羽生さんは別格、では藤井くんは? 中村太地七段が語る将棋の“格”。

2020年09月07日 20時38分23秒 | 社会・文化・政治・経済

9/7(月) 11:51配信

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藤井聡太六段(対戦時は五段)は羽生善治二冠に勝利した。しかし、これで「藤井くんの方が強い」と言えないのが将棋の奥深さなのだ。 photograph by Tadashi Shirasawa

Number1010号は小誌初の「将棋特集」。それを記念し、過去によく読まれた将棋関連記事を再公開します! (初回配信/2018年2月19日)

【秘蔵写真30枚超】意外と見たことない藤井くんvs羽生さん、藤井くんvsひふみん。若き日の加藤一二三と羽生善治は超男前…名棋士の伝説とキュートな笑顔。

「藤井四段」だったはずが、あっという間に「藤井六段」である。そして「藤井七段」、「藤井棋聖」、「藤井二冠」に――。

 2018年2月17日の朝日杯将棋オープン戦、藤井聡太五段(以下、すべて当時の肩書)は準決勝で羽生善治二冠、決勝で広瀬章人八段に勝利した。

 中学生棋士初の棋戦優勝、それによる六段昇格で、「藤井五段」と呼ばれた期間はわずか17日だった。今後、藤井五段と書く機会はそうそうないだろう。

 また準々決勝では、佐藤天彦名人にも勝っている。あの29連勝に始まり、名人・永世七冠を立て続けに破る15歳は、どう考えてもマンガ、いやマンガでも“毎回最終回かよ”レベルだ。

 AbemaTVの検討ルームでは、「羽生さん、倒しに来ているな」という声が挙がるほど、羽生二冠も全力でぶつかっていた。にもかかわらず藤井五段は終盤で押しきった。画面越しからも、プレッシャーとは無縁、といった風格すら感じた。

対局相手としての羽生さん、藤井くん。
 風格、その言葉でふと考えた。

 数十センチの盤面をはさんで戦う将棋。

 とてつもないスピードで未来を読む達人であるとともに、棋士もまた人間である。対局相手は何か影響を受けるのか。つまり、いわゆる“格”や“威圧感”というものを感じるのか。

 そんな素朴な疑問に、対局を解説していた中村太地王座が答えてくれた。昨年は羽生二冠、藤井六段のどちらとも盤を挟んでいる(後者は非公式戦)。

 羽生二冠との対局は王座戦で、勝利して自身初のタイトルを獲得した。中村王座自身が棋士の頂点に立つ1人であり、向き合った2人の強さも知っている。だからこそ、その辺りの心理面を聞いてみたかった。

「対局者の視点で、羽生さんや藤井くんってどう見えているんですか?」と。

「同じ手でも羽生さんに指されると違う」
「本当は格上、格下ということを意識してはいけない、と思うんです。でも意識してしまうことは多いですね」

 タイトルホルダーながら、中村王座は棋士としての本心をこう明かしてくれた。対局相手のプレッシャーについて、こんな例を出して説明する。

「『ハロー効果』というものがありますが、偉い人や著名な方の発言って、胸に響きやすいですよね? 外見も同じで、高級なスーツを着て髪型も決めた営業マンが言うと『いい商品なんだろうな』と思いがちです。

 これと同じく目の前にいる人の背景が、自分に影響してくるのは将棋にもよくあります。例えば同じ手であっても、羽生二冠と他の棋士が指す場合では、こちらの感じ方が違うんですよね。

 一見『あれっ? 』と思う手なのに『羽生さんだから狙いがあるんじゃないか、何か罠が仕掛けられているんじゃないか』と勘ぐることがあります。羽生二冠も悪手を指している“はず”なのに、勘ぐってしまった結果、自分も悪手で返してしまうんです」

人間的な機微が、勝負に影響する。
 相手の失敗が、いつの間にか自分の劣勢になる。

 中村王座は王座戦で勝利する前にも、2回羽生さんとタイトル戦を戦って、どちらも敗れている。羽生二冠は幼少の頃からの憧れだったこともあり、「敬意を払いすぎた」と聞いたことがある。

 それは、きっと“相手を信用し過ぎてしまう”ということだろう。

 中村王座は「ネット対局などのように、顔が見えない状況で指していたとします。その相手が羽生二冠だと自分が気づいてなければ……、もしかしたら羽生さんの生涯勝率はもう少し低くなっているかもしれないですね」と冗談めかしつつ、こうも分析している。

「やはり自分の頭の中にも、情報の刷り込みがあると思います。羽生二冠は非常に勝率が高いですが、それは対局者にとって“目の前に羽生さんがいる”ということが大きな要素になると思います。

 そういった人間的な機微が生まれるのが、盤を挟んだ対局の醍醐味なのでしょうね。心理的なものが盤上の局面そのものには影響しないはずなのに、勝負には影響するんです」

永世七冠にプレッシャーをかける15歳。
 話を朝日杯に戻そう。藤井五段の目の前にいたのは、あの永世七冠である。なのに、藤井五段はいつもの1局といった具合に、さらりと勝ってしまった。

「藤井くん、ヤバいな」

 決勝の終局直前、スタジオ控室にはこんな声も挙がっていた。

 プレッシャー、感じてないんじゃないか。というか、もうすでに藤井くんがプレッシャーをかける側になっているのでは? 

 筆者は、そんな気すらした。

「“藤井強し”というのを知らしめましたね。藤井さんにしてみれば、普通に指して、普通に勝った。一番すごいことをやってのけましたよ」

 羽生二冠、広瀬八段相手の完勝を見て、中村王座はこう言った。二度も羽生さんの壁に跳ね返された経験を持つ中村王座の目に、“ほぼ将棋の神”に挑んだ藤井くんの姿はどのように映ったのだろうか。

「気おくれは全くなかったと思います。相手が羽生二冠でも委縮する様子は全く見えなかった。ただ盤上の最善手を追求するだけ。藤井さんがよく言っている『目標は強くなること』をそのまま出しましたよね。普通、目の前に羽生二冠がいて、なおかつあれだけの観衆が見守る大舞台なら緊張してもおかしくないんですけどね」

中村王座「藤井くんは今の方がやりやすい」
 実は中村王座は、非公式戦ながら藤井四段(当時)と対局し、敗れたことがある。そしてこれからは公式戦でライバルとして対局するだろう。

「正直、当時はプロになりたてなのに注目度は抜群だったし、かなりやりにくかったんじゃないですか?」と、ちょっと意地悪な質問をぶつけた。それに対して、むしろ嬉しそうな表情を浮かべてこう言ったのが印象的だった。

「たしかに、むしろ今の方がやりやすいかもしれません。というのも、1年前の藤井さんはまだ新四段で、これからという立ち位置。私たちは先輩棋士として胸を貸す立場でした。ただこの1年間、連勝記録を成し遂げたり、佐藤天彦名人、そして羽生二冠も破るなど、藤井さんが活躍したことで世の中にその強さが知れ渡った。そういった情報もあって、ある意味“自分の方が挑戦者”といった気持ちで臨めますからね」

 中村王座の言葉からは15歳へのリスペクトとともに、タイトルホルダーとしての意地も垣間見えた。

谷川九段は他の棋士に「君たち、悔しくないのか」。
 強い相手にこそ燃える。それはアスリートだけではなく棋士も一緒。今回の優勝で藤井六段にはさらなる注目が集まるのは必至だ。それだけに、将棋ブームに喜びを感じつつ、棋士1人ひとりに思うところはあるだろう。

 この日、藤井六段の快挙を受けて羽生二冠や加藤一二三九段ら有名棋士のコメントが続々とリリースされた中で、自身も中学生でプロ棋士になった谷川浩司九段の言葉を拝借する。

「全棋士参加の棋戦で優勝するのはまだ難しいと考えていました。私たちの予想を遥かに上回るスピードで、強くなっているようです。名人と竜王を破っての優勝は見事ですが、ただし20代、30代の棋士に対しては『君たち、悔しくないのか』と言いたい気持ちもあります」

 早すぎる昇段は“藤井時代”への序章か、それとも年上のプロがプライドを見せるのか。

 藤井聡太六段はもちろん、打倒・藤井を掲げて他の棋士が目の色を変える姿もまた、将棋の魅力となるはずだ。

(「スポーツ百珍」茂野聡士 = 文)

 

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東京五輪は「新型コロナに関係なく開催」 IOC副会長

2020年09月07日 20時12分33秒 | 社会・文化・政治・経済

配信

【AFP=時事】国際オリンピック委員会(IOC)のジョン・コーツ(John Coates)副会長は7日、AFPの電話インタビューに応じ、来年に延期された東京五輪は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的な大流行)に関係なく開催され、同感染症を「克服した大会」になるだろうと述べた。
 五輪の中止は戦争以外に一度もないという状況の中、コーツ氏は東京五輪は新しい日程で行われると断固主張した。  
東京五輪に向けた調整委員長も務めるコーツ氏は、「大会は新型ウイルスに関係なく行われ、来年の7月23日に開幕する」とコメントした。
 コーツ氏は、2011年の東日本大震災に触れつつ「東京五輪は、テーマでもある津波被害による荒廃からの復興五輪になるはずだった」と続けた。 「東京五輪はコロナウイルス感染症を克服した大会となり、トンネルの終わりに見える一筋の明かりになるだろう」  
パンデミックを理由に、延期という歴史的な決断が下された東京五輪は現在のところ来年の7月23日に開幕する予定となっている。
 しかし、日本の国境は大半の訪日客に対して閉ざされたままで、ワクチンの開発にも数か月から数年かかるという状況であり、本当に大会を開催できるのかという臆測に拍車が掛かっている。  
日本側は東京五輪について、2021年の後に2度目の延期をするつもりはないという意思を明らかにしている。  
最近の世論調査によると、国内で来年の五輪開催を望んでいる人は4人に1人しかおらず、多くの人がさらなる延期か中止かのどちらかを支持しているという。【翻訳編集】 AFPBB News
 

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歯周病原菌の中でも最も悪性度が高い、Pg菌のPCR検査を無料で

2020年09月07日 20時09分18秒 | 医科・歯科・介護

こんにちは!吉田歯科診療室の吉田格です。

突然ですが、歯周病原菌の中でも最も悪性度が高い、Pg菌のPCR検査を無料で行います。

これはメーカ様のご厚意で10名様限定で行うものです。

Pg菌は単に歯周病の原因となるだけではなく、体内に入り動脈硬化・糖尿病のリスクを大きく上げたり、最近ではアルツハイマー病患者の脳内から検出されるなど、まさか?と思われる実態が明らかになっています。

https://dentalnutrition.jp/why-nutrition/road_overcoming_alzheimer_disease

つまりPg菌を増やさない治療や生活習慣が、今後の人生を大きく左右するということになります。

この機会に、ご自身のリスクについて知っておいてはいかがでしょう?

なお期限は9月15日(火)まで、先着10名さまです。

無料ですが、絶対にキャンセルしないことが前提となりますので、よろしくお願いいたします。

検査をご希望の方は、以下のサイトをご覧いただき、必ずそのページのリンクにある登録フォームからお知らせください。

https://y-dc.blogspot.com/2020/09/pcr.html

今回は特別に、当診療室の患者さんでなくても対象者といたします。お知り合いの方にもお知らせしてあげてくださいね。

メールニュースはまた改めて発信いたします。

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メインサイト https://y-dc.org

栄養療法専門サイト https://dentalnutrition.jp/

バックナンバーはBlog:歯界良好で https://y-dc.blogspot.jp

インタビュー https://y-dc.org/information/interview.html

空き時間情報はtwitterで https://twitter.com/ItaruyTwit

LINE@登録 https://line.me/R/ti/p/%40ado9578r

メールニュース登録 https://goo.gl/Vc3oyb

お問い合わせ https://y-dc.org/index.html#mail_form

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吉田歯科診療室 デンタルメンテナンスクリニック

代表 吉田格

〒104-0061 東京都中央区銀座 3-11-16

VORT銀座イースト 2F

TEL 03-3248-0418 FAX 03-3248-0417

200904


郁栄会 9月25日(金)・26日(土) 銀座エルディアクリニック 内覧会

2020年09月07日 20時02分25秒 | 医科・歯科・介護

この度、DSヘルスケアグループは銀座3丁目に

新たなクリニックをオープンする運びとなました。

「医科・歯科連携」「再生医療」「免疫力の向上」をキーワードに

革新的なウェルエイジング医療を目指してまいる所存です。

つきましては、開院に先立ちまして新クリニックをご覧いただきたく、

内覧会を開催いたします。

ご多用中とは存じますが、ぜひお立ち寄りください。

ご来院を心よりお待ち申し上げております。

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医療法人社団郁栄会 銀座エルディアクリニック

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形成外科・皮膚科・歯科

主な診療メニュー

・幹細胞培養上清液療法

・その他 再生医療

・形成外科手術

・レーザー治療

・ヒアルロン酸・ボトックス

・美容点滴・注射

・インプラント

・口腔感染症除菌外来

院長 田中誠児

日本形成外科学会認定専門医

日本皮膚科学会会員

日本美容外科学会会員(JSAPS)

日本美容外科学会会員(JSAS)

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内覧会詳細

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日 時  2020年9月25日(金)・26日(土) 

     午前10時~午後8時

場 所  東京都中央区銀座3-3-13 阪急阪神銀座ビルビル6階

     医療法人社団郁栄会 銀座エルディアクリニック

アクセス   東京メトロ 銀座駅 C8出口すぐ

      並木通りと松屋通りがクロスする角(エレベーターは並木通り側)

      資生堂GLOBAL FLAGSHIP STOREがあるビルの6階です

      http://qr.quel.jp/map-qr.php?lat=35.67286&lng=139.76499&zm=16

お祝い・お花等のお気遣いなく、

手ぶらでお越しくださいますようお願い申し上げます。

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ご来院いただける日時等がお分かりでしたら、

事前にご連絡いただけますと幸いでございます。

連絡先:デンタルサポート(株)広報室 中山ちはる

メール nakayama@dentalsupport.co.jp

携帯電話 090-5793-1025

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なお、理事長、院長、弊社代表は、内覧会日程の内

以下の時間帯にクリニックに居る予定です。

◇DSヘルスケアグループ代表・CEO / 郁栄会理事長 寒竹郁夫 

 25日(金)10時~12時/17時30分~19時

◇院長 田中誠児

 25日(金)10時~20時  26日(土)10時~20時

◇デンタルサポート株式会社 代表取締役社長 草深多計志

 25日(金)12時~20時  26日(土)10時~16時/18時~20時

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銀座の中心地で、新しいコンセプトに挑戦するクリニックです。

DSヘルスケアグループとして初の試みとなります。

ぜひご覧いただければと存じます。

どうぞよろしくお願い申しあげます。

*-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-*

デンタルサポート株式会社

広報室 中山ちはる

nakayama@dentalsupport.co.jp

〒261-8501

千葉県千葉市美浜区中瀬1-3 

 幕張テクノガーデンD棟17階

TEL 043-213-6160/FAX 043-213-6491

https://www.dentalsupport.co.jp/

 


アンジェス Research Memo(9):アライアンス戦略による新規事業への展開も視野に入れる(2)

2020年09月07日 10時58分58秒 | 医科・歯科・介護

9/4 15:24 配信

フィスコ

現在値
アンジェス 1,430 -18

■今後の成長戦略

3. 新規事業領域への展開
「次の10年」を見据えた新規事業の展開にも取り組んでいく方針で、以下の領域において資本提携先との協業も進めながら事業化を目指している。

(1) ゲノム編集技術を用いた遺伝子治療薬の開発
アンジェス<4563>はイスラエルに開発拠点を置く米国のEmendoに出資し※、Emendoが保有する先進のゲノム編集技術「OMNI(オムニ)」と、同社がこれまで遺伝子治療薬の開発で培ってきたノウハウを融合することで、新たな遺伝子治療薬の開発を目指している。

※Emendoは最先端のゲノム編集技術を用いて重症疾患の遺伝子薬と細胞療法を開発するバイオベンチャーで2015年に設立。同社は2019年3月に最初の出資を行い、その後の追加出資で2020年3月には約27%の出資比率となる持分法適用関連会社としている。


ゲノム編集とは、特定の塩基配列(標的配列)のみを切断するDNA切断酵素(ヌクレアーゼ)を利用して、思い通りに遺伝子を改変する技術を指し、農作物の開発などで普及が進んでいる。医療分野では、高効率に編集できるCRISPR/Cas9(クリスパーキャス9)と呼ばれる技術を用いたゲノム編集の研究が主流となっているが、未だ実用化には至っていない。クリスパーキャス9では、標的配列とは異なる類似箇所を切断してしまう「オフターゲット効果」があるためで、こうした「オフターゲット効果」を回避する技術が「OMNI」となる。「OMNI」では塩基配列が100%相補的でなければ切断しない高精度なヌクレアーゼを、標的配列ごとに迅速に作出する技術であり、DNA切断酵素としての汎用性は損なわれるものの、高度な特異性により安全性が向上する。また、確実に標的配列の切断が可能となるため、編集する標的配列の選択の自由度が増すといったメリットもあり、ゲノム創薬の開発効率向上につながる技術として同社では高く評価している。

遺伝子治療薬の製法には、「コラテジェン」のように遺伝子導入のベクターとしてプラスミドを用いたもの、人に対して無害なウイルス(アデノウイルス、センダイウイルスなど)をベクターとして用いたもの、ゲノム編集技術を用いたものと大きく3つの方式があり、このうちゲノム編集技術を用いた遺伝子治療薬に関してはまだ世界でも上市実績がないが、「OMNI」技術の活用により大きく前進することが期待される。新型コロナウイルス感染症の影響で協業のスケジュールはやや遅れたものの、今後、Emendoが取り組んでいる複数の開発パイプラインのうち、遺伝子疾患を対象とした品目について共同開発を進めるべく、今後両社で計画を策定していく予定となっている。

(2) がん診断事業
2019年8月に資本出資したイスラエルのBarcode Diagnostics(以下、Barcode)が持つ遺伝子診断技術※を用いて、がん患者一人ひとりに最も有効な抗がん剤を選択する診断技術の早期実用化に取り組んでいく。現在は複数の抗がん剤の中から患者に合うと思われる抗がん剤を臨床データや患者の状態などから医師が判断して投与するが、第一選択薬で効果が見られず別の抗がん剤を投与するケースもある。遺伝子解析を行うことでより最適な抗がん剤の選択が可能となれば、患者負担が軽減するだけでなく医療費の削減にも寄与することになる。

※Barcodeの診断技術は、患者に有効性が期待できる抗がん剤とDNAバーコードを封入したリポソームを複数製造し、多種類の抗がん剤をごく少量ずつ一度に患者に投与したのち、DNAバーコード量を測定することで、個々の患者に有効な抗がん剤を特定するというもの。マウスを使った実験で特定できることが確認されており、将来的に乳がん患者を対象とした臨床試験の実施を目指している。


同社は2020年2月に公益財団法人がん研究会と共同研究契約を締結し、早期の実用化に向けて共同開発を開始している。がん研究会は、がんの新しい診断・治療法の開発において国際的にも評価の高い研究機関であり、がん細胞に対する抗がん剤の有効性データも数多く蓄積している。既に、実用化に向けBarcodeの診断技術を用いた実証データも出始めているようで、今後の動向が注目される。また、遺伝子診断では、がん疾患以外にも新生児の難病や希少疾患の早期診断でも需要があると見られ、将来的に取り組んでいく予定にしている。

(3)マイクロバイオーム事業
マイクロバイオーム※1を用いた医薬品の研究開発が世界的に注目を集めており、同社も同領域のパイオニア企業であるMyBioticsと2018年7月に資本提携を締結し、事業化の可能性を探索している。MyBioticsは現在、婦人科系の治療薬について欧州の大手製薬企業とライセンス契約を締結し、製剤化に向けた開発を進めているほか、感染症等の治療薬についての開発も進めている。また、2020年1月にはMyBioticsのプロジェクト※2が、専門家の厳正な審査を経て評価され、EIC Accelerator Pilot※3の資金援助先として選抜され、約200万ユーロの資金援助を受けることになったことを発表している。

※1 マイクロバイオーム(微生物叢)とは、ヒト微生物叢のゲノムとそれが発現する遺伝子群及び微生物叢とヒトの相互作用を含む広い概念を指す。この微生物叢とヒトとは共生しており、ヒトの身体は微生物叢の集合体とも言える。近年では生活習慣の変化がマイクロバイオームの生理状態の変化を誘導し、それが各疾患の増加に関係しているとの報告もあり、菌を活用して医療やヘルスケアに役立てる研究が活発化している。
※2 あらゆる民族、年齢、性別に関係なく、病気や慢性疾患の治癒、健康サプリ、薬品としての目的など、世界初となる1人1人にパーソナライズされた腸内細菌の生成を可能とする「MB Select」というプロジェクト。
※3 European Innovation Council(EIC)が、市場創出の可能性を秘めた画期的なイノベーションを強力に後押しすることを目的として、高リスクだが潜在的な力を秘めた製品・サービスを開発する企業に対して資金支援を行うプログラム。資金提供対象となるのは、EU加盟国又はHorizon2020の関連国に設立された営利目的の中小企業のみ(イスラエルはHorizon2020の関連国)。


マイクロバイオームの働きは精神疾患に関係しているとの研究報告があるほか、健康食品やサプリメントとして開発が進む可能性があるなど潜在的な成長性は大きい。同社も将来的にセルフメディケーションにつながる可能性のある事業として注目しており、今後の具体的な開発の方向性について検討を進めている段階にある。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


平和の文化……って?

2020年09月07日 10時46分49秒 | 社会・文化・政治・経済

差別や偏見、貧困、家庭・職場・教育現場などでの暴力、あるいは環境破壊――私たちの周りにはどれだけの「暴力」がうごめき、社会の「構造」に潜んでいるのでしょう……。

「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和の砦を築かなければならない」――ユネスコ憲章の理念が掲げる「平和」は、「戦争のない状態」だけではなく、そんな「構造的な暴力」のない世の中をめざしています。

ユネスコ(国連教育・科学・文化機関)は、1946年に誕生しました。20世紀の2度の世界大戦を省み、「人類はもうこれ以上、戦争をしない」という堅い決意からでした。

1980~’90年代、単に「戦争がない状態」の「平和」のみでなく、「さまざまな構造的暴力」を否定する「平和の文化」が探求されました。’97年の国連総会で「平和の文化の宣言」が採択され、2000年は「平和の文化国際年」、2001~’10年は「平和の文化と教育のための国連の10年」でした。

「平和の文化」は、ユネスコ憲章の「平和の思想」の今日的な表現です。「人間が求める身近な平和、安心・安全」を、考え方の慣習、「文化」にしようということです。人類が探究してきた平和に別の理念を掲げているのではないのです。「平和の文化」に、一定の行動様式やモデルがあるわけでもありません。一人ひとりの行動、考えは多様です。だからこそ、個々人が「平和」と考える思いを、分かち合いたいと思います。

私たち「平和の文化東京ユネスコクラブ」は、ユネスコ憲章の理念のもと、「平和の文化」の輪を広げていこう、と創設されました。一人ひとりの「平和」は、「人の尊厳を尊ぶ」社会の根っこです。「人権の世紀」といわれる21世紀を、「平和の文化」あふれる社会にしたい……そう願っています。
                                                        (詳しくはこちら)


らくらく人間学―逆さまに見れば何んでも面白くなる

2020年09月07日 09時49分57秒 | 社会・文化・政治・経済

遠藤 周作 (著)

(1923-1996)東京生れ。

幼年期を旧満州大連で過ごし、神戸に帰国後、11歳でカトリックの洗礼を受ける。慶応大学仏文科卒。フランス留学を経て、1955(昭和30)年「白い人」で芥川賞を受賞。

一貫して日本の精神風土とキリスト教の問題を追究する一方、ユーモア作品、歴史小説も多数ある。主な作品は『海と毒薬』『沈黙』『イエスの生涯』『侍』『スキャンダル』等。1995(平成7)年、文化勲章受章。1996年、病没。

 

滅入ったら否定してはいけない、逆に肯定しなさい、いわゆるマイナスと
プラスという二分法でなくマイナスのなかにプラスを見つけなさい、という
三分法の考え方には共感できる、
滅入ったときには孤独になれ、孤独のときの対話は本や芸術、それこそ
人生の本質にふれる絶好のチャンス、という筆者のプラス思考の人生哲学
は参考になる。

 

物事を二分法ではなくより多層的な三分法で考えてみようと謳っています。
口語調で様々な事例を挙げて説明しているのでとてもわかりやすかったです。
10年以上前の本ですが今、起こっている様々な問題を予言しているかのような内容が多々あったことはさすが大作家遠藤周作だなと思いました。
宗教色も無く、押し付けがましいところもないので皆にお勧めできます。

 

らくらく人間学―逆さまに見れば何んでも面白くなる

図書館本。 良いか悪いかだけで物事を見る二分法の考え方と、良いところも悪いところもあるという三分法の考え方の違いを述べられている。

確かに物事を二分法でしか考えないやり方ではものの見方として単純すぎるが、どっちつかずになりかねない三分法も使い方が難しい。

また、マナーの話は身につまされるところが多かった。超自然を信じるというのには、どうかと思うところがある。

 

 

久しぶりに遠藤周作さんの作品も読みたくなった。 この本の中で紹介されているライアル・ワトソンの作品も是非読んでみたい。

 

 

滅入ったときは孤独になって、本や芸術と対話しなさい。 やっぱり遠藤周作のエッセイは重みが違うなと思います。

 

 

滅入ったときには孤独になれ、孤独のときの対話は本や芸術、それこそ人生の本質にふれる絶好のチャンスという筆者のプラス思考の人生哲学は参考になります。

 

 

20代のころは、この方の作品を結構読んでました。で、最近もう一回読んでみたいと思って読みました。改めて、やっぱり好きだなって思いました。そして、すごく共感できる部分が多いと感じたけれど、それは、共感したのではなく、若かりし頃の私が多大に影響を受け、今の思考や理想に近づいただけなのかもしれません。  白黒はっきりさせたい私がグレーも感じてみようと思う気がする。そんな一冊です。

 

 

物は考え様ってことでしょうか。自分の考え方だけに偏らないような思考を持たないといけませんね。

 

 

実に軽快な人生訓。でも深い。ぴしゃりと痛快な遠藤先生の言葉。

 

 

 

 


生涯助ッ人

2020年09月07日 09時18分23秒 | 社会・文化・政治・経済

川内 康範 (著)

内容(「BOOK」データベースより)

日本最後の無頼、疾風の人生絵巻!永遠のヒーロー『月光仮面』を生み、愛と別離の運命を描いた『誰よりも君を愛す』で日本レコード大賞をとり、『花と蝶』『君こそわが命』『おふくろさん』など大ヒットをとばした男、川内康範。歴代宰相の懐刀として、政界水面下で躍動!「生涯助ッ人」を信条に、危険をかえりみず、あらゆる権威に立ち向かう。「巷の雑犬」、「文化やくざ」と自から称する男、七十七年の無頼人生は、さながら火を吹く事件簿だ。

内容(「MARC」データベースより)

「月光仮面」を生み、「君こそわが命」など大ヒットをとばし、また、歴代宰相の懐刀として政界水面下で躍動した男、川内康範。自ら「巷の雑犬」「文化やくざ」と称する男の77年の無頼人生。
 
 
著者の川内康範さんは、右翼の大タテモノ視され、暴力団員も
一目おくほどの論客。

なのに天皇の戦争責任をきっちり追求され、
晩年までその姿勢をくずしませんでした。

右翼であれ左翼であれ国の、人々の命を
惜しみなく、私財まではたきマクって、
援助の手を差し伸べられていた、
俗世に生きるマザーテレサのような
タフガイでした。

この本に出て来る有名人、小佐野賢治さん、三島由紀夫さん野村秋介さん、松尾和子さん、
森進一さん、水原弘さん、美空ひばりさん、あるいは山口組の田岡組長など、
みんな彼の恩義と義侠心がなければ、
活躍の場をもっと狭められていたでしょう。

歴代の首相、鈴木善幸さん、田中角栄さん、福田赳夫さんなど
大物政治家も冷静にコメントされています、

波乱万丈の人生っとはこのことですっ!!

絶対に読もう!!
 
 
 
マスコミでは一面的なイメージしか伝わってきませんが、本書を読むと川内氏の力強くぶれない思考が理解できると思います。
インタビュアーも氏についてよく勉強してから臨んでいるので、好感が持てました。

政治家との交友が本書の過半を占めますが、もっと多彩な話に触れて欲しかったです。
それだけひきだしの多かった人なので。

今後、氏が正当に再評価されることを望みます。
 
 
 
川内康範という人の政治的な信条である「生涯助っ人」という言葉は大変な重みがある。多才な面を持つ川内さんだが、なんとなく怖いオジさんという印象があったのだが、読みすすんでいくに従い人柄と、その信念に裏打ちされた確かな思考というものが見えてくる。月光仮面は「正義の味方」であっても、「正義」そのものではないという考え方あたりが、この人が幅広い信頼を得てる所以であろう。
 
 
 
川内康範氏が“範”の字を分けたった一人の弟子である大野景範氏が書いた『無償の愛 森進一君へ 川内康範の遺言』という本を読んだ。
その本のあとがきに、自分の死期を察知した親父は、様々なかたちであっちこっちに“遺言”の種を蒔いたのではないか〜、とあり、この本も“遺言の種”として蒔かれたものに違いないと思い読んでみた。
確かに大野景範氏が言っているように、『無償の愛 森進一君へ 川内康範の遺言』で、川内康範氏が法的効力のない遺言として大野氏に語った、森進一へのメッセージの基礎となる部分がこの本では語られている様な気もした。
「無償の愛〜」を読んでから、この本を読んだら“おふくろさん騒動”の顛末が解かったような気がするし、またその『無償の愛〜』のあとがきに書かれていた事にも納得できる。
 
 

その思想の一貫性と「台風の目となる宿命を負った」その激しさ・反骨精神
とインタヴューアーが纏め、元総理の福田赳夫をして
『康範よ、強情に国士として生きよ』
と言わしめた。
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たけくまメモで面白いところがかなり紹介されているので、自分なりに感じた箇所を書くと
田中角栄のロッキード裁判について、『日本がアメリカに従属している一方通行裁判だからだ。独立国としての主権を放棄したも同然だからね。』

『裁かれるべきは日米両国関係者で(ある。)[中略]直言すれば、サンフランシスコ条約をもって独立国となったわが国の主体性の存亡にかかわる、重大な意味を持つものと断じて良いと私は考える。でなければ三十年の歳月は無に帰する。』

面白すぎる。お薦めの書。

 
 

おくり名「生涯助っ人」

平成20年4月、歌手の森進一さんと名曲「おふくろさん」の歌詞でもめていた作詞家の川内康範氏がご逝去されました。川内康範氏は、戦後、テレビドラマのヒーローとして脚光をあびた「月光仮面」の原作者としても有名な方でした。

 葬儀は無宗教でご家族だけの密葬で送られたそうですが、後日ご家族が「生涯助っ人」という戒名を付けられたと新聞報道がありました。

 報道した記者の方も「戒名とは何か」を深く考えないまま記事にされたかも知れませんが、「生涯助っ人」は残念ながら戒名ではありません。

 そもそも戒名とは、生前に受戒をすませ、俗世の欲望を断ち、仏道修行に励む人に師となる僧侶から与えられる信者名です。ただ、今では死後に付けられることが一般的になっていますので、死後の名前は「戒名」と思いこまれたのでしょう。

 「生涯助っ人」は故人の功績を讃えてつける「おくり名」と呼ぶのがふさわしいでしょう。

 


阪神もう落とせない巨人との残り12戦/梨田昌孝

2020年09月07日 09時14分27秒 | 事件・事故

配信

6日の阪神-巨人13回戦は天候ならびにグラウンドコンディション不良のため、中止が発表された。

【写真】福原コーチ(右)と話し合った藤浪は最後に肩を叩かれる   

 ◇   ◇   ◇

阪神は巨人相手に、1つも負けられない崖っぷちに立たされている。直接対決が12試合残されているから、数字上はチャンスがあるが、ここから全勝するぐらいでないと厳しい。 わたしにも経験があるが、後半戦になってくるとCS(クライマックスシリーズ)を意識した戦いも考える。

しかし、今年のセ・リーグの場合、そのCSがないから、2位、3位狙いというわけにはいかない。 阪神は目の前の1勝を死に物狂いで取っていくしかない。高橋の「中5日」も本人の状態をチェックした上で決めていただろうから、調子は悪くないとみていい。四球から崩れることもないはずだ。 矢野監督は連戦続きのスケジュールを見計らっての投手起用をしてきている。

特に岩崎、スアレスらの投入から感じることだが、先発高橋が7回ぐらいを投げ切って、勝ちパターンにバトンを渡したい。 そのためにはスライド登板となった巨人メルセデスから早めに2、3点の援護がほしい。

13連戦はスタートから僅差の展開が目立っているが、4番サンズを中心になんとか点がとれる雰囲気は出ている。 打者として球数を稼ぐ糸原が復帰してきたが、今は近本、木浪の1、2番が機能している。

糸原はクリーンアップの下で、7、8番ぐらいに置くのが得策だろう。東京ドーム(6戦6敗)と違って、甲子園で地の利を生かした戦いに持ち込みたいところだ。

また5日の巨人戦でKOされた藤浪に関してだが、連戦続きを考慮すると、それなりのイニングは稼いでほしいという思惑はあったはずだ。ただあれだけリズムが悪いと、バックは守りにくい。だからミスがでる負の連鎖だった。次回の変化に期待したい。(日刊スポーツ評論家)

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阪神・矢野監督 7・5差G討ちへ 高橋を今季初の中5日投入「もう勝つしかないので」

2020年09月07日 09時05分57秒 | 事件・事故

9/7(月) 5:30配信

スポニチアネックス

<神・巨 雨天中止>キャッチボールをする阪神・高橋(撮影・坂田 高浩)

 阪神は6日の巨人戦が「天候不良およびグラウンドコンディション不良」で中止となった。過密日程のため、振り替え日は現時点で最終戦となっている11月5日のヤクルト戦より後に回されることが確実。

7・5ゲーム差の宿敵を猛追できれば、優勝をかけた最終決戦となる可能性も出てきた。矢野燿大監督(51)は、7日の先発に今季初の中5日で高橋遥人投手(24)を起用。挑戦権を残すためにも、大きな期待を寄せた。

 阪神の練習が終わった直後から、甲子園はすぐ前も見えないような猛烈な豪雨に襲われた。小降りになったものの無数の水たまりができ、午後5時5分に中止が決定。13連戦のほぼ真ん中の試合がなくなったことを矢野監督は前向きに受け止め、7日の仕切り直しへ目を向けた。

 「雨でどうこうは俺らが何かできることじゃない。プラスに捉えるし、もう勝つしかないので。その思いを前面にぶつけた一戦にしたいなと思います」

 結果的に3試合になった今回の直接対決は1勝1敗で、きょう7日に勝ち越しがかかる。先を見据えても、絶対に落とせない一戦だ。過密日程のため、今回の中止分は現時点で組まれている11月5日のヤクルトとの最終戦より後日に回されることが確実。1ゲーム差以内に詰め寄っていれば、優勝を懸けた決戦に持ち込めるのだ。

 もちろん、残り55試合で7・5差は非常に高いハードル。直接対決は1つたりとも落とすわけにはいかない。敵軍がメルセデスをスライド先発させてきた中、矢野監督は秋山をスライドさせず、安定感抜群の高橋を今季初めて中5日で投入することを選んだ。

 「点取ることも大事だけど、抑えることも大事なんで。(高橋)遥人で行こうと思っている。何試合か投げて疲れも出てくると思うんだけど、もう大丈夫じゃないかなというところで中5日で」

 今季の巨人戦には2試合で1勝1敗ながら、防御率0・64。計14回で5安打しか許さず、17三振を奪っている。今の先発陣で最も強烈な球を投げる左腕を登板間隔を縮めて首位にぶつける。高橋自身も大一番を任された自覚十分だ。

 「ジャイアンツを倒さないと上にはいけないですし、現状一番上にいるチーム。勝てるように自分の投球に集中したい」

 秋のペナントレースの盛り上がりは、猛虎が宿敵にどこまで食らいつけるかにかかっている。最後の最後まで虎党を熱狂させるためにも、まずは7日、必勝しかない。(山添 晴治)

 ○…阪神の試合中止は今季5度目で、6日時点では巨人戦(甲子園)と広島戦(マツダ)の2試合が日程に組み込まれていない。広島戦は7月3日の1回戦が降雨中止となり、予備日の同6日も中止となっていた。

 ○…高橋(神)の先発中5日登板は19年に2度あり、7月20日ヤクルト戦7回2失点→26日巨人戦5回1/32失点で勝敗なし、9月6日広島戦4回6失点→12日ヤクルト戦4回8失点で敗戦投手。

 

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GHQが焚書をしてまで消したかった戦前の日本

2020年09月07日 08時38分52秒 | 社会・文化・政治・経済

東亜全局の動揺 著者:松岡洋右

日独伊三国同盟を結び、大日本帝国の国際連盟脱退を決定、日本を世界から孤立させた軍国主義者…そして戦後は「A級戦犯」の判決を下され、獄死…

※画像は原書のものです。
お届けするものは復刻版となります。

そんな人物が書いた本なんてどうせ暴力的な主義主張にまみれて、気持ちが悪い…そう思われるかもしれません。しかし、ちょっとだけ待ってください。実はこの本、少々変わった事情を抱えているんです、、、
私たちのおじいちゃん達は卑怯者だったのか?
戦後生まれの私たち世代は、「日本はアジアに迷惑をかけた」と教育されてきました。ですが当時の日本を取り囲む国際情勢がどういう状況だったかまでは、あまり知られていないかもしれません。

実際は戦前のアジアでは、ソ連が南下し、中国は混乱。フランスはインドネシアを抑え、イギリスはインド、ビルマ、マレー半島に居座りました。オランダはインドネシアを奪い、アメリカは太平洋を渡りフィリピンを占領しました。つまり、日本は八方から攻められ追い込まれていたことは事実です。そして日本が戦争に進んだのも事実です。

ただ、今の日本ではあまりにも、結果論から見た後出しの批判が多すぎると思いませんか? 本当に日本はそんなに「バカ」で「野蛮」で「卑怯」な国だったんでしょうか? 当時の日本はどういう状況だったのか、また当時の人はどう考えなぜそうなったか…今から真実を知っても遅くはないはずです。私たちのおじいちゃんたちの名誉のためにも・・・
GHQが極秘に進めた焚書という国際法違反
GHQは日本の戦前の図書を17年間に遡り極秘に没収し私たちの目に届かないようにしました。これを「焚書(ふんしょ)」と呼びます。焚書指定にしたのは日本の歴史の改ざんであり国際法違反との指摘が専門家からもあります。

なぜGHQは国際法に違反してまで日本の書籍を極秘に没収し(個人を除く、全国の書店、古書店、官公庁、倉庫、流通から輸送中のもの)私たちの目に届かないようにしたのでしょうか?
GHQが焚書をしてまで消したかった戦前の日本

今は戦後75年です。当時のことを知っている人は少なくなりました。

当時の私たちのおじいちゃんや先人たちが何を考えていたのかを直接聞ける機会は少なくなりました。

そして私たちは焚書をされたことで当時の日本がどんな状況でなぜ、戦争へと進んでいったのか、先人たちは日本をどんな風に守りたかったのか、いまの日本人に何を残したかったのか、当時はどんな苦難があったのかを知ることは難しくなりました。

ここで一つの焚書を紹介したいと思います。

著者は当時の天才外務大臣であり、満州鉄道の社長を歴任した松岡洋右です。松岡洋右は焚書の中でこう言っています。
“外交は主として経済問題がその基調を作るものである。お互いが満足にご飯を食べて行く、ということを主にその目標としているのである。

日を逐うて人口は著しく増加し、生活は益々困難となり、我国民は殆んど喉首を締められるような気持ちがして居る、生活の途を国際的に切り開き、せめて孫くらいまでの生活を保証して置きたい。すなわち大和民族の生存権の主張である”
松岡洋右は見抜いていた

今日、松岡洋右といえば、「国際連盟の脱退」を決め、その後「日独伊三国同盟」を進め、日本を国際的に孤立させた「軍国主義の象徴」のような“悪人”として、学校で教えられていますが、、、

不思議に思いませんか?

本当にそうだとしたら、なぜ松岡洋右の主張をありありと書いたこの本を、連合国は「没収した」のでしょうか?

本当に松岡洋右が「日本に戦争をさせた悪人」なら堂々と公開して、その醜態を戦後の日本人に晒した方が良かったのではないでしょうか?

しかしGHQはそうはしませんでした。そうしなかったというところに「戦前の真実」が隠されているのではないでしょうか…?

実は「日本を戦争へ導いた」とされている松岡洋右こそ、満洲事変を避けようと著書を残していたのです。産経新聞「正論」元編集長の上島嘉郎さんもこの本に関して「戦後は、日独伊三国同盟を結んだ”戦犯”として切って捨てられ、批判者もさして松岡の当時の言説を読んでいないのでは…。」とコメントされています。

そこでぜひ多くの人に真実を知っていただきたいと思い、この松岡洋右の著書「東亜全局の動揺」の復刻に取り掛かりました。そしてこの度、これを見てくれているあなたに復刻版をお届けしようと思いご案内いたします。

今回お届けする本は全部で5章で構成されています。その詳細はこちら、、、
復刻・松岡洋右『東亜全局の動揺 - 我が国是と日支露の関係 満蒙の現状』
【第1章】
序論〜戦後日本人が知らない”外交”の真実
第1章では「当時の外交と国際政局」について述べられています。その内容は、、、

「幣原外相の矛盾答弁」当時の官僚が知られたくなかった中国との密約とは?
「霞が関に潜伏する中国のスパイ」上海、南京、東京…外務省の不可解な言い訳
「世界が歩み始めた”国際協調”の大嘘」ベルサイユ、不戦条約、ドイツ賠償…“理想の空のみ仰いで歩くと井戸に落こちる”
【第2章】
対露外交〜ロシアの謀略と利用された幣原外相
第2章では日露国交回復後の日本とロシアの外交とその悲惨な内容について述べています。

「日露国交回復」ロシアが得たもの、日本が失ったもの…騙され続ける幣原外交の真相
「田中義一内閣が着せられた濡れ衣」歪曲された日露漁業条約
「ルールを破り、恩を仇で返すロシアの性根」唐突な朝鮮銀行閉鎖命令
「ロシアに狙われた在留邦人」カムチャツカ223号漁区の不正競争事件
【第3章】
対支外交〜複雑怪奇な中国のカラクリ
第3章では言わば「戦国時代」と化したアジア大陸の混乱と翻弄される日本について述べています。その内容は、、、

「中国のダークホース・共産軍」見え隠れするロシアの影と満蒙に仕掛けられた罠
「モザイクと化した中国政府群」張学良、閻錫山、馮玉祥…交渉すべき相手は誰か?
「国民革命と経済戦争」日米英と中国で食い違う主張…恐慌以来世界に暗い影を落とすグローバリズムの正体
「アグレマン問題」”虚偽と錯覚と得手勝手な言文とより外何ものもない”
【第4章】
満蒙問題〜満洲事変前夜
第4章では、戦後の教科書では決して分からない「満洲事変前夜」の満洲の様子が、リアルに描かれています。その内容は、、、

「中村大尉惨殺事件」中国で高まる排日運動と蒋介石の放言
「ナショナリズムの片鱗もない中国民族」敵は味方にあり…中国人が決して日本人に協力しない訳
「張作霖爆殺事件」闇に葬られた南満州鉄道の真実
「中国官民の朝鮮人迫害」ロシア・中国の革命外交に屈し続ける幣原式の「定石外交」
「石井ランシング協定」米国が認めた日本の権益とそれを投げ打った「現政権」
【第5章】
結言〜満洲の地政学と日本に期待を寄せる米英仏
第5章では、地政学的に定められた満洲の運命と日本に期待を寄せる米英仏について触れています。その内容は、、、

「明治維新に置き忘れてきた日本人の気迫」平和的な大和民族だからこそ知るべき帝国主義世界の現実
「満洲の地政学」襲来、陰謀、無力…予言された東アジアの動乱
「日本に課せられたエンパイヤー・ビルディング」大和民族にしか東亜全局の安定は実現できない
「シベリヤ鉄道完成」ロシアに飲み込まれる中国と傍観する日本
「明治以降、日本が一等国になれた理由」”民政党内閣の如き消極態度ならば、恐らく四等国か五等国、それが関の山であったろう”

※送料手数料だけご負担ください
復刻・松岡洋右「東亜全局の動揺」をお読みになった方の感想
      「焚書の貴重な復刻。衝撃と感動をもって読みました」
By 岸本堅太郎様
焚書の貴重な復刻。衝撃と感動をもって読みました。
こういう松岡の真の主張も知らずして、国際連盟を脱退して日本の道を誤らせた男としてこれまで松岡を評価していたのが恥ずかしい。「閉ざされた言語空間」がいまだに生き続けていることですね。しかも今後開放されるような機運があまり期待できないことを思うと、日本の将来はそら恐ろしい気がします。貴社のこうした活動がもっと広がり、日本人を取り戻したいものです。
※お客様個人の感想であり、成果や成功を保証するものではありません。
      「70年前とは思えないほど、現代に当てはまる」
By K子様
今まさに現在進行形の、日本外交の危うさに似て、警鐘を鳴らす本だと受け止めた。当時の外務省、大臣達が国民の意向にお構い無く、外交を自分達の専売品の如く考え、また、正確に国民に知らせない言論界をも嘆いている。まるで、現在進行形の日本をみているようだ。過去の教訓として、二度と同じ過ちを繰り返さない為にも、多くの日本人に読んで欲しい。
そして何より松岡洋右氏のイメージが変わった。「外交は特別ではない、常識である」という言葉に、氏の日本を思う人となりを見た。世界情勢を正確に把握した大変優秀な人だったと認識した。復刻本を届けていただき、ありがとうございます。
※お客様個人の感想であり、成果や成功を保証するものではありません。
      「松岡洋右の痛快な弱腰外交批判」
By 山口新平様
今大きな問題になっている日ロ、日韓、日中の問題については、この本の内容がそのまま当てはまっていることに驚きました。腰抜け外交批判は痛快でもあります。今の日本の謝罪外交が引き起こした罪深さは今後に長く影響を及ぼすと思います。日本人の考え方は他の国には決して通用しないことを理解しなければなりません。憲法前文が示すような「お人よし」な国家は存在しないのです。たとえ顔かたちや皮膚の色が似通っていても(中国、朝鮮)考え方はまるで違います。私も海外勤務の経験があり、今の日本の外交姿勢にはうんざりしています。リスク覚悟の外交が必要でしょう。
※お客様個人の感想であり、成果や成功を保証するものではありません。
      「これをGHQが発禁にしたのも自然」
By 松本明様
米国ウイルソン大統領時代に既に敷かれた国際金融資本とユダヤ系共産主義者の活動による影響が支配的となりつつあった、当時の満蒙をめぐる政治情勢を知る現在の日本人にとっては、松岡の苦闘と前民政党政権の幣原外交に対する忸怩たる想いには同情を禁じ得ません。軍隊があり治安維持法が施行されていた当時の日本においてすら、国内政治に国際金融資本を通じて危険な勢力が扶植されつつあり、4-5年の培養機関を経て風見・尾崎という秀れた共産主義者の働きで結実し、近衛は致命的な政策決定をすることになります。そういう時代の外交の真実を活写した本書を、GHQが発禁にしたのは自然でしょう。今の日本人にできることは、先ず歴史の真実を知ること。萩生田文部科学大臣には高校教科書の現代史の抜本的な改訂を期待します。
※お客様個人の感想であり、成果や成功を保証するものではありません。
      「松岡洋右の印象が大きく変わった」
By FY様
今まで、如何に歴史の真実を知らなかったのか、ということを恥ずかしく思っています。インターネットが無い時代に、わが人生の多くを生きてきた者として、オールドメディア、日教組、左翼教員から嘘を教わってきたということが、腹立たしく思います。
松岡洋右氏の今までの印象は、テレビで何度も放映された「日本は、満州国に関する決議案に反対して退場し、国際連盟を脱退した」というものしかありませんでした。印象が悪く、横柄な態度の人、偉そうにしている日本という風に受け止めていました。
ですが、この本を読み、そのことが大きな間違いであることがわかりました。
まだまだ、間違った知識があると思いますが、今後もご指導賜りたいと願っております。
※お客様個人の感想であり、成果や成功を保証するものではありません。
      「松岡洋右の怒りがよくわかる」
By 富山伸夫様
東亜全局の状況に関して、当時の我が国の外交姿勢に対する悲憤慷慨がよくわかります。なにやら最近の世界情勢と似通っていると感ずるところがあります。
しかし、当時の世界情勢とその後のいきさつを見てしまった現在、少し大局観に欠けていたかなと思います。その後、国際連盟脱退やナチス政権との同盟などに国を導いてしまったのは、一体どうしてなのか気になるところです。
※お客様個人の感想であり、成果や成功を保証するものではありません。
      「松岡洋右は世界の大局を正確に把握していた」
By フランク様
本書では、松岡洋右が対米英との米英強調路線と対支那の中国内政不干渉を方針とする幣原外交を、何故に激しく批判したのかを語っています。本書を読むと、松岡の頭脳は常人の理解を超えた働きを示し、世界の大局を正確に把握しながら、常識を超越した発想が瞬時に湧き出し、それを電光石火のごとく行動に移せる並外れた実行力があったことがわかります。本書が書かれた時代よりも下りますが、1941年6月22日、独ソ開戦の報を聞くやいなや、松岡は即座に宮中に参内し、ソ連攻撃を天皇に進言しました。僅か2月前に松岡自ら締結したばかりの日ソ中立条約を一方的に破棄するなど信義にもとる、などというのは日本人特有のお人よしの発想です。説得に応ぜずに戦い続ける相手、あるいは「和の国」を害そうとする相手とは、剣をもって戦わなければならないと思い知りました。「和の国」は「非武装平和」では建設も維持もできないということです。大東亜戦争敗戦の原因と責任を追及し、「和の国」を輝かしい未来につなげていこうと思う人に、ぜひ読んで頂きたい一冊です。
※お客様個人の感想であり、成果や成功を保証するものではありません。
      「こういう本をなかったことにしてはいけない」
By 憂国士様
GHQが焚書したかった本を読み返すということそれ自体にまず、とても大きな意義がある。
松岡個人の意見には、もしかしたら若干の誤りもあったのかもしれない。思い込みが過ぎるところもあったのかもしれない。しかし松岡がこう考えたという事実だけは確かであり、なぜそのように考えるに至ったかも併せて考証することは、これもまたとても大きな意義がある。
この復刻版を読んで松岡に心酔するもよし、逆に評価を下げるもよし。しかし、この書をなかったことにして永遠に闇に葬ることだけは、絶対に間違っている。松岡に反対したい御仁は、この書の存在を踏まえた上で、反対論をぶち上げられるがよろしい。私は拝聴いたしますよ。
※お客様個人の感想であり、成果や成功を保証するものではありません。
      「生々しい当時の様子がわかる」
By kohituji様
当時の生々しい時局がはっきりと分かった。
昭和5年生れの私たちが聞いた時代は、この文章は一般には知られず、世の中には出ていなかったと思う。
少し物心ついた昭和12年頃から16年ころのなりますが、父親たちが話していたのは、新聞、ラジオ、風説による情報で、松岡洋右の外交交渉、条約など日本に不利な事をした人物としての外交批判だったことを覚えている。(端的に言えば、あいつは馬鹿野郎だった、というもの)
これを読んだ今、当時のことが正しく認識できて、そうだったのかとの思いです。
歴史の認識はこういうことで操作され、造られていくのだと感じています。
※お客様個人の感想であり、成果や成功を保証するものではありません。
      「上島先生の解説があるので助かった」
By アンコールワット様
貴重な文献の復刻に感動しました。ただ、難しい表現が多いので、読む前と読んだ後で上島先生ご自身の解説講座を参考にしました。
※お客様個人の感想であり、成果や成功を保証するものではありません。


「脳腫瘍で別人格」40代男性を支えた妻の受難

2020年09月07日 02時05分08秒 | 医科・歯科・介護

9/6(日) 5:36配信

東洋経済オンライン

脳腫瘍が原因で夫の性格が豹変し、暴言・暴力がエスカレート。葛藤と孤独の果てに下した妻の決断とは?

子育てと介護が同時期に発生する状態を「ダブルケア」という。ダブルケアについて調べていると、子育てと介護の負担が、親族の中の1人に集中しているケースが散見される。
なぜそのような偏りが起きるのだろう。
連載第10回は、40代で脳腫瘍が発覚し、手術後、高次脳機能障害になり、性格が激変してしまった夫の介護と子育てをしながら公務員試験を受け、一家の大黒柱として働いてきた女性の事例から、ダブルケアを乗り越えるヒントを探ってみたい。

■夫に脳腫瘍が発覚

 宮城県在住の新田夏美さん(仮名、48歳)は、18歳で非正規公務員として就職し、同じ職場で働いていた夫と出会い、23歳で結婚。約1年後には長女、その6年後には次女が誕生し、子育てと仕事で忙しいながらも、幸せに暮らしていた。

 ところが2012年のゴールデンウィーク。家族で新田さんの実家へ帰省しようとしていたところ、車を運転していた夫が道を間違える。

 「自宅から近く、普段からよく通る道だったので、少し嫌な予感がしました。ゴールデンウィーク明けには、仕事帰りに夫に買い物を頼んだのですが、忘れて帰ってきてしまい、『何かおかしい』と違和感を抱きました」

 そして6月のある朝、夫は起き抜けに激しい目眩(めまい)を訴え、布団に突っ伏したまま15分ほど動けなくなる。

 不安に思った新田さんはその翌日の夜、夫を伴い自宅近くの病院を受診。頭部CTを撮ったところ、脳腫瘍が発覚。

 すぐに大学付属病院を紹介され、精密検査を受けると、腫瘍は6センチ大になっていた。

 夫は10月に手術を受けることができたが、手術室に入る前までは穏やかで優しかった夫が、手術を境に性格が変わってしまっていた。

■高次脳機能障害に

 手術から約1週間後のこと。病院の売店に夫と2人で行くと、夫は陳列棚に身体の左側をぶつけてしまう。すると棚にあった商品がバラバラと床に落ちた。

 慌てて新田さんが商品を拾い始めたが、夫は顔色ひとつ変えず突っ立ったまま。

 変に思った新田さんが「どうしたの?」と聞いても、「別に」と一言。新田さんが拾う様子を眺めているだけだった。

 「夫は半月ほどで退院しましたが、手術前と比べるとこだわりが強く、怒りっぽくなり、物忘れが多くなりました。でも、当時高校2年だった長女も、小学5年だった次女も、まだ笑って済ませられる程度でした」

 しかし2013年の1月、年末年始の休み明けから復職した夫は、手術前のように仕事ができなくなっていた。

 当時、新田さんの夫は20人ほどの部下やパートのまとめ役だったが、職場へ行っても何をしていいかわからなくなっていたのだ。

 失敗続きで自信をなくした夫は、次第にうつ状態になっていき、4月には精神科への通院を開始。

 「夫はつねに怒っていて、私に食ってかかるようになりました。今思うと夫は、脳腫瘍の手術で『帯状回』という大脳辺縁系を手術したため、10月の時点で高次脳機能障害になっていたんだと思います。しかしこのときの私はまだ、高次脳機能障害という障害があることすら知りませんでした」

 本当に夫は“うつ状態”なのか、疑問に思った新田さんは、ネットで夫の症状を調べ始める。

 そして「高次脳機能障害」という後遺症があることを知り、市内にあるリハビリセンターで診てくれることがわかるとすぐ予約を入れ、6月中旬に受診した。

 新田さんが今までの経過を簡単に話し、大学病院から借りたMRIの画像を見せ、認知機能を診るテストを終えると、医師は「高次脳機能障害で間違いないでしょう」と診断。

 詳細な検査をすると、夫には記憶障害、注意障害、遂行機能障害、知能の低下(IQが項目によっては正常以下のボーダー域)、社会的行動障害(怒りっぽい、こだわりが強い)、左半側空間無視があることがわかり、障害者手帳の申請をしたところ、精神障害3級の手帳を交付された。

 もともと夫は仕事好きで働く意欲が強かったため、医師の勧めで3カ月間仕事を休職し、就労支援を受けることに。

 就労支援が終了すると、リハビリセンターの支援員が職場との調整に入り、障害者の夫ができる仕事を配慮してもらえた。

■脳腫瘍の再発

 ところが2015年の春、MRI検査で脳腫瘍再発の兆候があり、7月には念のため入院してPET検査を受けることになった。

 結果は再発確定。落ち込んだ夫は、「これ以上高次脳機能障害が進んで、自分のことが自分でできなくなるのは嫌だ」と手術を拒否する。

新田さんは、夫の意志を尊重するか、手術を受けるよう説得するべきか迷った。

 「当時娘たちは大学2年と中学2年。まだまだ父親が必要な時期だと思い、手術を受けるよう説得しました。でも思い返してみると、夫が手術を受けないことにいちばん恐怖を覚えたのは私でした。夫が死んでしまうことへの恐怖。家族を1人で支えることへの恐怖。たぶん、1人で生きていくことが怖かったんだと思います」

 夫は9月に手術を受け、生還。

 退院後、抗がん剤の投与と放射線治療のため再入院。1カ月半で退院し、抗がん剤の維持療法に移行した。

 11月、夫は言語聴覚士のリハビリを受けた。

 リハビリ内容は、夫が座っている場所から2メートルぐらい離れた机の上の書類を取り、すぐ横の机の上に書類を置き、元の場所に戻る……という簡単なものだったが、夫はまったくできなかった。

 イスから立ったところで立ち尽くし、言語聴覚士に促されて机の前に行くものの、何をしていいかわからず言語聴覚士のほうを見る。言語聴覚士に書類を隣の机に置くよう言われ、書類を持ち隣の机に置く。

 しかし書類を置いたところで立ちすくみ、今度は新田さんのほうを見て、言語聴覚士から「席に戻ってください」と言われ、やっと席に戻る……といった具合に、連続した作業をすることができなくなっていた。

 高次脳機能障害は、すぐにリハビリをすれば多少は回復することがあるため、大学病院を退院後はリハビリセンター付属病院に移り、2カ月間入院して生活支援のためのリハビリを受けたが、一度損傷を受けた脳はあまり回復することはなかった。

■地方公務員に転職

 新田家はもともと共働きだった。夫が脳腫瘍になる前は、夫のほうが残業が多かったため、新田さんが家事育児を担っていた。

 脳腫瘍が発覚したとき、新田さんがまず最初に襲われた不安は、生活のことだった。

 当時はまだ長女が高校2年、次女が小学5年。新田さんはパート(非正規公務員)で働いてはいたものの、年収は200万円もない。

 そこで新田さんは、収入を上げるために転職活動を開始。新聞に公務員試験の募集記事が載っているのを見つけ、即申し込みをする。

 試験まで1カ月ほどしかなかったが、仕事後帰宅し、一通り家事を終えると、毎晩公務員試験の問題集を解いた。数学が苦手な新田さんは、高校生の長女に解き方を教えてもらった。

 そしてみごと合格し、翌年、地方公務員(行政事務)に転職。

 しかし、経済的な安定は得られても、パートタイムからフルタイムに働き方が変わったため、仕事の責任は重くなり、残業も増え、介護・育児と仕事の両立に悩む。

 「私の父は11年前に亡くなっており、母や妹は心配はしてくれていますが、母は昔から体が弱く、病気がちなので頼れません。妹は2人の子どもがまだ小さく、育児でいっぱいいっぱいです。夫の親やきょうだいの協力はほぼ得られず……。

 たった1人でダブルケアをこなす心身ともに苦しい状態が続き、ものすごく孤独でした。でも、介護も育児も仕事も待ってくれません。『誰か助けて!』といつも心の中で叫んでいました」

 新田さん夫婦は当時40代。周囲に介護をしている人はおらず、ダブルケアのつらさに共感してくれる人はまったくいなかった。

 「悩みを相談する相手はなく、さらに“娘たちの父親代わりにならなくては”というプレッシャーや責任も加わり、押し潰されそうになっていました」

 娘たちの周囲にも、父親が病気で介護が必要な友だちはいない。家庭での悩みや愚痴を友だちや先生にも言えず、2人ともつらい気持ちを抱えていた。


■高次脳機能障害者の介護

 脳腫瘍の手術前後は2回とも自宅療養がほとんどだったため、夫が家で家事をし、新田さんが外で働くという役割分担をしていた。

 「高次脳機能障害者の介護はさまざまですが、夫の場合は、自分がしたことをすぐに忘れてしまうため、冷蔵庫を閉め忘れたら閉め、コンロの火を消し忘れたら消し、玄関のドアが開けっぱなしなら閉め、トイレの水を流し忘れたら流すなどの生活全般を見守り、できないことを助けることと、暴言・暴力に対応をすることが主な介護でした」

娘が家にいるときは娘が夫を見守り、何かトラブルがあればその都度対応し、新田さんが帰宅すると不在の間の夫の様子を伝えてくれた。

 「主な介護者は私ですが、私は生活のために働かなくてはなりません。私が仕事で遅くなるときは、夫が何かをしでかさないように、娘たちが夫の見守り介護をしてくれました。本当は友だちと学校生活を謳歌してほしいのですが、父親の介護のために帰宅せざるをえない毎日です。こんなにつらく悲しいことはありませんでした」

 自宅療養中に夫は、「家計を任せてほしい」と言い出した。新田さんは反対したが、高次脳機能障害になった夫は、怒り出すと手がつけられない。

 仕方なく夫と新田さんの給料が振り込まれる新田家の銀行口座の通帳とカードを預けたところ、食費だけで月に10万円以上使ってしまう。冷蔵庫には同じものが何個もたまり、食べきれずに腐って捨てる……という悪循環に陥る。しかし家の通帳とカードを返すよう言うと、すごい剣幕で反論してくる。

 またあるとき夫は、「買い物に行くのに新しい自転車が欲しい」と言って自転車を買ったが、鍵をかけることを忘れ、買った翌日に盗まれてしまう。

 代わりに長女の自転車を借りたが、今度は自転車に乗ってきたことを忘れ、帰りは歩いて帰ってくる。夫が自転車をなくすたびに、新田さんは娘たちと自転車を探しに行った。

 さらに、家の通帳とカードを握った夫は、新田さんにお金をほとんど渡してくれないため、化粧品や生理用品を買うこともままならない。そのうえ、大学生になった長女の教育費も「払いたくない」と言い始める。仕方なく新田さんの個人的な貯蓄を取り崩して長女に渡していたが、貯蓄も底を尽きる。

 「『障害だから』と思い、数カ月は我慢をしていましたが、まるで経済的DVを受けているような状況に、ついに私の堪忍袋の緒が切れて、夫と大げんかになりました。そして夫の復職を機に、家の通帳とカードを返してもらいました」

 夫は2016年6月、約1年ぶりに復職した。

■首絞め・羽交い締め・警察沙汰にも

 ところが復職後、夫の暴言や暴力がエスカレートしていく。

 朝起きたばかりの、脳や身体が元気なうちは比較的穏やかだが、仕事で疲れて帰宅する頃には暴言や暴力が激しくなる。

 きっかけはいつもささいなことだ。例えば、次女が苦手なピーマンを残したら、「お前のしつけが悪いからだ!」と怒り出し、少しでも反論しようものなら、ひどいときは首絞め、羽交い締め、腕をつかんで振り回す、抱え上げて床へ落とすなどの暴力に及んだ。

 暴言や暴力は、娘たちにも振るわれた。「塾へ行きたい」と言う長女に怒り、首を絞める。次女が夕食を残したことに怒り、背中に飛び蹴りする……。

 「私たちは、数えきれないほどの暴言を浴びせかけられてきました。私には、お前のせいで脳腫瘍になった、お前は母親失格だ、俺を監視するな、お前と結婚して俺の人生台無しだ! など。

 長女には、誰に学費を払ってもらってると思ってるんだ、お前みたいな女は結婚できんぞ、ちょっと勉強ができるからって調子乗るな! など。

 次女には、お前はほんと勉強ができないな、お前は発達障害か、お前みたいなバカに塾行かせてやってんだ感謝しろ! など……。暴言だけでなく、対応に困る理不尽な要求もあり、1日働いて帰宅した後の介護は、精神的にも体力的にもキツくて困り果てています……」

 夫は暴言や暴力をふるった後も、決して謝らない。夫は自分以外の人を思いやる気持ちや共感する力をなくしてしまっていた。

 新田さんは、激高した夫に恐怖して警察を呼んだり、22時過ぎに近くの交番にパジャマのまま裸足で助けを求めたこともある。

 子どもの前で夫婦げんかをし、警察が介入したことから、「子どもに対する精神的虐待」ということで、児童相談所の面談を受けたこともある。児童相談所から連絡があったときも夫は、「お前が警察に電話したせいだぞ!」「お前が娘を虐待したんだ!」と怒鳴った。

 2017年4月。次女は高校生になったが、夫の高次脳機能障害は進み、精神障害者手帳は3級から2級になっていた。

■明るい未来は別居か離婚か現状維持か

 そして2020年、長女は就職して一人暮らしを始め、次女は看護学生になり看護を勉強している。

 8月のある日、やはりささいな口論から、夫は突然「別居したい!  離婚だ!  子どもは俺が育てる」と言い出した。

 「夫が別居や離婚を望む理由は、『娘たちに暴言を吐くなんて母親として不適格だ!』というのです。確かに私は、夫の介護と仕事に追われ、娘たちの細かなことにまで手が回らなかったかもしれません。

 とくに次女が思春期を迎えた頃は、何度か母娘げんかをしたこともありました。でも、早朝に起きて弁当作りから制服や体操服の洗濯、学校生活で必要な物を買いそろえ、おこづかいも渡してと、高校生として恥ずかしくないように、やれるだけのことはやったつもりです」

 このときばかりは新田さんも、長年夫を支え、介護してきた努力が夫にまったく理解されていないとわかり、涙がこらえきれなかった。

 夫はそれまでも何度か別居や離婚を口にしてきたが、障害者の夫1人で家を借りて暮らすのは難しいうえ、夫はすぐに忘れてしまうため、新田さんは相手にしなかった。

 ところが、夫は自分で姉2人に電話し、夫の実家近くの喫茶店で会う段取りをつけてしまう。

 「夫が姉たちに『俺はこいつにいじめられているから、離婚か別居がしたい』と切り出すと、『大事な弟なんだからちゃんと面倒見なさいよ!』『かわいそうな弟!』と義姉2人にののしられました。

 でも、私は夫を約9年介護してきましたが、義姉たちは数年前、義母の介護に音を上げて、1年も経たずに施設へ入所させているうえ、私が助けを求めても、真剣に話を聞いてはくれませんでした」

 新田さんvs義姉2人+夫で激しい口論になったが、見かねた下の義兄が間に入り、話し合いを仕切ってくれた。

 夫はグループホームなどの見守りサービスがある施設に入るのが現実的だが、「見守りなんて要らない!  一人暮らしできる!」と渋る。新田さんは、「私も娘たちも、夫の一人暮らしのための保証人になんてならない!」と話は平行線。結局下の義兄に、「このまま別居か離婚をしたほうがいいのではないか?」と言われた。

 新田さんは、その後も夫の希望どおりにしたほうがいいのか、自分が介護を続けたほうがいいのか考えた。しかし答えが出ないので、久々に母親に電話してみることに。

 現在71歳の母親は、身体は弱いが頭はしっかりしている。新田さんが珍しく弱音を吐くと、母親は言った。

 「あなたにまだ夫を愛する気持ちがあるなら、希望どおり別居してあげたら?  それがあなたにできる最後の優しさじゃない?  もし離婚するなら、姻族関係終了届を出して、義理のお家とは完全に縁を切りなさい。私があなたならとっくの昔に離婚してるでしょうけど、あなたは昔から我慢強いから……」

新田さんは、はっとした。

 「『私は今まで何にこだわっていたんだろう?』と思いました。私は今まで夫を心配なあまり、『私が面倒を見なければ!』と思い込んでいて、夫にとっては重荷になっていたのかもしれません。『離婚したい』と言う人の介護をし続けるのも精神的にしんどいですし、1人で介護を続けることに限界を感じてもいます。

 今、私にできることは、障害福祉サービスの手続きをし、夫が望む別居に向けて環境を整えて、夫が1人でも暮らしていけるようにすること。夫にも私にも希望が持てる未来につなぐことではないかと考え始めました」

■1人で抱え込まないために

 新田さんは、障害福祉サービス利用のための手続きを進めた。しかし、「障害者数に対してサービスを提供できる事業所や人が少なく、順番待ちになるため、サービスを受けるまでかなり待つことになります」と言われる。「介護保険なら待ち時間が少ないので、旦那さんに高齢に起因する疾患がないか確認してみてください」とのこと。

 障害者の福祉サービスは、高齢者の介護よりも整備が遅れているようだ。

 「私の生きる支えになったのは、2人の娘でした。娘たちの父親だから、介護し続けられたのだと思います。高次脳機能障害の介護は人によって違いますが、夫の場合は暴言・暴力が激しく、感謝されることがほぼないため、介護の負担が重く感じます。

 でも、親やきょうだいなど、周囲の人が介護している人のつらさ・苦しさを理解して、共感や感謝、ねぎらいの気持ちを持ってくれていたら、負担感は全然違ってくると思うのです」

 ダブルケアの多くのキーパーソンは孤独だ。

 「介護をしていて感じるのは、共感してくれる存在の大切さです。人とのつながり、地域とのつながりをもっと大切にすべきだったと今頃になって感じています。介護は長期戦です。私のように1人で抱え込んでいると、いずれ破綻します。1人で抱え込むのがいちばん危険です。今すぐにでも、信頼できる人に相談したり、福祉サービスを利用したり、周りの人の力を借りてください」

 新田さんは、自分と夫と娘たちにとって明るい未来を模索している。

旦木 瑞穂 :ライター・グラフィックデザイナー

 

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「news23」山本恵里伽アナ、菅官房長官へ自殺した近畿財務局職員の妻の再調査を求めるメッセージを質問「この奥様の言葉は1人の人間としてどうお感じになりますか」

2020年09月07日 02時02分29秒 | 社会・文化・政治・経済

9/4(金) 7:45配信

スポーツ報知

菅義偉官房長官が3日放送のTBS系「news23」(月~木曜・後11時、金曜・後11時半)にスタジオ生出演した。

自民党総裁選への出馬を表明した菅氏にキャスターで同局の山本恵里伽アナウンサーは、学校法人「森友学園」への国有地売却を担当し自殺した財務省近畿財務局職員の赤木俊夫さんの妻、雅子さんが「次に首相になる方は夫がなぜ自死に追い込まれたのか。第三者委員会を立ち上げ公正中立な調査を実施していただきたいと思います」と再調査を求めていることについて尋ねた。

 菅氏は、すでに再調査しないことを表明しているが「この問題については国会でも何度となく議論しました。そして財務省において徹底して調査をし、その結果として処分をしました。さらに検察による捜査も行われています。結果が出ているわけであります。ですからこうしたことを二度と再びないようにそこは、しなければならないと思っています」と述べた。

 山本アナは「この奥様の言葉は菅さんご自身、1人の人間としてどうお感じになりますか」と質問した。菅氏は「ご主人がお亡くなりなられた事に対しては心からお悔やみ申し上げたいと思います。そういう中で二度と再びこうしたことが起こらないように、そこは対応をしっかりやっていかなれけばならないと思っています」と述べていた。

報知新聞社

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有働由美子、膳場貴子、そして〝天敵〟美人記者…菅氏に3人の女刺客

2020年09月07日 01時54分26秒 | 社会・文化・政治・経済

9/3(木) 6:15配信

東スポWeb

いま最も首相に近い人物と言えば、菅義偉官房長官(71)をおいてほかにない。2日、国会内で記者会見を開き、自民党総裁選(8日告示、14日投開票)への出馬を正式表明。複数の派閥の支持を取り付けた大本命だが、そこへ3人の〝女刺客〟が送り込まれた――。

菅氏は会見で秋田の農家に生まれてから横浜市議を経て国政に挑戦するまでを振り返り「世の中には当たり前でないことが残っている。いかなる改革が必要なのが常に考えている」と力説。「安倍政権が進めてきた改革を止めるわけにはいかない」と安倍政治の継承を宣言した。

 これに噛みついたのが元NHKの膳場貴子キャスター(45)だった。

「TBS『報道特集』の膳場です。安倍政権の負の遺産、森友・加計学園、桜を見る会について、国民が納得していない事案で再調査を求める声が上がっていますが、どのように対応しますか」

 安倍政治の継承=これまでのスキャンダルも踏襲という視点に立った質問だった。

 菅氏はモリカケ問題については検察の捜査が行われ結論が出ていることを挙げ、桜については「今年は中止してこれからの在り方を全面的に見直す」と言うに留めた。

 菅氏の〝天敵〟といわれる東京新聞の望月衣塑子記者も問いかけた。

「私自身が3年間長官会見を見続けてる中で心残りなのが都合の悪い不都合な真実に関しての追及が続くと記者に対する質問妨害が長期間にわたって続きました。(中略)今後、首相会見でも官僚が作ったような答弁書を読み上げるだけなく、長官自身の言葉でしっかり答えて頂けるのか」

 あまりに長い質問となったため、司会者から「簡潔に」と注意される場面も…。菅氏もこれに乗っかり「限られた時間のなかでルールに基づいて記者会見を行っています。だから早く結論を質問していただければ」と言質を取らせなかった。

 会見を終えた菅氏は日本テレビ系「news zero」に生出演。そこで対峙したのが元NHKの有働由美子アナ(51)だった。

 有働アナは菅氏が首相になった場合の任期に関して、安倍首相が残り1年余りを残して辞めたことから「ピンチヒッターですか? 残りの1年だけやるという…」と厳しめの質問を投げかけた。

 これには菅氏も「ピンチヒッターの意味がわかりませんが」とやや不機嫌に。さらにコロナ禍のマスク不足を是正するため各省庁と連携を取ったという菅氏の話の途中で「アベノマスクですか?」とカットイン。出馬を決めた際、妻の説得が一番苦労したという話を聞いて「夫婦関係大丈夫ですか?」とイジる場面もあった。

 ネット上では有働アナの言動について「失礼だ」「くだらない質問するな!」と批判が殺到しているが、それも〝攻めた〟結果だ。

 自民党総裁となれば、国政選挙の際は「顔」にならねばならない。選挙は〝女性票がモノをいう〟世界。自民党関係者は「菅氏が広く女性からの支持があるかというと、そんな話は聞いたことないですよね」と危惧する。

 菅氏は最近ワイドショーなどで、甘党で「パンケーキを食べているときが一番幸せ」と過去に話したことが取り上げられ、一部で「パンケーキおじさん」と呼ばれている。庶民に親しみやすいキャラを打ち出し、女性の支持を呼び込むことができるか。

東京スポーツ

 

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「菅政権になったら今より隠蔽国家になる」 宿敵・望月衣塑子記者が語る菅義偉氏の“別の顔”〈dot.〉

2020年09月07日 01時29分04秒 | 社会・文化・政治・経済

9/6(日) 9:00配信

AERA dot.

イチゴ農家の生まれ、集団就職で上京、段ボール工場に住み込み、秘書として長い下積み、実はパンケーキ大好き……ここ連日、菅義偉官房長官の“美談”が数多く報じられるようになった。これも一つの「顔」なのだろう。だが、会見で疑惑を追及されると「指摘はあたらない」「全く問題ない」など、記者の質問にまともに答えようとしない姿勢もまた菅氏の本質的な「顔」であることを忘れてはならない。

はたして、菅氏が首相になった際には、こうした態度は改められるのか。官房長官会見で菅氏と数々の“バトル”を繰り広げてきた東京新聞の望月衣塑子記者に聞いた。

*  *  *


――すでに自民党内の5派閥が支持を表明していることもあり、「菅義偉首相」の誕生が濃厚です。安倍政権下では政権の“私物化”による不祥事や情報の隠蔽など多くの問題が噴出しましたが、このまま菅氏が首相となった場合、そうした問題は改善されると思いますか。

望月 正直言って、オープンな情報開示という点では安倍政権よりも後退すると思います。たとえば、市民からの激しい反対で廃案となった検察庁法改正法案も菅氏の主導だったことが新聞報道で明らかになっています。なぜ、あんな無理筋な定年延長をゴリ押ししようとしたのか。

その背景には、森友問題の公文書改ざんや安倍首相主催の「桜を見る会」など官邸の関わりが指摘される疑惑について、検察からの追求を抑え込みたいという意図が読み取れます。

公文書が改ざんされた2017年2月26日の4日前には、財務省の佐川宣寿前理財局長、太田充理財局長、中村稔総務課長(いずれも当時)が菅氏に国有地売却の経緯について報告したことが明らかになっています。菅氏からどんな指示があったのか。

検察が佐川氏らを起訴していれば、こうした過程もすべて捜査されていたでしょう。「官邸の守護神」と言われた黒川弘務元東京高検検事長を検事総長にさせたかった菅氏の意図は、安倍首相の退陣後も含めて、検察の官邸への捜査の抑え込みであったのではないかと思っています。

そうでなければ、なぜ菅氏らがここまで黒川総長に固執したのか、説明がつかないと思っています。菅氏が首相に就いたら、一度は見送った検察庁への人事介入を再び行う可能性は十分にあると思っています。

――確かに、菅氏が自民党総裁選への出馬を表明した2日の記者会見でも森友、加計学園問題の再調査は必要ないという旨の発言をしています。その会見では、望月さんが「(官房長官会見では)都合の悪い真実への追及が続くと記者に対する質問妨害が長期間続いた。(中略)今後、首相会見では官僚が作った答弁書を読み上げるだけなく、自身の言葉でしっかり答えて頂けるのか」と質問した事に対して、菅氏が「限られた時間のなかでルールに基づいて記者会見を行っている。早く結論を質問していただければ」と答えると、記者席からは同調するような笑いも起こりました。菅氏の対応をどうみましたか。

望月 一部の政治部番記者との関係は相変わらずでしたね。序盤に番記者からの質問をいくつか受けていた際には、明らかに手元の資料を見ながら答えている場面があり、あきれました。

事前に質問を渡していた記者がいたのでしょう。一方、事前に渡さずに聞いていることがわかる番記者もおり、皆が皆、菅氏側の要望に従っているわけではないこともわかりました。

私の質問の際には、横目でちらっと司会役の議員の方を見て、質問を遮るようにうながしていました。官房長官会見で、前報道室長の上村秀紀氏との間で連発していたやりとりで、「質問を何とかしろ」という合図です。

案の定、司会者は「簡潔にお願いします」と横やりを入れてきました。上村氏は、菅氏から「よくやった」と評価されて、沖縄総合事務局総務部長に栄転したと聞きます。

質問妨害や制限を繰り返していた官僚を栄転させる、つまり菅氏の“私兵”となることが、官僚の出世の条件になっているのではないか。これは7年8カ月の安倍長期政権の中で確固たるものとして確立されてしまったと思います。

 逆に、ものいう官僚たちはことごとく飛ばされています。菅氏の官僚選別のプロセスのどこにも国民の公僕としての公務員の姿はありません。

思想家の内田樹氏が指摘していますが、安倍政権で決定的に失ってしまったのは、政治家や官僚のインテグリティ(誠実さ)だったのだと思います。道徳や倫理が欠如した政治を長期間にわたって見せられ続けた結果、真っ当な道を歩もうとしてきた政治家や公務員、国民に深い失望と精神的な揺らぎが芽生えてしまったように思います。

菅政権になると、こうした体質や価値観の崩壊は変わらないどころか、むしろ悪化すると思っています。

首相への「ぶら下がり」取材も、もし都合の悪いことを番記者から聞かれそうだと思ったら、菅氏は無視して通りすぎるのではないか。

今は総裁選の最中なので、テレビ出演などでキャスターらの質問に不十分ながらもそれなりに答えようとはしていますが、これまでの対応を振り返ると、首相となってもそれが続くとは到底思えません。

むしろ私に向けているようなむき出しの敵意を、他の記者やキャスターたちに向けるようになるかもしれません。

 また、現場の記者だけでなく、マスコミ全体への統制がさらに進むかもしれません。

菅氏は、2015年2月、番記者とのオフレコ懇談会の中で、ある民放の報道番組について「俺なら『放送法違反にしてやる』って言ってやるところだけど」と述べるなど、番組への不満を吐露していたことが、国連の人権理事会の特別報告者デビット・ケイ氏の報告書の中でも指摘されています。

 2014年7月にNHKの「クローズアップ現代」で集団的自衛権の行使に関して菅氏に厳しい追及を重ねた国谷裕子キャスターが、翌年12月、突如番組を降板を告げられたのは、官邸サイドからNHK上層部に対して猛烈な抗議があったことも一因ではないかと報じられています。

 一方で、圧力だけなく、菅氏は、非常に人たらしな面があるので各メディアの幹部や著名なキャスターたちが取り込まれているとも聞きます。

菅氏自身、政治的な左右イデオロギーは希薄なので、基本的にどのメディアに出ることも拒絶はせず、むしろ、8月21日に初めてテレビ朝日の「報道ステーション」に出演したように、右左を問わず、安倍首相以上に、積極的にメディアに露出しようとするのではないでしょうか。

 すると一部のメディアの上層部は「菅さんが出てくれた」と喜ぶわけですが、一方で厳しい追及をしにくくなる。そこは巧みに計算していると思います。

ある民放メディアのトップと菅氏が懇談している際、何を話しているかといえば「民放連の人事の話をしている」と聞いたことがあります。

人事で人心掌握をしようという菅氏の意図は、官僚だけに留まらず、あらゆるメディアに対して日々繰り広げられていることをメディアに関わる私たちは、忘れてはならないと思います。

 安倍首相が行ったようなメディアの「選別」ではなく、メディア全体の「統制」がゆるやかに進むのではないか。

その結果、現場で真っ当なジャーナリズムをやろうと、もがいている記者やディレクターたちは、さらに苦しい立場に追い込まれることを危惧しています。

――菅氏といえば、約600人の省庁幹部人事を一元管理する「内閣人事局」を掌握することで霞が関の官僚たちをコントロールしてきたといわれます。

その反作用として、官僚が国民ではなく官邸を向いて仕事をするようになり、政権への過剰な“忖度”を生み出した側面は否定できません。

望月 官僚がモノを言えなくなる空気はより強まると思います。菅氏が主導したふるさと納税についても、導入前に、自治体間で高額な返礼品競争が起こって高所得者の節税対策に使われてしまう、と反対した総務省の局長が更迭されました。

現状をみると、その局長が指摘した通りの問題が起こっています。厚労省の不正統計問題についても実質賃金が下がったことに対して、2015年に官邸側が激怒したことが、統計不正の背景にあったと言われています。

政治家の判断が常に正しいわけではありません。時に政治家の指示で事実がゆがめられることも、安倍政権では度々起こっていました。

そんな時、抵抗する官僚の真っ当な意見をどこまで聞き入れられるか。そこに首相の見識、良識が問われるのだと思いますが、7年8カ月にわたって安倍政権を支え、数々の疑惑を覆い隠してきた菅氏にその資質があるかは極めて疑問です。

 ただ、菅氏は政権の意向に従った官僚については、ノンキャリでも抜擢してポストを与えています。

ノンキャリ組含めて「菅氏に気に入られさえすれば、出世できる」ととらえている官僚は多いでしょう。菅氏は安倍政権の“継承”を掲げていますが、もし「負の遺産」まで継承するのであれば、どんな未来が待っているのか。

私たちはよく考える必要があると思います。(構成=AERAdot.編集部・作田裕史)

 

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