「はさかる」ということばをときどきsesentaが使います。「食べたものが歯にはさかった」「奥歯にものがはさかったような‥」というぐあい。「はさまる」と同義語でも、これはどうやら「歯」に関してのみ使われることが多いみたいです。
同じように言っていたsesentaの母親が、播州の人でしたから、あちらの方言かとも思うのですけど、ただ「はさまる」というより、歯の間にものが詰まってじゃまな感じも出ていて、方言の表現っておもしろいなあ、と思います。
じつはsesentaがこの「はさかる」食べものが好き。お料理でいえばお正月の「棒だら」、牛すね肉の煮込みやハードサラミなど。
在所の鎮守さまからお下がりのスルメや昆布など、そこらに置いたものが「あらら、ないわ」と思ったら、いつの間にか口を動かしてます。
その好物のひとつが、身欠きニシンの煮ものです。ニシンそばの上に載っているような柔らかいのでなく、歯ごたえを残した「はさかる」くらいのが好み。ナスの豊富なこの頃になると、魚やさんの荷に身欠きニシンが出るのを待ちかねて煮ます。
半干しの感じのやわらかめの干しニシン、お米のとぎ汁につけて戻し、水洗いしてお米ひとつまみを入れた水で、やわらかくなるまでゆがきます。
鍋に水としょうゆ、みりん、砂糖を合わせて煮立て、ニシンを入れて中火からとろ火で煮ます。
たて半分に切ったナスは、包丁目を入れ水に放してアク抜き。しょうゆと砂糖のうす味でこのナスを煮て、先に煮たニシンを煮汁ごと加え、赤唐辛子を入れて煮合わせます。
いつもはテキトウに煮てしまうことも多いのですけど、今日は大村しげさんをお手本に、ちょっと緊張して京都のおばんざい風に。(「大村しげの京のおばんざい」暮らしの設計133号・1980/中央公論社刊)
煮ものついでにもうひとつ、ことしはできのいいゴーヤ−を使って、お揚げさんやちくわと煮きあわせ。生野菜も食べておきたいので、リーフレタスとキュウリ・ミニトマトをタマネギドレッシングで。
白いのは、農園のお野菜じょうずさんにいただいた白ゴーヤ−です。「クセが少ないから」と言って下さったとおり、苦みが少なく、スライスすると雲のような形がとても涼しげで、ゴマドレッシングがぴったりの爽やかサラダです。
トスカーナの自然派というちょっと濁ったワインが、絞りたてのジュースのようで、素朴なお料理に合いました。