在住区の男女共同参画センター主催の
区民講座を聴いてきました。
講座の大きなテーマは、
「子育てと家族 ~不安や葛藤を力にする」。
2回講座の1回目は、お茶の水女子大名誉教授で
あられる
袖井孝子先生のご担当で
「なぜ不安になるの?子育てと家族の変化」
というテーマです。
※レジュメを、見出しのみご紹介いたします。
1.日本の家族はどのように変わってきたのか
1) 戦前:家制度
2) 敗戦後~高度経済成長期(1960年頃)
3) 高度経済成長期~低成長期(70年代半ば)
4) 低成長期~不況の時代(90年代半ば)
5) 少子人口高齢化社会の到来(90年代半ば~)
2.家族の機能はどのように変わってきたのか
1) 伝統的な社会
2) 近代社会
3) 現代家族
3.新政権への期待
1) 子ども手当・高校授業料への無償化
2) 財源は?
4.新たなサポートネットワークの構築に向けて
1) 地域の子育て力の回復
2) 自助グループの形成
3) 子育て中の母親からの発言→政府自治体への圧力
※印象に残ったお話を、いくつか紹介致します。
◆核家族は、近年になってからと、みな思っているけれども
じつは、戦前から もっともポピュラーな 家族の形なのです。
(大正12年第一回国勢調査より)
戦前は、5~6人きょうだいもまれではなかった。
そうすると、両親と同居できるのは、長男一家だけ。
次男三男は、必然的に核家族となります。
また、寿命が約50歳と短かったため、親が亡くなる頃
末子はまだ幼い場合が多かった。
おじ・おばに育てられるケースや、姉に育てられる
ケースが多かった。
そして、親戚が割合近所に住んでいたものですから、
行き来が頻繁にあり、現代に核家族のように
孤立することが少なかった、そうです。
そして、この時代、子育ては
いまに比べてはるかに母親の育児負担は少なかったとのことです。
子育ては、祖父母、割と近所に住んでいた親族に、頼ることができたそうです。
地域社会とのつながりもかなりあり(いい意味でも悪い意味でも)
子どもは、広い人間関係の中で育っていった、そうです。
◆家族の機能
家族にとって本質的な機能は「ケア」機能である。
家事の大部分は 「外部化」できる。
近年、「ケア」機能までも外部化されるようになってきた(例:介護保険)。
ケア機能には2種類あり、
手段:お世話をする/おむつを替える、介助する
情緒:配慮する、気にかける/相手の気持ちを尊重していたわる
この、思いやり・配慮するまでもが近年外部に出て行きがちなので、なくならないようにしたい。
◆70年代半ば
このころ専業主婦の子育て不安が出てきた。
核家族が孤立してきた。
サラリーマン社会の到来で、企業戦士となった夫は1日13時間を会社のために使い
(通勤や夜のつきあい含む)帰宅すると「飯、風呂、寝る、おまえに任せた」の4語のみ。
労力的には昔の方が大変だったが(洗濯機の普及による家事の軽減)、代わりに精神的ストレスが、出てきた。
◆新政権の期待(所得再分配等に関して)
子ども手当を評価しています。
~税控除から手当方式へ~
税の控除方式は、所得の高い人が得をします。
子ども手当は、北欧やフランスが採用しており、より公平です。
私見だが・・、
子ども手当の所得制限はなしにして、
累進課税率を上げるべきだと思います。
子どもは社会で育てる、子どもは社会の宝だ、との見地に立ったとき。
配偶者控除も廃止した方がいいと思う。
年金の第3号被保険者問題も解決するはずで、
「103万円の壁」問題も解消する。
「103万円の壁」は、パートで女性が働くとき
扶養控除を受けるため、就労調整をし、女性の賃金が
低くなる原因となっている。
また、女性のライフコースを制限する原因ともなっている。
◆保育園は悪くない
家族だから、と、分かり合えるわけではない。
コミュニケーションをしっかりとって。
小さい子にも懇々と説明する、アメリカ人を見た。
家族からはじまるデモクラシーもある。
1学期分のご講義の内容を、2時間に詰めて
お話し頂きました。
思いっきり内容が濃く、とても整理されたお話。
そして、各種調査をされていらっしゃる袖井先生。
データに裏打ちされたお話には、ものすごい
説得力と重みがありました。
そして、政治と暮らしは つながっているんだな~・・。と
実感できました。