〈ぼくの墓にはこぶしの木を植えてくれ〉
かつて頼んでおいた願いだが
最近になって訂正することにした。
飛翔する天使のようなその花には
身も心も清められる思いがする。
亦、余計な枝を持たず
すくっと春天に立つその樹木のすがたもいい!
で、墓にと考えたのだが
実は花の散り際が良くないことを知った。
いつまでも未練がましく枝にしがみついて
咲きながら錆色に腐っていくのだ。
さらには散ってからも地面にへばりつき掃除が大変。
清楚で無垢なあの花が・・・最期は醜い。
・・・・・・「未練こぶしの咲き腐れ」
これではぼくの人生観に合わない。
で、墓に植えるという願いは取り下げることとした。
そんなぼくの想いとは関係なく
夕暮れ時の菫色の空で
いっそうその白さを際立たせている。