3/14(月) 6:49配信
Yahoo!ニュース オリジナル THE PAGE
甲子園球場で阪神のドラフト4位の大型ルーキー前川右京(智弁学園)が衝撃デビュー
阪神のドラフト4位、前川右京(18、智弁学園、左投げ左打ち)が13日、甲子園で行われた巨人戦で「7番・レフト」でフル出場し、いきなりマルチ安打をマークする衝撃デビューを飾った。スイングスピードと体格と風格。そして追い込まれてからの変化球対応など、高卒ルーキーとは思えぬポテンシャルを披露した。矢野監督は、続けての1軍帯同を明言。結果より経験の必要なシーズンだろうが、ひょっとすると開幕1軍に名を連ねる秘密兵器になるのかもしれない。
新人離れした風格でフォークに対応し2安打
堂々たる風格と不敵な面構え。2回二死二塁に前川は、物怖じすることなく、智弁学園時代に慣れ親しんだ“聖地“の左打席に入った。ややオープンスタンスで、グリップの位置は低く、バットを立てる。ユニホームの太ももがパンパンに張るほど、176cm、88kgの立派な肉体をどっしりと低く構えた。とても高校生ルーキーとは思えない。マウンドには、原監督がローテー入りを期待するドラフト3位の赤星優志(日大)。ストレートは150キロは出て多彩な変化球でカウントを取れる即戦力である。
初球のツーシームを見送った前川は、2球目のインコースのストレートを思い切り振り切った。ライト側スタンドへライナー性の強烈なファウル。追い込まれ、最後は、外角低めに逃げるようにして落ちるフォークに空振りの三振に終わった前川は、口元をゆがめ、悔しさを隠そうとしなかった。
5回の2打席目もレフトフライに終わったが、非凡さを伝えたのは、7回一死一塁で迎えた第3打席だ。巨人の2年目の戸田懐生に0-2とされてから落としてきたフォークをうまくバットをコントロールしてライト前に運んだのだ。右足を上げてタイミングを取る前川はカウントを追い込まれると、摺り足に変えて変化球対応して見事に成功。チャンスを広げて、小幡竜平の逆転ツーベースを呼び込んだ。
前川のデビューはまだ終わらない。
2-2のスコアで迎えた9回二死からの第4打席。またカウント0-2と追い込まれてから巨人5番手、直江大輔のボールゾーンに落ちてくるフォークをしっかりとためてバットに乗せて、今度はセンター前へ運んだのだ。これが本番なら代走を送って最後の勝負をかけられる場面。在阪スポーツ紙の報道によると試合後「自分がやるべきことはしっかり今日はできた」と語ったそうだが、阪神の高卒新人のオープン戦スタメン抜擢としては、2007年2月25日オリックス戦に「9番・三塁」で出場した野原将志以来15年ぶりとなるデビュー戦を内容の詰まった衝撃のマルチ安打で飾ってみせたのである。
阪神ドラ4前川右京 1軍デビューいきなりマルチ 80年以降で高卒新人初 デイリースポーツ
7回、1軍デビュー戦で右前打を放つ前川(撮影・田中太一)
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「オープン戦、阪神2-2巨人」(13日、甲子園球場)
阪神のドラフト4位・前川右京外野手(18)=智弁学園=が鮮烈な1軍デビューを飾った。「7番・左翼」で先発し、4打数2安打と躍動。1980年以降では高卒新人がオープン戦初出場で安打を放ったのは球団初。非凡な才能の片りんを見せた18歳に、矢野監督も15日からの博多遠征への帯同を決めた。怖い物知らずの「フルスイング」を武器に開幕1軍を目指す。
前川の白と赤のネームタオルが、スタンドで揺れた。2打席凡退で迎えた七回1死一塁の第3打席。2球で追い込まれた直後の外角低めのフォークに執念で食らいつき、右前へ運んだ。白球が地面に落ちると同時に湧き起こる虎党の大歓声。「球場の歓声がすごくて、うれしかったです」。聖地の盛り上がりを初めて体感し、緊張で固まった表情が塁上で少し緩んだ。
直後の2死一、二塁では、小幡の左中間二塁打の間に一塁から一気に本塁生還を果たす激走。九回2死では変化球に泳ぎながらも中前に運び、マルチ安打をマークした。「やっぱり振っていかないと何も始まらない」と、4打席中3打席でストライクの球を全てフルスイング。持ち味を存分に発揮した。
昨年3月、前川は甲子園で泣いていた。高校3年春のセンバツの準々決勝・明豊戦。得点圏に走者を置いた場面で全4打席が回ってきたが無安打に終わり、チームは敗戦を喫した。「打撃に自信があったけど何もかも通用しなかった」とふがいなさに涙を流した。夏の甲子園でも決勝で敗退し、全国制覇の夢はかなわず。屈辱と悔しさしか残らなかった。
しかし、タテジマのユニホームに袖を通し、再び足を踏み入れた聖地で景色は一変した。1980年以降では球団初となる高卒新人のオープン戦1軍デビュー戦での安打。試合前に矢野監督から「エラーしても打てなくてもいいから思い切って行ってこい」と声をかけられ、言葉通り、がむしゃらに聖地を駆け回った。
試合後、矢野監督は「もっと見たい」と15日から始まるソフトバンク2連戦(ペイペイ)の遠征に帯同させることを明言。「たまたま打った感じではない。あいつの力はそういうレベルにある」と実力を認めたうえで追加招集を決めた。
前川自身も「やるからには(開幕)1軍を目指していますし、グラウンドに立った以上は自覚と覚悟を持ってやっていきたい」と高卒1年目の立場に甘んじる気はない。「年齢は関係ないと思うので、堂々とプレーしていけたらと思います」。18歳でも遠慮はしない。自慢のフルスイングで開幕メンバーに名を連ねてみせる。
◆前川 右京(まえがわ・うきょう)2003年5月18日生まれ、18歳。三重県出身。176センチ、88キロ。左投げ左打ち。外野手。背番号58。小1で野球を始める。智弁学園では1年夏から4番。高校通算37本塁打。21年度ドラフト4位入団。
◆阪神・主な高卒新人野手のオープン戦安打 1973年度ドラフト6位の掛布雅之は74年3月18日・南海戦(甲子園)で代打で初安打初打点。同21日・太平洋戦は「8番・遊撃」で初先発出場し4打数2安打。同24日・近鉄戦は「7番・三塁」で4打数4安打。オープン戦6試合12打数8安打の好成績で開幕1軍をつかんだ。
近年では20年3月7日・日本ハム戦で井上広大と遠藤成が途中出場でデビューし、ともに無安打。
井上は翌8日・巨人戦で左越え適時二塁打を放った。野原将志が07年2月25日・オリックス戦に「9番・三塁」でフル出場したが3打数無安打。