今日の「 お気に入り 」 は 、有吉佐和子さんの小説 「 青い壺 」 。
ひとりの陶芸家が焼き上げた 、ひとつのうつくしい 「 青い壺 」 を
めぐる 十三の連作短編集 。
この小説には 、今日では ほとんど 目にも 耳にもしなくなった
日本語表現がいくつも出てくる 。
たとえば 、「 とつおいつ思案して 、・・・ 」 。
「 とつおいつ 」 というのは 、「 あれこれと迷って決心のつか
ないさま 」あるいは 「あれこれと思い迷う様子 」 を表す副詞
で 「 取りつ置きつ 」 が音変化したものとか 。
小説の中の 一篇 に登場する 老婆二人が新幹線車内で交わす ( 老婆の休日 )
会話 に出てくる 言葉 に 「 お獅子にした蜜柑 」という表現がある 。
かつてあった という方が正確か 。
確かに 、明治生まれの母が 生前 口にした「 蜜柑をお獅子 ( おし
し ) にする 」 という表現を 、幼い頃の冬の今頃 、耳にした記憶が
筆者にはある 。
東京方言辞典には 、 「 オシシ 」 とは 「 蜜柑 ( みかん )
を食べる際 、薄皮をむいて ひっくり返したもの 」 という 、わか
ったようで よくわからない 、意味説明が書かれているそうだ 。
今の 外皮も薄皮も柔らかく品種改良された 温州みかん を 「 お獅
子にして 」食べる人はいないが 、夏みかん や 八朔 なら 、今も お
獅子にして食べる人もいる 。
( ´_ゝ`)
「 ふくら雀 」なんて なつかしい日本語も出てくる 。さる人の
ブログにこんな解説がある・・・ 。
「 ふくら雀は 、冬になると外でまんまるに膨らむ雀のことを
いいます 。
寒さから身を守るために 自分で羽の中に空気の層をつくり
ますが 、見た目がふっくらしていることからその名前が付
けられました 。
その佇まいから 、豊かさを表す縁起ものとされ 、『 福良
雀 』 『 福来雀 』 と書くこともあります 。また 、雀自体に
『 厄をついばむ 』意味があり 、一族繁栄や家内安全の象徴
とされてきました 。
ふくら雀は 振袖の帯の結び方にも その名前がつけられてい
ます 。 若い人向けの帯結びで 、ふくら雀が羽を広げたよう
な着付けとなることから 、『 食べ物に飢えることなく 豊か
な一生を送れますように 』 との願いが込められています 。
お見合いや結納などで結ばれることが多い伝統的な帯結び
です 。 」
( ´_ゝ`)
小説の中では「 青い壺 」について 登場人物のこんな会話も ・・・ 。
「 本当に 、見れば見るほど美しい壺ですわねえ 。 あなた 、
この形は 経管 ( きょうかん ) でしたか 、経筒 ( きょう
づつ ) でしたか 」
「 どう言ってもいいんだ 。お経を納める容器に似ているから 、
そう呼ばれているんだが 、日本だけだよ 、そう言うのは 」
( ´_ゝ`)
( ついでながらの
筆者註:「 有吉 佐和子( ありよし さわこ 、1931年(昭和6年)
1月20日 - 1984年(昭和59年)8月30日 )は 、日本の
小説家 、劇作家 、演出家 。和歌山県和歌山市出身 。
日本の歴史や古典芸能から現代の社会問題まで 広い
テーマをカバーし 、読者を惹きこむ 多くのベストセ
ラー小説を発表した 。カトリック教徒で 、洗礼名は
マリア=マグダレーナ 。代表作は 『 紀ノ川 』 、
『 華岡青洲の妻 』 、『 恍惚の人 』 など 。
娘にエッセイストの 有吉玉青 がいる 。
正確には『 吉 』の字は下が長い 『 𠮷( 土吉 )』 な
のだが 、小説を書いていた頃には 活字がなかった 。 」
「 フクラスズメ( 脹雀 、学名:Arcte coerula )は 、
チョウ目ヤガ科の昆虫 。中型の ガ で 、人家の周辺でも
見られる 。
和名は 、スズメが羽毛を逆立てて冬の寒さに耐える様を
『 ふくらすずめ 』 と呼び 、丸っこくて 毛に覆われた様子を
この ガ に当てはめたものである 。『 スズメ 』 とあるが 、
スズメガ科ではない 。
分 布
日本全国に分布し 、日本以外にも インド 、東南アジア 、
台湾 、中国 、朝鮮半島 、沿海地方 まで 広く分布する 。 」
以上ウィキ情報 。
嗚呼 、早逝 ・・・ 。でも 色々なジャンルで 書きたいものは
書ききったって感じのする作家です 。
数多の作品 、時間をつくって 、再読してみましょ 。)
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