翼が折れた。
いつも洗濯物にとまっていた鳥。
もう洗濯物にとまることもできない。
今まで何度も何度もとまっていたから、
疲れちゃったのかな。
「もう頑張れない」という声が聞こえる。
昔は、もっとはっきりとした赤色だった。
いつの間にか、赤色が少しずつ薄まって、
ピンクみたいになっちゃったね。
最後に一度ぐらい、思いっきり大空を飛ばしてあげたいな。
屋上からなら、飛べるかもしれない。
一緒にとめた洗濯物の思い出をポツリポツリと思い出しながら、
屋上への階段を一歩一歩上がっていく。
気持ちよく晴れ渡った空だ。
これなら飛べそうな気がする。
「自由になれよ!!」
そう言いながら、5階の屋上から力いっぱい鳥を放り投げた。
そして、
放り投げた方は一度も確認せずに、
背中を向けて階段を降りて行った・・・