子ども番組の企画案で、
「めんこ」を出してきた若いスタッフがいた。
彼女の年齢で、「めんこ」で遊んだことがあるのは珍しいと驚いたが、
実際に遊んだことはないという。
ただ知識として、ひっくり返して奪い合う、ということだけは知っていた。
これからシミュレーションをしてみると聞いて、
思わず言ってしまった。
「そんな簡単にひっくり返らないよ」
確かにひっくり返して遊んでいたが、
僕の場合、それは四角い、「角めん」だった。
「丸めん」で遊んだことはほとんどないが、
遊ぶ時は、ひっくり返すのではなく、
相手のめんこの下に滑り込ませる、
それで終わるかもしくは、
そのまま相手のめんこをすくい上げて宙に飛ばし、
自分のめんこで受け取る、
そんな勝負の付け方だった。
子どもの遊びなので、
ローカルルールはいろいろあるだろうが、
1972年~75年の目黒や世田谷では、
そんな遊び方が主流だった。
(僕という子どもの小さな世界でだけど)
しかし「角めん」にしても、
下が凸凹した場所でやっていたから、
ひっくり返ったんだろうなあ。
会社のつるつるした床ではひっくり返すのは難しいだろう。
などと言っていたら、
「めんこ」という企画案自体を取り下げてしまった。
申し訳ないことをした。
シミュレーションをして、
いかに困難かを体験する機会を奪ってしまったからだ。