人生の浮き沈みのなかで、<一発逆転人生>は夢物語に過ぎないであろうか?

2022年03月23日 21時49分41秒 | 社会・文化・政治・経済

虐待・いじめ・不登校を乗り越えて16歳で東大合格へ。カリスさんの“一発逆転”人生
3/19(土) 8:55配信 週刊SPA!

―[誰でも“勝ち組”になれる一発逆転思考]―

華々しい経歴の裏にある「足掻きの物語」
 僕の経歴はこんな感じだ。

・16歳で東大に合格
・ケンブリッジ⼤学を含む、海外のトップ大学で訪問研究
・ストレートで東大の博士号取得
・論文引用数684回
・日英韓のトライリンガル

 この経歴せいか、僕は「恵まれた環境で育ったはず」「生まれ持った頭脳がまるで違う」「幸運な人」などと、大衆から「別世界の人」として見られることが多い。

 でも実を言うと僕の人生は、偉人に憧れたちっぽけな少年の「足掻きの物語」だ。

 惨めな家庭・学校環境から抜け出すために、死物狂いで頑張った。頭脳に劣等感を抱きながらも、自分には才能があると信じ抜いた。悪運を断ち切って幸運を掴もうと、断腸の思いで決断をかさねた。

 困難。試練。不幸。僕がどん底から這い上がれたのは、成り上がれたのは、勝ち上がれたのは、2つの「強欲な戦略」があったからだ。

①冷静な狂気で、自分の勝ち筋を見つける
②2年で、人生を変える大勝負に出る

 本稿では、これらの強欲な戦略を駆使して人生逆転を果たした「僕の苦しかった頃」を、感情を込めて振り返る。さらに次回の記事では、「自分の勝ち筋を見つける方法」と「2年で人生を変える方法」といった具体的な思考法を伝授する。

「どれだけの労力を注ぎ込んだかを知れば、天才なんて呼べないはずだ」(ミケランジェロ・ブオナローティ)

虐待といじめへの反旗を翻した韓国時代
 僕の生まれは、韓国第2の都市・釜山。惨めな生い立ちを経験した。

 物心がつく頃には、アルコール依存症の親父から暴力を振るわれていた。学校でも、持ち物を盗まれたり、メガネが割れるまで殴られたり、椅子を投げられたりと、いじめに遭った。

 逃避するかのように、英雄が登場するゲームや本にのめり込んで、延命するだけの日々。苦しい。悲しい。辛い。痛い。憎い。憎い。憎い。助けて。

 自分の身に降りかかる全ての不条理を呪った。虐待する親父も、いじめっ子も、それを傍観する親戚や先生を含む周りの大人たちも。

 でも一番許せなかったのは、僕自身だった。何もせずに、何かを期待していた、ただ「救世主」を待ちわびていた僕。願いは願うだけで、叶うとでも思っていたのか。

 結局自分の救世主は自分自身だけ。どうせ今生がダメなら、一か八か賭けに出るしかない。一と八のどの目が出たところで、「ゼロ」よりはマシだ。

「圧倒的な才能が自分にはあるはず」と信じ込むことにした
 僕は中学3年の冬休みに学校に行くことを辞めて、親父とは絶縁して、約3畳の狭いワンルームで一人暮らしを始めた。受験勉強にすべてを捧げ、若くしてトップ大学に合格すれば、どん底から抜け出せるはずだと考えた。当然ながら周りの人は誰も本気にしてくれず、「どうせ失敗するだろう」と嘲笑していた。

 僕の成績は、公立中学校で上位1割程度。客観的に見れば、ヒーロー願望に心酔した「落伍者のクソガキ」でしかない。でも、世界の全部が僕を諦めたとしても、諦めたからこそ、僕だけは僕を諦めたくなかった。

 だから「惨めな環境のせいで開花していない、圧倒的な才能が自分にはあるはずだ」と、僕は信じ込むことにした。どっちみちこの状況下で僕が勝負できる武器なんて、頭脳以外に何もない。

 時間が限られた中、闇雲な努力ではハッタリに追いつけない。だから、僕は過去問と1冊の参考書だけに全時間を費やすといった、勝ち筋のある「科学的勉強法」を編み出して要領良く勉強した(その勉強法はYouTubeで発信中)。

 運命に抗うことを決意してから2年が過ぎた16歳の夏、僕は東大に合格した。上位5人が東大に入学できる「日韓共同理工系学部留学生」選抜試験で、750人中3位だった。

「無様でも立ち上がれば、無様ではなくて、それが生き様になる」(氷室京介)

日本語能力の壁を「読書量に全振り」して克服
 これで自分を苦しめる全てから逃れ、「未来のある新しい環境」で幸せに生きられると思った。ドラマ『ドラゴン桜』で桜木健二役の阿部寛が言っていた「東大行きは超極上のプラチナチケットだ」という言葉を本気で信じていたのだ。

 でも来日してからは、毎日何度も言われる「日本語上手いですね」という言葉にノイローゼになってしまった。その社交辞令の裏には「外国人の割には日本語が上手い」という意味が隠されているから、「自分は対等な関係ではない」と感じたからだ。

 このまま諦めて帰国するか、日本語ができない自分を受け入れるか。僕はどちらも嫌だった。そこで、そもそも「日本語能力」とは何か考察した。

 僕の中の定義は「与えられた話題に対して、的確な回答を咄嗟に返す能力」。そこから逆算して、僕は多くの回答パターンを事前に用意すべく、「読書量に全振りすべき」という結論に至った。この強欲な賭けは見事当たって、僕の日本語能力は1年足らずでネイティブ以上になった。

前例のない賭けに出て永住権を取得、兵役への不安を乗り越える
 その後も、韓国の兵役免除のために、前例のない賭けに出た。僕の青春の約2年間を奪われて未来が閉ざされることだけは、何が何でも避けたかったからだ。

 日本の永住権を取得できれば、僕は兵役に連れて行かれずに済む。でも学生で永住権が認められた前例はない。そこで、僕は圧倒的な研究業績を積んで「自分は前例のない天才AI研究者」だとハッタリをかませば、例外的に永住権申請が通るのではないかという発想に至った。

 前例がなければ、自分で作ればいい。またもや、世界で自分しか信じていないわずかな勝ち筋に、すべてを賭けてみることにした。

 常に論文の締め切りに追われる無理ゲーな生活で、身体はボロボロだった。しかも研究業績を積み重ねたところで、兵役免除される可能性は「雀の涙」ほどしかない。

 なのに、雀の涙どころか「僕の涙」が出そうな境遇なのに、僕はケンブリッジ⼤学などの海外のトップ大学を4年連続で訪問して研究を進めたり、たくさんの人に頭を下げて永住権の手続きを進めたりしているのだ。毎日が鬱の連続だった。

「本国へ戻れ」という通達の手紙も、タイムリミットの1か月前に届いていた。でも最後の最後に、2年半をかけたチキンレースに勝った。僕は運の悪い中では、運の良い部類なんだろう。

人生を一発逆転させるには、ハッタリは欠かせない
 僕は「別世界の人」ではなく、「冷静な狂気で勝ち筋を見つける」「2年で勝負する」という2つの思考法を持つ、単なる「普通の人」。

 僕の本質は、強欲で、自信に満ちて、いついかなる時も諦めない「ハッタリ」にあると思う。ハッタリは詐欺ではなくて、既成事実を作ってそれを追認していくという「覚悟」の表明。人生を一発逆転させるには、ハッタリは欠かせない。

「自分の能力以上の仕事を依頼されてもハッタリをかまして引き受けろ。控えめにして自分を小さく見せる必要はない」(堀江貴文)

文/東大AI博士・カリス

 ―[誰でも“勝ち組”になれる一発逆転思考]― 

【東大AI博士・カリス】
1993年、韓国生まれ。16歳で東京大学に合格。日本政府から天才認定(学生としては初めて、研究業績だけで永住権を取得)を受ける。博士(情報理工学/東京大学)。英・ケンブリッジ大学/独・ミュンヘン工科大学/伊・ミラノビコッカ大学で訪問研究。⽇本トップレベルの医療AI研究者であり、「みんな健康かつ笑顔で暮らせる社会」を実現すべく起業準備中。YouTubeチャンネル『カリス 東大AI博士』にて、科学的勉強法・科学的思考法・AIなどについて配信中

 

 僕が憧れ続けた英雄だって、最初から英雄だったわけではない。無謀な「冒険」を成功させたからこそ、英雄になれた。無様で、滑稽で、最後は「やっぱりダメだった」で終わるかもしれないけど、僕も冒険がしてみたい。

「この地獄の沼から早く抜けなければ、その先は自殺しかない」と実感していた。ここで立ち上がらなければ、僕は過去の自分に一生誇れないだろう。

 今は無力で、虚ろで、ちっぽけ。
 でも、だから強くなりたいんだ。
 自分の成長を信じて、進むんだ。