在イタリア、ソムリエワインノートとイタリア映画評論、他つれづれ appunti di degustazione

ソムリエ 20年、イタリアワインのテイスティングノートと、なぜか突然のイタリア映画評論、日本酒、日本茶、突然アートも

イタリア コロナ ロックダウン状態の中で 徒然47 ネットで販売しているPCR検査に疑問

2020-04-24 05:08:27 | もろもろ、つれづれ



イタリアのコロナで被害が大きかったのは、ミラノを含むロンバルディア州など北イタリア。
イタリアの産業の中心でもある。
なんとか(と言ってもまだコロナはあちこちにくすぶっているが)危機を脱出しつつある、その北イタリアで、徐々に、抗体検査が始まっている。
産業を再開するために必要な検査とも言える。



今、日本では、PCR検査キットをネットで販売しているというが、ちょっと疑問。
そして、これは、抗体検査の方ではなく、PCR検査キット。

無症状の感染者が多いという情報に、他人どころか、自分も感染しているのではないかと不安になる人は多いと思う。

特に、封鎖が始まって、仕事と安全の狭間で、PCR検査が、なんだかそれを一気に解決してくれるような気にもなるかもしれない。

私も実際、封鎖になってしばらくして、PCR検査を受けられないものかと思ったことがある。
ちなみに、当時、抗体検査の方は、まだ精度が低く、一般化していなかった。
医療通訳で、イタリアでコロナ対策の中心となった感染症専門病院に何度も出入りしたため、一時期、自分のもしかして無症状で感染しているかもと、かなり不安になったのである。
でも、結局、周りに幸い症状が出た人はいなかったので、不安はだんだん消えていった。

それから、増加傾向を見せていた感染者数が減少し始めた、少なくとも横ばいになったというニュースの影響は大きかったと思う。

暗いニュースばかり見ていると自分も暗くなる。

明るいニュースは、やはり心を明るくしてくれる。



そんな時期を経て、だから、今の日本で、自分が感染していないかどうか知りたいという人の気持ちはわかる。


でも、このPCR検査キットの使用は絶対にやめた方がいい。


まず、コロナ(だけではないのだが)に関して、PCR検査と抗体検査の2種類の検査があること、その2つは全然違う検査であることは理解する必要がある。

PCR検査は、鼻に長い(結構長い)綿棒を突っ込み、奥の粘液を採取して行い、専門の検査機関に持っていかなければいけない。
だから、検査の結果は自分ではわからない、し、時間がかかり、「その時点で陽性か陰性か」しかわからない。

抗体検査は、わずか数滴の血液で検査を行い、自分で結果が見れ、「今、感染しているか、過去に感染したか」までわかる。

だから、抗体検査の方が良いように思うが、精度がまだやや落ちるため、疑陰性とか疑陽性が発生してしまう確率が高い。
そして、今回ネットで販売しているのはPCR検査の方。

では、今手に入るPCR検査でもいいから、と思うかもしれないが、他の医療関係の方も言っているように、私も絶対に勧めない。

長い綿棒を、鼻のかなり奥まで入れる。
うーーん、絶対に自分ではうまくできないと思う。
医療関係者がやっているのを一度見たらわかる。
慣れないと、そう簡単ではない。
それに、うまく、採取できなかったら、正確な結果は得られない。
そこで、また、疑陰性が生まれてしまう可能性もある。

そして、ネットで購入したのは良いが、自分で結果を見れるわけではないので、一体どこに持っていくのだろう。

今の日本は、コロナの疑いのある人たち(症状の出ている人たち)のPCR検査をもっと増やさなければいけない状態だと思うのに。


そして、検査では、未来は予言できない。
検査したからといって、あなたはコロナにかかりませんよ〜とは言わない。


だから、どちらの検査も、「必要になった時に」やるのが良いと思う。

PCR検査の場合は、疑わしい症状で出てきた時、もちろん、専門のセンターで。
抗体検査は、ある程度コロナが落ち着いてきて、いよいよ経済再開になった時点で、おそらく政府が音頭を取るのではないかと。。。(無理?)


そうでなくても医療が逼迫しそうな状態で、一番良いのは、できるだけ家にいること。
検査の結果をもとに、一人安心することより重要。


それにしても、北イタリアで始まった抗体検査、これから各州に広がっていくことになるだろうが、結果には非常に興味がある。
完全に無症状の感染者が、いったいどのくらいいたのかがわかってくるはず。
まだまだ多い、コロナの未知の部分が見えてくるだろう。