「今日の小さなお気に入り」 - My favourite little things

古今の書物から、心に適う言葉、文章を読み拾い、手帳代わりに、このページに書き写す。出る本は多いが、再読したいものは少い。

SCENT OF WINTER 冬の匂い Long Good-bye 2023・01・09

2023-01-09 05:30:00 | Weblog



    今日の「 お気に入り 」は 、伊集院静 ( 1950年〈 昭和25年 〉2月9日 -  )さんの
   随筆から スクラップ 。
   順不同 。備忘のため 。(^^♪

   「 冬には 、特有の匂いがあるそうだ 。
    そのことを知ったのは 、東京で今の家人と
   暮らしはじめた或る夕暮れのことだった 。
   『 あっ 、" 冬の匂い " だわ 』
   と彼女が唐突に言った 。
   ――今 、何と言ったんだ?
    そう思って 、彼女を見ると 、台所の壁に 、
   そこだけが覗き口のようになったちいさな
   四角の窓があり 、彼女は爪先立ちをして 、
   仔犬がするように鼻を動かし 、窓から入る
   外気を嗅いでいた 。
   『 うん 、やっぱり " 冬の匂い " だわ 』
    そのうしろ姿に 、私は彼女の少女の頃の
   姿を想像した 。 」

  「 『 冬が来ると 、夕刻 、吹いて来る風の中に 、
   他の季節にはない特別の匂いがするでしょう 。
   その匂いを嗅いだ時 、ああ今年も冬が来たん
   だってわかるの 』 」

  「 日本人が持つ特有の 、季節に対する感受のかたち 」



  

  「 霜の朝 まだ生ありと 目覚めけり 」  



   
コメント
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