「今日の小さなお気に入り」 - My favourite little things

古今の書物から、心に適う言葉、文章を読み拾い、手帳代わりに、このページに書き写す。出る本は多いが、再読したいものは少い。

青い壺  Long Good-bye 2023・12・23

2023-12-23 06:15:00 | Weblog

 

  今日の「 お気に入り 」 は 、有吉佐和子さんの小説 「 青い壺 」 。

  ひとりの陶芸家が焼き上げた 、ひとつのうつくしい 「 青い壺 」 を

 めぐる 十三の連作短編集 。

 

  この小説には 、今日では ほとんど 目にも 耳にもしなくなった

 日本語表現がいくつも出てくる 。

  たとえば 、「 とつおいつ思案して 、・・・ 」 。

 「 とつおいつ 」 というのは 、「 あれこれと迷って決心のつか

 ないさま 」あるいは 「あれこれと思い迷う様子  」 を表す副詞

 で 「 取りつ置きつ 」 が音変化したものとか 。

 

  小説の中の 一篇 に登場する 老婆二人が新幹線車内で交わす     ( 老婆の休日 )

 会話 に出てくる 言葉 に 「 お獅子にした蜜柑 」という表現がある 。

 かつてあった という方が正確か 。

  確かに 、明治生まれの母が 生前 口にした「 蜜柑をお獅子 ( おし

 し ) にする 」 という表現を 、幼い頃の冬の今頃 、耳にした記憶が

 筆者にはある 。

  東京方言辞典には 、 「 オシシ 」 とは 「 蜜柑 ( みかん )

 を食べる際 、薄皮をむいて ひっくり返したもの 」 という 、わか

 ったようで よくわからない 、意味説明が書かれているそうだ 。

  今の 外皮も薄皮も柔らかく品種改良された 温州みかん を 「 お獅

 子にして 」食べる人はいないが 、夏みかん や 八朔 なら 、今も お

 獅子にして食べる人もいる 。

   ( ´_ゝ`)

 「 ふくら雀 」なんて なつかしい日本語も出てくる 。さる人の

 ブログにこんな解説がある・・・ 。

  「 ふくら雀は 、冬になると外でまんまるに膨らむ雀のことを

  いいます 。

   寒さから身を守るために 自分で羽の中に空気の層をつくり

  ますが 、見た目がふっくらしていることからその名前が付

  けられました 。

   その佇まいから 、豊かさを表す縁起ものとされ 、『 福良

  雀 』 『 福来雀 』 と書くこともあります 。また 、雀自体に

  『 厄をついばむ 』意味があり 、一族繁栄や家内安全の象徴

  とされてきました 。

   ふくら雀は 振袖の帯の結び方にも その名前がつけられてい

  ます 。 若い人向けの帯結びで 、ふくら雀が羽を広げたよう

  な着付けとなることから 、『 食べ物に飢えることなく 豊か

  な一生を送れますように 』 との願いが込められています 。

  お見合いや結納などで結ばれることが多い伝統的な帯結び

  です 。 」

  ( ´_ゝ`)

   小説の中では「 青い壺 」について 登場人物のこんな会話も ・・・ 。

  「 本当に 、見れば見るほど美しい壺ですわねえ 。 あなた 、

   この形は 経管 ( きょうかん ) でしたか 、経筒 ( きょう

   づつ ) でしたか 」

  「 どう言ってもいいんだ 。お経を納める容器に似ているから 、

    そう呼ばれているんだが 、日本だけだよ 、そう言うのは 」

   ( ´_ゝ`)

  ( ついでながらの

    筆者註:「 有吉 佐和子( ありよし さわこ 、1931年(昭和6年)

        1月20日 - 1984年(昭和59年)8月30日 )は 、日本の

        小説家 、劇作家 、演出家 。和歌山県和歌山市出身 。

         日本の歴史や古典芸能から現代の社会問題まで 広い

        テーマをカバーし 、読者を惹きこむ 多くのベストセ

        ラー小説を発表した 。カトリック教徒で 、洗礼名は

        マリア=マグダレーナ 。代表作は 『 紀ノ川 』 、

        『 華岡青洲の妻 』 、『 恍惚の人 』 など 。

         娘にエッセイストの 有吉玉青 がいる 。

         正確には『 吉 』の字は下が長い 『 𠮷( 土吉 )』

        のだが 、小説を書いていた頃には 活字がなかった 。 」

       「 フクラスズメ( 脹雀 、学名:Arcte coerula )は 、
        チョウ目ヤガ科の昆虫 。中型の ガ で 、人家の周辺でも
        見られる 。
         和名は 、スズメが羽毛を逆立てて冬の寒さに耐える様を
        『 ふくらすずめ 』 と呼び 、丸っこくて 毛に覆われた様子を
        この ガ に当てはめたものである 。『 スズメ 』 とあるが 、
        スズメガ科ではない 。
        分 布
         日本全国に分布し 、日本以外にも インド 、東南アジア 、
        台湾 、中国 、朝鮮半島 、沿海地方 まで 広く分布する 。 」

        以上ウィキ情報 。

         嗚呼 、早逝 ・・・ 。でも 色々なジャンルで 書きたいものは

        書ききったって感じのする作家です 。

         数多の作品 、時間をつくって 、再読してみましょ 。)

 

 

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