鍼灸の順番を庭で待っている。穂孕み期の青田の上をそよ風が渡る。遠くで老鶯が鳴き、雲の峰がたくましく聳え立つ。竿の上で一列に瞑想中のトンボ。ときどき我に返ってはふわっと宙に浮くこともあるが、長い時間じっとして動かない・・・・・・八月の午後の静寂。 突如、音もなく黒い影が掠めたかと思うと一匹の鬼やんまがトンボを襲う。ほんの一瞬の出来事、瞑想のままトンボの頭が噛み砕かれる。
蜻蛉の思索のふちを風わたる
塩辛蜻蛉は思想家石になりたがり
鍼灸の順番を庭で待っている。穂孕み期の青田の上をそよ風が渡る。遠くで老鶯が鳴き、雲の峰がたくましく聳え立つ。竿の上で一列に瞑想中のトンボ。ときどき我に返ってはふわっと宙に浮くこともあるが、長い時間じっとして動かない・・・・・・八月の午後の静寂。 突如、音もなく黒い影が掠めたかと思うと一匹の鬼やんまがトンボを襲う。ほんの一瞬の出来事、瞑想のままトンボの頭が噛み砕かれる。
蜻蛉の思索のふちを風わたる
塩辛蜻蛉は思想家石になりたがり