■辻■
朝薫の足が止まって何度も地図を見比べた。
目の前に広がるのは辻の遊郭街ではないか。
昼下がりの花街は気だるそうな香りを漂わせ、
下着姿の女性を思わせる。
「寧温、ぼくは聞き間違えたのだろうか。
確か徐太監は宦官だって正史様はおっしゃったよね?」
寧温も軒を連ねる遊郭に唖然とした。
今、同じ質問を朝薫にしようとしたところだ。
「なぜ宦官が花街に住んでいるのでしょうか?」
初めて入る遊郭に寧温は身を疎ませていた。
ここが馬親方が連日連夜通い詰める欲望の巣窟か、と身の毛もよだつ思いだ。
遊郭の中は何十年にも亘ってこびりついた情事の香りが黴のように染み付いていた。
「テンペスト(上)310-」より 池上永一著/角川書店
はい、辻に行ってきました。
っていうか、孔子廟で祭祀があったので見学にいったら
すぐ隣が辻でした。
テンペストでは遊郭の町の辻ですが……
なんとビックリ。
今もそういった風俗の類の看板があちこちに
なので、そのまま写真を載せるのはあまりにも生生しいので
(もちろんそういうストレートなところじゃないアングルを選んで撮ったんだけど)
写真加工させていただきました。
昔も今もそういう街なのですね
でもそんな錆色の空気を漂わせる辻に、
こんなにキレイなブーゲンの大木(?)を発見。
頭上からうわーっと降り注ぐように咲き誇っていました。