「合法リンチ」から生還した黒人男性 冤罪被害者を生む米国システム 

2020年09月19日 10時42分02秒 | 事件・事故

2020.09.11

黒人として生きるとは⑪

米国・ミネソタ州ミネアポリスで黒人のジョージ・フロイドさんが白人警官によって殺害された。この事件より前も、そしてその後も、警察による黒人への過剰な暴力は後を絶たない。明らかになっていないものもある。「システミック・レイシズム」とは何か。そして「黒人として生きる」とは。無実にも関わらず死刑囚として20年投獄された黒人男性、デリック・ジャミソンさんにその過酷な人生を聞いた。

前回 黒人として生きるとは⑩「死刑執行の直前まで6回行った 黒人男性が見た『地獄』の刑務所」はこちらから
デリックさんが死刑宣告を受け、ルーカスビル刑務所に入所してから15年が経過した。その間、何度か再審請求を試みたが却下された。死刑が近づく度、執行の直前に何らかの理由で延期になるといったことが何度か繰り返され、命拾いをした。そんなデリックさんが、新しい弁護士を雇ったことにより、事態は新たな展開を迎える。
15年後に暴かれた事実
新たな弁護士チームの手で15年前に起きた事件の再調査が徹底的に行われると、今まで明るみに出ていなかった数々の新事実が浮上した。デリックさんを主犯と名指しした男性の証言に基づいて始められた裁判だったが、実は他にも事件の目撃者が複数、存在していたのだ。その一人は、「現場から逃げた二人の男性のうち、一人は身長約170センチで、もう一人は183センチほどだった」と警察に証言していた。2メートル近くもある長身のデリックさんと、目撃者が描写した犯人像は明らかに一致していなかった。警察から複数の顔写真を見せられた目撃者が「あなたが見た犯人はこの中にいますか?」と聞かれた際、デリックさんの写真が選ばれることは一度もなかった。

57年前に公民権運動の指導者、キング牧師が「私には夢がある」と演説し差別撤廃を訴えたリンカーン記念堂に集まり、警察による暴力に対して抗議する人たち=ワシントン、ランハム裕子撮影、2020年8月28日
さらに、「背の低い方の男性が凶器と見られる金属パイプを手に握っていた」という目撃者情報も寄せられていた。デリックさんを名指しした男性は「デリックさんは殴る蹴るの暴行を加えて被害者を死なせた」と言い、金属パイプについて言及したことは一度もなかった。法廷では凶器について議論すらされなかったという。「15年前の私は、自分の無罪を証明する35個もの証拠を警察が隠していたなんて、知る由もなかった」とデリックさんは言う。
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冤罪を生む要因とは
「冤罪の元死刑囚が有罪判決を受けた要因を調査すると、警察や検察官などによる違法行為や職権濫用によるものが圧倒的に多く、その次に多かったのが偽証だった。これらの要因は特に殺人事件に多く見られ、1970年代以降の冤罪死刑囚のほぼ8割が、公務員の職権濫用や虚偽の証言などにより不正に有罪判決を受けていた」。ミシガン州立大学で全米の冤罪被害者のデータを蓄積し研究するバーバラ・オブライエン教授は、こう説明する。

リンカーン記念堂で抗議運動に参加する男性。マスクには、ジョージ・フロイドさんやブリオナ・テイラーさんなど、警察の暴力により命を落とした多くの犠牲者の顔がデザインされている=ワシントン、ランハム裕子撮影、2020年8月28日
オブライエン教授らが今年まとめた全米の冤罪被害者に関するレポートによると、2019年に無実を晴らした人は、元死刑囚3人を含めて計143人いた。このうち、半数を超える76人は殺人罪で有罪判決を受けており、その要因としては、死刑の可能性を示唆され脅されることによって被告本人が事実無根の罪を認めたケースや、目撃者が虚偽の証言をしたことにより有罪となったケースが圧倒的に多かった。全体の143人中101人が、このような偽証により有罪判決を受けていたという結果が報告された。
続いて、警察や検察官の不正行為によって有罪を受けた冤罪被害者は、143人中93人で、昨年度の冤罪被害者全体の3分の2に値する。不正行為の中でも一番多いのは、無実を証明する証拠の隠蔽で、これも殺人容疑の被告に最も起こりやすいという。警察や検察による何らかの不正行為により、殺人の有罪判決を受けた冤罪被害者は76人中57人にも及んだ。

リンカーン記念堂に集まり、警察による黒人への暴力に抗議運動する人たち=ワシントン、ランハム裕子撮影、2020年8月28日
この統計結果を見ると、デリックさんの有罪は、警察による証拠隠蔽と、目撃者が自分の刑を軽くするために行った偽証という典型的な二つの要因が重なり合ったケースといえる。
「最高の日」が「最悪」に暗転
弁護士チームによって暴かれた数々の証拠に基づいて再審が請求されたのは2000年の春だった。デリックさんはチームを、自分を救った「天使たち」と呼ぶ。だが、完全に無実が証明されるまで、さらに5年を要した。途中で、検察側から「罪を認めこの書類に署名さえすれば刑務所から出られる」と言われたこともあった。家族は「すぐにでも署名して家に戻ってきて」と懇願した。でもそれは、「殺人者」というレッテルを背負い生きていくことを意味した。周囲は「これで出所のチャンスを逃すなんて頭がどうかしている」とデリックさんを責めたが、デリックさんは周囲の反対を押し切ってでも、完全に汚名を晴らすまで戦うことを決意した。「だって殺人など犯していないのだから」

リンカーン記念堂に集まり、「黒人の命も大切だ」などと書かれたプラカードを掲げ、警察による黒人への暴力に抗議運動する人たち=ワシントン、ランハム裕子撮影、2020年8月28日
5年後、「天使たち」がまだ死刑監房にいたデリックさんを訪れ、告訴が全て取り消されたという知らせを告げた。その場にいた全員が涙を流し、喜びを分かち合った。看守までもが、ともに泣いてくれた。「世界で一番素晴らしいことが自分の目の前で起きているようだった」とデリックさんは当時を振り返る。それからは、「まるでクリスマスを待つ子供のように、ワクワクした気持ちで毎日を迎えた」という。「あの時の喜びを瓶に詰めて売ることができたら、私は今頃億万長者になっていただろう」
遂に無実が証明されたデリックさんが刑務所を出たのは、2005年10月25日。24歳で死刑囚となり、「187382」という囚人番号で呼ばれ始めたのは、ちょうど20年前の同日、1985年10月25日のことだった。出所したデリックさんはすでに44歳になっていた。

ホワイトハウス周辺で、警察の黒人への暴力に対し抗議活動をする女性=ワシントン、ランハム裕子撮影、2020年8月27日
ところがデリックさんにとっての「人生最高の日」は「人生最悪の日」へ急転する。いつも死刑監房で語り合った親友のウィリアムさんが死刑になるという知らせを突然、聞かされたからだ。周囲は、出所するデリックさんに配慮し、ウィリアムさんの死刑執行について伏せていたのだった。この日、ウィリアムさんは薬物注射による死刑で世を去った。デリックさんが別れを告げる機会もなかった。

トランプ大統領が共和党全国大会で大統領候補の受諾演説を行う日、ホワイトハウス前で黒人の権利を訴え抗議する女性=ワシントン、ランハム裕子撮影、2020年8月27日
「暗殺部隊」による連行
デリックさんの20年に渡る投獄生活の間、ルーカスビル刑務所では18回の死刑が執行された。死刑監房の仲間が処刑場に連れて行かれる様子を何度も目撃した。デリックさんが投獄された当時まだ18、19才だった若者たちが、死刑監房で成人しては次々殺されていった。受刑者が抵抗する場合に備え、死刑執行時はきまって「暗殺部隊」というあだ名の体の大きな看守らがやってきた。「俺は無実だ!」と叫び抵抗する死刑囚が、「暗殺部隊」によって繰り返し暴行を受け、ぐったりした様子で引きずられて行ったこともあったという。「死刑の前にすでに殺されたようなものだった。でも、何もしてあげることができなかった」と息をつまらせながら語るデリックさんは、仲間の無実を頑なに信じていた。誰かが処刑されるたびに「地獄を彷徨っているかのような感覚」に陥ったという。

リンカーン記念堂に集まり、警察による暴力に対し抗議する人たち=ワシントン、ランハム裕子撮影、2020年8月28日
1970年代以降、米国で死刑が執行された人の数は1522名。デリックさんは、死刑は「殺人」だと主張する。「死刑により亡くなった一人一人の死亡証明書の死因欄には『Homicide(殺人)』と明記されるからだ。つまり、死刑は『州に認可された殺人』だ」。
170個の過ち
「私のストーリーの結末は他の人たちとは違った。なぜならば、私は『合法なリンチ』に屈せず、生き延びることができたから」。自分のサバイバルを「奇跡」と呼ぶデリックさんは、現在、似たような境遇にいる仲間を助けることに全力を尽くしている。
デリックさんはいま、全米の冤罪被害者の元死刑囚が社会復帰するのを支援する非営利団体「ウィットネス・トゥー・イノセンス」(無実への証人)で、ソーシャルワーカーと冤罪被害者の間に入って手助けをする活動をしている。ソーシャルワーカーのカラ・コバルビッチさんは、「元死刑囚とのコミュニケーションにおいて、同じ経験をした冤罪被害者のデリックさんにしか理解できないことが多々ある」という。それは、「たとえ資格を持ったソーシャルワーカーでも、死と隣り合わせだった死刑囚としての経験がないから」だ。デリックさんは、自分が健全で、このような仕事ができるということも「奇跡」だという。それは、死刑囚として、心を病んでしまった人や、PTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しむ人を大勢見てきたからだ。

トランプ大統領が共和党全国大会で大統領候補の受諾演説を行う夜、ホワイトハウスに向け静かに拳を上げて抗議デモをする男性=ワシントン、ランハム裕子撮影、2020年8月27日
デリックさんは、集会やセミナーで自分の経験を人に話すことで、死刑や冤罪に関して知ってもらい、司法制度改革の必要性を訴え、そして、愛と思いやりの大切さを広める活動を活発に行っている。そのためなら、違う州にも違う国にも飛んでいくという。さらに、現在死刑が迫っている、無実の可能性がある死刑囚やその家族と連絡を取ってサポートしたり、各州の州知事の事務所へ自ら出向き、死刑を遅らせるよう知事に訴えたりもしている。
何年にどこで誰が死刑を執行されたなどという情報がスラスラと出てくるデリックさんは、まるで頭にコンピューターでも搭載されているかのよう。しかし、デリックさんは一人一人の死刑囚をデータとして扱っている訳では決してない。「これまで56人の友達を死刑で失った」というデリックさんは、ルーカスビル刑務所時代から死刑が執行された友達一人一人の情報を頭に全て蓄積している。

リンカーン記念堂に集まり、警察による暴力に対し抗議する人たち=ワシントン、ランハム裕子撮影、2020年8月28日
「私はナンバー119!」と言うデリックさんは、全米で死刑囚から無罪となった119番目の冤罪被害者だ。これまで無罪が確定した元死刑囚の冤罪被害者は、デリックさんを含め170人いる。「現在投獄されている2600人以上の死刑囚の中にも冤罪被害者が含まれている」と信じるデリックさんは、「170という冤罪被害者の数は、このシステムが170回過ちを犯したということだ。そしてこの170の過ちは死刑を行っては行けない理由が170あるということを意味する」と訴える。なぜならば、「たった一つの理由であっても、無実の人の命を絶ってはならないからだ。刑務所からは出所できるが、お墓から解放されることはできない」
「リンチ」に終止符を
デリックさんは仲間のために「拳から血が流れるまで、戦い続ける」と語る。目標はただ一つ―――「合法か違法かを問わず、『リンチ』に終止符を打つこと」。一方で、死刑囚として「地獄」のような経験をしたデリックさんが、誰かを恨んだことはないという。「誰にでも間違いはあるから」と優しい声で語るデリックさん。その奥底には、とてつもない力を秘めているかのようだった。

イベントで、自分の経験や死刑制度について話すデリック・ジャミソンさん(写真中央、ウィットネス・トゥー・イノセンス提供)
去年、冤罪被害者との大きな会議でフロリダを訪れたデリックさんは、フロリダの海や気候がたちまち気に入った。いま、「恋に落ちた」というフロリダで、愛犬ラッキーとともに暮している。冤罪被害者のための活動に追われる日々だが、こう付け加えるのも忘れなかった。「人生は、楽しまなければね」

ランハム裕子


死刑執行の直前まで6回行った 黒人男性が見た「地獄」の刑務所

2020年09月19日 10時31分08秒 | 事件・事故

9/18(金) 17:01配信

GLOBE+

黒人として生きるとは

57年前に公民権運動の指導者、キング牧師が「私には夢がある」と演説し差別撤廃を訴えたリンカーン記念堂で、警察による暴力に対して抗議する女の子=ワシントン、ランハム裕子撮影、2020年8月28日

米国・ミネソタ州ミネアポリスで黒人のジョージ・フロイドさんが白人警官によって殺害された。この事件より前も、そしてその後も、警察による黒人への過剰な暴力は後を絶たない。明らかになっていないものもある。「システミック・レイシズム」とは何か。そして「黒人として生きる」とは。無実にも関わらず死刑囚として20年投獄された黒人男性、デリック・ジャミソンさんにその過酷な人生を聞いた。

死刑宣告を受けたデリックさんは、オハイオ州シンシナティから車で2時間の郊外、ルーカスビルにあるオハイオ州立刑務所へ送られた。デリックさんが入所した80年代、通称「ルーカスビル刑務所」と呼ばれるこのマキシマム・セキュリティ(厳重警備)の施設は、「全米で最も凶暴な刑務所」の一つとして知られた。凶悪犯罪で服役中の受刑者の中にはギャング集団も多く、所内では暴力が蔓延、殺人も珍しくなかった。

「デッドマン・ウォーキング!」
「デッドマン・ウォーキング!(=死刑囚が通るぞ!)」。

デリックさんがルーカスビル刑務所に入所し、長い廊下を歩き独房に連れて行かれる途中、看守が周囲に向かってこう叫んだ。死刑囚監房では、名前の代わりに「187382」という囚人番号で呼ばれた。今でもすらすら出る「この番号は、一生忘れることができない」という。人とのコミュニケーションが絶たれ、窓もない狭い独房で、孤独と闘う日々。

他の受刑者とともに食事することも、刑務所内で働くことも許されなかった。デリックさんはルーカスビルでの生活を、繰り返し「地獄」という言葉で形容した。「死刑囚として投獄されるということは他の受刑者の生活とはまるで異なる」という。

「食べ物は扉に付いたスライド式の引き出しに入れられる。動物園のゴリラに餌をあげるかのように……」。レクリエーションとして外に出られたのは、週に数回のみ。時間は2時間に限られ、フェンスに囲まれた屋外に出ても「かご」の中に閉じ込められている感覚だった。

それ以外はゴキブリが出る不衛生な独房でずっと過ごした。長身のデリックさんはいつもあちこちに頭をぶつけた。固くて小さなベッドからは、必ず足がはみ出していた。まるで「大きな巨人がミニチュアのトイレにでも住んでいるかのようだった」

だが、デリックさんを一番「地獄」にいると感じさせたのは、「自分はここにいるはずではない」という思いと、「自分のような冤罪被害者が死刑によりどんどん殺されていく」という恐怖だった。

手が届かない「正義の追求」
デリックさんは「自分の身に起きたことは何も特殊なケースではない」と訴える。それは、自分が受けた不当な有罪判決は「人種差別がはびこる欠陥だらけのシステムの産物」だと思うからだ。

デリックさんは、この状況を「ダブルスタンダード(二重規範)」と呼ぶ。「低所得層や有色人種には『正義の追及』は手が届かない。でもお金を持っていれば、(身を守るための)様々な資源に手が届く。その差が、自由か冤罪かの2つの道を分ける」。

1970年代以降、無罪が確定し自由の身となった元死刑囚は170人いる。この内訳を人種別に見ると、半数以上を占めるのは黒人だ。非営利団体「死刑情報センター」のロバート・ダンハム事務局長は、「米国の司法に巣くうあらゆる人種的な偏見は死刑制度にも存在する。だが、ひどい偏見が死刑制度に持ち込まれた場合、最悪の結果をもたらす」という。

「最悪な結果」とは、デリックさんの言う「人種差別と欠陥に満ちたシステム」があろうことか無実の人の命を奪ってしまうことを意味する。

死刑囚人口を人種別に見ると、1980年代と90年代までは、半数以上は白人が占めていたが、2000年代に入り、その割合は逆転し、差が広がりつつある。例えば、2010年代は白人の割合が43.9%、有色人種が56.1%まで増加した。

現在の死刑囚2656名のうち、白人は42.2%で、黒人とラティーノ(ヒスパニック)を合計した有色人種が全体の57.8%も占めている。ラティーノの死刑囚の増加も格差拡大の原因の一つとはいえ、黒人人口が米国全体の13%しかいないことを考えれば、この割合がいかに不均衡かということは明白だ。ダンハムさんは「貧しい人が死刑を受ける確率が高いということも統計で証明されている」という。

全米を震撼させた事件
もともと暴力が蔓延していた刑務所内では、受刑者の増加に伴う過密化、職員不足、十分な医療サービスの欠陥、看守による職権濫用、人種間の対立などに加え、看守の暴力行為なども重なり、受刑者の不満はまさに爆発寸前の状態だった。劣悪な環境の下、精神疾患に苦しむ受刑者も数多くいたといわれる。デリックさんは所内での医療について、「足を骨折すれば、タオルが渡されるだけ。それほどまでに理不尽で、憤りを覚えずにはいられなかった」と振り返る。

いつ点火されてもおかしくなかった「爆弾」はある日突然、爆発した。デリックさんがルーカスビル刑務所に入り、8年目の春のことだった。イスラム教徒の受刑者にアルコール成分を含む結核検査が強制された。

彼らの不満が頂点に達したのをきっかけとし反乱が起き(実は裏で綿密に計画されていた)、みるみる受刑者同士の争いや看守に対する暴行に発展した。所内で横行していた犯罪を看守に密告していたと名指しされた受刑者が次々と刃物で刺された。

受刑者たちが次々と遺体を運動場に運び出す映像が多くのメディアで報道された。計450人の受刑者が暴動に参加し、8名の職員を人質に立てこもった。交渉の押し問答が何日も続いた。連日の交渉の結果、全米に報道された大惨事が鎮圧されたのは11日後のことだった。

終結する頃には、死者10人、負傷者はおよそ100人に及んだ。殺された看守は以前、死刑囚監房を担当しており、デリックさんもよく知る人物だった。

「とてもいい人で、なぜこの看守が殺されなければならなかったのか理解できなかった」。死刑囚監房は無事だったとはいえ、暴動の様子は看守やテレビによって伝えられ、混乱と恐怖の日々だったという。「同じ施設内で人が血を流して殴り合い、殺し合うその様は恐ろしく、まさに『地獄』のようだった」。

死刑90分前
仲間がひとり、またひとりと処刑されていくのを見守るデリックさんにある日、「自分の番」がやってきた。死刑宣告を受け、不服を申し立てるチャンスが全て却下されると、ついに死刑確定の「令状」が発行される。「自分が『何日の何時何分に死ぬ』と宣告されることがどれほど恐ろしいか想像できるかい?」。デリックさんの声が初めてこわばった瞬間だった。「ほかの誰でもない、自分の死刑のことが新聞やテレビのニュースで報じられていた。恐ろしくなってすぐさま祈りを捧げた」

「死刑宣告を受けた人は、死刑がいずれ行われることを頭では分かっているものの、令状が出て初めて自分の死が現実的なものとなる。果てしなく深い心の傷は、ここから始まる」。全米の冤罪被害者の元死刑囚が社会復帰するのを支援する非営利団体「ウィットネス・トゥー・イノセンス」のソーシャルワーカー、カラ・コバルビッチさんは、こう説明する。

死刑を間近に控えたデリックさんに「最後の祈り」が捧げられた。その後、自分の遺体をどうするか、どこに埋葬するか、などという手続きが行われた。そして、最後に問われたのは、「最後の食事」で何を食べたいかという質問だった。デリックさんは、「いらない」と答えた。「自分が今から殺されるという時に、誰が食べ物のことなど考えられるものか? 何も喉を通るわけがない。食事なんて、考えることもできない」。デリックさんの優しい声はますます緊張を帯びた。

デリックさんの弁護団が懸命に州知事に掛け合い、死刑の延期が確定したのは、執行のわずか90分前のことだった。「『死ぬほどに恐ろしい』とはまさにこのことだ」。デリックさんは、この「死ぬほどに恐ろしい」恐怖を収監中に6回も経験した。その6回とも「最後の食事」を拒んだことは言うまでもない。

最悪のクリスマス
心の支えは、家族と友達だった。自由時間や人とのコンタクトが限られた死刑囚監房では、そんな環境だからこそ仲間との友情が深まった。中でも向かいの独房にいたウィリアムさんとは親友になった。レクリエーションの時間には、きまってウィリアムさんとチェスをしたり、一緒にいろんな話をしたりした。独房では、檻の隙間から二人でよく即興で歌を歌ったりもした。

5人兄弟の末っ子だったデリックさんは家族にも支えられた。特に母親は、訪問が許される日には必ず会いにきてくれた。デリックさんを「ベイビー」と呼ぶ母親は、デリックさんの無実を信じ励まし続けた。「ベイビー、神様を信じて祈り続けなさい」。母親は、教会や学校などで集会があるたびに、大勢にデリックさんの無実を訴えたり、死刑制度について問題提議をしたりした。そのおかげで、デリックさんは「決して諦めることなく希望を持ち続けた」という。

デリックさんがルーカスビル刑務所で迎える12回目のクリスマスが近づいていた時のことだった。独房でクリスマスの音楽を聴いていたデリックさんに突然、看守が母親の死を告げた。後日、デリックさんを訪れた二人の姉は、「もうお母さんはいないけど、私たちがあなたを守るから」と言って励ました。だが、デリックさんは悲しみと同時に罪悪感もおぼえずにはいられなかった

。「自分の身に起きたことが、父さんと母さんの命を縮めてしまったに違いない。我が子が無実にも関わらず死刑囚となったことで両親が経験した葛藤や痛みは計り知れない」。

このような思いをしたのは自分だけではない、とデリックさんはいう。収監が長期間に及ぶ死刑囚にとって、いつか家族が亡くなる時がやってくる。誰かがその経験をするたびに、我が身のことのように一緒に泣いた。デリックさんの父親は、ルーカスビル刑務所に入った2年後に亡くなっていた。「母さんは、必ず私が家に帰って来ると信じていた。でも間に合わせてあげることができなかった」と、デリックさんは声を震わせる。父の時も、母の時も、デリックさんは葬儀にすら出席することが許されなかった。

死刑囚となり15年が経った頃、新しい弁護士によって驚きの事実が暴かれる。

(黒人として生きる11「『合法リンチ』から生還した黒人男性 冤罪被害者を生む米国システム」に続く)

ランハム裕子

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米モデルナ、ワクチン有効性は11月に判明 想定より時間 

2020年09月19日 10時11分44秒 | 医科・歯科・介護

ヘルスケア 北米
2020/9/18 3:50 日本経済新聞

【ニューヨーク=野村優子】米バイオ医薬ベンチャーのモデルナが開発中の新型コロナウイルスワクチンについて、有効性が判明するのは11月になる見通しだ。ステファン・バンセル最高経営責任者(CEO)が17日、米CNBCのインタビューで明らかにした。

トランプ米大統領は早期配布をめざしているものの、想定より時間がかかる可能性がでてきた。

モデルナは7月下旬に、臨床試験(治験)の最終段階を開始。ワクチンの有効性を証明するには、ワクチンを投与した人に比べて、プラセボ(偽薬)を投与した人の感染率が高いことを確認する必要がある。治験の進捗は感染率に依存することから、バンセルCEOは「今後数週間で感染率が低下すれば、(有効性の判明は)12月になる可能性もある」と述べた。

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米モデルナ、年内にコロナワクチン候補2000万回分生産の見通し
9/19(土) 2:46配信

ロイター

米バイオ医薬大手モデルナ<MRNA.O>は18日、年内に2000万回分の新型コロナウイルスワクチン候補を生産する見通しを発表した(2020年 ロイター/Brian Snyder)

[18日 ロイター] - 米バイオ医薬大手モデルナ<MRNA.O>は18日、年内に2000万回分の新型コロナウイルスワクチン候補を生産する見通しを発表した。米規制当局への提出文書で明らかにした。

来年の生産量については、5億─10億回分との見通しを維持した。

モデルナはコロナワクチン後期臨床試験で3万人の被験者を目標にしている。16日時点での登録者数は2万5000人強。

モデルナのバンセル最高経営責任者(CEO)は前日、開発中のコロナワクチンについて、70%を超える有効性が確認されれば、食品医薬品局(FDA)に緊急使用許可(EUA)を求める考えを示した。

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世界の感染者3000万人超 新型コロナ アジアヨーロッパ増加傾向

2020年09月19日 10時04分48秒 | 事件・事故

2020年9月18日 13時45分 NHK

世界の新型コロナウイルスの感染者が累計で3000万人を超えました。地域別では、南北のアメリカ大陸は新規の感染者の数が減少傾向にあるものの、アジアとヨーロッパでは増加傾向にあり、世界で亡くなった人も累計で100万人に迫りつつあります。

アメリカのジョンズ・ホプキンス大学のまとめによりますと、世界全体の新型コロナウイルスの感染者の累計は、日本時間の18日午前6時半の時点で、3000万3378人と、3000万人を超えました。

また、亡くなった人は94万2989人と100万人に迫りつつあります。

感染者が1000万人増えるのにかかった日数は、はじめは166日でしたが、2000万人までは44日、3000万人までは38日となっています。

このうち最も感染者が多い国はアメリカで、累計では666万人に上り、死者数も19万人を超えています。

WHOのまとめによりますと、地域別では、南北のアメリカ大陸は急速な感染拡大の勢いがおさまりつつあるものの、アジアとヨーロッパでは感染者が増加傾向にあります。

このうちインドネシアは、1日当たりの新たな感染者が3500人を超える日があり、首都ジャカルタの州政府は、企業に命じている在宅勤務措置を一部の業種を除き従業員数の4分の3以上に引き上げるよう命じているほか、5人以上の集まりを禁じるなど、ことし6月以来となる大幅な制限をかけています。

また中東のイスラエルでは、1日当たりの新たな感染者が急増していて現地時間18日午後2時からは、再び全土で外出制限が行われることになっています。

フランス 医療態勢ひっ迫
このうちフランスでは7月以降、感染者が再び増え始め、イギリスのBBCによりますと、17日には一日の新たな感染者が、これまでで最も多くなったということで「ロックダウンが解除されたあと、大勢の人がビーチに集まった夏の重い代償が今、フランス各地の新たな感染の波となっている」と指摘しています。

また感染状況が深刻な南部のマルセーユでは、病院のICUの空きが、わずかになっているとしたほか、新型コロナウイルスによるとみられる症状が数日前からあるものの、検査の予約が取れずに困惑している女性の話を紹介し、医療態勢がひっ迫している現状を伝えています。
WHOヨーロッパ地域事務局「憂慮すべき感染率だ」
ヨーロッパでの新型コロナウイルスの感染拡大について、WHOヨーロッパ地域事務局のトップ、クルーゲ事務局長は「憂慮すべき感染率だ」と述べ、警鐘を鳴らしました。

WHOのまとめによりますと、ヨーロッパ地域事務局管内の1日の新たな感染者数は、ことし4月に4万3000人を超えましたが、各国が外出制限などの措置をとったことで、5月後半以降、2万人を下回るようになりました。

ところが、今月に入り5万人を超える日が続くなど、増加傾向にあるということで、クルーゲ事務局長は検査数が増えていることも、感染者数増加の一因だとしたうえで「すべての人はこの感染者数を警告として受け取るべきだ」と述べ、地域をあげて対策に取り組む必要性を訴えました。

 


「中国ウイルス」呼称非難 新型コロナでアジア系差別反対決議―米下院

2020年09月19日 09時59分55秒 | 社会・文化・政治・経済

2020年09月18日14時17分

【ワシントン時事】米下院は17日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴うアジア系米国人への差別に反対する決議案を採決し、賛成243、反対164の賛成多数で可決した。
決議はトランプ大統領が使う「中国ウイルス」「武漢ウイルス」などの呼称について、「反アジア系の烙印(らくいん)を定着させるものだ」と非難した。
米長官、「武漢ウイルス」呼称に固執

 下院は野党民主党が多数派を占める。採決では民主党の全出席議員が賛成。共和党は大半が反対に回ったが、14人が賛成票を投じた。 
時事ドットコム

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解散時期「任期満了」が最多4割 立憲に期待24% 時事世論調査

2020年09月19日 09時54分38秒 | 社会・文化・政治・経済

9/18(金) 17:06配信

時事通信

 時事通信が行った9月の世論調査で、衆院解散・総選挙の望ましい時期について尋ねたところ、「来年の任期満了かそれに近い時期」が最多の40.0%だった。

 以下、「年内」22.3%、「来年の初め」11.8%、「来年の春から夏まで」11.6%と続いた。

 調査日は菅内閣発足前の11~14日。野党勢力が合流して誕生した立憲民主党に関しては「期待する」が24.2%にとどまり、「期待しない」の58.8%を大きく下回った。「どちらとも言えない・分からない」が17.0%。

 新型コロナウイルス感染拡大に対する政府のこれまでの取り組みについては、「評価する」36.0%、「評価しない」42.0%、「どちらとも言えない・分からない」22.0%と受け止めが割れた。

 ◇最長政権、66%「評価」
 歴代最長となった安倍政権の評価を聞いたところ、「評価する」(29.1%)、「どちらかと言えば評価する」(37.1%)が合わせて66.2%。「評価しない」(14.3%)と「どちらかと言えば評価しない」(16.0%)の合計30.3%を上回った。

 安倍内閣の支持率は前月比13.6ポイント増の46.3%、不支持率は11.7ポイント減の36.5%だった。

 調査は全国の18歳以上の男女2000人を対象に個別面接方式で実施。有効回収率は63.0%。

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不動産投資】情報弱者は狙われる 「詐欺の手口」と回避のための「2つの対策」

2020年09月19日 09時50分42秒 | 事件・事故

9/9(水) 21:05配信
マネーの達人

詐欺の手口と回避のための2つの対策

古くは金を用いた悪徳商法の豊田商事事件、和牛預託商法、最近では磁石を埋め込んだ健康グッズの販売預託商法のジャパンライフ事件といった詐欺事件は多く、被害者となった人々は情報弱者と言われる人たちでした。

インターネットが普及した現代では、少しネット検索すればある程度の情報を得られますが、それでも詐欺事件で騙される人は後を絶ちません。

それは不動産投資の世界でも同じで、2018年にはかぼちゃの馬車のシェアハウス事件や三為契約を使ったスルガスキームによる被害、住宅ローンを使って投資物件を購入させられたARUHI事件などのニュースが世間を騒がせました。

高額な不動産投資では騙されると被害も大きく、人生を大きく左右することにもなりかねません。

今回は、不動産投資で情報弱者にならないためのポイントについてお話したいと思います。

「ポンジスキーム」と言われる詐欺の手法
巨額詐欺事件として豊田商事、和牛預託商法が有名ですが、これらは「ポンジスキーム」と言われる手法です。

「ポンジスキーム」は、日本では出資金詐欺とも言われています。

出資金を募ってその資金を運用して配当金を出すという話をしておきながら、実際には集めた資金から配当金を出して時間稼ぎをして、最終的には配当金が出せなくなったと言って破綻します。

詐欺師たちは時間を稼いでいる間に資金を隠したり、最後は「もっと儲かる」といって多くの資金を集めて逃げ出します。

1920年代にイギリスのチャールズ・ポンジが行ったことからその名前が付けられました。

出資するものが金、和牛そして不動産と変わるだけで、基本的なスキームは同じです。

この話を知っているだけでも、何かに出資して高配当がもらえる商品は詐欺の可能性があると気付けるはずです。

しかし、騙された人は何度も同じような詐欺に引っかかり、その人たちの名簿はそういった詐欺師の間で取引されていると言われています。

情報弱者になる原因
情報弱者として詐欺師に狙われやすのはお金もたくさん持っている高齢者です。

他には、世間知らずの大学生などの若い世代も狙われます。

最近では、簡単に儲けられるFX投資用のソフトが入ったUSBを30万円~50万円で買わされ、実際に使ったが儲からずに借金のためにオレオレ詐欺の受け子をして犯罪者になってしまったという話もあります。

しかし、不動産投資では、医師や上場企業の役員など社会的地位のある人たちが被害に遭っています。

知識が豊富だと世間では思われている医師や上場企業の役員も、自分の土俵以外では情報が不足していることが多く、「大きな利益が出る」、「節税になる」などと言われて簡単に騙されてしまいます。

では、情報弱者の共通点とはいったいどこにあるのでしょうか。

私の分析では、

自分で確認せずに、人を信じやすい人が情報弱者として狙われやすい
と考えています。

1人暮らしの高齢者や学生は周囲に相談する人がいないことが多く、近所の人や友人からすすめられて疑うこともせずに契約してしまいます。

不動産投資で失敗した医師によると「忙しくてそんなに検討する暇がなく、営業マンの話を鵜呑みにしてしまった」ということでした。

知識があるから情報弱者ではないということではなく、自分で調べることをせず、人を信じて人任せにしてしまうことが情報弱者になってしまう原因だと言えます。

不動産投資で情報弱者にならないために
不動産投資で情報弱者にならないために気を付けるべきポイントは2つです。

■1. 不動産投資とは何かを勉強する
他の詐欺のネタとは違って、不動産投資の場合には明らかに犯罪とは言い切れない部分があります。

投資という位置づけなので、リスクがあり、それを理解して自己責任でやるべきだからです。

まずは、不動産投資とは何かを勉強することです。

・ どのような物件を買えばよいのか
・ どういった仕組みでお金儲けができるのか

・ どこから融資は借りればよいのか

など、本を読んだり、セミナーに参加したり、今ならネットで簡単に学べます。

最低限の知識は身につけましょう。

厳しいようですが、それができないのであれば不動産投資はやるべきではありません。

■2. 助言をもらえる専門家と信頼関係を築く
次に、信用できる専門家、不動産会社の営業マンや先輩大家さんなどと関係を築き、アドバイスがもらえる環境を作ることです。

率直に言って、周りに不動産投資をやっている人などほとんどいないと思います。

そのため、正確な情報が入らない、相談できずに自分ひとりで決めてしまうということが起こります。

今は、SNSなどでも簡単に情報交換できますので、積極的に質問し、他の人の意見を聞いて、自分でも納得したうえで購入すべきです。

しつこい勧誘のある商品では儲けは出ない
私の経験では、しつこく勧誘のある商品で儲けることはまずできません。

高額な手当てがもらえるなど売る側にもおいしい理由があるから営業するわけで、会社が儲かる商品に個人が儲かる商品があるはずがありません。

皆さんも情報弱者と思われて詐欺の被害に遭わないように、きちんと知識と環境を整えてから不動産投資を始めてください。(執筆者:山口 智也 / 宅地建物取引士・公認不動産コンサルティングマスター・米国不動産経営管理士(CPM) )


 豊田商事事件 「悪徳商法と消費者被害」 

2020年09月19日 08時58分45秒 | 事件・事故

豊田商事事件は、1980年代前半に発生した、豊田商事による金の地金を用いた悪徳商法(現物まがい商法)を手口とする組織的詐欺事件である。
高齢者を中心に全国で数万人が被害に遭い、被害総額は2000億円近くと見積もられている。当時、詐欺事件としては最大の被害額[1]である。
強引な勧誘によって契約させられた挙句に老後の蓄えを失った被害者も多い。
また、この詐欺事件が社会問題化したさなかの1985年6月18日、豊田商事会長の永野一男が、事件を取材中のマスコミの目前で殺害される事件が発生した。
この事件については豊田商事会長刺殺事件を参照。
背景[編集]
当時、金に対する国民の関心は高まっており、1981年に国内金輸入量は史上最高を記録。このため私設の先物取引市場が横行し、それに伴う被害も多く、社会問題になっていた。豊田商事の前身の大阪豊田商事も、私設市場を舞台に先物取引を扱っていた業者の一つだった。
このため商品取引所法が改正され、商品先物取引は政府が公認した市場で指定した品目においてのみしか認められないようにするなど、先物取引を規制する政策が打ち出された。この法規制をきっかけとして豊田商事は現物まがい商法へと手口を変えたと言われている[誰によって?]。


 豊田商事事件 「悪徳商法と消費者被害」 

Hisamichi Okamura  英知法律事務所

 このような「悪徳商法」のチャンピオンと言って良いのが、昭和60年の「豊田商事事件」です。
昭和60年の6月に、豊田商事グループの会長であった永野一男という人物が、大阪市内のマンションで、何とマスコミのカメラが見守る前でマンションに侵入したアウトローに刺し殺されます。事実は小説より奇なりで、全く現実とは信じられないようなお話です。
そして、それから数ヶ月後である7月に、大阪地方裁判所で豊田グループ各社が相次いで破産宣告を受け、一応の解決を見ます。

この豊田商事グループといいますのは、一番上に統括会社として、「銀河計画」という会社があり、その下に、豊田商事を中心に、ベルギーダイヤモンドや鹿島商事といった幾つもの会社がグループになっており、ほぼすべての会社が詐欺まがい商法をしておりました。

まず、豊田商事自体ですが、この会社の被害者数は3?4万人、被害総額は1500億円とも言われております。3?4万人と申しますと、甲子園球場がほぼ満杯になるほどの人数です。考えてみますと、被害に遭われたのは子供ではなく大人の方ですので、ちょっとした地方都市の大人の人口全員ということにもなります。つまり例えば、私が生まれました福知山市あたりの20歳以上の成人が町中一人残らず騙されて被害者になる、例えてしまえばこういう状況ですので、これはもう、もの凄い人数であることがお判り頂けるのではないかと思います。 
 私が最初に、現代では、手口が複雑化して巧妙になっていることと並んで、被害が大規模化しているという点が大きな特徴になっていると申し上げた意味をご理解いただけると思います。

この豊田商事というのは一応大阪の会社ということになっております。しかし、私も大阪人ですので、大阪の名誉のために申し上げておきますと、もともとは東京の会社です。その東京の会社が最初は主として名古屋をはじめとする東海地区で金地金の先物取引をやっておりました。金地金と申しますのは金の延べ棒です。と言いましても、金の延べ棒その物の現物を売っていたわけではなくて、先物取引、つまり、売買する時点で現物は存在しないわけです。その点で、このころから、後で説明いたします「ペーパー商法」の下地があったわけです。

ところが、いわずもがな詐欺まがいということで世論の批判が高まりまして、豊田商事は東海地区から追い出されることになってしまいます。追い出されてどうしたかと申しますと、来なくてもいいのに、今度は大阪に営業の中心を移して参ります。

さらに、昭和56年頃になりますと、豊田商事が元々やっていた金の先物取引を政府が規制することになります。

そこで、豊田商事は先物取引を中止して、今度は金の「現物まがい商法」に方針を転換するわけです。その時に設立されたのが大阪豊田商事でして、この大阪豊田商事は、後に、会社の名前から大阪という文字をとって社名を豊田商事に変えました。金の「現物まがい商法」というのを説明いたしますと、先ず、一応はお客さんである消費者に金の現物を売りつけたことにしますが、実際には、買主は代金と引換えに金の現物を貰えるのではありません。話が少しややこしいのですが、つまり、買った筈の金を直ちに豊田商事に預けさせられて、利息を払うと称して「預り証券」だけを渡されます。

こういう方法で、金の代金から前払いの利息を差し引いたお金を巻き上げるという手口です。これが「純金ファミリー契約証券」の始まりです。このように、金の現物を渡さずに「純金ファミリー契約証券」という紙切れだけを渡してお金を巻き上げるところから、「ペーパー商法」と呼ばれたわけです。この事件の特徴は、第1に、ドルショックなどを通じて金に対する国民の関心が高まっていたという背景を上手く悪用したという点に特徴があります。第2に、物品消費目的でなく、投機目的の勧誘による被害である点も特徴ですが、第3に、最も重要な特徴として、特に長年コツコツと働いてきたという一人暮らしの老人や、お年寄りの夫婦、母子家庭の方、体の不自由な方の「虎の子の蓄え」をねらった犯罪であるという意味で、社会的弱者を狙い撃ちにした極めて卑劣な犯罪であるという点です。

その手口ですが、先ず、無差別に電話セールスをして目星をつける。

最初は「そんなもんいらんわ」と断っても、電話をかけている女性社員、これはテレホンレディと呼ばれていたようですが、そのテレホンレディは電話を通じて、もうひと押しすれば何とかなるという一人住まいの老人なんかに目星をつける。そうしておいて、老人の一人住まいを狙って押し掛ける、そして、さらに卑劣なのですが、徹底的に人情を手段として使う、例えば、おばあちゃん、私を息子と思ってくれとか、すき焼きの材料を買ってきたので一緒に食べましょうとかいって、人間として一番大切な人情を使って接近する、それから次に、上がり込んで長時間粘る、強引な勧誘で、長時間の居座りとか脅し、同情を誘うあの手この手を使う、それが、老人の一人住まいを狙ってですので、つまり、法律的に見れば密室での出来事です。

詐欺や脅迫がおこなわれても、後から証拠が残りにくい、さらに、大きなビル、立派な事務所、豪華な調度品、きらびやかなパンフレットで、微細に入り舞台装置の大道具、小道具で信用させる。最後に、お金の巻き上げ方ですが、最初に根負けをさせて少しだけ買わせ、後で次々に買い増しさせてゆく、いけると思ったら、通帳や印鑑を全部預かってしまし、現金や貯金を根こそぎ巻き上げてしまうという段取りです。このような手口を使って、3?4年の間に全国60ヶ所の営業所、7000人の従業員、顧客数5?6万人、集めた金額2000億円にまで膨れ上がったのです。そうしますと、特に老人を狙った強引な押し売りに世間の批判が高まって参りまして、被害を救うために訴訟などの法的な手続が増加して参ります。そして、裁判に勝った被害者が、豊田商事へ差押にゆくと、事務所に現住にガラスケースに入れられて保管されている「金の延べ棒」が、果たして蓋を開けてみると、本物の金ではなくハリボテであったりする、そういうようなことから、最初から赤字体質で、つまり最初から預かった金を買主に返す気などなくて、早い時点で行き詰まるものであったことが益々はっきりしてくることになります。

さらに、ベルギーダイヤモンドという会社を設立しまして、これが先程説明しましたマルチまがい商法の会社なんですが、要するに、悪どい詐欺まがい商法なら何でもやる、これが豊田商事グループだったわけで、次第に社会的な非難が集まってくるようになって参ります。

もっとも、豊田商事グループとしては、少しでもながらえようとして、昭和59年には今度は鹿島商事という別会社を設立します。

この会社を使ってゴルフ会員権を販売しようとしたわけです。元々豊田商事がやっていた「純金ファミリー契約証券」の場合は、金の延べ棒という品物を預かっているのですから、将来、時期が来れば本物の金なり現金なりをお客さんに返さなければならない、ところが、ゴルフ会員権の販売ですと、将来になってもお金を返さなくてもよい、こういった形で方向転換を図ったわけです。

そうして、その年の9月からわずか8カ月で、この会員権商法を使って、全国の約7000人の方から70?90億円を集めます。そして、豊田商事の「純金ファミリー契約証券」のお客さんを、将来になってもお金を返さなくてもよい、インチキなゴルフ会員権の販売に切り替えようとしたわけです。 
ですから、インチキなゴルフ会員権販売の被害を受けたのも、やはり豊田商事のケースと同様に、そのほとんどがお年寄りだったわけです。

この鹿島商事などには「5時間トーク」というセールスマン用の講習書が残されておりまして、これによりますと、投機のためのゴルフ会員権を買わせて、買主は実際にプレーするのではなくて、それを豊田ゴルフクラブという別会社が高額な賃借料で借り上げる、会員権は必ず値上がりするから、いつでも売れるし絶対に儲かる、他のどんな投資よりも有利とたたみかけ、世間話や相手に質問させながら、5時間以上も粘り、契約させるという勧誘のテクニックが用意周到に準備されていたことがわかっています。こうしてたくさんの被害者が、虎の子の蓄えである預金や現金を、証券とは名ばかりの紙切れにすり替えられていったのです。

豊田商事グループは、さらには大洋商事という別会社を作って、海、空にまたがる総合レジャークラブの会員権販売に乗り出しますが、販売体制が整うかどうかという昭和60年の5月に、遂に豊田商事グループはゆきづまり、先ほどお話ししたような永野会長が刺し殺されるという事件を直接のきっかけとして、7月に破産申立てがなされ、一気に崩壊に至りました。

豊田商事の崩壊で、すべての問題が解決されたかというと、それだけでは済みませんでした。それは、一つには残された被害者の救済が困難であったことと、もう一つには、その後も豊田商事の真似をした悪徳商法が発生したり、あるいは豊田商事の残党がさらに被害者を生み出しているという事実です。

  


「悪質マルチ」批判たびたび 国会議員に献金、幅広い人脈 山口元会長

2020年09月19日 08時50分29秒 | 事件・事故

9/19(土) 7:14配信

時事通信
 ジャパンライフをめぐる事件で逮捕された山口隆祥元会長(78)は、商売の手法をめぐり約50年前から「マルチ」「悪徳商法」などとたびたび批判を浴び、国会に参考人招致されたこともあった。

 一方で、多数の国会議員に献金し、政官界などに幅広い人脈を持っていた。

 国会議事録などによると、山口元会長は1971年、健康関連商品の販売を手掛ける「ジェッカーチェーン」を設立。悪質なマルチ商法との批判が高まり、75年に国会で取り上げられ、参考人招致された。議員から「悪徳商法では」との指摘が出されたが、元会長は「マルチではない。徹底的にやる」と話した。

 翌76年の国会では、通産省(当時)が「典型的な悪いマルチ」との見方を示した。同社は、同年に事実上倒産。前年の75年、山口元会長はジャパンライフを設立していたが、85年の国会では同社についても「マルチまがい」などと問題視された。

 一方、翌86年の国会では、同社と密接な関係がある政治団体「健康産業政治連盟」が、中曽根康弘首相(同)や山口敏夫衆院議員(同)らの関連団体に献金していたことも明らかになった。

 また、同社の事業報告に、山口元会長が安倍晋三前首相の父・晋太郎外相(同)らとニューヨークを訪問したと書かれているとの指摘もあった。同外相は「山口代議士がたくさんの人と、私が国連に行っていたときに紹介というか表敬に連れてきて、その中に山口隆祥氏がいたのは事実」と答弁した。

 2000年以降も国会議員への献金などは続き、14年には下村博文・自民党政調会長が代表を務める「自民党東京都第11選挙区支部」に同社が10万円を寄付。同社の顧客勧誘資料に、下村氏とは別の自民党幹部との懇親会を山口元会長が主催したと記載されていたほか、顧問には内閣府の元官僚らが就いていた。

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ホームレス問題

2020年09月19日 04時28分28秒 | 事件・事故

厚生労働省の2020年度調査によると、全国の路上で生活する人の数は3,992人。
同調査の13年前の人数18,564人と比べると、8割ほど減少したことになります。
しかし一方で、安定した住居がない状態でネットカフェ等を利用する人は、都内だけで一晩に4,000人いると推計されています(2018年 東京都調査)。
いわゆる「ネットカフェ難民」をはじめとする、統計に現れない「見えないホームレス」の数を合わせると、甚大な数の人が、今も不安定な居所で夜を過ごしていると考えられます。

ホームレス状態になる経緯は、人それぞれです。
ある人は仕事を失って。ある人は借金や奨学金等、債務の問題で。自身の抱える病気や障害によって。あるいは家族との離別や介護離職が原因で。災害に被災して、という方もいらっしゃいます。
何がきっかけになるのかは違っていても、共通しているのは、問題が起こったその時に、頼ったり、相談できたりする人や場所、または機会がなかった、ということです。
人は仕事と住まいを失うだけでは「ホームレス」になりません。人とのつながりや希望を失って孤立した時、hopelessになりhomelessになると、私たちは考えています。

ホームレス状態からの脱出の難しさ、必要な支援

一度ホームレス状態に陥ってしまうと、生活再建のハードルは段違いに上がります。一つは、食べるための収入を得る「仕事」の確保の問題。履歴書、身分証、連絡先、住所がなく、その日にお金が受け取れる仕事の選択肢は、多くありません。
もう一つは生活の基盤となる「住まい」の確保の問題。たとえ収入があっても、まとまった初期費用の用意や保証人の確保が難しいこと、携帯電話や身分証がない事から、市場賃貸物件へのアクセスは非常に困難になります。

生活再建の道筋はその人の状況や課題に応じて違いますが、解決に踏み出すどんな一歩も、チャレンジであることに変わりはありません。その最初の一歩を踏み出すための足がかりは、「誰もが居場所と出番のある、包摂的な社会」の中でこそ生まれてくるのではないか、と私たちは考えています。
ホームレス状態の人が抱える基本的な問題には、就業と居住場所があります。
ホームレス状態の生活からの自立をするために欠かせないこの2つの要素は、根本的な問題として挙げられるでしょう。
まずは、それぞれの詳細について確認します。

ホームレス状態の人の就業問題

ホームレス状態からの自立とその後の生活を継続するためには、安定した就業が欠かせません。
しかし、経済や雇用情勢が悪化してしまうと、ホームレス状態の人の就業は特に難しくなり、路上生活から抜け出せない悪循環に陥ってしまうこともあります。
また、東京都が実施する「ホームレスの自立支援等に関する東京都実施計画(第4次)」によると、ホームレス状態の人という前歴を持つ人の雇用を企業が躊躇する傾向があるとしています。

このような問題解決のために、ホームレス状態の人のための就業機会の確保が求められているのです。

平成30年7月に新たに打ち出された「ホームレスの自立の支援等に関する基本方針」では、ホームレス状態の人の就業機会に関する取組方針として以下のようなものが挙げられています。

雇用を行う事業主にホームレス状態の人の事情を理解してもらうための啓発活動を行う
ホームレス状態の人の就業に結びつく可能性の高い求人情報の収集と、ホームレス状態の人への情報提供を進める
ホームレス状態の人の就業ニーズを相談などで確認し、必要に応じて職場定着指導などを行う
ホームレス状態の人の早期就業を実現するために、トライアル雇用を実施する
地方公共団体や民間団体と連携していくために、就業支援セミナーなどを総合的に行う
技能講習や職業訓練を実施して、ホームレス状態の人の職業能力の開発と向上を図る
すぐに常用雇用が難しいホームレス状態の人に対しては、NPO団体などと協力して段階的な就労支援を行う
このような対策によって、ホームレス状態の人の就業問題は支援されています。
今後も広範囲への働きかけによって、ホームレス状態の人の就業を安定させることが求められるでしょう。

ホームレス状態の人の居住場所の問題

安定した居住場所の確保が難しい点も、ホームレス状態の人が抱える問題の1つです。
「ホームレスの自立の支援等に関する基本方針」では、以下のように居住場所の重要性が示されています。

「特に、ホームレス自立支援施策は、ホームレスの就労の状況、心身の状況、地域社会からの孤立の状況等に応じ、自らの意思で安定した生活を営めるように支援することが基本であり、このためには、就業の機会の確保が最も重要であるが、 同時に安定した居住の場所が確保され、地域で自立した日常生活が継続可能となる環境づくりも必要である。」

新しい住居が決まらない、もしくは収入が不安定のために退去を余儀なくされてしまう。
そのような不安定な状態では、心身共に健康な状態での生活は難しくなります。
ホームレス状態の人への住居支援策は、本人の安定した就業とその後の生活に欠かせないものとなるでしょう。

ホームレス状態の人の自立の支援等に関する基本方針では、居住場所の問題に対して以下のような取り組みを行うとしています。

優先入居の制度や、住宅セーフティネット法などの活用をする
ホームレス状態の人が安価な家賃の民間賃貸住宅の情報を入手できるように、自立支援センターや福祉局と連携する
家族との連絡が途絶えているホームレス状態の人のために、賃貸に必要な保証会社等の情報を提供する
住居確保給付金の支給対象となるホームレス状態の人に対しては、一時生活支援事業による支給を行いつつ、就職活動を行うことを条件に速やかに住居確保給付金の給付も行う
訪問による見守りや生活支援を行い、地域生活の継続をサポートする
ただ住居を提供するだけでなく、その後の生活も見守ることで、再びホームレス状態に戻ることのないように支援するのがポイントです。
「家がある=ホームレス状態でなくなる」ではなく、安定した生活環境を作り上げることが、ホームレス状態からの自立につながるでしょう。

ホームレス状態の人が抱える基本的な問題には、就業と居住場所がある
経済や雇用情勢が悪化してしまうと、ホームレス状態の人の就業は特に難しくなり、路上生活から抜け出せない悪循環に陥ってしまうこともある
まずは安定した生活環境を作り上げることが、ホームレス状態からの自立につながる
(出典:東京都「ホームレスの自立支援等に関する東京都実施計画(第4次)」,2019)
(出典:厚生労働省「《番号入り版》H30ホームレスの自立の支援等に関する基本方針(案)【一太郎版】」,2018)
今後考えるべきホームレス状態の人の問題点


上記のようなホームレス状態の人に関する問題と合わせて、近年の調査によって新たな課題も浮き彫りになってきています。
今後さらに深刻となる可能性のある課題についても、以下から確認しましょう。

ホームレス状態の人の高齢化による問題

ホームレス状態の人の高齢化は、大きな課題の1つとなっています。
ホームレス状態の人の自立の支援等に関する基本方針によると、ホームレス状態の人の平均年齢は61.5歳となり、かなりの高齢化が確認できます。
年齢分布も65歳以上が全体の42.8%となっていることから、半数近いホームレス状態の人が高齢にあたると判断されるでしょう。

東京都の「ホームレスの自立支援等に関する東京都実施計画(第4次)」を見ても、60歳代が最も多く、続いて70歳代が多くなっています。
全体の72%が60歳以上という結果があり、高齢化は顕著だといえるでしょう。
数値を見ると、高齢化の進行が確実に進んでいることが分かります。
逆に50歳代の数値は28.7%から19.4%に下がっていることから、高齢のままホームレス状態の生活を続けている人がいることも推察可能です。

ホームレス状態の人の高齢化は、これからも考えるべき課題となるでしょう。

路上生活の長期化

ホームレス状態の人の路上生活が長期化していることも、現代の課題として数えられます。
「ホームレスの自立支援等に関する東京都実施計画(第4次)」によると、10年以上路上生活をしている人は42.1%と最も多い結果となりました。(平成28年の実態調査)
5年以上10年未満が次いで多い21.3%であることから、長期化の傾向が見られます。

数字の推移で見ても、平成24年の実態調査では10年以上が32.0%であることから、長期化の流れは継続していると考えられるでしょう。

路上生活の長期化に関連して、ホームレス状態の人への支援を行っている自立支援センターの利用率の低さなども課題として挙げられています。
東京都では自立支援センターを利用したことがあると解答した人が、わずか10.9%となっているのです。
同様に支援制度である生活保護を利用したことがあるとした人も、33.4%に止まっています。(いずれも平成28年の実態調査の結果)
支援制度を知らない、もしくは知っていても何かしらの理由によって使わない人が多いことが、路上生活の長期化につながっているのかもしれません。

健康面の悪化

ホームレス状態の人の高齢化や路上生活の長期化は、健康面の悪化にもつながっています。
「ホームレスの自立支援等に関する東京都実施計画(第4次)」では、「健康状態が悪い」と解答したホームレス状態の人の割合は、平成24年の調査で30.1%、28年の調査で31.1%となりました。

さらに健康状態が悪いと答えたホームレス状態の人の6割以上が、対処法として「何もしていない」と解答していることも問題になり得ます。
積極的な治療が行われていないことから、健康面の課題も長期化する可能性があるかもしれません。
迅速な健康状態の確認と、必要に応じた治療が今後は特に求められるでしょう。
同時に健康状態の悪いホームレス状態の人を生み出さないために、速やかな就業支援と住居提供が必要になることが予想されます。

ホームレス状態の路上生活が長期化しており、それが健康面の悪化にもつながっている
10年以上路上生活をしている人は42.1%
ホームレス状態の人への支援を行っている自立支援センターの利用率の低さなども課題
(出典:厚生労働省「《番号入り版》H30ホームレスの自立の支援等に関する基本方針(案)【一太郎版】」,2018)
(出典:東京都「ホームレスの自立支援等に関する東京都実施計画(第4次)」,2019)


金額の差じゃない「年収400万円の人」と「年収1000万円の人」の思考の違い5選

2020年09月19日 04時04分09秒 | 社会・文化・政治・経済

9/18(金) 20:16配信

LIMO [リーモ]

国税庁の「民間給与実態統計調査」によると、平成30年の日本の年間平均給与は約440万円と発表されています。

一方で、同調査によると1年を通じて勤務した給与所得者のうち1000万円以上稼ぐ人は、わずか全体の5%しか存在しないという結果が出ています。もちろん給与所得者のみの調査にはなりますが、年収1000万円を稼ぐということがいかに難しいかということがよく分かります。

この日本の平均所得である「年収400万円の人」、そして給与所得者の約5%しか存在しない「年収1000万円の人」、一見すると金額だけの差のように思えますが、その差は金額だけではありません。考え方、つまり思考にも大きな差があると考えられています。

今回は、「年収400万円の人」と「年収1000万円の人」の思考の違いを比較しながら、年収1000万円以上を稼ぐために必要な考え方や行動について紹介していきます。

1:過去にこだわらない思考 
社会人になると、例えば学歴などの過去の学力、過去の成績などが話題になる場面が多々あります。しかし、それは年収1000万円以上の人の間では、もっというと年収があがればあがるほど話題にはならなくなっていきます。高所得者層の中では、今の環境下で成果を出すことがなによりも大切であり、過去の話や学歴にこだわり、それが今の実力であるかのように扱われるというのは非常にナンセンスだという考えが強くなっていくのです。

特に年収3000万円以上の経営者ともなってくると、それこそさまざまなバックグラウンドを持つ人であふれています。現実、そして未来への思考を重視し、過去にはこだわらない、それが年収1000万円の人の考え方といえるでしょう。

2:思考を可視化する
年収が高いビジネスマンほど手帳を2冊持ちしたり、フリースペースにさまざまな事柄が書き込めるようなレフト式の手帳を使用したりなど、「思考を可視化」する人が多くなっていきます。思考を頭の中にとどめるだけではなく、それを書き起こし可視化することによって、より想像力が膨らんだり考えを深めたりすることができるということで、手帳などのノートを仕事に役立てている人が多いのです。

もちろん、職務の違いといってしまえばそれまでなのかもしれませんが、年収1000万円ともなると、求められる仕事がより高度なものとなり、管理するものも多くなってくるでしょう。普段からしっかりと自分の考えや意見、斬新なアイデアなどを目に見える形で残していくことによって、仕事の成果に繋げているのです。

3:情報に敏感になる 
さらに年収1000万円以上の人は、情報に敏感で積極的な情報収集をしている人が多く見られます。情報化社会といわれる現代において、情報の有無が仕事の成功を左右するといっても過言ではありません。

高年収の人になればなるほど、それが現在の仕事に直結するか否かは関係なくとも、新しい情報に対して敏感で常にアンテナを張っています。一見業務に関係なさそうな情報であっても、どこでその情報が化けて業務の成功に繋がるかは分かりません。選り好みせずより多くの情報を手に入れ、収集するという行動は年収1000万円の人にとっては当たり前のことなのかもしれませんね。

4:常識を疑う 
年収1000万円の人は、目の前のことをやるだけ・言われたことをやるだけということはしません。常にその一歩先を見て「常識を疑う」ことを行っています。

今当たり前となっている制度やマニュアル、それらに従うのではなく、現行のものを「疑う」ところから仕事がスタートするのです。会社をより良くするため、業務をより効率的にするために目の前にある常識を常識だと思わない、それが年収1000万円の人の思考なのです。

5:常に「仕組み化」を考える
高年収の人は常に「仕組み化」することを重視します。仕事において大きな目標設定をし、それに対して「やる気」だけで動くのは年収400万円の人。その一方で大きな目標設定に対してそれに向かうための細かな目標設定、時間管理、具体的に何をすれば良いのかという仕組みによって自分を動かしているのが年収1000万円の人なのです。やる気とは時に外的要因によっていとも簡単に崩れてしまう脆いものです。その脆さを知っているからこそ、高年収の人はやる気やモチベーションという精神的なものではなく、自分のすべきことを仕組み化し、管理し、より高度な業務も一つ一つ着実に成し遂げることができているのです。

いかがでしょうか。「年収1000万円」とその金額だけ見てみるとなかなか手が届かないように思われがちですが、高所得者の思考というのは真似できないものではありません。できるところから少しずつその思考を参考にしていくだけで、いつの間にか自身の仕事に対する行動や成果に変化が現れてくる、なんてこともあるかもしれません。

【参考】
国税庁「民間給与実態統計調査」

多田 秋

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最終更新:
LIMO

1年間で3回の行政処分 消費者庁から迷惑解除妨害など特定商取引法違反で一部取引の停止処分を受けたジャパンライフ(株)

2020年09月19日 04時02分10秒 | 事件・事故

公開日付:2017.12.13
 11月17日、消費者庁から迷惑解除妨害など特定商取引法違反で一部取引の停止処分を受けたジャパンライフ(株)(TSR企業コード:291624898、千代田区、山口ひろみ社長)。
 ジャパンライフは2016年12月、2017年3月、そして今回と1年間で3回の行政処分を受けており異例な事態となっている。
 消費者庁による公認会計士の監査で2017年3月期は根拠のない仕訳を取り消すと338億7,674万円の債務超過も指摘されている。
 ジャパンライフは、家庭用永久磁石磁気治療器や寝具、化粧品などを主に高齢者に販売していた。2017年7月、東京商工リサーチ(TSR)がジャパンライフへ取材すると、2017年3月期の売上高を235億725万円、純資産40億313万円、総資産は174億9,694万円と答えていた。しかし、その後のTSRの取材には、「取材はすべて受け付けていない」とコメント。商品内容も「担当が不在」と説明を拒んだ。
 立て続けに行政処分を受けたジャパンライフの現状を追った。
積極的な営業で事業拡大
 ジャパンライフの山口隆祥・代表取締役会長は、かつて健康食品販売のジェッカーフランチャイズチェーン(株)(TSR企業コード:290577918)を経営していた。1975年5月、特殊販売に関する問題で山口隆祥氏は国会に参考人として招致され、それから1年後の1976年11月に同社は銀行取引停止処分を受け、事実上倒産した。
 ジャパンライフは、その1年半前の1975年3月に設立された。1985年2月期には売上高が1,509億円と急成長したが、同時期に「マルチまがい商法」として社会問題になった「豊田商事」事件が発生。その余波を受けて業績は大幅に落ち込んだ。その後、会長の娘の山口ひろみ氏が2007年に社長に就任し、2017年3月期(1992年より3月決算)の売上高は235億725万円まで回復した。
100万円を超える高額な商品と複雑な取引
 ジャパンライフの社内資料には、「全国80店舗、正社員800名、接客アシスタント2,000名、アンテナショップ5,300カ所、地域センター1,000カ所」と記載し、巨大組織を謳っている。
 チラシに掲載された磁気ベストやバンドなど装着タイプの磁気医療器の小売価格は、100万円から600万円などと高額だ。
 手元にTSRが独自に入手した2015年11月末の「大口レンタル事業者名簿」がある。
 そこには「相続税対策が終わった皆様」と題し、氏名の横に「レンタル事業合計金額」が並ぶ。1位は12億4,780万円、2位が9億2,109万円、3位が8億7,200万円。億単位の金額の序列と獲得を煽るように店舗名が記載されている。
 ジャパンライフの営業は、消費者の自宅を訪ね契約する訪問販売だった。高額な磁気治療器を一般顧客に販売し、その商品はジャパンライフが3カ月以上の期間で預かる。預けた商品は第三者にレンタルし、得られるレンタル料を購入者に渡す預託等取引契約を締結する。会員になると商品販売を斡旋して資格別ボーナスを得られる連鎖販売取引もあった。
 業績が回復途上の2016年12月16日、消費者庁から預託法及び特定商取引法違反で2017年3月16日までの3カ月間、預託等取引、訪問販売、連鎖販売に関する一部取引の停止処分を受けた。
2017年3月16日にも再び消費者庁から預託法及び特定商取引法違反の処分を受けた。処分内容は、2017年12月16日までの6カ月間の一部取引の停止だ。
 消費者庁の調査では、2015年9月末で預託を受けていた商品は2万2,441個。だが、実際にレンタルユーザーに賃貸していた商品はわずか2,749個。その差の1万9,692個は本来保管されどこかにあるべきだが、在庫は95個しかなかった。消費者庁は大幅に不足する在庫などについても指摘した。
 ジャパンライフは2015年10月1日から通信販売を除き、すべての商品の訪問販売を止め、店舗での直接販売に移行した。また、消費者に商品を販売後、ジャパンライフに預けて第三者にレンタルする預託等取引も止めた。
 代わって、商品を販売し、購入者がその商品を拡販や宣伝して得られる利益(業務提供利益:販売価格の6%)をジャパンライフが渡すという業務提供誘引販売を始めた。訪問販売や預託取引を止め、業務停止処分の影響を抑える対策とした。
 TSRは2017年4月度の店舗別売上管理表を入手した。そこには全国を北海道から熊本まで25エリアに分け、各地方、各エリア、各店毎の目標金額が記載されている。目標金額の最低は青森店などの1,500万円。最高は北信越・岐阜地方の4億6,500万円で、全体の目標額は25億9,500万円とある。注目すべきは目標額に対し、売上結果は35億5,849万円と大幅に上回っていることだ。2回の消費者庁からの処分をものともせず跳ね返している。
3回目の処分、債務超過の指摘
 ところが、11月17日に消費者庁は業務提供誘引販売に係る新規加入や申込受付、契約締結を1年間(2018年11月17日まで)停止する命令を出した。停止期間中は業務提供誘引販売ができない。新たな営業手法に早くもストップがかかった格好だ。
 違反内容は、消費者にエステやマッサージなどを告げるだけで、勧誘目的などを明らかにしない勧誘目的等不明示。公認会計士による監査で、2017年3月期で約338億円の債務超過だったことを業務提供誘引販売した顧客に故意に事実を告げない行為、などを指している。
 入手した資料では、ジャパンライフの家庭用治療機器と家庭用磁気治療器の預託等取引の対象商品は、2017年3月末で契約残高が1,843億3,855万円、実地棚卸高は721億794万円となっている。
 ジャパンライフがTSRに公表した決算書の資産合計は174億9,694万円で、棚卸額に遠く及ばない。公認会計士が作成した「独立業務実施者の合意された手続実施結果報告書」によると、一般的な監査ではないという前提で2017年3月期の純資産額は338億7,674万円の債務超過で、資産合計は2,066億7,382万円、負債合計は2,405億5,057万円だった。
ジャパンライフの比較貸借対照表
 ジャパンライフは今年9月、公認会計士による外部監査の結果、「(ジャパンライフから)十分かつ適正な監査証拠を入手できなかったとの理由で意見不表明となった」ことを顧客向けに公表した。
消費者庁によると、2015年4月1日から2017年11月13日までジャパンライフについて消費生活センターに寄せられた相談件数は合計497件。すでにジャパンライフへ支払った金額の平均は1,850万円、最高額は5億円に及ぶ。相談者は、70歳以上が73%、女性が74%、無職が59%だという。ここにジャパンライフのターゲットが透けて見える。
新たな販売方法の開始
 四面楚歌に陥ったかにみえたジャパンライフだが、処分を見越すかのように動きは素早かった。業務提供誘引販売の処分を受ける3日前の11月14日、新たに11月1日に遡り磁気治療器のリース債権販売をスタートした。
 リース債権総額は約129億5,000万円と限定。例えば、100万円のリース債権を消費者が70万円で購入すると、5年間にわたり月額5,000円×60回の30万円の債権収入を得られる。年利8.57%の高率だ。5年後には債権を70万円でジャパンライフが買い取るシステムだ。
 11月から各店舗で販売しているようで、12月7日にジャパンライフのある店舗の状況を確認すると、顧客とみられる多くの高齢者が出入りし、若いスタッフが見送りする様子が何度も見受けられた。

ジャパンライフの横浜店

被害対策弁護団が刑事告訴も検討
 2017年9月、中部地区の弁護士がジャパンライフ被害対策中部弁護団を組織した。弁護団の事務局長は永田有香弁護士(深津法律事務所内、電話:0566-73-0770)が務めている。永田弁護士は「ジャパンライフの被害の回復及び防止を目的としている。中部だけでなく全国の被害者から相談を受け付け、場合によっては連携している各地の弁護士を紹介することもできる」と話す。また、「刑事告発も検討している」という。
 特定適格消費団体の特定非営利活動法人消費者機構日本もジャパンライフに関する情報を集めている。消費者から被害情報を収集し、消費者団体訴訟制度の差止請求や被害回復による対応を検討しているという。情報提供はホームページや電話などで受け付けている。
 2017年12月16日に預託法及び特定商取引法違反の9カ月間の処分が終了する。消費者庁に新たな処分の意向を確認すると、「個別案件には回答しない」とのことだった。
 コンプライアンス(法令)遵守が重視される時代に1年間に3度の行政処分。決算の仕分けに関する多額の相違。業績と別に、企業として、経営者として、モラルを問われている。財務内容は健全か。契約時の説明は十分か。ジャパンライフの真摯な姿勢が問われている。
 (東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2017年12月14日号掲載予定「Weekly Topics」を再編集)


ジャパンライフ 急成長とマルチ商法問題

2020年09月19日 03時51分58秒 | 事件・事故

ジャパンライフ株式会社は、東京都千代田区に本社を置く代替医療機器製造販売会社。

沿革[編集]
急成長とマルチ商法問題[編集]
APOジャパン、ホリディマジックと並ぶマルチ商法の草分けたる3社中の一つであるジェッカーチェーンを興した山口隆祥が1975年に創業。ジェッカーチェーンはこの1年後に倒産した。
1985年2月期には売上高1509億円を記録するなど急成長したが、同時期に表面化した豊田商事事件の余波を受けて業績は大幅に落ち込んだ[5]。

豊田商事同様にマルチ商法被害が社会問題となって同年12月10日、衆議院商工委員会でジャパンライフ問題の集中審議が行われた[5][7][8]。この少し前には山口隆祥社長が法人税法違反で告発された(1983年)ことから社長を退き、後任の社長として、警察官僚で京都府警察本部長や中部管区警察局長を歴任し、ネズミ講を取り締まる警察庁生活安全局保安課長を務めたことがある相川孝を迎えている。この人事には警察対策なのではとの見方が囁かれていた[誰によって?]。
たび重なる行政指導、行政処分[編集]
2007年、創業者の娘である山口ひろみが社長に就任[5]。
2014年、消費者庁から書面による行政指導を受けた[7][8]。2015年9月10日、消費者庁の立入検査を受けた[8]。2015年10月1日、販売形態を転換、通信販売を除き店舗での直接販売に移行した[5]。また、訪問販売・連鎖販売取引・預託取引をやめて、代わって業務提供誘引販売取引を導入、磁気治療器などを100万円から600万円で販売し、購入者が知人などにレンタルすると年6%の利益が得られるという「レンタルオーナー契約」方式を始めた[3][5][8]。
迷惑解除妨害の特定商取引法違反などにより、消費者庁から2016年12月16日・2017年3月16日・11月・12月の4回にわたって行政処分を受け、一部業務について1年間の業務停止を命じられた[6][7][8]。
2度目の行政処分から2か月後の2017年5月16日、東京・お台場のホテルで大物演歌歌手の歌謡ショーを開催、1000人を超える参加者を前に会長みずから磁気治療器を実演し、「腰痛や膝痛、全部解決する」「3月に売上過去最高30億円を達成」「すごい産業になる」などと大々的に勧誘した[9][10]。5月24日参議院財政金融委員会で、内部告発で提供された収録映像をもとに、業務停止命令に違反する営業であると批判された[8]。
倒産と再建案提示[編集]
2017年12月12日、本社不動産を売却[6]。12月15日、山口ひろみが社長ならびに取締役を辞任[6]。12月20日、巨額の債務超過を顧客に隠して勧誘したなど詐欺や預託法違反の疑いにより、被害対策弁護団から愛知県警察に告発状が提出された[6][7]。一方で同社側は、消費者庁の管轄である連鎖販売や預託取引については既に行っていないにも関わらず業務停止が命じられたことにより、あたかも他の業務も停止したかのような誤解を受けたと主張している[3]。
2017年12月20日と21日の2日連続で手形が不渡りとなったため12月26日、取引銀行からの取引停止処分を受け倒産。負債総額の2405億円[11]は、同年の倒産ではタカタに次ぐ規模である。
同年末、荷物が運び出され、顧客・債権者・報道関係者らが集まる本社前で「12月29日午前(代表が)成田から香港へ脱出」「逃亡を許すな!一般社員は怒ってるぞ」などと書かれた複数の文書がまかれた[12]。
2018年1月上旬、顧客や代理店など関係者向けの説明会を開催、会社幹部が出席し「必ず返金するが、調査中のためいつ返済できるかなどは言えない」「担当が仕事を放棄したことで不渡りが発生、正直びっくりした」「販売会社を新たに設立(して再建)する」「磁気治療器を大幅に値下げする」などと述べたと伝えられている[12]。一方、顧客弁護団は同年2月9日に破産申し立てを行なった[13]。
破産手続[編集]
2018年3月1日、東京地方裁判所より破産手続開始の決定を受けた[14]。官報での破産手続開始の公告は同年3月12日付で掲載された[15]。同年9月4日、東京地裁は山口隆祥個人の破産開始を決定[16]。同年10月9日、東京地裁は山口ひろみ個人の破産開始を決定[16]。
2018年11月12日、第1回債権者集会が開催され、代表取締役山口隆祥は「国民の健康のためがんばってきた。お客も良い思いをした」「オーナー商法は詐欺ではない」等と主張した[17]。2019年6月4日、第2回債権者集会開催。同年12月18日、第3回債権者集会開催[16]。2020年6月10日、第4回債権者集会開催。
2020年9月18日、警視庁などの合同捜査本部は、会社が債務超過であることを認識した上で、顧客約10人から計約8千万円をだまし取った疑いで山口隆祥元会長および旧経営陣を逮捕した[18]。
2020年9月18日、警視庁が山口や幹部ら15人前後を詐欺容疑で逮捕した。
関連企業・団体[編集]
ナチュレール・イオン・コスメテックス株式会社 - 化粧品製造会社[19]。1979年9月設立、2012年頃子会社化、2012年9月山口ひろみが代表取締役に就任[19]。資本金4500万円、推定年商1億円前後[19]。所在地はジャパンライフ本社と同一[19][20]。従業員によると、銀行印や小切手帳はジャパンライフに管理されているという[19]。
イオン薬品株式会社 - 現在営業実態不詳[19]。1981年11月設立、2012年9月山口ひろみが代表取締役に就任、2013年3月東京都世田谷区大蔵六丁目20番28号からジャパンライフ本社所在地に登記上の本社を移転[19][21]。資本金1000万円、1986年度で年商4140万円[19]。
有限会社ジェイエル興産 - 1985年10月設立、2007年11月山口ひろみが代表取締役に就任[19]。

所在地はジャパンライフ本社と同一[19][22]。2017年3月時点ではジャパンライフの大株主であったが、2018年11月14日に東京地方裁判所から破産手続開始決定[23]。
一般社団法人日本文化協会 - 文化活動の支援を目的とする[24]。2014年9月設立[19]。

所在地はジャパンライフ本社と同一[19][24][25]。会長は外交評論家加瀬英明、副会長は山口[24](2019年2月現在は役員から退いている[26])。駐日サンマリノ大使マンリオ・カデロを顧問に据え、宣仁親王妃喜久子と寬仁親王が名誉会員であると称している[26]。
特定非営利活動法人 活生ライフ - 「死後に家族や周囲の人々に迷惑を掛けたくないという明確な本人の意思を完全実現し、尊厳ある死の事前準備と死後の事務手続きを支援する」[27]。2014年12月1日設立[27]。所在地はジャパンライフ本社と同一[19][27][28]。

理事長は内閣審議官や内閣府国民生活局長などを歴任した永谷安賢[8][27]。
株式会社マクサム.ナウ - 1975年9月設立、資本金1000万円、2015年1月休眠会社としてみなし解散[19]。所在地はジャパンライフ本社と同一[19][29]。
公益財団法人ライフサイエンス振興財団 - 生命科学に係わる科学技術の振興を目的とする[30]。1983年設立[30]。所在地は東京都千代田区麹町2丁目12番1号KDXレジデンス半蔵門702号室[31]。

初代理事長は元科学技術事務次官で原子力行政にも深く関わった梅沢邦臣、現理事長は科学技術振興機構研究開発戦略センター上席フェローの林幸秀[30]。2019年、ジャパンライフ株式会社の関係者は財団の役員を退任し、現在は同社と関係を有していない。
政官界との関係[編集]
消費者庁取引対策課課長補佐兼消費者取引対策官が、定年退職するに当たって経営者との面会を要求するなど自身の天下りを受け入れるよう要求、2015年7月に同社に顧問として再就職した[9][32]。

また社長の山口は同年の「桜を見る会」に“総理枠”かとされる「60」番で招待されている。2016年2月1日消費者庁は違反行為があったとは断定できない旨の調査結果を内閣府再就職等監視委員会に提出したが、同年3月同委員会は国家公務員法第106条の3第1項違反を認定した[9]。
業務停止処分直後の2017年1月13日、会長の山口が働き方改革担当特命大臣の加藤勝信と会食、のちチラシに「ジャパンライフのビジネスモデルは、一億総活躍社会を先取りしています!」との加藤のコメントが掲載され[7][33]、また主要閣僚含む安倍政権の政治家への「お中元リスト」の存在が国会で議論されたり、複数の官僚が当社や関連団体に顧問として再就職(天下り)しているなど、政官界との結びつきが強いと評する媒体もある[7][33]。
「桜を見る会問題#反社会的勢力の参加」も参照
役員[編集]
前会長・山口隆祥[34][35] - 1942年、群馬県生まれ[34]。
1975年、ジャパンライフを創業、社長に就任した[34]。医療機器認可家庭用磁気治療器の発売を開始した[34]。2007年、会長に就任した[34]。2019年、山口と娘のひろみが、東京地裁から破産手続き開始決定を受けた[35]。
前社長・山口ひろみ[34][35] - 1972年、東京都生まれ[34]。
聖心女子大学文学部外国語外国文学科卒業[34]。慶應義塾大学大学院経営管理研究科前期博士課程修了、経営学修士(MBA)[34]。
1996年、ジャパンライフに入社[34]。経営企画等を経て2007年、社長に就任した[34]。


ジャパンライフ元会長ら詐欺容疑で逮捕 1万人から2000億円集める

2020年09月19日 03時49分50秒 | 事件・事故

9/19(土) 1:12配信

フジテレビ系(FNN)

FNNプライムオンライン

総額2,000億円以上を集めた巨額の詐欺事件。

政界とのつながりも利用されていた。

18日朝、詐欺の疑いで逮捕されたのは、健康器具販売会社「ジャパンライフ」の元会長・山口隆祥容疑者(78)ら14人。

配当金が払えないにもかかわらず、男女12人の顧客から、およそ8,000万円をだまし取った詐欺の疑いが持たれている。

磁気治療器を購入し、オーナーになれば配当金が得られるなどとうたい、全国のおよそ1万人から2,000億円以上を集め、破綻したジャパンライフ。

山口容疑者らが悪用したのは、「レンタルオーナー制度」と呼ばれる預託商法。

顧客に磁気治療器を購入させ、ジャパンライフがその治療器を別の契約者に貸すことで、顧客に配当としてレンタル収入が入るとうたい、高齢者から資金を集めていた。

ジャパンライフに1億3,000万円をだまし取られたという女性は、「『いいお金増やす方法ありますよー』みたいに言われて。わたしの人生終わったなって気がしましたね、つぶれたって聞いたとき」と話した。

巧みな、だましの手口。

山口容疑者は、政界とのつながりも利用していた。

2015年に安倍前首相主催の「桜を見る会」に招待されると、山口容疑者は、その招待状を資金集めの宣伝に使っていた。

加藤官房長官は18日午前の会見で、「(野党側は『桜を見る会』の招待状が被害を大きくしたとして再調査求めているが?)特定の個人の参加の有無について、名簿が保存されていないということ、個々の招待者について今からあらためて調べても、確たることは申し上げることができない」と述べ、再調査しない考えを示した。

都内で会見を行った被害者の弁護団は、「関与者が財産を隠していないのかどうか、さらなる捜査が進むことを期待している」と述べた。

過去最大級の詐欺事件。

警視庁は山口容疑者らを追及し、全容解明を進める方針。

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政府、「桜」再調査を否定 加藤官房長官「名簿廃棄済み」

2020年09月19日 03時43分14秒 | 事件・事故

9/18(金) 13:07配信

時事通信

記者会見する加藤勝信官房長官=18日午前、首相官邸

 加藤勝信官房長官は18日の記者会見で、詐欺事件で逮捕されたジャパンライフの山口隆祥元会長が安倍晋三前首相主催の「桜を見る会」の招待状を顧客勧誘に利用していたことに関し、その経緯についての再調査に改めて否定的な考えを示した。

ジャパンライフが顧客勧誘用の資料で紹介していた「桜を見る会」招待状

 「名簿も保存されていないので、個々の招待者を今から改めて調べても確たることは申し上げることはできない」と述べた。

 詐欺事件をめぐっては、加藤氏自身が同社の宣伝に顔写真が使われるなど広告塔として利用された経緯がある。加藤氏は「私の事務所から厳重な抗議をしている」と述べ、無関係であることを重ねて強調。政府として捜査を見守る方針を示し、警察当局に対する協力については「今後、必要があれば連絡を取っていくことはあり得る」と説明した。