親が手術を受け、
内臓の一部を摘出したのだった。
術後、
担当医から説明があると、
病棟内の処置室に呼ばれた。
医師の傍らには、
半透明のポリ容器。
その中には赤黒い塊が。
まさか。
そう思っていると、
医師はポリ容器の中から、
ビニール袋を取り出す。
どう見ても、
摘出された内臓だ。
そしてそれを、
机の上のシートの上に広げた。
とれたてホヤホヤの、
我が親の内臓。
とても非現実的な光景だった。
それにしても、
こんなものを見せるならば、
見せると最初に予告しておいてくれてもいいじゃないか。
まあ、僕は全然平気だし、
同席した家人も平気だったが、
中にはまったくダメな女性もいるだろう。
いきなり血みどろの摘出部分を見せられて、
悲鳴をあげたり気分が悪くなったりする人もいるのではないか。
この手の手術後では、
あたり前のことと言われてしまうかもしれないが、
そんな「あたり前」は誰も教えてくれない。
医学モノのドラマでも、
そんなシーンは見たことがない。
せめて心の準備をする言葉をかけてほしかった。