昨日の夜、恵子が突然「あっちな行かなくっちゃ」と言いながらベッドから起き上がった。
トイレにでも行くのか、それとも夢でも見ていたのか。
彼女は最近よく夢を見るようで、起きた瞬間夢と現実の区別がつかないのか意味不明のことをしゃべりだす時がある。
トイレ?と聞くと違うと言う。
自分の部屋に行かなきゃ、行かなきゃと繰り返すばかり。
こんな夜中に何しに行くのと聞いてもただ行かなきゃとしか言わない。
自分で行けるかと聞くと車椅子を持ってきてと言う。
車椅子使ってまでわざわざ行かなければならない用事があるとは到底思えなかったが、とりあえず車椅子に彼女を乗せる。
すると、ここで待っていてと言う。
つまり自分の部屋までついてくるなというのだ(いつもは心配でついていくのだが)。
夜中に目覚め意味不明の行動をする恵子にかなり不安な感情を持ちながらも言われた通りに彼女の帰りを待つ。
しばらくして車椅子をこぎながら帰ってきた恵子はパジャマのボケットからむき出しの千円札を私に3枚渡し「これで明日の誕生日、プレゼント買って」と言った。
そうか。恵子はこれを取りに行っていたんだ。
寝ぼけていた訳でもけっして意味不明の行動をしていた訳でもなかったんだ。
恵子は,四年前に病気になってから仕事はしていない。
したがって基本的には無収入だ。
彼女自身がお金を使うことはないのでそれでもまったく問題はなかったのだが…。
「ああ,そうか」。
私はあることを思い出した。
つい先日、恵子のもとに思いがけず現金が届いたのだった。
彼女が作ったクラフト作品を委託販売してもらっていたお店が彼女の作品を全て送り返してきた。
それを機にこれまでの精算金を恵子宛に送ってきたのだった。
彼女にとっては久しぶりの現金収入だ。
と同時に,久しぶりに自分で稼いだお金だ。
そんなに多い額ではないがきっと嬉しかっただろう。
彼女は、これまで私の誕生日にはいつも何かしらのプレゼントをくれていた。
逆に私も彼女の誕生日には欠かさずプレゼントは贈ってきた。
「自分で買ってはこれないけどこれで何か自分の好きなもの買ってきて」そう言って渡された三千円。
彼女の手から渡された瞬間、目頭が熱くなった。
もったいなくて、私にはとても使えそうにない。
トイレにでも行くのか、それとも夢でも見ていたのか。
彼女は最近よく夢を見るようで、起きた瞬間夢と現実の区別がつかないのか意味不明のことをしゃべりだす時がある。
トイレ?と聞くと違うと言う。
自分の部屋に行かなきゃ、行かなきゃと繰り返すばかり。
こんな夜中に何しに行くのと聞いてもただ行かなきゃとしか言わない。
自分で行けるかと聞くと車椅子を持ってきてと言う。
車椅子使ってまでわざわざ行かなければならない用事があるとは到底思えなかったが、とりあえず車椅子に彼女を乗せる。
すると、ここで待っていてと言う。
つまり自分の部屋までついてくるなというのだ(いつもは心配でついていくのだが)。
夜中に目覚め意味不明の行動をする恵子にかなり不安な感情を持ちながらも言われた通りに彼女の帰りを待つ。
しばらくして車椅子をこぎながら帰ってきた恵子はパジャマのボケットからむき出しの千円札を私に3枚渡し「これで明日の誕生日、プレゼント買って」と言った。
そうか。恵子はこれを取りに行っていたんだ。
寝ぼけていた訳でもけっして意味不明の行動をしていた訳でもなかったんだ。
恵子は,四年前に病気になってから仕事はしていない。
したがって基本的には無収入だ。
彼女自身がお金を使うことはないのでそれでもまったく問題はなかったのだが…。
「ああ,そうか」。
私はあることを思い出した。
つい先日、恵子のもとに思いがけず現金が届いたのだった。
彼女が作ったクラフト作品を委託販売してもらっていたお店が彼女の作品を全て送り返してきた。
それを機にこれまでの精算金を恵子宛に送ってきたのだった。
彼女にとっては久しぶりの現金収入だ。
と同時に,久しぶりに自分で稼いだお金だ。
そんなに多い額ではないがきっと嬉しかっただろう。
彼女は、これまで私の誕生日にはいつも何かしらのプレゼントをくれていた。
逆に私も彼女の誕生日には欠かさずプレゼントは贈ってきた。
「自分で買ってはこれないけどこれで何か自分の好きなもの買ってきて」そう言って渡された三千円。
彼女の手から渡された瞬間、目頭が熱くなった。
もったいなくて、私にはとても使えそうにない。
そして、少し遅れましたが、お誕生日おめでとうございます。