10月18日(金)、曇り。
昨日は、ほぼ一日中雨。
よって、駒づくりは木地仕事と雑用。
その一つが、小さな箱の修理。
蒔絵の化粧道具入れで、胴の部分は赤い網目模様と漆黒の廻り縁。
天面には、鳳凰と桐、それに唐草。
大名家の婚礼調度にも結構見かける吉祥紋様です。
作られたのは、150年から200年ほど前でしょうか。
永年使われて、天面の金蒔絵の一部は擦れて、レンガ色の下地漆が現れているところがあります。
他にもチョッとした傷みがありそれを修理しようと思い立ちました。
擦れて現れたレンガ色の下地漆は、このままにしておきます。
これまで手を加えると、箱の永い歴史を消すことになってしまう。
何でも経験。
やってみると結構、面白い発見もあり勉強になります。
先ずは、全体のクリーニング。
石鹸を付けて水洗いの後、アルコールで永年積もった油と汚れを落とします。
次に、ヒビ割れのチェック。
ヒビ割れは見れば分かるのもだけでなく、眼に見えないものもあります。
ヒビには隙間に生漆を滲みこませて、拭きとり乾固させます。
乾固には、今の時期なら1日2日は掛かります。
ポイントは、余計な漆を残さないこと。
これをうっかりすると、台無し。
後で取り去ろうとしても、どうしようもありません。
ついでに、箱の底。
ここは、擦れて漆が無くなっていたり傷が多いところ。
一度に漆を塗って綺麗にすると手っ取り早いのですが、それは禁物。
やはり、歴史が吹っ飛んでしまいます。
で、先ずは1回目の刷り漆。
以後、これを何回か重ねることにします。
次に、箱の内側。
ここにも小さな内傷が。
600番ほどの細かなサンドペーパーを折りたたんで、軽く一摺り二摺りして平滑に。
その後、微量の生漆で一摺り二摺りしたのち、綺麗な和紙で三摺り四摺り。
この漆は1日で乾きます。
これをあと何回か繰り返す。
ここまでの時間は3~40分。
天面のスレ修理は、一番後廻しのお楽しみ。
今は作業中に余計な瑕が付かないように養生しています。
今日はここまで。
ーーーー
午後は、古文書読みのお勉強。
奈良に出かけます。
では、また。
駒の写真集
リンク先はこちら」
http://blog.goo.ne.jp/photo/11726