数年ぶりに『世界遺産』の仕事をした。
今回はBSでやっている『THE世界遺産3D』。
そこで以前仕事をしたディレクターと、
これまた数年ぶりに再会した。
彼から聞いた話だ。
そもそも僕が『世界遺産』の仕事に携わったのは、
番組の選曲をしているのが仕事仲間であり友人だったからだ。
本職はラジオのディレクターであるその友人は、
音楽への造詣も深く、
『世界遺産』の選曲はとても気に入っている仕事のようだった。
その証拠に、
当時まだ独身だった彼は、
しばしば女性を家に誘うと、
自分が選曲した『世界遺産』を見せた、
という実しやかな噂が語られたほどだ。
その友人は、
残念ながら数年前に亡くなってしまったのだが、
彼が残したものが今でも役立っているという。
それは、
ロケハンの時に聴くための音楽だ。
ディレクターがロケハンに出る前に、
その地に合いそうな音楽を選んで送ってくれたのだという。
音楽を聞きながら風景を見ると、
イメージがふくらみ、
撮影やその後の番組作りにとても役立つそうだ。
こんな番組作りへの参加の仕方もあったのか。
今まで知らない話だったので、驚いた。
「ただね」
と最後にディレクターは言った。
「ファイルに曲名が書いてないので、
いざ使おうとすると探すのが大変なんですよ」
いい話に終わらないあたりが、
それまた友人の人柄にあっていて、
それはそれでまたいいと思ったのだ。