干柿の芯に
ホトケサマが透けて見える
提灯の芯に
ホトケサマが揺らめいている
欅の幹に耳を当てると
祈りが聞こえてくる
良いとか悪いとか
そんなことはどうでもいいこと
ホトケサマはどこにでも在して
ひたすら柔らかく微笑んでいる
夕べも夢まくらに
ナミダサマを遣わして
散々ひとを憎んだ
その心を洗い清めてくれた
ナミダサマは
泣きやんだばかりの赤子の瞳にも在し
産卵のウミガメの瞼にも在し
ホトケサマの化身
ナミダサマが顕われた日は
雨上がりの五月のように
総てがまぶしく耀いてくる