山里ひぐらしの小径

木曽路の入り口、岐阜県中津川市から
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ヒメジョオンの季節到来 ハルジオンとの違い

2021-06-09 | 植物

ヒメジョオン Erigeron annus  2021年6月上旬

ムカシヨモギ属 キク科

今の時期、ハルジオン→ヒメジョオンに移り変わっている。

すなわち、終わりかけのハルジオンと、始まりかけのヒメジョオン、どちらも咲いている。

何かの図鑑に「いつのまにかハルジオンとヒメジョオンが入れ替わっていて、ずっと同じものが咲いていると思っている人がいる」という趣旨のことが書いてあったけど、ほんとうにその通り。ずっと同じものだとは思ってないけど、「あら、いつのまにかヒメジョオンばっかり」みたいになっている。そんな感想にはたいてい「暑ぅ……」を伴う。

で、これってどっち?と花をポッと持ってこられて、しばし迷うこともある。もし誰かに植物の名前を聞くときは、できるだけ地上部全体を持っていった方がいい。

自分ではパッと見で感覚的にどっちか分かるのだけど、その違いを説明するのに苦慮することもある。そこでうまく説明できるようにいろいろと写真を探していたらめんどくさくなって記事が書けなくなっていた。

気を取り直し。

〇まず、咲く時期。

とある図鑑には、ヒメジョオンが1カ月遅いと書いてあるけど、私の感覚では2カ月遅い。また、ハルジオンは4月から6月の間の2カ月ぐらいしか咲いてないけど、ヒメジョオンは6月から秋までずーっと咲いている。これから先見るのはヒメジョオンばっかりだ。見かける期間としてヒメジョオンの方が圧倒的に長い。

4~6月上旬 ハルジオン | 6~10月頃 ヒメジョオン

咲く時期がずれているので、基本、それだけで分かるのだが、今(6月上旬)の時期だけ混じるから面倒なことになる。

〇とにかく決定打 茎が中空か

ハルヒメ

茎が中空になっているのがハルジオン。中空とは、完全にストローみたいなこと。

茎の中に白い髄があるのがヒメジョオン。上の方では髄の中に小さい穴ができているのだが、こういうのは中空とは言わない。

 

〇花 花びらの幅と長さがもう一つの決定打

見た感じが全然違う しかし人によっては同じに見える

ハルヒメ

ハルジオンは花びらが長くて細くて糸みたい。真ん中の黄色いところよりも花びらが長い。

ヒメジョオンは花びらの幅が1ミリぐらいありへら型になっている。真ん中の黄色いところと同じぐらいか少し短く見える。

ハルジオンの花色濃いタイプ

ハルジオン(上の写真)は淡紅色がかるものが多い。でもかなり白いのもある。

ヒメジョオンは決して赤色がかることはない。真っ白。

ハルジオン(上の写真)の花弁は長くて細いせいか、絡まり合った感じで乱れている場合が多い。蕾の段階でもかなりヨレヨレともつれあってる感がある。ヒメジョオンではそこまでよれよれにならない(少しはなってるものがある)。

 

〇うなだれているか……雰囲気の問題なので説明するには苦しい

ハルはうなだれている。ヒメはうなだれていない。と言われる。

確かにそうなのだ。

ハルは雰囲気的に大きくうなだれていて、ヒメは雰囲気的にうなだれていない。だからそれで分かる。

ハルヒメ

ところがヒメも観察すると、つぼみがうなだれているのだ。「つぼみがうなだれている」という言葉だけで説明することは困難だ。

 

〇立ち姿と雰囲気 

すっくと立って背が高いのがヒメ 夏の空家の庭に生い茂る

ハルヒメ

1枚目(左)ハル、2枚目(右)ヒメ。やはりこの真っ直ぐピンと立ってる感じが一目でヒメジョオン!なのだ。

ただ、まだ小さいヤツはもしかしてハルかも?などと思って目を凝らすことになる。

ハルジオンは軟らかそう。ヒメジョオンは堅そう。(に見える。実際の触感ではない)

ハルジオンは私の観察では70㎝を超えることはない。ヒメジョオンは放っておくと平気で1.2mとかもっととか高くなる。夏の空家の荒れ果てた庭に生い茂っているのはヒメジョオンである。いや、ヒメジョオンが生い茂ると「荒れ果てている」と認定される。

草丈と花の大きさとのバランスで、ハルの方が豪華な感じがする。ヒメは緑が勝つので花は地味に感じる。

 

〇葉……茎を抱くとかなんとか、スルーすべし。

ハルヒメ

ハルジオンは葉の基部が茎を抱く、ヒメは抱かないと言うけれど、ヒメも上の方の葉は結構茎を抱いている。これで見分けるには植物全体の葉を上から下まで見るべきであり、一部だけ見てあーだこーだ言うと間違うことになる。そもそも、茎が中空かどうかと花弁の長さを見れば済むことなので、こんなめんどくさいところで判別しようなどと考えなくて良い。

〇地下茎とか春先の葉

また、春先にロゼットで広がって地下でつながっているのがハルジオン。だから春早いうちにみっしり地上に葉がある。

単独で立ってるのがヒメジョオン。

抜きたくなるのがハルジオン。刈りたくなるのがヒメジョオン。(意見には個人差があります)

上の写真。ハルジオン。何となくやさしい感じ。

ヒメジョオンに失礼を承知で言ってしまうと、写真撮りたくなるのがハルジオン。ならないのがヒメジョオン。


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