山里ひぐらしの小径

木曽路の入り口、岐阜県中津川市から
人と自然とのかかわりをテーマに、山里、植物、離島など。

ジャーマンアイリス・ドイツアヤメ

2020-05-09 | 植物

ジャーマンアイリスは花菖蒲と同様、いろいろな色のものがつくられて売られている。今日は近所の家の庭先に薄いオレンジ色のものを見つけてハッとした。青系じゃないと許せない気がするのだが、意外にもその花はきれいだった。また別の家には大型のクリーム色のがあった。その形は、私が子どもの頃の家の庭にあった「イチハツ」と全く同じで、イチハツってジャーマンアイリスと同じものなのかなと思って調べてみたら……。

私の思っていたイチハツは、イチハツではなかった。ドイツアヤメといい、要するにジャーマンアイリスである。

子どもの頃、チューリップがはらりと散るころにその花は咲きそろった。白と紫があり、いささかもったりしているのだが、花壇の端にずらりと並ぶさまは、春から初夏へと光がきらめき始める季節の情景として、色鮮やかに脳裏に刻まれている。母はそれはイチハツだと言った。学校へ持っていきたいと言うと、「すぐにしぼむから」と勧めはしなかったが止めもしなかった。ぎしぎし増えてくるので、たまに株分けして捨てていた。その姿もよく覚えている。

そのドイツアヤメはもう家にはないけど、たまに山奥の田舎の畑で見かけることがある。母が植えた昭和40年頃には流行っていたのだろう。ネット情報によると、明治期に日本に入ってきたものらしい。今度見かけたらその家の人に、「この花をなんといいますか」と聞いてみたいのである。イチハツとして通っているのかもしれない。

その後、昭和60年代に庭に植ええたのが、上の写真のジャーマンアイリスで、これもその当時大変流行ったようで、今見かけるジャーマンアイリスの中では最もポピュラーな気がする(少なくとも私が見る限り)。紫なのか何なのかはっきりしない色だ。私は昔の単純な紫と白のドイツアヤメの方をまた植えたいと思う。けど、ない。昭和60年代に家を建て直したとき、昔のドイツアヤメがなくなってこのジャーマンアイリスになってしまったのだが、母も心中、昔の方が良かったと思っていたに違いないと今思う。今度会ったら聞いてみたい。

まあ、なんというか、何十年もイチハツだと思ってきたのがドイツアヤメであったことがショックである。そして、それを知らないままあの世へ行ってしまった母に教えてあげられなかったことが残念である。

下の写真は、よそのうちのもの。アヤメなのかカキツバタなのかノハナショウブなのか……、そのどれとも少し違う。園芸種として改良したものなのか。ジャーマンアイリスではない。

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