高知発 NPO法人 土といのち

1977年7月に高知県でうまれた「高知土と生命(いのち)を守る会」を母体にした、47年の歴史をもつ共同購入の会です。

食べる日々3

2023-07-20 09:00:00 | 連載
会員の丸井一郎です。

食べる日々(3)

引き続き中部ヨーロッパ(以下「中欧」とする)で体験した
飲食生態の異質性について話を続ける。
当面は食材の固さとエグさがテーマ。

身近な食材の固さということでは、
野菜や果実類も例外ではない。
タマネギもニンジンもナスもパプリカも
フェンネルもパセリもポロネギも皆固い。
(とりわけイタリアで)
家庭料理の根幹であるソフリットは、
みじん切りの香味野菜を
オリーブ油で丁寧に炒めた物だが、
これを作ろうとすると、
日本での二倍ほどの時間が必要となる。
柔らかくならない。
趣味ではないが、
油の量をかなり多くして揚げ煮のようにする。
リンゴも梨もスモモもそのままでは堅い。
(梨は追熟させると柔らかくなり風味もよい)
堅い実を刻んで、
ソフリットの中で白い肉類や魚のフィレと共にソテーし
蒸し煮にするとよろしい。
(堅い「ブドウ山の桃」はとくによい)

固さの主たる原因はもちろん降雨の少なさにある。
中欧の年間降雨量は
高知県の半分かそれ以下。
高知で一時間雨量としては多いと言える雨(100~150mm)が
一日で降ると水害が発生する。
一ヶ月分に相当する雨が
一日で降ることになる。
降雨の少ない土地であるが、
麦など穀物やジャガイモ・豆の畑にも灌漑はない。
天水利用である。
よってパン用の小麦やライ麦は水分が少なく、
それに対応した風味となる。
決してもちもちにはならない。
(パンについては後ほど詳しく)


放牧地に立つ梨の木
果樹園の密植ではない「散在果樹」
(野原や街道に独立する)
ヨーロッパの歴史的原風景

※ この記事は、NPO法人土といのち『土といのち通信』2023年7月号より転載しました。
コメント
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