小峰徹は、極平凡な人間である。
だが、努力もしないで、高望をしてきた。
世の中、甘くはないし、「美味しい話」などがあるはずがない。
徹が人生に躓いたのは、母の遺産の500万円が転がり込んできたことである。
500万円は中小企業に勤務する安月給のサラリーマンにとっては、大金とも言えた。
その500万円を元手に何かできないかと考えていた。
徹が居酒屋で出会った女が「スナックの経営をしたい」と言っていた。
女は北松戸駅の西口の線路沿いで競輪の新聞を売っていた。
その女が取手駅前の居酒屋で競輪ファンの一人に酒を奢られていたのだ。
「何時までも、競輪の新聞なんか売ってられないよ。私もう40になったのよ」女は日本酒のコップ酒を飲んでいた。
「そうだよな。新聞売りではたいした金にならないような」60代と思われる男はチャップリンのような口ヒゲであった。
男は大きな眼で女の太ももに視線を注いだ。
女は気付いて露わな太ももを隠すように黒いミニスカートの裾を指で引いた。
短いスカートの女の肉感的な太ももに徹も好色な眼を向けていたのだ。
「俺も来年は定年だ。退職金が出たら金を出してやろう。スナックでもやればいい」男は女の太ももに手を添えた。
「ホント!嬉しいよ。いいのね。本気にして」女は身をくねるようにして男に身を寄せたのだ。
40代の徹は500万円を何とは増やして、その男に対抗した気持ちになってきた。
だが、努力もしないで、高望をしてきた。
世の中、甘くはないし、「美味しい話」などがあるはずがない。
徹が人生に躓いたのは、母の遺産の500万円が転がり込んできたことである。
500万円は中小企業に勤務する安月給のサラリーマンにとっては、大金とも言えた。
その500万円を元手に何かできないかと考えていた。
徹が居酒屋で出会った女が「スナックの経営をしたい」と言っていた。
女は北松戸駅の西口の線路沿いで競輪の新聞を売っていた。
その女が取手駅前の居酒屋で競輪ファンの一人に酒を奢られていたのだ。
「何時までも、競輪の新聞なんか売ってられないよ。私もう40になったのよ」女は日本酒のコップ酒を飲んでいた。
「そうだよな。新聞売りではたいした金にならないような」60代と思われる男はチャップリンのような口ヒゲであった。
男は大きな眼で女の太ももに視線を注いだ。
女は気付いて露わな太ももを隠すように黒いミニスカートの裾を指で引いた。
短いスカートの女の肉感的な太ももに徹も好色な眼を向けていたのだ。
「俺も来年は定年だ。退職金が出たら金を出してやろう。スナックでもやればいい」男は女の太ももに手を添えた。
「ホント!嬉しいよ。いいのね。本気にして」女は身をくねるようにして男に身を寄せたのだ。
40代の徹は500万円を何とは増やして、その男に対抗した気持ちになってきた。