飛行機で北海道ロケへと向かった某ディレクター。
上昇するにつれ、
突然、呼吸が苦しくなってきた。
シートベルト着用のサインが消える頃には、
息も絶え絶え。
シャツのボタンを外し、ズボンのベルトを緩める。
しかし息苦しさは増すばかり。
近くに来たCAに思わず、
「飛行機、おろしてもらえませんか」
と口走ってしまうものの、到底無理。
飛行機はそのまま千歳空港へと向かった。
後に判明するのだが、
この時、彼の肺の片方に穴が空いていたのだ。
地上ではそれでも呼吸に支障はほとんど無い。
だから自覚していなかった。
ところが高度が上がると気圧の関係で、
片肺では呼吸ができなくなるらしい。
このまま死ぬのかもしれない…。
そう思った時、ようやく飛行機が着陸態勢に入った。
高度が下がっていく。
すると…
「ん?」
気圧が戻っていくにつれ、息苦しさも消えていく。
着陸する頃には、すっかり普通に呼吸できるようになったいた。
しかし…
「さすがに治りましたとは言えなくて、
ずっと苦しがっている演技をしていました」