高知発 NPO法人 土といのち

1977年7月に高知県でうまれた「高知土と生命(いのち)を守る会」を母体にした、47年の歴史をもつ共同購入の会です。

第6回「学生と考える記憶の記録と継承」(最終回)

2022-07-12 09:00:00 | 連載
高知大学地域協働学部教員の森明香です。

第6回「学生と考える記憶の記録と継承」
「ビキニ事件を中心に」その6(最終回)

2022年5月8日、
ビキニデーin高知2022
全体集会のパネルディスカッションで、
学生たちが登壇した。

意図せず実行委員の
一員になったのはおよそ半年前。
会議に参加する中で、
全体集会の目玉である
記念講演とパネルディスカッション(PD)のうちPDの企画を、
実行委の若手世代が担当することになった。

当初から、“記憶の記録と継承”を
ビキニ事件を通じて考えようとしている
学生たちにPDで発言してほしい、
という期待が実行委の内にあることを感じていた。
だが学生たちは、未熟かつ自信がないからと、固辞していた。
しかし、月に一度のオンラインを含む企画会議を重ね、
これまでお話を伺い
現地を訪れて経験してきたことを振り返り、
他の先輩世代の実行委メンバー(20~40代)も
それぞれが自分なりの“継承”実践を
試みている姿を具体的に見る中で、
自らがこの間考え感じたことを
等身大の言葉で語ることも
自分たちができる一つの継承実践なのでは、
と考えるようになっていった。

当日は、
ビキニ事件を掘り起こした幡多ゼミのOG、
平和教育に力を入れる若手教員らと並び、
200名超の聴衆を前に、
学生たちはPDに対面・オンラインで登壇した。
そして元船員さんの言葉から
直に話を聞く時間は有限と実感したこと、
福島原発事故をはじめ
核被災が割と身近な世代ながら
自分事になりきらない感覚など、
この間学ぶ中で考えてきたことを話した。

多くの方が耳を傾けてくださったことは、
学生たちにとって強く印象に残ったようだ。
カリキュラム上、3年生で実習講義は終了する。
ただ、新3年生の2名が継続して
室戸にお邪魔してお話を聞いて回り、
くわえて4年生となった1人は
卒論として取り組んでいる。

学生が安心して学び
議論する場を確保するという
教員の責務を果たす努力を続けつつ、
学生時代に学んだ“記憶の記録と継承”のタネを、
学生たち自身が今後どのように育て、
花開かせていくのか、
エールとともに注視したい。

※ この記事は、NPO法人土といのち『土といのち通信』2022年7月号より転載しました。
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