創作 過去・現在・未来 続編 16)

2023年04月26日 22時21分38秒 | 創作欄

目出度い婚礼の日に突然、宴席から花婿が居なくなり、結局は花婿の自殺が明らかになった時の、一番の悲劇の主は、花嫁の姫城鶴子であっただろう。

鶴子は姫城家の養女として育った。

姫城家には、子どが居なった。

結局、跡継ぎが欲しくて、両親の意向で父側の息子である従兄と母側の従妹を結ばせたのだ。

実は、両親も従兄と従妹の姻戚関係であった。

だが、皮肉なもので近親結婚の弊害であろうか、跡継ぎに恵まれが、息子も娘も共にろうあ者として生まれる。

次に積まれたのが双子の姉妹であり、その妹の鶴子は養女に出さる。

鶴子は捨て子なのだが、捨て子といっても、姫城家に双子で生まれた鶴子は形だけ、捨てられたに過ぎない。

初夜を迎えるはずの日に、鶴子は夫になるべき伴侶を突然、思いもかけない自殺で失う悲劇に見舞われたのだ。

だが、皮肉にも既に鶴子は牛田家の戸籍上、善兵衛の妻とったなっていた。

そのことが、大きな悲劇の始まりとなるとは、運命のいたずらというほかない。

鶴子は葬儀後に当然、実家に帰させる身であると思っていた、

だが突然、岳父の身である牛田家の当主が「牛田家の嫁は、帰せない」と言い張るのであった。

「鶴子、わしはだな、不詳の息子の償いをせねばなら身となった。お前を、絶対に傷者にばかりさせて置かないぞ!」と鶴子には到底、理解が及ばないことを言うのだ。

そして、夫と迎えるべき初夜は、あろうことか岳父によって忌まわしくも強引に犯される夜となってしまう。

参考

生き別れ、身分違いとなった双子の姉妹――川端康成『古都』

物語の主人公は、京都の由緒正しい呉服屋の美しい一人娘である佐田千重子。

両親に愛されながら育った彼女だが、彼女は実の子ではなかった。

そして自分が捨て子なのではないかと悩んでいた。秀男という青年が彼女に思いを寄せていた。

 5月、千重子は自分とそっくりな娘を見かける。それからしばらく経った7月の祇園祭の夜、彼女は八坂神社でその娘を再度見つけた。苗子というその娘は千重子のことを見つめ、「あんたは姉さんや」と言う。

 彼女らは互いの身の上を話した。

ふたりは双生児で、姉の千重子だけが生まれて間もなく呉服屋の前に捨てられたのだ。

しかし互いに20歳となった今、苗子は杉林で労働する娘であるのに対し、千重子は呉服屋の教養ある娘。

身分の違いを感じた苗子は、千重子のことをお嬢さんと呼んだ。

 

 

 


こども読書週間

2023年04月26日 10時58分59秒 | 社会・文化・政治・経済

国民の間に広く子どもの読書活動についての関心と理解を深め、子どもが積極的に読書活動を行う意欲を高めるために、「子どもの読書活動の推進に関する法律」では、4月23日が「子ども読書の日」と定められました。

こども読書の日:このが、「ロミオとジュリエット」や「ハムレット」の著者シェイクスピアと「ドン・キホーテ」の著者セルバンテスの命日であり、また、ユネスコが「世界・本と著作権の」と宣言していることなどにちなんだそうです。

2023 第65回「こどもの読書週間」と第77回「読書週間」の標語募集

 1959年(昭和34年)にはじまった、「こどもの読書週間」。
 第1回は、日本書籍出版協会児童書部会が中心となって開催した「こども読書週間」

(4月27日~5月10日)です。

この年は、ポスターではなくしおりを作成し、東京都内の書店やデパートで配布したと記録されています。1959年11月に読進協が発足したので、翌1960年の第2回より、読書推進運動協議会が主催団体となり、名称を「こどもの読書週間」、期間を5月1日~14日(こどもの日を含む2週間)と定めました。
 よく、「『こどもの読書週間』の『こども』はなぜ、『子ども』ではないのですか?」とのお問い合わせをいただきますが、これは、「こどもの日」に名称をあわせたからです。
 「こどもの読書週間」は2000年の「子ども読書年」を機に、現在の4月23日~5月12日の約3週間に期間を延長しました。

4月から5月にかけては、「国際子どもの本の日(4月2日)」「サン・ジョルディの日(4月23日)」などの記念日・関連イベントも多く、また、2001年12月に公布・施行の「子ども読書活動推進法」により4月23日が「子ども読書の日」となった影響もあって、「こどもの読書週間」は年々大きな盛りあがりをみせています。

「1冊の良書は、偉大な教師に巡り会ったのと同じ」

「自分の人生は一回きりだが、読書によって、何百、何千のほかの人生に触れることができるし、2千年前の賢者とも話ができる」

2023年・第65回こどもの読書週間 標語
「ひらいてとじた 笑顔がふえた」

2022年・第64回こどもの読書週間 行事報告一覧


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創作 過去・現在・未来 続編 15)

2023年04月26日 08時49分59秒 | その気になる言葉

息子が自決死して、父親幸作は茫然自失となる。

家長として家のことは、何でも思いのままにしてきた独断専行の男であったが、まさか後継者を失うことになるとは、夢にも思わなかったのである。

旧制中学校を出て、第一高等学校を目指そうとしていた息子の希望の芽を父親が摘んだのである。

同期生の一人は、第一高等学校(東京)へ進学した。

また、第三高等学校(京都)や第四高等学校(金沢)へ向かった同期生が善兵衛にはとても羨ましかった。

中学校を首席で卒業した期待の息子の善兵衛は、母親の里子に性格が似て心が優しく、父親に対して自分の意志を貫き通せなかったのだ。

「農家の倅に高等教育などいらないんだ。貴様は、軟弱な男だな。軍隊で気骨を鍛えてくるんだ」父親の強い意向で近衛兵となる。

だが、婚礼のために一時帰郷した近衛兵の善兵衛は、あろうことか、結婚式の宴席を抜け出して自ら死を選んでしまった。

「近衛兵が、自決!天皇陛下を愚弄したのだ」

父親は悲しみより怒りに震えへ仏間に行き、充血した目を見開き仏壇の本尊を仰ぐ。

「名主であったご先祖様には、申し訳が立たん」握り拳を震わせる。

一方、母親は深い悲しみ包まれていた。

3人の娘の誰よりも一人息子を愛していた母親の悲しみは如何許りであっただろうか。

嫁いでいた長女の梅子は、心痛の母親にずっと寄り添っていた。

信子も母親のそばから離れずにいた。

その中で祖母の照子だけが気丈に振舞っていた。

「みんな、メソメソ泣いてどうする。葬儀の支度を急ぐんだ。これ以上、牛田家の恥はさらすまい!」

祖母照子は、真田家・家臣の一人中村左衛門の孫娘であった。