▼道とは何か。それは、道のなかったところに踏み作られたものだ。
荊棘(いばら)ばかりのところに開拓してできたものだ―魯迅
▼本当に変わるべきは「国家」や「制度」よりまず「人間」である―と革命作家の魯迅は考えた。
最後の勝利は、喜ぶ人々の数にあるのではなく、どこまでも進撃す人々の数にある。
▼まず第一に、人間を確立することが大切である。
人間が確立して後、始めてあらゆる事がその緒に就く。
▼デマというものは、たしかに張本人が心底から願っている事実だから、我々はそこから、一部の人間の思想と行為を見てとれる。
▼一時は勝ったように見えても、古い反動の勢力は、必ず息を吹き返してくる。
この国の麻痺状態を直すには、ただ一つの方法しかない。
それは「ねばり」であり、あるいは「絶えず刻む」ことだ。
▼茨の道もあるだろう。
しかし、断じて退いてはならない。
苦しい時こそ、一歩を踏み出すことだ。
その一歩が勝利の道を開くからである。
希望とは、自分でつくるものだ。
希望とは、茨の道を切り開きながら、あとに続く人々に贈りゆくものだ。
魯迅は生涯において、小説集3冊、雑文集17冊、散文詩集1冊、回想記1冊を刊行したほか、『中国小説史略』をはじめとする研究書や論文、さらに膨大な翻訳を残した。
このなかで圧倒的な量にのぼるのは雑文集である。
とくに、1927年から始まり1936年に病没するまでの上海時代は、彼は教職に就かず、フリーの文学者・思想家・論争家として生きた。
毒舌的なレトリックを駆使した雑文を矢継ぎ早に発表し、多岐にわたる論敵に厳しい攻撃を加え続けた。
古典文学者あるいは小説家として大成する途を棄て、論争の現場に身をさらしながら、転換期を闘い抜いた。