”農”と言える!?

元・食推おばさんのソムリエ日記

対馬の「ろくべえ」を知っていますか?

2024-11-22 21:46:14 | 食育

「ろくべえ」というユニークな食べ物をいただきました。

 

  

  

長崎県 対馬の郷土料理で(「対馬の・・・」を強調させていただきます。)、

それをレトルトにしたものをいただきました。

  

  

1枚目の写真の箱には情報がいっぱい詰まっています。

  

名前のユニークさから俄然興味を持ち、色々調べたくなりました。

興味のある方は、お付き合いください。

  

 

●「ろくべえ」って何?

簡単に言ってしまえば、さつまいもから作られた麺のことです。

 

   

●対馬とさつまいもの関係  孝行芋って?

対馬には平地が少ないため主食のコメや麦が少なく、

島民は飢餓に苦しむことの繰り返しでした。

正徳5年(1715年)、原田三郎右衛門という郷士(農村に住んだ武士)が、

薩摩よりさつまいもを持ち帰り、栽培を始めました。

栽培は全島に広がり、島の食糧難を救いました。

そのことから、対馬では「さつまいも」のことを孝行した「孝行芋」と呼んでいます。

  

  

●「ろくべえ」ってどうやって作るの? まずは「せんだんご」作りから

  さつまいもをスライスして天日干しにする。

            ↓

  乾燥したものを砕いて粉状にする。

            ↓

  それを何度も水に浸けてアク抜きする。

            ↓

  沈殿したものを2か月かけて発酵させる。

            ↓

  それを1ヶ月かけて乾燥させる。

            ↓

  さらに水に浸けてアク抜き

            ↓

  乾燥させる。

            ↓

  それを砕いて水の中で揉む。

            ↓

  沈殿したものを濾してかすを取り除く。

            ↓

  乾燥させてから軟らかいうちにお団子に成形する。

            ↓

  乾燥させて「せんだんご」出来上がり!!

            ↓

 「せんだんご」に水を加えて粘土状にし、

  それを「せんせぎ」と呼ばれるおろし金のような道具で押し出して麺状にすると、

 「ろくべえ」が完成!!

   

完成まで約3ヶ月。

とにかく手間がかかっています。

  

 

●「ろくべえ」の名前の由来は?

この記事の最初に、私が「対馬の・・・を強調させていただきます。」と書いたのは、

実は島原にも「六兵衛 (ろくべえ)」という料理があるからです。

「六兵衛 (ろくべえ)」もさつまいもを原料とした麺料理ですが、製造工程が異なっています。

  ※島原の「六兵衛 (ろくべえ)」については、こちらをご覧ください。

その違いが味や食感にも表れていますが、

見た目が似ていることから「ろくべえ」と呼ばれるようになったのでは・・・と言われています。

  

  

では、いただいた「ろくべえ」のパッケージを開けて、実際に作ってみましょう。

「ろくべえ」とスープが入っています。

スープの具は、しいたけ、ごぼう、鶏肉です。

  

 

作り方は、200mlのお湯で「ろくべえ」を5分ほど煮て、

汁気がなくなったらスープを入れ、2分ほど温めます。

かまぼこ、ネギなどをのせて・・・

色は田舎蕎麦のような濃い色をしていますが、驚いたのはその食感!!

表面はツルツル、食感はぷにぷに、もちもち。

おつゆは、上品なかつお昆布だしのおすましです。

麺が短く、お箸でつかむのは難しいので、スプーンでいただきました。

  

  

さつまいもの麺とは言っても、決して重くはなく、

テレワークランチに炊き込みご飯と一緒にいただきました。

  

 

レトルトになっているとは言え、これだけ手間暇かけて作られたものを

わずか5分の調理で食べることができるなんて!!

その5分に詰め込まれた歴史的背景、製造工程も知ることができ、

今回も多くの事を学ばせていただきました。

  

「ろくべえ」と出会わせてくださって、ありがとうございます。

コメント (2)
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