記録だけ 2009年度 101冊目
『ペルシア逸話集』
「カーブスの書」カイ・カーウース
「四つの講話」ニザーミー
「カーブスの書」カイ・カーウース著
「四つの講話」ニザーミー著
黒柳恒男 訳
昭和44年3月10日 初版
平凡社
東洋文庫 134
326ページ ?+税
7月27日から読み始めた東洋文庫の『ペルシア逸話集』を7月30日に読了。
『ペルシア逸話集』は「カーブスの書」カイ・カーウース著と「四つの講話」ニザーミー。
「カーブスの書」はイランの説教文学の代表の一つといわれている。
内容は面白い。
酒の話、客の接待、女や若衆の話、馬の選び方、奴隷の買い方、友の話、詩の書き方や公文書などの書き方(言語)など、今思い返しても面白く興味深い。
印象に残る部分が多々ある。
「カーブスの書」はイランの本音と建前の部分をうまく書き表したイランらしい古典の読みのもとして、たいへん面白かった。
イスラム文化で禁止されている事項をぬけしゃあしゃあと 王が子に伝える部分などが、イランらしくて小憎らしいほど楽しい。
病気の見分け方なども書かれていたが、これが当てはまるかどうか わからないほど細かく描かれ、文学として面白い。
片目の馬はイランやトルコでは吉とされているとのことだが、これは日本の一つ目やギリシアにも通じるところなのだろうか?
まともなこと、間違ったこと、差別的なこと、ためになることを自信を持って、
「息子よ、 ・・・・・・・・・。」
と長々と語る部分は笑ったり納得したり反発したりと、読者であるわたしも忙しい。
解説には鑑文学としての「カーブスの書」がもしなかったら息子の名はこの世の中から消えさえいたということを考えると、正しく王が王子に残した『ためになる書』だと言えよう(笑み)
楽しい時間を過ごすにはもってこいの『ペルシア逸話集 「カーブスの書」』であった。
一変してニザーミーの「四つの講話」は紹介されている引用を楽しむことにした。
「四つの講話」は『逸話集』の名で知られているそうだ。
ニザーミーは以前に読んだ『七王妃物語』とはまた別人。
二ザーミーは名前で名字が違う。
訳者は同一で黒柳恒男氏。
今回の ニザーミーの「四つの講話」は淡々とかかれ、難しい(苦笑)