「今日の小さなお気に入り」 - My favourite little things

古今の書物から、心に適う言葉、文章を読み拾い、手帳代わりに、このページに書き写す。出る本は多いが、再読したいものは少い。

おじいさんに聞いた話 つづき Long Good-bye 2024・01・19

2024-01-19 05:45:00 | Weblog

 

  今日の「 お気に入り 」は 、トーン・テレヘン 著 、

 長山さき 訳「 おじいさんに聞いた話 」の一節 。

  備忘のため 抜き書き 。

  引用はじめ 。 

 「 祖母の留守中に 、フィンランドのイマトラの滝の話を祖父

  が聞かせてくれた 。

  ヴィボルグに一家の夏の家 ( ダーチャ ) があって 、そこ

  からイマトラを訪れていたそうだ 。

  川の上流から木の樽や綱の解けたボートが流れてきて 、何

  千もの破片となって祖父のいる川辺に漂着することがあった 。

  滝の音はつんざくように大きく 、風のない日には四十キロ

  離れた場所でも聞こえるほどだった 。

   ある日 、祖父は祖母とそこを訪れた 。二人は数週間前に知

  りあったばかりだった 。

   太陽が輝き 、二人は下流の川辺に坐っていた 。

  サンドイッチとスイカを持ってきていた 。

   滝の音のせいで会話はできなかった 。

   『 だから 、ほほ笑みあっていただけだった 』と祖父は言った  

    その日 、二人は結婚を決めた 。

   『 おばあちゃんがうなずいて 、砂に指で〈 はい 〉と書いた

  とき 、おじいちゃんはまだなにも言ってなかったんだと  』

  祖父は言った 。『 それから おばあちゃんは指をワンピース

  で拭いて 、おじいちゃんを輝くような顔で見つめた 』

    祖父は一瞬 、ひたいをこすり 、考えにふけってからこう

  つづけた 。

   『 おばあちゃんが輝いているときには 、おじいちゃんは

  いつも目を伏せざるをえなかった 。太陽が眩しいときみた

  いに 』

   しばらく沈黙がつづいたので 、ぼくが本をめくっていると 、

  祖父は突然べつの話をはじめた 。ペルシャについて ―― ペル

  シャの馬と有名なペルシャ絨毯についてだ 。 」

  ( トーン・テレヘン著 長山さき訳 「 おじいさんに聞いた話 」

   新潮社 刊 所収 )

  引用おわり 。

 

 ( ついでながらの

   筆者註:「 ヴィボルグ( ロシア語:Вы́борг , 
       ラテン文字転記:Vyborg )は 、ロシア連邦レニン
       グラード州の都市 。人口は 7万2530人(2021年)。

        ロシア語での発音はヴィーボルクに近く 、また他に
       ヴィボルク 、ヴイボルク などの表記も用いられる 。
        かつては スウェーデン領 や フィンランド領 であっ
       た都市であり 、ヴィープリ( フィンランド語 、カ
       レリア語:Viipuri )、ヴィボリ( スウェーデン語:
       Viborg )の名でも知られる 。ちなみに ドイツ語では
       Wiborg( ヴィボルク )と表記される 。

        フィンランド湾に面し 、カレリア地峡の北西端に
       位置する 。サンクトペテルブルク から北西に 130km
       の距離にあり 、38km北にフィンランドとロシアの国境
       がある

      「 イマトラ( フィンランド語: Imatra )は 、フィン
       ランド東部に位置する町 、自治体 。南カルヤラ県
       イマトラ郡に属する 。1948年にロシア国境近くの
       三集落を中心に設立された 。過去50年間 、サイマ
       ー湖やヴオクシ川によって 近代的な工業都市へと
       変貌を遂げた 。1971年に自治体となった 。

        一番近くの町は 、ロシアのスヴェトゴルスク
       ( フィンランド名:エンソ )で 、7km しか離れ
       ていない 。サンクトペテルブルクは 南東 210km のと

       ころにあり 、首都ヘルシンキとは 230km 、フィンラ
       ンド側で最も近い町は ラッペーンランタ で 、37kmの
       距離がある 。

        1903年 、早瀬の近くに 当時のロシア帝国の首都 サン
       クトペテルブルクからの観光客向けホテルがオープンし
       た 。アールヌーボーとユーゲント様式のこのホテル
       は 、現在では『 イマトラ観光ホテル 』として知られて
       いる 。」 

       以上ウィキ情報 。

        イマトラの町の周辺には 、『 滝 』というか 、『 早瀬 』

       というか 、

       " Imatrankoski Rapids " 『 イマトランコスキー激流 』

       と呼ばれる河川流域 があるらしい 。一帯は 、あまり

       高低差のある地形とも思えないので 、ダム湖のような

       ところから放流によって作り出される 急流 なのかも

       知れない 。現代の観光地として辺鄙すぎ 、

        ロシア第二の都市 サンクトペテルブルグ以外からの

       フィンランド国内の一般の観光は やや不向きな土地

       かと思われる 。・・・ よくは知らんけど 。

        因みに 、サンクトペテルブルグ は 、団塊世代にとっ

       ては 、ソ連時代の レニングラード と言われた方が馴

       染み深い 。

        ボルゴグラード と言われるより 、スターリングラー

       ド と言われる方が 、わかりが早いのと同じ 。

        プーチン大統領とその与党 、大多数の国民が夢見る

       のは 、強いロシア 、皇帝が居るようで居ない 帝政ロ

       シア の再来 。中華人民共和国 も同じ 。夢見るだけで 、

       そんなもの どこにもありゃしないのさ 。 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする