連絡する。勝手に何かをやったとなって親との関係がこじれてしまえば、親は児童相談所の言うことに反発するだけになってしまうからだ。

 そうなってしまえば結局、子どものためにはならない。すべては子どものため、ワーカーたちは親にも気を配り、対応を続けている。

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NPO法人 ひだまり

もう迷わない。虐待やDV被害の子供たちを救うために今、出来ることを!

 私たちの生活は昔に比べはるかに便利で快適な生活になっています。

一方でそんな物理的な繁栄とは裏腹に心を病み不安に満ちた、憂い悲しむ人たちが多くなっているのも事実です。

その理由のひとつとして私たちは携帯電話を始めとするコミュニケーションツールの発達が、人々の直接的に触れ合う機会を失わせ個々としての人のつながりを弱くし“心の孤独”を生み出し、結果として“家庭”という限られた空間の中で父親が母親(弱者)や子供たちを、母親(弱者)がより弱い立場の子供たちを責めるといった負の連鎖を生んでしまっているのだと私たちは考えます。

私たちはそんな虐待やDV被害に苦しむ母子、特に最も弱い立場である子供たちを少しでも元気にし、将来虐待の加害者になってしまうかもしれないという不安と戦っている子育てに悩むお母さん、さらには既に事件の被害者や加害者になってしまって、社会への対応・復帰を模索している人々を応援し、“小さな希望”を届けようと、まさに今虐待やDVの被害にあっている母子又は子どもたちの為の緊急の避難場所(セーフティーゾーン)の役割を果たすことを目的として活動を始めました

 

主な活動内容

相談窓口の開設
今実際にDV 被害にあっている母子の身元の引き受け

DV被害事件の緊急事案によるの関係先行政機関との連携を模索

虐待DV相談窓口の設置
虐待DV被害にあっている母子の緊急避難の支援
被害者の緊急避難等での居住施設(DVシエルター)の運営、情報提供および入所支援業務
傷害被害等に関わる警察窓口での相談補助活動
児童相談所・婦人相談所などとの虐待DV情報の共有化
DV防止啓蒙活動としてのDV対応マニュアルおよびDV相談事例集の作成・配布
広報活動としての法人のホームページによる運営・管理
中学生・高校生・社会人向けのリーフレットの作成・配布等
 


人間の善性 ミルグラム実験

2020年09月01日 05時55分31秒 | 社会・文化・政治・経済

人間の善性

スタンレー・ミルグラム(Stanley Milgram、1933年8月15日 - 1984年12月20日)は、アメリカ合衆国の心理学者。イェール大学とニューヨーク市立大学大学院センターで教鞭をとった。

概要[編集]
アメリカ、イェール大学の心理学者、スタンリー・ミルグラム(Stanley Milgram)が1963年にアメリカの社会心理学会誌『Journal of Abnormal and Social Psychology』に投稿した、権威者の指示に従う人間の心理状況を実験したものである。
東欧地域の数百万人のユダヤ人を絶滅収容所に輸送する責任者であったアドルフ・アイヒマンは、ドイツ敗戦後、南米アルゼンチンに逃亡して「リカルド・クレメント」の偽名を名乗り、自動車工場の主任としてひっそり暮らしていた。彼を追跡するイスラエルの諜報機関がクレメントは大物戦犯のアイヒマンであると判断した直接の証拠は、クレメントが妻との結婚記念日に花屋で彼女に贈る花束を購入したことであった。その日付はアイヒマン夫婦の結婚記念日と一致した。またイスラエルにおけるアイヒマン裁判の過程で描き出されたアイヒマンの人間像は人格異常者などではなく、真摯に「職務」に励む一介の平凡で小心な公務員の姿だった。
このことから「アイヒマンはじめ多くの戦争犯罪を実行したナチス戦犯たちは、そもそも特殊な人物であったのか。

それとも妻との結婚記念日に花束を贈るような平凡な愛情を持つ普通の市民であっても、一定の条件下では、誰でもあのような残虐行為を犯すものなのか」という疑問が提起された。

この実験は、アイヒマン裁判(1961年)の翌年に、上記の疑問を検証しようと実施されたため、「アイヒマン実験」とも言う。
実験の結果は、普通の平凡な市民が一定の条件下では冷酷で非人道的な行為を行うことを証明するもので、そのような現象を「ミルグラム効果」とも言う。
実験から約50年後の2015年、オーストラリアの制作会社が、シドニーで役者を用いてこの実験を再現した番組を発表した[2]。

実験方法[編集]

ミルグラム実験の協力者を募る新聞広告

実験の略図。被験者である「教師」Tは、解答を間違える度に別室の「生徒」Lに与える電気ショックを次第に強くしていくよう、実験者Eから指示される。だが「生徒」Lは実験者Eと結託しており、電気ショックで苦しむさまを演じているにすぎない。
前提条件[編集]
この実験における実験協力者は新聞広告を通じて、「記憶に関する実験」に関する参加者として20歳から50歳の男性を対象として募集され、一時間の実験に対し報酬を約束された上でイェール大学に集められた。
実験協力者の教育背景は小学校中退者から博士号保持者までと変化に富んでいた。
実験協力者には、この実験が参加者を「生徒」役と「教師」役に分けて行う、学習における罰の効果を測定するものだと説明された。
各実験協力者はくじ引きで「教師」、ペアを組む別の実験協力者が「生徒」となった。実際には教師が真の被験者で、生徒役は役者が演じるサクラであり、くじには2つとも「教師」と書かれており、サクラの実験協力者はくじを開けないまま本来の被験者に引かせ、被験者が確実に「教師役」をさせるようにしていた。
実験の内容[編集]
被験者たちはあらかじめ「体験」として45ボルトの電気ショックを受け、「生徒」の受ける痛みを体験させられる。

次に「教師」と「生徒」は別の部屋に分けられ、インターフォンを通じてお互いの声のみが聞こえる状況下に置かれた。

被験者には武器で脅されるといった物理的なプレッシャーや、家族が人質に取られているといった精神的なプレッシャーは全くない。
「教師」はまず2つの対になる単語リストを読み上げる。その後、単語の一方のみを読み上げ、対応する単語を4択で質問する。「生徒」は4つのボタンのうち、答えの番号のボタンを押す。「生徒」が正解すると、「教師」は次の単語リストに移る。「生徒」が間違えると、「教師」は「生徒」に電気ショックを流すよう指示を受けた。また電圧は最初は45ボルトで、「生徒」が一問間違えるごとに15ボルトずつ電圧の強さを上げていくよう指示された。
電気ショックを与えるスイッチには、電圧とともに、そのショックの程度を示す言葉が表示されている。記録映像の残るある実験では以下の表示がなされた。
15ボルト“BLIGHT SHOCK”(軽い衝撃)[3]
75ボルト“MODERATE SHOCK”(中度の衝撃)
135ボルト“STRONG SHOCK”(強い衝撃)
195ボルト“VERY STRONG SHOCK”(かなり強い衝撃)
255ボルト“INTENSE SHOCK”(激しい衝撃)
315ボルト“EXTREME INTENSITY SHOCK”(はなはだしく激しい衝撃)
375ボルト“DANGER SEVERE SHOCK”(危険で苛烈な衝撃)
435ボルト
450ボルト 
450ボルトが最大で、435ボルトと共に但し書きはなく、“危険”をさらに超えた強さとして扱われる[4]。

被験者は「生徒」に電圧が付加されていると信じ込まされるが、実際には電圧は付加されていない。しかし各電圧の強さに応じ、あらかじめ録音された「『生徒』が苦痛を訴える声」がインターフォンから流された。電圧をあげるにつれて段々苦痛のアクションが大きくなっていった。記録映像で確認できる生徒のアクションは、まるで拷問を受けているかの如くの大絶叫で、ショックを受けた途端大きくのけ反る等、一見してとても演技とは思えない迫力であった。
75ボルトになると、不快感をつぶやく。
120ボルトになると、大声で苦痛を訴える
135ボルトになると、うめき声をあげる
150ボルトになると、絶叫する。
180ボルトになると、「痛くてたまらない」と叫ぶ。
270ボルトになると、苦悶の金切声を上げる。
300ボルトになると、壁を叩いて実験中止を求める。
315ボルトになると、壁を叩いて実験を降りると叫ぶ。
330ボルトになると、無反応になる。
被験者が実験の続行を拒否しようとする意思を示した場合、白衣を着た権威のある博士らしき男が感情を全く乱さない超然とした態度で次のように通告した。
続行してください。
この実験は、あなたに続行していただかなくてはいけません。
あなたに続行していただく事が絶対に必要なのです。
迷うことはありません、あなたは続けるべきです。
4度目の通告がなされた後も、依然として被験者が実験の中止を希望した場合、その時点で実験は中止された。そうでなければ、設定されていた最大ボルト数の450ボルトが3度続けて流されるまで実験は続けられた[5] 。
実験の結果[編集]
実験を行うにあたって、ミルグラムによりイェール大学で心理学専攻の4年生14人を対象に、実験結果を予想する事前アンケートが実施された。回答者は全員、実際に最大の電圧を付加する者はごくわずか(平均1.2%)だろうと回答した。同様のアンケートを同僚たちにも内密で行ったところ、やはり一定以上の強い電圧を付加する被験者は非常に少ないだろうとの回答が得られた。
実際の実験結果は、被験者40人中26人(統計上65%)が用意されていた最大V数である450ボルトまでスイッチを入れた、というものだった。

中には電圧を付加した後「生徒」の絶叫が響き渡ると、緊張の余り引きつった笑い声を出す者もいた。全ての被験者は途中で実験に疑問を抱き、中には135ボルトで実験の意図自体を疑いだした者もいた。何人かの被験者は実験の中止を希望して管理者に申し出て、「この実験のために自分たちに支払われている金額を全額返金してもいい」という意思を表明した者もいた。しかし、権威のある博士らしき男の強い進言によって一切責任を負わないということを確認した上で実験を継続しており、300ボルトに達する前に実験を中止した者は一人もいなかった。
「教師」と「生徒」を同じ部屋にさせた場合や、「教師」を「生徒」の体に直接触れさせることで電圧の罰を与えて従わせる場合など、「教師」の目の前で「生徒」が苦しむ姿を見せた実験も行われたが、それでも前者は40人中16人(統計上40%)・後者は40人中12人(統計上30%)が用意されていた最大V数である450ボルトまでスイッチを入れたという結果になった。
実験の成果は国内外において賞賛を与えられたが、同時に倫理性の観点からは、痛みを与える要素の社会的イメージについての批判の声もあった。


谷川浩司九段 藤川引退表明に驚き、印象残る独立Lでのプレー「自分の考えを持っておられた」

2020年09月01日 05時48分50秒 | 社会・文化・政治・経済

8/31(月) 22:45配信 スポニチアネックス  阪神ファンの将棋棋士・谷川浩司九段(58)は藤川球児投手の今季限りでの引退表明に「コメントが出てこないくらい驚きました」と語った。  速報はネットニュースで知り、まず思い出したのは「火の玉」と称されたストレート。自身にも「光速の寄せ」と呼ばれる必殺技があり、実戦で現れると両者、試合終了も同然の威力を誇った。「球速だけでは計り知れない伸び、ストレートだったと想像します」と苦笑いしながら分析した。  印象的だったのが 米大リーグから阪神に復帰するまで故郷・独立リーグの四国アイランドリーグplus高知でプレーしたことという。  「原点でやり直してその後、また阪神で活躍された。自分のお考えをしっかり持っておられたからではないかと思います」。直接復帰するのではなく、身体を作り直してからとの判断に思慮を感じるそうだ。「ファンとしてはまだまだ長く続けてほしいが、最後まで応援したい」。甲子園球場で再び、9回アタマからマウンドに立つ姿を待ち望んでいた。

 

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関東で「かなとこ雲」異様な光景…注意必要

2020年09月01日 03時49分57秒 | 事件・事故


8/31(月) 19:07配信

Nippon News Network(NNN)
これは30日夕方、千葉県で撮影された映像。分厚い雲が街中を広範囲にわたって覆っている様子が確認できます。別の映像には、ビル群を覆う分厚い雲。さらに埼玉県でもこの雲は目撃されていました。

撮影した人「ベランダに出たときに大きな雲が出ていたので、すごい異様な光景だなと思って驚いて何事かと思いました」

かなとこ雲

かなとこ雲

いったい、この雲の正体とは…?

木原実気象予報士「これは巨大な積乱雲です。しかも発達の最終段階、かなとこ雲といいます。映像に捉えられることはかなり珍しいと思います」

積乱雲が空高く限界まで発達し水平に広がったため、この形になったといいます。

金属の加工に使われる「金床」に似ていることから「かなとこ雲」と名付けられたということです。これだけ大きな「かなとこ雲」は珍しいといいますが、注意も必要です。

木原実気象予報士「積乱雲が発達していますから、この下では雷が鳴ったり雨が降ったりひょうが降ったり、大変危険な雲ですね」

近くで見かけたら頑丈な建物に避難することが大切だということです。

かなとこ雲(かなとこぐも、Incus)とは、成長した積乱雲のうち、頂上部分が広がって平らになっているもの。

雲形分類では、部分的に特徴のある雲を細分類した「副変種」として扱われ、積乱雲だけに見られる。

積乱雲は発達するにつれ高く盛り上っていく。やがて雄大雲が、対流圏界面と呼ばれる面に達すると、雲はそれ以上上へと盛り上がることができず、横に広がってくる[1]。対流圏界面はふつう高度17,000m(赤道付近の場合)~8,000m(極地の場合)で緯度が高いほど低くなるが、地域や季節によっても変化する。

対流圏界面よりも高い所にある成層圏に入ると、上空に行くほど気温が高くなっていく。これは大気の上下運動が起こりにくい状態である(成層安定な状態という)。このように成層圏では空気が上昇する事が難しいため、発達中の積乱雲の中に存在する上昇流は成層圏にはほとんど入り込めない。しかし下からは上昇流で続々と空気が供給されてくるため、行き場を失った空気は対流圏界面の下で横に広がるしかないのである。

観天望気には「かなとこ雲が立つときは暴風がくる」といったものがある[2]

一般的に、積乱雲がかなとこ雲になったということは発達が力強く続いていることを示しており、その下の雨風も強い傾向にある。ただ、かなとこ雲のてっぺんの横に広がる部分があまりに巨大化した場合は、そこから上昇気流が下降気流に転じて積乱雲の本体が弱まることもある。

 

金属加工などで用いる金床に形状が似ていることからこう呼ばれている。学術名"Incus"も、ラテン語で「金床」を意味する。

 
金床

てっぺんに毛羽立ったような雲がくっついている多毛雲とは似ているが異なる。ただ、かなとこは毛羽立ちの1種とみなされ、かなとこ雲は多毛雲に含められる。

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《東京・葛飾》3歳長男を虐待した風俗店勤務の母親、同居男との“だらしない”関係

2020年09月01日 03時43分25秒 | 事件・事故

8/28(金) 4:01配信

週刊女性PRIME

アンパンマンのミュージカルを長男と(本人のインスタグラムより)

「ゆきちゃんは、まじめで頑張り屋さん。小さいころから仲よくしてくれて、優しいお姉ちゃんという感じ。子どものことも可愛がっていたし、ずっと気にかけていた。とても、そういうことをするとは思えない」

【写真】虐待していたとは思えない…SNSに上げていた長男と容疑者の2ショット

 そうかばうママ友だが、逮捕された容疑は尋常なものではなかった。

容疑者と内縁の夫が長男に虐待
 東京・葛飾区の風俗店従業員・沖間友紀(おきまゆき・26)容疑者は、今年1月15日から16日にかけて、自宅アパートで長男(当時3)の顔面を殴打。

 長男は、右目付近に全治1週間の頭蓋(ずがい)内損傷を負い、意識不明の重体となったが、現在は回復して児童福祉施設に保護されているという。

 さらに、1月24日には太もも付近を殴打し、打撲でやはり全治1週間を負わせたというものだった。この2件の傷害の疑いで8月5日に逮捕された沖間容疑者は、

「言うことをきかないときは叩いていた」

 と日常的な虐待を認めている。

 この長男の父親で当時、沖間容疑者の内縁の夫だった神奈川県横浜市の向山純貴(むこうやまじゅんき・26)容疑者も昨年3月下旬ごろ、長男の耳を引っ張るなどの暴行をしたとして、8月14日に傷害の容疑で逮捕された。

「ケガをするほど引っ張っていない」

 と向山容疑者は、容疑を一部否認している。

 沖間容疑者は以前から、「育児に手間がかかる」などと区や保育園に相談。

 昨年の2月には、長男の右腕が骨折しているのを保育士が発見して、区に連絡。

 沖間容疑者は、「自転車で転んだ」と、みずからの関与を否定していたが、その後、説明が二転三転……。そのような情報が、行政で共有されているなかでの事件だった。

 一連の犯行に関して、現場アパートから徒歩10分ほどのところに住む父親は、

「弁護士から“マスコミには話してはいけない”と止められているので、何も話せない」

 と言うばかり──。

付き合ったり、別れたりを繰り返していた2人
 沖間容疑者は、葛飾区の出身で、地元の農業高校を卒業後は、旅行関係の専門学校に進学。英語が得意で、校内スピーチ大会で優勝したこともあった。

 その後は箱根で働くなどしていたが、そのころに知り合ったのが、向山容疑者。

 2年前からは現在のアパートに、沖間容疑者と2歳になった子どもと暮らし始めたが、その後、向山容疑者も転がり込んできたようだ。

「引っ越してきたころは、確かに2人だったので、シングルマザーかと思った。沖間さんは派遣会社の配膳関係の仕事をしていた。

 そのあと、男性が出入りするようになったので、“とうとう男ができたんだな”と思っていた」(同じマンションの住人)

 2人の知人は、次のように説明する。

「向山くんは人当たりもよかったが、2人は長年、付き合ったり、別れたりを繰り返していた。

 向山くんが少しだらしなかった覚えがあるので、もしかすると赤ちゃんができてしまい、結婚する流れにはなったかと思うが、(沖間さんは)結婚は内心、したくなかったのかと思う。長男は間違いなく2人の子ども」

近隣住人が虐待を疑っていた
 そんなゴタゴタで内縁関係のまま、長男の存在がうとましくなったのか、虐待が始まった。

 近所の主婦はこう話す。

「去年の秋ごろ、夜に子どもの泣き声が聞こえてきて、そのあと沖間さんが子どもを散歩させている姿を見かけた。

 それが泣きじゃくる子どもをあやすようにではなく、無理やり連れ回しているように見えたので、虐待じゃないかと思った。

 でも、もしかすると虐待ではないかもしれないので、近所トラブルになると思って、通報はしなかったんですけど」

 同じアパートの住人も、

「毎日のように泣き声が響いてきたけど、泣きグセのひどい子かもしれないので、やはり通報すればトラブルにもなりかねないし……」

 さらに、沖間容疑者は1年ほど前から、月6万円のアパートの家賃を滞納していた。

「報道で、風俗店で働いていたと知ったけど、配膳関係の仕事がなくなり、お金に困っていたのかも。内縁の夫も無職だったみたいだから、すべてひとりで稼いでいたんでしょうけど」(アパートの住人)

“面倒見のいいお母さん”の一面も
 一方で、近隣のダーツバーなどで楽しむ姿が目撃されている。

「明るい性格で、いつも仲間数人で来て、カラオケやダーツに興じていました。SMAPやサザンの曲が多かった。お酒も結構、いける口でしたね。

 子どもさんも数回、連れてきたことがある。そのときは面倒見のいいお母さんといった感じでしたけどね。でも、ダンナさんは一度も連れてきたことがなかった」(バーの仲間)

 さらに、容疑者のインスタグラムによれば、家賃滞納が始まっていた昨年9月には、世界バレーを観戦。

《大林素子さんデカっ! 栗林恵さんデカっ!  中田監督…足細っ!》

 10月の自分の誕生日には、

《めんどくさいだろう私の相手いつもありがとうございます》と報告。

 長男を意識不明に追い込む直前の今年1月には、東京ドームシティのヒーローショーに長男と一緒に参加。

《怪獣出てくる度に手をギュッと握ってくるのが可愛かった》

 と長男を可愛がる様子もあった。

 逮捕前の7月には、ウニ専門店を訪れている。

《やっぱりウニしゃぶおいしかった! からの〆の雑炊は間違いなかった!》

 そんなSNSに綴られている日常は育児にプライベートに、充実しているようだったが実態は違っていた……。

 ちょうど1年前の愛息の3歳の誕生日には、

《産まれてきてくれたこと 毎日笑っていてくれること それだけでなんでも頑張れる。感謝》

 と記していたが、いまとなってみれば、虚(むな)しいきれいごとにしか聞こえない。

 逮捕前、すでに施設に預けられている息子の4歳の誕生日を容疑者は、直接祝うことはできたのだろうか……。

 

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逮捕の少年は15歳中学生 少年院を2日前に仮退院 福岡商業施設殺人

2020年09月01日 03時27分13秒 | 事件・事故

8/31(月) 20:23配信

毎日新聞

福岡市中央区の大型商業施設で女性が刺殺された事件で、福岡県警は31日、現場で包丁を持っていたとして銃刀法違反容疑で現行犯逮捕された少年の身元が、住居不定の中学生(15)と判明したと発表した。

少年が西日本にある少年院を仮退院した2日後に今回の事件で逮捕されていたことも捜査関係者らへの取材で判明。少年は26日に仮退院して福岡県内の更生保護施設に移ったが、翌日失踪し、行方不明者届が出されていた。

捜査関係者らによると、少年は九州出身で、幼い頃から児童福祉施設で暮らしていた。施設内で職員や他の児童に対する暴力がたびたび問題となっていた。少年院送致となったのは昨年だが、原因は施設内での暴力だった。県警によると、少年は中学校に通学しておらず、更生保護施設に「戻りたくない」という趣旨の供述をしているため住居不定と判断した。

 少年は28日午後7時半ごろ、「MARK IS(マークイズ)福岡ももち」1階で刃渡り18・5センチの包丁を持っていたとして現行犯逮捕された。同じ頃、近くの女子トイレで客として来ていた同市南区の女性(21)が血を流して倒れているのを警備員が発見し、間もなく死亡が確認された。

 捜査関係者によると、少年が持っていた包丁に付着していた血液と、女性の血液のDNA型が一致したことが新たに判明。女性は首など上半身を中心に致命的な刺し傷や切り傷が数カ所あり、手などには身を守ろうとする際につく防御創もあった。少年は「女性を刺した」という趣旨の供述をしており、県警は現場に残る血痕の状況などから女子トイレ内で面識のない女性を突然包丁で襲ったとの見方を強めている。

 また、少年は逮捕直前、現場に居合わせて逃げようとして転んだ6歳女児に背中から馬乗りになって包丁を突きつけ、助けようとした母親(39)にも包丁を向けて脅した疑いがあり、県警は30日、暴力行為等処罰法違反容疑を加えて送検した。捜査関係者によると、少年は「捕まりたくなかった」と容疑を認めており、県警は女児を人質にしようとしていたとみている。所持金はなかった。

 福岡市内の葬儀場では31日、亡くなった女性の葬儀が営まれた。親族や知人ら約50人が参列し、突然の別れに涙を拭った。

 事件後、全館で臨時休業していたマークイズ福岡ももちは31日、3日ぶりに営業を再開。「特別警戒実施中」と書かれた紙が入り口に張られ、通常より多くの警備員が巡回した。映画を見に来た同市中央区の会社員女性(24)は「入る時は少し怖いと思ったが、近所なので開いてくれてよかった」と語った。【一宮俊介、浅野孝仁、中里顕、大坪菜々美】

 ◇女児救助の男性「幼い命救えてよかった」

 大型商業施設で中学生の少年(15)が逮捕直前、女児(6)に馬乗りになって包丁を突きつけた際、少年に飛びかかって女児を助けたのは、非番で買い物に来ていた福岡市消防局の30代の男性職員だった。

 消防局によると、職員は複数の客の叫び声と警備員の「逃げて」という声を聞き、包丁を持った少年に気づいた。少年が血の付いた包丁を持って周囲をキョロキョロしながら歩いていたため「誰か襲いかかる相手を探しているのだろう」と思って後をつけて様子をうかがったという。

 少年が急に走り出して女児に馬乗りになり、右手に持った包丁で切りかかろうとしたため、職員は少年の背後から飛びかかって右手を握り、左腕で少年の首に手を回してその勢いのまま倒れ込んだ。「女の子が刺されると感じ、少年を取り押さえられるのは私しかいない」と考えたという。職員のとっさの行動で女児は無事だった。

 職員は「幼い命を救えたことはよかった。しかし、21歳の女性が亡くなられたことは無念だ」とし、現場近くの女子トイレで犠牲となった女性の死を悼んだ。職員にけがはなかった。【田崎春菜】

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