200年前に建てられた新潟県関川村の豪農、渡邉家の浴室。
浴槽はなかったけれど、床のあちこちにタイルを散りばめてあるのが見られた。
全面に貼り込まなかったのは、タイルが高かったからだろうか。
むしろ洒落ている。
母屋の建物は1817年築ということだが、この浴室がいつ建てられたか、あるいは改装などをされたかは分からない。明治以降だろうと思う。
普通の農民には、床を張った浴室などなかっただろうから、当時ではとても贅沢で、この家に住んだお嬢様たちを喜ばせただろうと思う。
渡邉家は宮尾登美子の小説『蔵』の舞台になったところで、
わたしにとってはむしろ松たか子が主演したドラマの舞台であり、以前から興味を持っていた場所だった。
もう15年位前の作品だと思うが、松たか子の魅力が圧倒的で、忘れられなかった。先日再放送していて、再度見た。盲目で、賢く、一途で、しかも美しい娘の役に、松たか子はぴったりだったし、見事に娘の人物像を浮き彫りにしていた。その幼少期を井上真央が演じていたのには驚いた。
このドラマの主人公は松たか子のように思っていたが、よく見てみると、その叔母である壇ふみの一生が最も大きなモチーフとなって描かれていた。