「制圧」の実態
毎日新聞 2022/3/9
「倒そう、制圧、制圧」。入管職員が、日系ブラジル人男性を数人で押さえ込み、「痛い、痛い」と叫ぶ男性の腕をねじり上げた。
「痛いじゃねーんだよ」「うるさい、静かにしろ」。職員の大声が響く。これは、男性が東京入国管理局(現・東京出入国在留管理局、東京都港区)に収容されていた時に、職員による暴行でけがをしたとして国を訴えた裁判で、東京地裁に提出された証拠のビデオ映像の内容だ。入管収容施設で外国人が職員に暴力を振るわれたと訴える裁判が相次ぐ。入管施設で何が起きているのか。
訴状などによると、2018年10月5日、東京入管に収容中のアンドレ・クスノキさん(35)は入管職員から、茨城県牛久市の入国者収容所「東日本入国管理センター」に移送されると告げられた。クスノキさんは同じ年、同センターで自殺者が出ていたことなどから移送を希望しないと伝え、理由を尋ねたが、入管側は話し合いをしなかった。