今日の「 お気に入り 」は 、宮本常一 さん ( 1907 - 1981 ) の著書
「 忘れられた日本人 」( 岩波書店 刊 ) の中から「 梶田富五郎翁 」
と題した小文の一節 。
「 あとがき 」、「 解説 」を含めて 、読了 。
備忘のため 、梶田富五郎翁の「 語り 」( 部分 ) を抜き書き 。
引用はじめ 。
「 やっぱり世の中で一ばんえらいのが人間のようで
ごいす 。わしはその頃もう嫁をもろうて 、この
土地の土になる気になって 、漁師だけでは食えん
から 、子供の時になろうた菓子のつくり方を家内
におしえて 、わしは沖へ出る 、家内は家で菓子を
つくって商いをする 、とまァそないにしてつつま
しう暮しをたてて来やしたがのう 。
はァ 、おもしろいこともかなしいこともえっとあ
りましたわい 。しかし能も何にもない人間じゃけ
に 、おもしろいということも漁のおもしろみぐら
いのもの 、かなしみというても 、家内に不幸のあ
ったとき位で 、まァばァさんと五十年も一緒にく
らせたのは何よりのしあわせでごいした 。
だいぶはなしましたのう 。一ぷくしましょうかい 。」
引用おわり 。
( ´_ゝ`)
宮本常一さんの残した 膨大な記録の ほんの 一かけら 。
とりとめのない聞き書きのようにもみえる 。
年寄りたちは 、話がうまい 。
おそらくは 繰り返し語られ 、練りに練られた 「 語り 」、
「 語り口 」だからこそ 味わい深いのだと思う 。
創作ではない 庶民の 生の声 を蒐集しつづける 宮本さん や
他の「 伝承者 」たちの ひたすら蒐集にかける 不思議な情熱 。
なんなんだろう これは 。でも面白い 。
歴史学者 網野義彦さんは 、宮本常一さんの「 忘れられた
日本人 」( 岩波文庫本 ) に寄せた「 解説 」の中でこう記述さ
れている 。
「 歴史学が 、歴史を対象化して科学的に分析探求する 歴史科学
と 、その上に立って歴史の流れを生き生きと叙述する 歴史叙述
によって 、その使命を果たしうるのと同様 、民俗学も 民俗資料
を広く蒐集し分析を加える科学的手法と 、それをふまえつつ 庶
民の生活そのものを描き出す民俗誌 、生活誌の叙述との総合 に
よって 、学問としての完成に達するものと 素人流に 私は考える 。
そして歴史家の場合もそうであるように 、この二つの能力を兼
ねそなえる民俗学者はきわめて稀であろうと思う 。
宮本氏は 前者についても 全くの不得手というわけではないが 、
間違いなく 後者において卓越した力量を持つ民俗学者であった 。
その力量が最高度に発揮されて結晶したのが本書であり 、日本
の庶民は自らの中から 、このようにすぐれた伝承者 、民俗学
者を生み出したことを 、十分に誇ることができる 。
本書が刊行された1960年 、『 梶田富五郎翁 』の言葉を通
して 、宮本氏は『 やっぱり世の中で一ばんえらいのが人間の
ようでごいす 』と言い切った 。辛苦の末に新たな漁村をひらい
た老人のこの一言は 、まことに力強い 。なにものをもこえて
前進する人間のたくましさを 、われわれはそこにはっきりと感
じとることができる 。
しかし死の三年前 、1978年 、宮本氏はさきの自叙伝『 民
俗学の旅 』の結びに近く ( 235 ~ 236 ページ ) 、つぎのように
のべている 。
『 私は長い間歩きつづけてきた 。そして多くの人にあい 、
多くの者を見てきた 。( 中略 )その長い道程の中で考え
つづけた一つは 、いったい進歩というのは何であろうか 。
発展とは何であろうかということであった 。すべては進歩
しているのであろうか 。( 中略 )進歩に対する迷信が 、
退歩しつつあるものをも進歩と誤解し 、時にはそれが人間
だけではなく 生きとし生けるものを絶滅にさえ向わしめつつ
あるのではないか と思うことがある 。( 中略 )進歩のかげ
に退歩しつつあるものを見定めてゆくことこそ 、われわれに
課されている 、もっとも重要な課題ではないかと思う 』
これはまさしくわれわれ 、現代の人間につきつけられた課題
そのものといってよい 。梶田翁の生きた時代はもとより 、本
書の世に出たときからも 、時代は大きく変りつつあり 、宮本
氏はついにその解決をみることなしに世を去った 。 」
「 たしかに『 無字社会 』は日本では 、いまや極小の状態にな
りつつある 。だが『 忘れられた日本人 』 『 忘れられた人
間 』は現代の真只中にも 、また歴史の中にも 、なおきわめ
て多いのである 。宮本氏以上の力をもって 、われわれはその
『 伝承者 』となり 、その存在を世に問いつづけていかなくて
はなるまい 。 」
( ´_ゝ`)
さる人のブログでこんな記述を見掛けました 。
「 中国地方の『 えらい 』は以下の意味で使われます 。
・疲れた
・苦しい
・とても 」
「 主に西日本では 、『 えらい 』に『 立派である 、
地位が高い 』という意味以外の意味があることが
わかりました 。」
( ´_ゝ`)
えらいこっちゃ えらいこっちゃ よい よい よい よい (^^♪
ぴー ひゃーら どん どん どん ぴー ひゃーら どん どん どん (^^♪
これ何でしたっけ ?