昨日 19:15
プーチン大統領の指示のもとウクライナに侵攻したロシア軍は、ミサイルによる無差別攻撃を展開するなどして、民間人の被害も広がっている。
そうしたなか、ウクライナ側はサイバー空間からの“反撃”を試みている。
現代の戦争は、陸海空軍の戦力だけで結果が決まるものではない。
ロシア側とウクライナ側の間で、どのような攻防が繰り広げられているのか。
世界のサイバー戦情勢に詳しい国際ジャーナリスト・山田敏弘氏がレポートする。
ウクライナのミハイロ・フョードロフ副首相は、ロシアによるウクライナ侵攻が始まると、ロシアに対してサイバー攻撃で抵抗するIT軍の創設を宣言。
国内外にいるウクライナ人などに参戦を呼びかけた。
実は、ウクライナには、アメリカなどのようなサイバー軍や部隊は存在しない。
そのため、国民だけでなく、サイバー攻撃やネットでの反ロシア活動をできる人たちと共に戦う「民兵」を募集したのである。実は、ウクライナは他国に比べてIT技術の高い人が多い。
こうした活動によって、世界中から寄付なども集まり、情報戦またはプロパガンダが激化する様相になっている。
ちなみに今回、世界屈指のサイバー攻撃能力を持つとされるロシアのサイバー部隊がほとんど目立った活動をしていないように見える。これまで散々、ウクライナにサイバー攻撃を仕掛けてきたにもかかわらず、である。
その理由の一つには、ロシアの侵攻が始まる数か月前の2021年10月の時点で、世界最強であるアメリカのサイバー軍の関係者がウクライナ入りしており、さまざまな対策を実施していたからだ(アメリカ政府はこの時点ですでにロシアのウクライナ侵攻に対抗する準備をしており、水面下ではアメリカ側とロシアのサイバー攻撃の攻防も起きている)。
とにかく、軍などのサイバー部隊は目立っていない。
そんなこともあって、今回、ウクライナ側においてもロシア側においても、目立った活動をしているのは、個人ハッカーや、民間のサイバー攻撃組織などだ。
では今、どんなサイバー「民兵」たちが動いているのか。
「Attack!」ボタンを押すだけでロシアの“標的”を攻撃
今回のウクライナ紛争では数多くのサイバー攻撃集団が立ち上がっている。
有名なのは、「Anonymous(アノニマス)」や、冒頭で述べた「IT Army of Ukraine(ウクライナIT軍)」だろう。
主な戦術は、ロシアの政府機関や団体などへのDDoS攻撃(大量のデータを送りつけて負荷を与えてシステムをダウンさせる攻撃)や、ウェブサイトの改ざんである。
「Anonymous(アノニマス)」は、以前からハクティビスト(ハッカーとアクティビストを足した言葉)として知られるハッカーの集合体で、今回は、反ロシアの平和主義活動を行なっている。
リーダーもおらず、各自が攻撃を行なう。
ロシアの政府系機関や国営メディアを攻撃して、一瞬であるが、DDoS攻撃で公式サイトをダウンさせたと主張している。
また先日、ロシアの国営テレビ局をハッキングして乗っ取り、ウクライナ内部の映像をロシア国民に見せつけた、というニュースがあった。だがこれは日本でいうNHKの地上波放送を乗っ取ったというようなものとは全く違う。
もしそうなら凄まじい偉業だが、実際は、オンライン上の配信サービスで流れる映像を、短い時間だけ差し替えることに成功したということである。
こうした攻撃を大きく見せて喧伝するのも、彼らの手段である。
ウクライナのミハイロ・フョードロフ副首相は、ロシアによるウクライナ侵攻が始まると、ロシアに対してサイバー攻撃で抵抗するIT軍の創設を宣言。国内外にいるウクライナ人などに参戦を呼びかけた。
実は、ウクライナには、アメリカなどのようなサイバー軍や部隊は存在しない。
そのため、国民だけでなく、サイバー攻撃やネットでの反ロシア活動をできる人たちと共に戦う「民兵」を募集したのである。
実は、ウクライナは他国に比べてIT技術の高い人が多い。
こうした活動によって、世界中から寄付なども集まり、情報戦またはプロパガンダが激化する様相になっている。
ちなみに今回、世界屈指のサイバー攻撃能力を持つとされるロシアのサイバー部隊がほとんど目立った活動をしていないように見える。これまで散々、ウクライナにサイバー攻撃を仕掛けてきたにもかかわらず、である。
その理由の一つには、ロシアの侵攻が始まる数か月前の2021年10月の時点で、世界最強であるアメリカのサイバー軍の関係者がウクライナ入りしており、さまざまな対策を実施していたからだ(アメリカ政府はこの時点ですでにロシアのウクライナ侵攻に対抗する準備をしており、水面下ではアメリカ側とロシアのサイバー攻撃の攻防も起きている)。
とにかく、軍などのサイバー部隊は目立っていない。
そんなこともあって、今回、ウクライナ側においてもロシア側においても、目立った活動をしているのは、個人ハッカーや、民間のサイバー攻撃組織などだ。
では今、どんなサイバー「民兵」たちが動いているのか。
「Attack!」ボタンを押すだけでロシアの“標的”を攻撃
今回のウクライナ紛争では数多くのサイバー攻撃集団が立ち上がっている。
有名なのは、「Anonymous(アノニマス)」や、冒頭で述べた「IT Army of Ukraine(ウクライナIT軍)」だろう。
主な戦術は、ロシアの政府機関や団体などへのDDoS攻撃(大量のデータを送りつけて負荷を与えてシステムをダウンさせる攻撃)や、ウェブサイトの改ざんである。
「Anonymous(アノニマス)」は、以前からハクティビスト(ハッカーとアクティビストを足した言葉)として知られるハッカーの集合体で、今回は、反ロシアの平和主義活動を行なっている。
リーダーもおらず、各自が攻撃を行なう。
ロシアの政府系機関や国営メディアを攻撃して、一瞬であるが、DDoS攻撃で公式サイトをダウンさせたと主張している。
また先日、ロシアの国営テレビ局をハッキングして乗っ取り、ウクライナ内部の映像をロシア国民に見せつけた、というニュースがあった。
だがこれは日本でいうNHKの地上波放送を乗っ取ったというようなものとは全く違う。
もしそうなら凄まじい偉業だが、実際は、オンライン上の配信サービスで流れる映像を、短い時間だけ差し替えることに成功したということである。
こうした攻撃を大きく見せて喧伝するのも、彼らの手段である。