二子玉川に親の代からよく行く寿司屋がある。
なんの変哲もない普通の街の寿司屋である。
でも、縁あって馴染みの店となった。
最初は駅からちょっと離れた場所に、
独立した店舗としてあった。
それが貸し店舗だったのか、
自分の店の持ち物だったのかわからない。
でも、座敷もあり居心地のいい空間だった。
駅前の再開発が始まり、仮店舗に移った。
前より駅から近くなったが、
店内には個室の座敷もいくつかあり、
居心地のよさはあまり変わらなかった。
そしてこの4月、
再開発の一部が完成し、
店は駅前のビルの中に移った。
移転して初めて行って驚いた。
まず店の広さが半分ぐらいになった。
もう個室はないし、
テーブルとテーブルの間隔もかなり狭い。
さらに驚いたのは料理だ。
まずメニューが減った。
そして残っている一品料理も、
値段は据え置きだが、
明らかに量が減っている。
どうしてこんなことになったのか。
メニューが減ったのは、
料理人の数を減らしたからのようだ。
料理の量げ減ったのは収益率を上げるためだろう。
テナント料が高いのか。
それとも店舗が狭くなった分だけ客の数が減るため、
客一人あたりの儲けを増やさないといけなくなったのか。
真相はわからない。
でも、かなりがっかりした。
再開発でいろいろなことが便利になるのだろう。
でもその陰で確実に失望も生じているはずだ。
まあ、なんというかそれは、
我が家にとってとても悲しい出来事だったのだ。